キーボードの「キースイッチ(軸色)」について。それぞれの仕様、特徴、メーカーごとの違いを解説

メカニカルキースイッチを搭載するゲーミングキーボードの「軸色」ごとの特徴や、各メーカーで異なる「押下荷重」や「キーストローク」、「アクチュエーションポイント」などの仕様についてまとめました。

まず知っておくべき前提知識

メカニカルキースイッチとは、メカニカルキーボードにのみ搭載されているキースイッチのこと。キーボードのスイッチ(各キー)の構造にはいくつか種類があり、メカニカルキーボードはその構造の一つとなります。

メカニカルキースイッチには「軸色」というものが存在し、キーキャップを外した際のスイッチの色で確認することが可能です。軸色によってそれぞれ特徴が異なるので、打ち心地の選択肢が広がることが強みです。このことから、ゲーミングキーボードにはメカニカルキースイッチを搭載したメカニカルキーボードを用いるのが主流となっています。

軸色ごとのざっくりとした特徴は以下の通りです。

青軸
キーの軽さ: ★★☆☆☆
音の大きさ: ★★★★★
スイッチ感: ★★★★★

茶軸
キーの軽さ: ★★★☆☆
音の大きさ: ★★★☆☆
スイッチ感: ★★★☆☆

赤軸
キーの軽さ: ★★★★☆
音の大きさ: ★☆☆☆☆
スイッチ感: ★☆☆☆☆

黒軸
キーの軽さ: ★☆☆☆☆
音の大きさ: ★☆☆☆☆
スイッチ感: ★☆☆☆☆

銀軸
キーの軽さ: ★★★★★
音の大きさ: ★☆☆☆☆
スイッチ感: ★☆☆☆☆

メカニカルキースイッチを製造するメーカーは数多くありますが、主要メーカーとしては「Cherry MX」「Kaihua」が挙げられます。またゲーミングデバイスメーカーが直接的に設計・開発にかかわる独自開発系のキースイッチも存在します。(例:LogicoolのRomer-Gなど)

各メカニカルキースイッチの仕様

以下では各メカニカルキースイッチの仕様をメーカー毎に記載しています。同じ軸色でもメーカーによって仕様が異なるので、具体的な数値をまとめています。キースイッチによっては各仕様を調整することが可能で、調整可能な域を±で表記しています。

  • 押下荷重(g):キーを押し込むのに必要な力
  • アクチュエーションポイント(mm):キーをどれだけ押し込めば入力されるか
  • キーストローク(mm):キーを最大まで押し込んだときの距離
  • 動作寿命:キースイッチが何回の入力まで耐えられるか
  • 特徴:キーを押し込んだ際の打鍵音の大小、スイッチ感の強弱

Cherry MX製

Cherry MXは数十年の歴史があり、メカニカルキースイッチにおいて最も有名かつ信頼を置かれているブランドと言えるでしょう。パフォーマンス、耐久性、快適性の全てを兼ね備えたクオリティの高いキースイッチです。

全てのキースイッチの基準とされています。

Cherry MX Blue

キーを押したときに鳴る「カチカチ」というクリック音が特徴的なキースイッチです。どのキーを何回入力したのかを把握しやすく、ゲームプレイ中の操作ミスを抑えられる効果が期待できます。

  • 押下荷重:50g
  • アクチュエーションポイント:2.2mm
  • キーストローク:4mm
  • 動作寿命:5,000万回
  • 特徴:打鍵音大きめ、クリック感強め

Cherry MX Brown

若干のクリック感と打鍵感をバランスよく得られます。Blue(青軸)とRed(赤軸)の中間に位置するキースイッチで、癖が少なめ。個人的には、初めてメカニカルキーボードを導入するという方にオススメです。

  • 押下荷重:45g
  • アクチュエーションポイント:2mm
  • キーストローク:4mm
  • 動作寿命:5,000万回
  • 特徴:

Cherry MX Red

軽いキータッチかつ、クリック感が無く打鍵音も少ないことから、スムーズなタイピングを行えます。擬音で表すと「カタカタ」や「パタパタ」といった打鍵音で、激しいキー操作時も滑らかなキーフィーリングを得られます。

  • 押下荷重:45g
  • アクチュエーションポイント:2mm
  • キーストローク:4mm
  • 動作寿命:5,000万回
  • 特徴:

Cherry MX Silent Red

もともと打鍵音が少ないRed(赤軸)に静音処理を施したモデルで、タイピング時も非常に静かなキースイッチです。メカニカルキーボードのそもそもの打鍵音が気になってしまう方には最適でしょう。

  • 押下荷重:45g
  • アクチュエーションポイント:1.9mm
  • キーストローク:3.7mm
  • 動作寿命:5,000万回
  • 特徴:

Cherry MX Black

クリック感と打鍵音はRed(赤軸)と同様に少なめですが、キーが重ために設計されたのがBlack(黒軸)キースイッチ。しっかりと押し込んだ感覚とともにタイピング音は抑えたいという方には最適です。

  • 押下荷重:60g
  • アクチュエーションポイント:2mm
  • キーストローク:4mm
  • 動作寿命:5,000万回
  • 特徴:

Cherry MX Silent Black

もともと打鍵音が少ないBlack(黒軸)に静音処理を施したモデルで、タイピング時も非常に静かなキースイッチです。メカニカルキーボードのそもそもの打鍵音が気になってしまう方には最適でしょう。

  • 押下荷重:60g
  • アクチュエーションポイント:1.9mm
  • キーストローク:3.7mm
  • 動作寿命:5,000万回
  • 特徴:

Cherry MX Speed Silver

アクチュエーションポイント(キーをどれくらい押し込めば反応するかを表す)が大幅に短縮されたことがSpeed Silver(銀軸)の特徴です。キー反応が数mm早いことは、一瞬を争うFPSやMOBAなどのジャンルで有利をもたらします。

  • 押下荷重:45g
  • アクチュエーションポイント:1.2mm
  • キーストローク:3.4mm
  • 動作寿命:5,000万回
  • 特徴:

Cherry MX Low Profile Red

低背モデルのLow Profile Redは、Red(赤軸)の特徴がそのまま受け継がれています。しかし、キースイッチ自体が大幅に薄いので、アクチュエーションポイントとキーストロークが大幅に短縮されています。

  • 押下荷重:45g
  • アクチュエーションポイント:1.2mm
  • キーストローク:3.2mm
  • 動作寿命:5,000万回
  • 特徴:打鍵音小さめ、クリック感少なめ

Cherry MX Low Profile Speed Silver

低背モデルのLow Profile Speed Silverは、Speed Silver(銀軸)の特徴がそのまま受け継がれています。しかし、キースイッチ自体が大幅に薄いので、アクチュエーションポイントとキーストロークが大幅に短縮されています。

  • 押下荷重:45g
  • アクチュエーションポイント:1.0mm
  • キーストローク:3.2mm
  • 動作寿命:5,000万回
  • 特徴:打鍵音小さめ、クリック感少なめ

Kaihua製

Kaihua製のメカニカルキースイッチであるKailh軸も、ゲーミングキーボードへの採用例が増えています。当初はCherry MXの下位互換のクローンであるという評価が目立ちましたが、続々と追加されるラインナップにおいて技術革新を重ねており、現在では高い評価を得ています。

基本的にCherry MXのキースイッチと比べて押下荷重がやや重ために調整されている印象を受けます。

Kailh Blue

  • 押下荷重:50±10g
  • アクチュエーションポイント:1.9±0.4mm
  • キーストローク:4mm
  • 動作寿命:7,000万回
  • 特徴:

Kailh Brown

  • 押下荷重:50±10g
  • アクチュエーションポイント:1.9±0.5mm
  • キーストローク:4mm
  • 動作寿命:7,000万回
  • 特徴:

Kailh Red

  • 押下荷重:50±10g
  • アクチュエーションポイント:1.9±0.5mm
  • キーストローク:4mm
  • 動作寿命:7,000万回
  • 特徴:

Kailh Black

  • 押下荷重:60±10g
  • アクチュエーションポイント:1.9±0.5mm
  • キーストローク:4mm
  • 動作寿命:7,000万回
  • 特徴:

Kailh Speed Silver

  • 押下荷重:40±10g
  • アクチュエーションポイント:1.1±0.3mm
  • キーストローク:3.5mm
  • 動作寿命:7,000万回
  • 特徴:

Kailh Low Profile Blue

  • 押下荷重:60±10g
  • アクチュエーションポイント:1.5±0.5mm
  • キーストローク:3±0.5mm
  • 動作寿命:5,000万回
  • 特徴:

Logicool (独自開発)

Logicool(海外ではLogitech)が自社製品のために2012年からキースイッチの独自開発を進めていました。現時点では3種類のラインナップが用意されており、Logicool製のゲーミングキーボードに採用されています。

特にLogicool独自の仕様が見られるRomer-Gシリーズは、現行のメカニカルキースイッチが気に入らないという方は必見です。

Romer-G Tactile

スイッチ感と打鍵音ともにバランスの取れた仕様は、Brown(茶軸)に近いキースイッチ。Cherry MXやKailh製の通常キースイッチと比べて低背で、アクチュエーションポイントやキーストロークが短縮されています。

  • 押下荷重:45g
  • アクチュエーションポイント:1.5mm
  • キーストローク:3.2mm
  • 動作寿命:7,000万回
  • 特徴:打鍵音大きめ、クリック感弱め

Romer-G Linear

打鍵音が抑えられており、スイッチ感も少なめ。Red(赤軸)に寄せられたキースイッチです。こちらもCherry MXやKailh製の通常キースイッチと比べて低背で、アクチュエーションポイントやキーストロークが短縮されています。

  • 押下荷重:45g
  • アクチュエーションポイント:1.5mm
  • キーストローク:3.2mm
  • 動作寿命:7,000万回
  • 特徴:打鍵音小さめ、クリック感弱め

GX Blue

名称の通りBlue(青軸)で、打鍵時に「カチカチ」と打鍵音が鳴る、スイッチ感の強いモデルです。Romer-Gシリーズと比べると独自仕様は薄れ、Cherry MXを踏襲したような正統派なキースイッチとなっています。

  • 押下荷重:50g
  • アクチュエーションポイント:1.9mm
  • キーストローク:4.0mm
  • 動作寿命:7,000万回
  • 特徴:打鍵音大きめ、クリック感強め

Razer (独自開発)

Razerはゲーミングデバイスメーカーでいち早くメカニカルキースイッチのゲームへの可能性を見出し、世界初のメカニカルゲーミングキーボード「Razer BlackWidow」を世に放ちました。

その後、Razer独自のメカニカルキースイッチの開発に乗り出し、それぞれがゲームプレイへの最適化を果たしています。

Razer Green

Blue(青軸)のようにクリック感が強く「カチカチ」と打鍵音が鳴るキースイッチ。Cherry MX製と比べてアクチュエーションポイントがやや短縮されており、ゲームプレイに最適化しているのがRazerらしさ。

  • 押下荷重:50g
  • アクチュエーションポイント:1.9mm
  • キーストローク:4mm
  • 動作寿命:8,000万回
  • 特徴:

Razer Orange

クリック感と打鍵音ともに抑えられており、Red(赤軸)のような位置付け。こちらもCherry MX製と比べてアクチュエーションポイントがやや短縮されており、Razer独自の調整が行われているキースイッチです。

  • 押下荷重:45g
  • アクチュエーションポイント:1.9mm
  • キーストローク:4mm
  • 動作寿命:8,000万回
  • 特徴:

Razer Yellow

こちらはSilver Speed(銀軸)のような仕様で、他の軸色と比べてアクチュエーションポイントが大幅に短縮されていることが特徴です。少し押し込むだけでキーが反応するので、理論上では瞬間の判断が求められるFPSやMOBAに最適と言えるでしょう。

  • 押下荷重:45g
  • アクチュエーションポイント:1.2mm
  • キーストローク:3mm
  • 動作寿命:8,000万回
  • 特徴: