Rapid Trigger ゲーミングキーボードTop3

この記事ではRapid Trigger機能に対応したゲーミングキーボードを紹介します。
Rapid Triggerのメリット
Rapid Triggerに対応するゲーミングキーボードの強みは、キー入力のオン→オフやオン→オフ→オンが従来のメカニカルキーボードよりも圧倒的に素早く行えることです。
これにより、キーを入力するタイミングが重要とされるテクニックの成功率や、VALORANTやCS2の基礎技術「ストッピング」を移動キーを離して行う際の速度の向上が期待できます。
Rapid Triggerとは
Rapid Triggerがどのような機能なのか具体的に解説します。
Rapid Triggerとは、キーをどこまで押し込んでいても、設定した数値だけキーが戻るとオフになり、再び設定した数値だけキーが押されるとオンになる機能です。
例えばRapid Triggerを0.1ミリに設定したとします。この場合、キーをどこまで押した状態でも、0.1ミリでも戻せばオフになり、再び0.1ミリでも押すとオンになります。

Wootingが公式サイトで公開しているGIFをお借りしました。
上記GIFの右側「WOOTING 60HE」が、Rapid Triggerをオンにしたときの挙動です。キーを押し込んでいる途中でも、離したらすぐにオフになり、再び押すとすぐにオンになっていることが分かります。
上記GIFの左側「Regular Keyboard」が一般的なメカニカルキーボードの挙動です。見ての通り、ACTIVE(アクチュエーションポイント)とRESET(リセットポイント)があらかじめ決められていて、そこを通過しない限りはキー入力のオンオフ処理は行われません。
従来のメカニカルキースイッチは、キー入力のオンオフ処理が行われる位置があらかじめ決まっています。例えばCherry MX Silver(銀軸)なら、キーを0の状態から1.2ミリ押した時点で入力がオンになり、再びその付近までキーを戻すと入力がオフになります。
一方で、キー入力のオンオフ処理が行われる位置は決まっていないのがRapid Triggerです。キーの押し込み量を常に把握して、入力がオンオフされるまでの現在地からの距離を設定できます。「キーの押し込み量にリセットポイントが追従する機能」と表現されることもあります。
Rapid Trigger対応ゲーミングキーボード 比較表
* 最新の情報に更新するよう努めていますが、既にファームウェアのアップデートにより性能が向上している可能性があります
製品名 |
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価格 | |||||
評価 |
5.0 out of 5.0 stars
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5.0 out of 5.0 stars
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5.0 out of 5.0 stars
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4.5 out of 5.0 stars
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3.5 out of 5.0 stars
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キー配列 | ANSI / ISO | ANSI | JIS / ANSI | JIS / ANSI | JIS |
サイズ | 60% | 75% | TKL | Full / TKL / 60% | TKL |
AP |
0.1 ~ 4.0mm
0.1mm単位で調整可
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0.4 ~ 3.6mm |
0.1 ~ 3.0mm
0.1mm単位で調整可
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0.1 ~ 4.0mm
0.1mm単位で調整可
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0.3 ~ 1.8mm
0.2mm単位で調整可
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キーストローク | 4.0mm | 4.0mm | 4.0mm | 4.0mm | 1.9mm |
Rapid Trigger | 対応 0.15 ~ 2.35mm | 対応 0.2mm | 対応 0.1 ~ 2.5mm | 対応 | 対応予定 |
キースイッチ | Lekker Switch | Magnetic Switch | 東プレスイッチ | OmniPoint | ZENAIM KEY SWITCH |
スイッチ特性 | 磁気 / リニア | 磁気 / リニア | 静電容量 / ソフトタクタイル | 磁気 / リニア | 磁気 / リニア |
押下圧 | 40cN – 60cN | 35gf – 55~60gf | 45g / 30g | 45cN | 50g |
ポーリングレート | 1000Hz | 1000Hz | 1000Hz | 1000Hz | 1000Hz |
商品リンク |
Rapid Trigger対応ゲーミングキーボード Q&A
- Q. Rapid Triggerによる違いは体感できる?
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Rapid Triggerによる違いはすぐに体感できます。キーを離した瞬間にオフになり、再度押し込んだ瞬間にオンになるので、より直感的なキー操作が可能になります。
- Q. 価格が安いRapid Trigger対応キーボードは?
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最も価格が安いRapid Trigger対応ゲーミングキーボードはDrunkDeer A75です。
- Q. すぐ届くRapid Trigger対応キーボードは?
-
最も届くのが速いRapid Trigger対応ゲーミングキーボードについて、本来はREALFORCE GX1やZENAIM Keyboardが手元に届くまでの期間が短いですが、どちらも十分に在庫が確保されていない状況が続いています。
DrunkDeer A75は海外から発送される商品ですが、発送から1週間ほどで到着します。
- Q. 最も性能が高いRapid Triggerは?
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- 公称スペックで最も性能に優れるのはWooting 60 HEとREALFORCE GX1
- 実際の使用感としてはDrunkDeer A75も大差ない
筆者はこれまでWooting 60 HEを1年以上使い続けてきました。流石に1年も経つのでRapid Trigger 0.15ミリの挙動には慣れ切っていると自負していますが、試しにRapid Trigger 0.2ミリのDrunkDeer A75や0.1ミリのREALFORCE GX1を使ってもそこまで差はないように感じました。VALORANTで普段通りにプレイしていてもほとんどのシーンで初弾が真っすぐ飛びます。
現在、Rapid Trigger機能は0.2ミリや0.1ミリといった非常に細かな数値の差を争っている状況です。0.1ミリといえば、コピー用紙1枚分の厚みです。その僅かな違いを人間が体感できるかはともかく、キーが揺れたり斜めに傾いたりする以上、キーを押し込む角度が異なることで生まれる若干の差がノイズとなって完全な優劣を決めることができないのではないかと考えています。
ZENAIM Keyboardがアップデートで実装予定のRapid Trigger機能「MOTION HACK」は公称値0.05mmでの動作に対応するとのこと。ZENAIM Keyboardはそのコストの大部分をキースイッチとセンサーに投じた製品で、入力を検知する精度に期待が持てるため、非常に細かな性能差を突き詰めたいという方は様子見でも良さそうです。
※公称値ベースでは0.1ミリを謳っているREALFORCE GX1が最も優れているように見えますが、小数点第二位の数値が開示されていない以上は前後する可能性もあるため、Wooting 60 HEとREALFORCE GX1は同列としてお話しています。
- Q. Rapid Triggerを最も細かく調整できるのは?
-
REALFORCE GX1はRapid Triggerを最短0.1ミリに設定可能です。また、アップストロークとダウンストロークの長さをそれぞれ個別に設定できます。
また、Rapid Triggerを有効化しているキーにそれぞれの異なる数値を設定できます。例えばWASDキーはアクチュエーションポイントもRapid Triggerも0.1ミリ、数字の1~3キーはアクチュエーションポイントを0.8ミリにしてRapid Triggerは0.2ミリ、Spaceバーはアクチュエーションポイント2.0mmでRapid Triggerはオフ、といった変則的な設定が行えます。
Rapid Trigger対応ゲーミングキーボード3選

キー配列 | ANSI | サイズ | 75% |
---|---|---|---|
アクチュエーションポイント | 0.4 ~ 3.6mm | キーストローク | 4.0mm |
Rapid Trigger | 対応 0.2mm | 機能名称 | Rapid Trigger |
キースイッチ | Magnestic Switch | スイッチ特性 | 磁気 / リニア |
押下圧 | 35gf – 55~60gf | ポーリングレート | 1000Hz |
利便性の高い英語配列の75%キーボード
DrunkDeer A75は人気が高い英語配列の75%レイアウトを採用しています。F1~F12キーや矢印キーは搭載されていながら、テンキーレスキーボードよりもわずかにコンパクトです。
右上にはボリューム調整ノブが搭載されています。
Rapid Triggerは数値的には劣るが大差ない
DrunkDeer A75はアクチュエーションポイントを0.4 ~ 3.6mmの間で調整でき、Rapid Triggerは0.2ミリで動作します。Rapid Triggerを有効化するキーとそうでないキーを区別できます。
競合製品と比較すると、Wooting 60 HEは最短0.15ミリ、REALFORCE GX1は最短0.1ミリを謳っており、0.05ミリ~0.1ミリの差があります。0.1ミリといえばコピー用紙1枚分の厚さです。
筆者はWooting 60 HEを2022年8月に購入して1年以上使用していますが、DrunkDeer A75に乗り換えて、Rapid Triggerの追従性に差を感じたかと言われると、正直あまり感じなかったのが本音です。
明確な違いがあるなら、いつもの感覚でキーを離して銃を撃ったときにストッピングが不十分で初弾を真っすぐ飛ばせなかったりするはずですが、そんなこともありません。
強いて言うなら、タップ撃ちしながら左右に切り返したり、ジャンプピークやジグルピークなどの細かい操作時は、キー入力のオンオフの精度・追従性の面でほんのわずかな差を感じます。
細かな性能差ではなくRapid Triggerの有無を重視する場合、あるいは費用対効果や手元に届くまでの日数を重視するのであれば、DrunkDeer A75はかなり魅力的な選択肢となります。
安価で入手可能かつ到着も比較的速い
公式サイトで15%OFFクーポンコード mioni を適用した場合の価格は以下の通りです。
* 2023/8/18執筆時点でのレート(1ドル145.50円)で計算した送料込みの価格を記載しています。
- キーキャップ無し ベアボーンキット ¥16,294 ($101.99 + $10)
- ABSキーキャップ付属 通常キット ¥17,530 ($110.49 + $10)
- PBTキーキャップ付属 上位キット ¥18,767 ($118.99 + $10)
キーキャップの有無にかかわらず、どの条件でも2万円を切ります。Rapid Trigger対応のゲーミングキーボードを価格重視で選びたい方にとっての最有力候補となります。
DrunkDeer A75は海外から発送される商品ですが、発送から約1週間で届きます。到着までの期間が比較的短いので、早く手元に届いてほしいという方にもお勧めです。

キー配列 | ANSI / ISO | サイズ | 60% |
---|---|---|---|
アクチュエーションポイント |
0.1 ~ 4.0mm
0.1mm単位で調整可
|
キーストローク | 4.0mm |
Rapid Trigger | 対応 0.15 ~ 2.35mm | 機能名称 | Rapid Trigger |
キースイッチ | Lekker Switch | スイッチ特性 | 磁気 / リニア |
押下圧 | 40cN – 60cN | ポーリングレート | 1000Hz |
元祖Rapid Trigger搭載ゲーミングキーボード
Wooting 60 HEのRapid Triggerは最短0.15ミリで動作します。かつては0.1ミリと表記されていましたが、より正確な数値を伝えるべく小数点第二位が付け加えられたという経緯があります。Wootingのこういった正直な姿勢には好感が持てます。
Rapid Triggerを有効化したいキーとそうでないキーを区別できるほか、先日のアップデートでアップストロークとダウンストロークの長さをそれぞれ個別に設定できるようになりました。
コンパクトな60%でキー不足の対策も
Wooting 60 HEはF1~F12キーや矢印キーが省略された60%レイアウトのゲーミングキーボードです。とにかくコンパクトなのはメリットですが、キー数が少ないというデメリットも抱えています。
このキーボードはそんなキー不足を解消すべく、1つのキーに2種類の割り当てが行えるMod Tapという機能を搭載しています。例えば矢印キーが欲しい場合、右のCtrlキーに対して、短く押したときは矢印の→キー、長押ししたときは右Ctrlのように割り当てることができます。
カスタマイズ性に優れている
これは筆者のWooting 60 HEです。互換性のある60%ケースに換装することで見た目のフルカスタマイズが可能なのがWooting 60 HEの魅力です。キーキャップやケーブルだけではありません。
ただしカスタマイズ費用はパーツにこだわると2~3万円以上掛かります。筆者のカスタマイズ構成は総額28,000円ほど。カスタマイズまで楽しみたい場合はある程度の予算が必要になります。
ルブやテープMODなどをはじめとする打鍵感や打鍵音を向上させるカスタマイズも盛んに行われています。もちろんそのまま使っても機能自体は何ら変わりませんが、気分を上げたり快適に使用するためにひと手間加えたいという人にはWooting 60 HEが合うのではないかと思います。
送料と関税が掛かり納期も遅い
商品の注文から到着までに1ヵ月~2ヵ月待ちの状況が続いています。Rapid Trigger搭載キーボードを早く使い始めたいと考えているなら避けた方がいいでしょう。
また、Wooting 60 HE自体は¥25,300で販売されていますが、そこにFedExの送料¥4,100と関税を含めると¥30,000を超えるので注意が必要です。購入にはより多くの予算が必要となります。

キー配列 | JIS / ANSI | サイズ | TKL |
---|---|---|---|
アクチュエーションポイント |
0.1 ~ 3.0mm
0.1mm単位で調整可
|
キーストローク | 4.0mm |
Rapid Trigger | 対応 0.1 ~ 2.5mm | 機能名称 | Dynamic Mode |
キースイッチ | 東プレスイッチ | スイッチ特性 | 静電容量 / ソフトタクタイル |
押下圧 | 2種類から選択可 45g / 30g | ポーリングレート | 1000Hz |
Rapid Trigger関連の設定が充実
REALFORCE GX1のRapid Triggerは最短0.1ミリで動作します。また、アップストロークとダウンストロークの長さをそれぞれ個別に設定できます。
また、それぞれのキーに異なる数値を設定できます。例えば、WASDキーはアクチュエーションポイントもRapid Triggerも0.1ミリ、数字の1~3キーはアクチュエーションポイントを0.8ミリにしてRapid Triggerは0.2ミリ、Spaceバーはアクチュエーションポイント2.0mmでRapid Triggerはオフ、といった変則的な設定も可能です。とにかく細かく調整したいならREALFORCE GX1が合うと思います。
独特なキータッチ
REALFORCE GX1は東プレ独自の静電容量無接点キースイッチを搭載した国産キーボードです。キー荷重を35gと45gから選択できますが、どちらもメカニカルスイッチや磁気スイッチとは違った、柔らかいキータッチを特長としています。押し始めが軽くて跳ね返りも弱いです。
キースイッチの特性としてソフトタクタイルを謳っていますが、押下圧30gモデルはタクタイル感がほとんどありません。とにかくキーが軽いので注意が必要です。キー荷重が軽いスイッチに慣れている方や、常に脱力してキー入力を行う方に適しています。
押下圧45gモデルのキー荷重は一般的なゲーミングキーボードに近いです。柔らかくて大きめのタクタイル感があり、キーを押し込むとタクタイル感とともに一気に底の付近まで降りていきます。キーを押した感触が欲しい方に適しています。
Wooting 60 HEやDrunkDeer A75が搭載している磁気キースイッチは一般的なメカニカルキーボードに打鍵感が近いこともあって親しまれています。それらから静電容量無接点スイッチを搭載したREALFORCE GX1に乗り換える場合、それなりの期間をかけて慣れる必要があるかと思います。
ゲーミングキーボードのティアーリストを見る
ゲーミングキーボードのティアーリストはこちらのページで見れます。
最後に
今回はRapid Trigger機能を搭載したゲーミングキーボードを紹介しました。この記事がキーボード選びの少しの助けになれば嬉しいです。より詳細なレビューを読みたい方は新メディア Gear MetriX をチェックしてください。
また、筆者はゲーミングデバイス データベースも作成中なので、よければ目を通してみてください。