レビュアーが選ぶ、銀軸のゲーミングキーボード7製品+α【2019年最新】
ゲーミングキーボードにはメカニカルキースイッチを備えるものが多く、軸色ごとに異なる特性を持っています。その中でも、アクチュエーションポイント(キーを押し込んで反応するまでの距離)が最も短い「銀軸(Speed Silver軸)」は、キーが高速で反応するのが特徴です。
本稿では、そんな銀軸ゲーミングキーボードの選び方、おすすめの製品を紹介します。
この記事を書いているミオニ (@mionigg) は、ゲーミングデバイスレビュアーとして活動しています。レビュアーとしての知見を活かしながら可能な限り正確なコンテンツを制作しています。
銀軸ゲーミングキーボードの特徴
銀軸ゲーミングキーボードの特徴は、他の軸色よりもキーを押し込んでから反応するまでの距離(アクチュエーションポイント)が短いことです。赤軸は1.8mm前後、青軸は2mm前後キーを押し込むと反応しますが、銀軸は1.0~1.2mmです。
わずかな差かと思うかもしれませんが、あなたがわずかな反射神経の差で勝敗が決まるFPSやMOBAをはじめとした対人ゲームのプレイヤーならば、侮ってはいけないほどの大きな差と言えます。
一般的に、赤軸や青軸などのキースイッチを搭載するゲーミングキーボードよりもキー操作を素早く反映させられるため、ゲームプレイには有利と言われています。
銀軸ゲーミングキーボードのメリットは?
筆者の主観ですが、銀軸はゲームプレイに最も適したキースイッチだと思っています (念のために言っておくと、好みによって意見は分かれます)。
ゲーム内のキャラクターはマウスとキーボードを使って動かしますが、できれば自分の手や足のように瞬時に動かすのが理想です。つまり、「左に動きたい」と思った瞬間にキャラクターを左に動かせるような環境が欲しい訳です。
銀軸はキーの作動点が短いので、必ず反応までにわずかな差が生まれ、思い通りの操作をリアルタイムに反映させられます。とてもシビアな話ですが、銀軸には価値があります。
また、FPSやTPSにおけるホームポジションはWASDキーですが、それ以外のキー (1,2,3,Q,E,R,F,Z,X,Cキーなど) を斜めに押し込んだり弱めに押し込んでしまったとしても、問題無く反応してくれるのも強みです。
(ちなみに、単なるキー連打に適しているのは赤軸という話もあります。)
銀軸ゲーミングキーボードの選び方
銀軸ゲーミングキーボードを選ぶときのポイントを詳しく解説します。
1. どのサイズが最適か キー配列とキー数
主なキー配列は、日本語配列(JIS)、英語配列(US)の2種類です。おおまかな違いとしては、EnterキーやSpaceバー周辺などのキーの並び方が異なります。慣れている方を選べばOK。
またゲーミングキーボードでは、さまざまなキー数の製品があります。一般的なのはフルキーやテンキーレスですが、最近ではFnキーレスや60% (フルキーと比べて大体60%のキー数) の製品も出てきています。
ゲーム用途ならば使うキーは意外と限られています。マウスの操作スペースをできるだけ確保したい方は、テンキーレス以下の小さめサイズを選びましょう。(F1~F12が不要ならば60%オススメ。)
2. 打鍵感にかかわる 筐体の頑丈性
同じ「銀軸」ゲーミングキーボード同士でも、製品によって打鍵感は異なります。
なぜ違いが生まれるか? それはキースイッチのハウジング(キースイッチを覆う部分)の造りの違いだったり、キーボード内部に埋め込まれているプレートの頑丈性が大きく関わってきます。
最近では安価なメカニカルキーボードも増えていますが、それらの中にはお粗末な造りのせいでキースイッチ本来の打鍵感を殺してしまっているものまであります。
そんな現状で、筐体の頑丈性をウリにした製品も多く出てきていますが、その差も曖昧で分かりづらいものです。本稿で紹介する銀軸ゲーミングキーボードは、そのあたりも詳しく解説しています。
3. 同じ銀軸でも種類がある キースイッチどこ製?
銀軸の中にもいくつか種類があります。よく使われている銀軸キースイッチは、Cherry MX製のSpeed Silver、Kaihua製のKailh Speed Silverの2種類です。
さらに、ロープロファイルというキーストロークや作動点がさらに短縮された背の低いキースイッチもあります。こちらはCherry MX製のLow Profile Speed Silverが定番。
キースイッチの軸色ごとの特徴はおおまかに決まっていますが、メーカーによって数値は細かく異なります。搭載しているキースイッチごとに分けて紹介します。
おすすめの銀軸ゲーミングキーボード
Cherry MX Speed Silver 搭載モデル
アクチュエーションポイント:1.2mm
キーストローク:3.4mm
動作寿命:5,000万回
Cherry MX製キースイッチは定番中の定番です。迷ったらコレでOK。
1. 多機能な銀軸ゲーミングキーボード Corsair K70 RGB MK.2
「Corsair K70 RGB MK.2」は、フルキーに加えてメディアキーも備えた多機能なゲーミングキーボードです。本体カラーでキー配列が異なるので注意(ホワイトカラーのSEは英語配列)。
頑丈なアルミフレーム採用で、力強くキーを押し込んでも沈まず、銀軸の「カタカタ」というメカニカルらしい打鍵感を味わえます。キーキャップの揺れは指に馴染みやすい許容範囲です。
2. K70のテンキーレスモデル Corsair K65 RAPIDFIRE
「Corsair K65 RAPIDFIRE」は、上記で紹介したK70 RGB MK.2のテンキーレスモデルです。ゲームに10キーは使わないことがほとんどなので、省スペースを求める方はこちらを。
音量調節バーではなくボタンになっていることが主な変更点ですが、このシリーズの強みであるアルマイト加工のアルミフレーム筐体による頑丈な造りはそのままです。
3. Fnキーが撤廃された小型キーボード Ducky One 2 Mini RGB 60%
「Ducky One 2 Mini RGB 60%」は、各方面で話題になっているゲーミングキーボードです。本体カラーはブラック・ホワイトの2色展開なほか、銀軸以外のキースイッチもあります。
表面はプラスチック製ですが内部プレートの剛性が高いうえ、キースイッチのハウジングがよほどしっかりとしているのか、キーがほぼ揺れずにしっかりとした打鍵感を得られます。
4. 60%に矢印キーなどが加わった Ducky One 2 RGB SF 65%
「Ducky One 2 RGB SF 65%」は、60%モデルにDel, PgUp, PgDnキー、矢印キーが追加されたモデル。今のところ国内未発売で、近いうちに発売開始が予定されています。
言わずもがなキー数以外は60%モデルと同じ仕様なので、「サイズが小さいのは魅力的だけど矢印キーは必要だ」という方はこちらを。
5. Duckyのテンキーレスモデル Ducky One 2 RGB TKL 80%
「Ducky One 2 RGB TKL 80%」はテンキーレスモデル。こちらも60%とはキー数のみが異なり、本体カラーもブラック・ホワイトの2色展開です。
これまで普通のキーボードを使用していた方にとっては60%も65%も癖があるのは間違いないので、違和感なく扱えるテンキーレスキーボードは魅力的です。
Cherry MX Low Profile Speed Silver 搭載モデル
アクチュエーションポイント:1.0mm
キーストローク:3.2mm
動作寿命:5,000万回
ロープロファイル軸 (低背キースイッチともいう) は、普通のキースイッチと比べて背が低く、ストロークや作動点も短縮されています。より軽めな打ち心地を求める方にオススメ。
6. さらに反応が速いロープロファイル銀軸 Corsair K70 RGB MK.2 LOW PROFILE RAPIDFIRE
「Corsair K70 RGB MK.2 Low Profile RAPIDFIRE」は、基本的な仕様はK70 RGB MK.2と変わらず、唯一の違いはロープロファイル銀軸を搭載していること。キーの背が低いぶん、本体の厚みもこちらの方が薄いです。
より素早いキー反応速度を求めている方はコレ。
Kailh Speed Silver 搭載モデル
アクチュエーションポイント:1.1±0.3mm
キーストローク:3.5mm
動作寿命:7,000万回
Cherry MX製のSpeed軸と比べ、アクチュエーションポイントが0.1mm短いです。たった0.1mmと思うかもしれませんが、意外とCherry MX製と比較すると違いが分かります。
7. 作動点1.1mmのKailh銀軸搭載 HyperX Alloy FPS RGB
「HyperX Alloy FPS RGB」は、Cherry MX製の銀軸と比べてアクチュエーションポイントが0.1mm短い Kailh Speed Silverを搭載したゲーミングキーボードです。
キーボード本体には十分の強度がありますが、スイッチのハウジングにやや難あり。上記で紹介してきた製品と比べると、やや不快なカチャカチャ音が目立ちます。
※キーボードを静音化したい場合、キーキャップの裏側にゴムをはめ込むことで対応可能です。「静音化リング」という製品名で販売されているので、Alloy FPS RGBが気になる方は併せてチェックを。
番外編: とにかくキー反応が速いものが欲しい!
銀軸が気になっている方のほとんどは、キー反応が速い(=アクチュエーションポイントが短い)ことに価値を感じていると思います。そういった場合、銀軸以外の選択肢があります。
最近、磁気ホール効果センサーを用いたキースイッチを搭載したキーボードが続々と登場しています。それらのスイッチの特徴はアクチュエーションポイントを調整できること。
場合によっては銀軸よりも優れた選択肢となり得るので、以下にて紹介します。
8. 作動点を0.4~3.6mmで調整可能な SteelSeries Apex Pro
「SteelSeries Apex Pro」は、磁気ホール効果センサーを使用した独自開発キースイッチ OmniPoint を搭載しており、アクチュエーションポイントを0.4mm-3.6mm(0.3mm刻み)で調整できます。銀軸でも1.0~1.2mmですが、そこから更に短縮できます。
ただし懸念点は、キーストロークは変えられないこと。「キー自体は深く押し込めるままだけど最短0.4mmで反応するように設定できるよ」ということです。またリセットポイントは自動的にアクチュエーションポイントと同じになります。
日本語配列・英語配列の両方が発売されているので、好みに合わせて選択できます。
最後に
ゲーミングキーボードは戦績の向上に繋がりづらいデバイスではありますが、キャラクター操作を担うものなので、自分に合った製品を見つけるのは非常に重要です。
少ないように思える銀軸ゲーミングキーボードですが、キーキャップのハウジングやフレームの頑丈性に焦点を当てても、キー配列・キー数ともにそれなりの選択肢があります。好みの製品が見つかった方は是非チェックしてみてください。
以上、「キー反応が速い!銀軸ゲーミングキーボードのおすすめ7選+α」でした。