おすすめRapid Triggerゲーミングキーボード 2024年1月版
おすすめのRapid Trigger対応ゲーミングキーボードを紹介します。市場に出回っているほぼ全てのRapid Trigger対応ゲーミングキーボードを実際に試し、本当におすすめできる機種を厳選しました。
Rapid Triggerとは
Rapid Triggerは簡単に言うとキーのオンオフが高速化する機能です。
従来のキースイッチはキーの入力がオンオフされる深さがあらかじめ決まっていました。
たとえばCherry MX 赤軸の場合、こうなります。
- キーをオンにするのに2ミリ押す必要がある
- キーを一番底まで押した状態からオフにするのにも2ミリくらい戻す必要がある
これが、Rapid Trigger対応ゲーミングキーボードでアクチュエーションポイントとRapid Triggerの数値を0.1ミリに設定した場合、こうなります。
- キーをオンにするのに0.1ミリしか押さなくていい
- キーをどこまで押していても0.1ミリ戻せばオフになる
- 再び0.1ミリでも押すと、またオンになる
これはWooting公式サイトで公開されているRapid Triggerの挙動を示したGIFです。
左側で示されている普通のメカニカルキーボードの場合、決められた深さまでキーを押したら入力がオンに、再び決められた深さまでキーを戻すとオフになっていることが分かります。
Wooting 60 HEのようなRapid Trigger機能を搭載しているキーボードの場合、キーをどの深さまで押していても少し戻しただけで入力がオフに、再び少しでも押すとオンになります。
Rapid Triggerのメリット
Rapid Triggerによって得られる具体的なメリットは以下の通りです。
- キーを離した瞬間にオフになるので、VALORANTでキーを離してストッピングするのが高速化
- キーのオンオフが敏感になるので、素早く正確なコマンド入力が求められる格闘ゲームで有利
Rapid Triggerのデメリット
特になし。強いて言うなら製品のファームウェア*1次第で性能に差が出ることくらいですが、あらかじめ性能の良し悪しを把握したうえで製品を選べばまったく問題無いです。
*1 ファームウェアとはキーボード本体を制御しているプログラムのこと。設定を変えられる”ソフトウェア”とは別。
機種によってどんな性能差があるのか
Rapid Triggerキーボードは機種によって精度や動作の安定性にそれなりに差があります。
各社が公表している数値は実際にはその限りではありません。たとえばRapid Triggerの最小値0.1mmを謳っていても、常に0.1mmでオンオフされるわけではありません。
もしも性能を重視して選びたいなら、メーカーが公表するスペックだけで判断するのは危険です。
Rapid Triggerにはデッドゾーンという用語があります。
大半のRapid Triggerキーボードには、キーを一番深く押し込んだ状態から戻すとき、Rapid Triggerの入力オフの判定が行われない距離が存在します。
筆者が試したRapid Triggerキーボードの中には、Rapid Triggerの最小値が0.1mmでもデッドゾーンが約0.6mmあり、キーを約0.7mm戻さないと入力がオフにならないものもありました。
デッドゾーンが長ければ長いほどVALORANTのストッピングが高速化するという恩恵が薄れてしまいます。せっかくならデッドゾーンが短い機種を選びたいところです。
しかし、ごく一部の製品を除いて、このデッドゾーンの有無やその数値は明かされていません。
この記事ではRapid Triggerキーボード15種類以上を実際に使用したうえで評価しています。
この話は、細かな性能差を気にしないという人は無視してもらって大丈夫です。
Rapid Triggerさえ付いていれば普通のメカニカルキーボードよりもはるかに高速になります。細かな性能差が気にならない人にとって、Rapid Triggerキーボード同士の性能差は微々たるものです(よほど酷くなければ)。
またRapid Triggerキーボードはファームウェアアップデートが盛んで、購入後も本体をアップデートするだけで性能の向上や機能の追加、バグの改善などが行われる場合もあります。
Rapid Trigger対応ゲーミングキーボード Q&A
- Q. Rapid Triggerは違いを体感できる機能?
-
Rapid Triggerキーボードと普通のメカニカルキーボードの違いはすぐに体感できます。普通のメカニカルキーボードとは入力がオンオフされるまでのストロークの長さに大きな違いがあります。
- Rapid Trigger対応キーボードでは、最短0.1mm(設定値による)でもキーを離したらすぐに入力がオフになり、再びキーを押すとすぐに入力がオンになる
- Cherry MX銀軸搭載キーボードでは、キーを1.2mm押すと入力がオンになり、最も深く押し込んだ状態からキーを約2mm戻すと入力がオフになる
上記の1mmや2mmの差によって鈍感な人でも気付けるくらいに大きな違いが生まれます。
- Q. 価格が安いRapid Trigger対応キーボードは?
-
価格が安いRapid Trigger対応キーボードは以下の通りです。
- DrunkDeer A75 / DrunkDeer G65
- VXE ATK68
- Q. すぐ届くRapid Trigger対応キーボードは?
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Amazon.co.jpのプライム発送(最短翌日到着)に対応しているRapid Trigger対応キーボードは以下の通りです。
- Razer Huntsman V3 Pro
- DrunkDeer A75 / G65
- Q. Rapid Triggerの精度や安定性に優れているのは?
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- Razer Huntsman V3 Pro
- Wooting 60 HE
- VXE ATK68
- ZENAIM KEYBOARD
- Meletrix Boog75
- Q. Rapid Triggerを最も細かく調整できるのは?
-
ZENAIM KEYBOARDはアクチュエーションポイントとRapid Triggerのどちらも最短0.1mm、さらには0.05mm単位で細かく調整できます。
- Q. 打鍵感に最も優れているのは?
-
Meletrix Boog75が頭一つ抜けています。
おすすめRapid Trigger対応ゲーミングキーボード
Rapid Trigger対応ゲーミングキーボードのおすすめ機種とそれぞれの特長について解説します。より詳しく知りたい方は説明文の下に設置してあるリンクからレビュー記事や動画をご覧ください。
Razer Huntsman V3 Pro
キー配列 | 日本語配列 / 英語配列 |
---|---|
サイズ | Full / TKL / 60% |
アクチュエーションポイント | 0.1 ~ 4.0mm |
キーストローク | 4.0mm |
Rapid Trigger |
対応 0.1mm~
(0.1mm単位で調整可能)
|
機能名称 | Rapid Trigger |
キースイッチ | Razer Analog Optical Switch |
スイッチ特性 | 光学 / リニア |
押下圧 | 40g |
ポーリングレート | 1000Hz |
高性能かつバリエーションが豊富
日本語配列も選べるので英語配列だと使いづらいという人も安心です。フルサイズとテンキーレス、60%という主要なサイズが揃っているのも魅力。とにかくバリエーションが豊富です。
キー入力のオンオフの精度と動作の安定性が高く、とても安心して使用することができる機種です。
Rapid Triggerキーボードには磁気式キースイッチが使われるのが一般的ですが、Razer Huntsman V3 Proシリーズにはアナログ光学式キースイッチというものが搭載されています。
他の機種とはキー入力のオンオフを検知する仕組みが異なるということです。現状この仕組みで他のRapid Triggerキーボードと競えるような製品を作っているのはRazerだけです。
最も価格が安いのは60%の日本語配列モデルで、キー数が増えるにつれて価格も上昇します。
キー配列 | 英語配列 | サイズ | 65% |
---|---|---|---|
アクチュエーションポイント |
0.1 ~ 4.0mm
0.1mm単位で調整可
|
キーストローク | 4.0mm |
Rapid Trigger | 対応 0.1mm ~ | 機能名称 | Rapid Trigger |
キースイッチ | Gateron 2.0 | スイッチ特性 | 磁気式 / リニア |
押下圧 | 30g | ポーリングレート | 1000Hz |
現状最もコスパに優れている
VXE(VGN)は日本国内ではあまり知られていませんが、中国では絶大な人気を誇るメーカーです。良い意味で価格に見合っていない、非常にコストパフォーマンスの高い製品を展開しています。
Rapid Triggerの精度を含めたゲームでの性能面はトップクラスです。デッドゾーンを詰めすぎるあまりにキーの入力が途切れるバグが発生したこともありましたが解決済み。VXEは高頻度でファームウェアアップデートを実施するためバグ修正も迅速に行われます。
性能だけでなく打鍵感にも優れています。正直言って2万円以下でこれが入手できてしまうのは驚き。とりあえず65%の英語配列キーボードならこれを選んでおいて損はないでしょう。
キー配列 | ANSI / ISO | サイズ | 60% |
---|---|---|---|
アクチュエーションポイント |
0.1 ~ 4.0mm
0.1mm単位で調整可
|
キーストローク | 4.0mm |
Rapid Trigger | 対応 0.15 ~ 2.35mm | 機能名称 | Rapid Trigger |
キースイッチ | Lekker Switch | スイッチ特性 | 磁気 / リニア |
押下圧 | 40cN – 60cN | ポーリングレート | 1000Hz |
世界初のRapid Triggerキーボード
Rapid Triggerの生みの親。コンパクトな英語配列の60%キーボードです。
Wootingは開発陣がとても優秀な印象を受けます。Rapid Triggerの精度や動作の安定性が高く、ソフトウェアの設定も充実しています。普段使いのキーボードとしてのポテンシャルも非常に高いです。
このキーボードの最大の特長は、ケースを含めたフルカスタマイズが可能なことです。互換性があるパーツを買い揃えれば、完全にオリジナルの見た目に変えることができます。
Wooting 60 HEは有名なこともあり、打鍵感や打鍵音を向上させるMOD(改造)に関する情報がネット上にたくさん転がっているので、初心者の方でもカスタマイズに手を出しやすいのも強みです。
キー配列 | JIS | サイズ | TKL |
---|---|---|---|
アクチュエーションポイント | 0.1 ~ 1.8mm | キーストローク | 1.9mm |
Rapid Trigger |
対応 0.1~1.75mm
(0.05mm単位で調整可能)
|
機能名称 | MOTION HACK |
キースイッチ | ZENAIM KEYSWITCH | スイッチ特性 | 磁気 / リニア |
押下圧 | 50g | ポーリングレート | 1000Hz |
性能特化のハイエンドキーボード
ほとんどのRapid Triggerキーボードは製造メーカーから卸した磁気式キースイッチを使用していますが、ZENAIM KEYBOARDは自社開発した磁気式キースイッチを使用しています。
その名もZENAIM KEYSWITCHです。主な特長はロープロファイル(背が低い設計)であることとキーストロークが約1.9mmと非常に短いこと。普通のスイッチの約半分しか押し込めません。
さらにアクチュエーションポイントとRapid Triggerは最小値0.1mmで、0.05mm単位で調整可能です。現状キー入力のオンオフの深さを最も細かく調整できるのはこのキーボードです。
動作の安定性にも優れています。磁気式キースイッチは部屋が寒いとキーの感度が上がるなど、周囲の温度の影響を受けてしまいます。ZENAIM KEYBOARDはそれを防ぐために温度を検知するセンサーを搭載し、動作不良を起こさないようにキャリブレーションする機能が実装されています。
とにかく性能を追求したい人向け。とても高価ですが価格に見合った価値はあるので予算が許すなら候補に入れてください。
キー配列 | 英語配列 | サイズ | 75% |
---|---|---|---|
アクチュエーションポイント |
0.1 ~ 4.0mm
0.1mm単位で調整可
|
キーストローク | 4.0mm |
Rapid Trigger | 対応 0.1mm ~ | 機能名称 | Rapid Trigger |
キースイッチ | Gateron KS-37B | スイッチ特性 | 磁気 / リニア |
押下圧 | 30gf – 50gf | ポーリングレート | 1000Hz |
打鍵感の良さが頭一つ抜けている
他のRapid Triggerキーボードとは打鍵感が頭一つ抜けています。それなりの打鍵感では満足できない、キーを押したときの心地よさを妥協したくない人向けのハイエンドキーボードです。
総重量なんと約3kgのしっかりとした筐体が特長です。キーを強く叩いてもその衝撃が全くと言っていいほど机に届かず、ほぼすべて吸収されてしまいます。
キーを押したときに指に返ってくる感触がとても柔らかく、とにかく心地いいです。
Rapid Triggerの精度も高く、動作の安定性にも優れています。温度、湿度、磁気の違いによる異常動作を防止する自動キャリブレーション機能が搭載されており、安心して使用できます。
キー配列 | 日本語配列 | サイズ | 65% |
---|---|---|---|
アクチュエーションポイント | 0.1mm ~ | キーストローク | 4.0mm |
Rapid Trigger | 対応 0.1mm ~ | 機能名称 | – |
キースイッチ | RAESHA White | スイッチ特性 | 磁気 / リニア |
押下圧 | 35gf – 60gf | ポーリングレート | 1000Hz |
近々レビュー掲載予定。
キー配列 | ANSI | サイズ | 75% / 65% |
---|---|---|---|
アクチュエーションポイント | 0.2mm ~ | キーストローク | 4.0mm |
Rapid Trigger | 対応 0.1mm ~ | 機能名称 | Rapid Trigger |
キースイッチ | RAESHA White | スイッチ特性 | 磁気 / リニア |
押下圧 | 35gf – 60gf | ポーリングレート | 1000Hz |
価格が安くて入手性が高い
DrunkDeer A75 / G65は価格が安くて入手性が高いのが強みです。Amazon.co.jpで16,100~19,100円で購入でき、Amazonプライム配送なら最短当日に届きます。キーキャップ無しverが安い。
テンキーレスの幅が狭まったような75%レイアウトと、60%に矢印キーがくっついたような65%レイアウトという、あまり一般的ではないものの需要が高い2種類のサイズを展開しています。
アルミニウムケースが販売されているのでカスタマイズも可能です。G65とA75どちらもシルバーホワイトとスペースグレイの2色展開です。Apple製品っぽい質感で良い感じ。
トップクラスの性能を誇るキーボードと比べたとき、デッドゾーンはやや長めで、Rapid Triggerの精度は若干劣ります。そういった細かな性能差は気にしない人向け。
キー配列 | JIS / ANSI | サイズ | TKL |
---|---|---|---|
アクチュエーションポイント |
0.1 ~ 3.0mm
0.1mm単位で調整可
|
キーストローク | 4.0mm |
Rapid Trigger | 対応 0.1 ~ 2.5mm | 機能名称 | Dynamic Mode |
キースイッチ | 東プレスイッチ | スイッチ特性 | 静電容量 / ソフトタクタイル |
押下圧 | 2種類から選択可 45g / 30g | ポーリングレート | 1000Hz |
押し心地が柔らかくて静音仕様
REALFORCE GX1も他のRapid Triggerキーボードとは仕組みが異なり、静電容量無接点方式キースイッチというものを搭載しています。これは静電気によってキーの押し込み具合を検知します。
このスイッチはふにゃっと柔らかい押し心地が特長で、打鍵音もかなり静かです。
キー荷重を30gと45gから選べます。市販キーボードの中でも30gは非常に軽いので、とにかくキーが軽くて静かなものを探しているならGX1 30gモデルは有力候補となります。
45gモデルはキーを押し込む最中の弱めの引っ掛かりによって指に感触が伝わる仕様です。Rapid Triggerキーボードはキーが滑らかに降りるものばかりなので、これも珍しいポイントです。
トップ層と比べるとデッドゾーンはやや長め。また、ゆっくりとキーを上下させるとRapid Triggerの検知が鈍ります。ゲームプレイ中はあまり気になりませんが念のため。
ゲーミングキーボードのティアーリストを見る
以下のRapid Triggerキーボードのティアーリストは、Rapid Triggerの精度や動作の安定性を軸に評価したものです。機種間の細かな性能差も重視したい人は参考にしてみてください。
動画版:
テキスト版:
さいごに
おすすめのRapid Trigger対応ゲーミングキーボードを紹介しました。
- 高性能なモデルの中でも入手性が高いことを考えるとRazer Huntsman V3 Proが最も勧めやすい
- ELECOM VK600Aもそれに次いで勧めやすいがRapid Trigger関連の設定がやや乏しい
- DrunkDeerは入手性が高くて価格も安いがRapid Triggerの精度が若干劣るので、細かな性能差を気にしない人向け
- カスタマイズ性を重視するならWooting 60 HE
- コストパフォーマンスを重視するならVXE ATK68
- 静音性を重視するならREALFORCE GX1
- タイピングの心地よさを妥協したくないならMeletrix Boog75
- 性能の高さと動作の安定性を妥協したくないならZENAIM KEYBOARD
この記事の内容をまとめるとこのようになります。