Durock Rock HE

Durockの磁気キースイッチ「Durock Rock HE」をレビューします。
Durock Rock HE Magnetic Switch スペック
Durock Rock HE Magnetic Switch レビュー
レビュー用サンプル提供: 遊舎工房
今回はDurock初の磁気キースイッチ「Durock Rock HE」をレビューします。もともとスタビライザーやメカニカルスイッチが有名なメーカーなだけに、磁気スイッチにも期待できそうですが、一体どうなのでしょうか。
基本仕様
Durock Rock HEの基本仕様は以下の通り。
Durock Rock HE | TTC KOM | Gateron Jade Pro | |
Initial force | 35g | 35±5gf | 36±5gf |
Bottom out force | 48g | – | – |
Total travel | 3.4mm | 3.5±0.2mm | 3.5±0.1mm |
押下圧、キーストロークともに主流スイッチと近しいです。
デザイン
透明のハウジングはトップ・ボトムともにPC製。白いボックスステムがPOM製となっています。RGBライティングが目立ちやすい仕様です。メーカーのロゴが無いのでスイッチの向きが少し分かりづらいです。
底部はほぼ完全に塞がっていますが、厳密には4つの小さな穴が空いています。 (TTC KOMやTTC POMにも同じ大きさの穴が2つ空いている)
軸ブレ
このスイッチの軸ブレは「極めて小さい」です。かっちりと造られており、押下前後でステムはほとんど揺れません。TTC KOMやTTC POMは「小さい」と評価しましたが、このスイッチはそれを上回る「極めて小さい」の評価となります。
軸ブレが小さいと誤作動は起こりにくくなります。ステムがほぼ垂直にしか動かないので、Rapid Trigger を 0.01mm未満に設定しても意図しないON/OFFが発生しにくいのが利点です。
ただし、軸ブレは打鍵感にも影響を与えます。このスイッチのように軸ブレが極小であれば、キーが真下にストンと降りるので、底つきを感じやすいです。押し方によっては指先に強い衝撃が返ってくることがあります。
「軸ブレが小さい=優れている」と結論づけるのではなく、スイッチ全体の特性を踏まえて総合的に評価することをおすすめします。
感触と音
中域が強いです。Gateron Jade Proよりも少し高く、TTC POMよりも少し深い音です。高音系とはいかず、少し低めではありますが、抜けのいいポップ音が鳴ります。個人的にはタイピングしていて楽しいと感じます。
TTC POMと比較して、
- 押下時の擦れる音が軽減されている
- 押し始めと終わりのカシャカシャ音が軽減されている
これらが合わさって音の抜けの良さが感じられます。耳の近くで押し比べると違いが明確に分かりますが、キーボードに取り付けた状態では他の要因も混ざるため、違いが薄れてしまいました。
また、感触についてはTTC KOMシリーズと似ており、真っ直ぐストンと落ちる、直線的でシャープな押し心地となっています。
高すぎず低すぎないピッチで、打鍵音がしっかりと鳴るスイッチを探しているなら、これがぴったりです。「TTC KOMやTTC POMの感触は好きだけど音が高すぎる」と感じている人にもおすすめです。
精度
公式サイトには「RT0.005mm安定」と記載されていますが、これはキーボードの種類によります。
「HM64Z」を用いてDurock Rock HEの精度を比較してみたところ、Rapid Trigger 最小0.01mmに設定しても問題なく動作し、キーを底打ちしたまま軸を揺らしても意図しない入力のON/OFFは発生しませんでした (設定はキーストローク3.4mm共通、手動キャリブレーションを実施)。
これは「Gateron Magnetic Jade / Jade Pro」や「Gateron Magnetic Jade Gaming」よりも小さく、「TTC King of Magnetic (TTC KOM)」や「TTC POM King of Magnetic (TTC POM)」とほぼ同じ値でした。Durock Rock HEの精度はとても高いと評価できます。
ただし注意点として、Rapid Triggerの設定値が 0.01mm や 0.012mm など極めて小さい場合、それらの差を体感するのは実質的に不可能です。このように設定値がわずかに変わっても、実使用に及ぼす影響は小さいです。
まとめ
「Durock Rock HE」について詳しく解説しました。
Gateron Jade Proよりも音が明るく、TTC POMよりは少し深め。高すぎず低すぎないピッチに調整されており、底打ちや跳ね返りの際には弾けるような音が鳴離ます。中域のしっかりとした打鍵音がほしい人に適しています。
軸ブレは極めて小さく、TTC KOMシリーズよりもわずかに抑えられていました。また、精度に関してもTTC KOMシリーズやGateron Jadeシリーズよりわずかに優れています。軸ブレの小ささや精度を重視する人にはとても良い選択肢になると思います。
簡単にいえば「音が低くなったTTC KOM」と表現できるスイッチ。さらに、透明ハウジングなのでRGBライティングが目立ちやすく、透明や半透明のケースやキーキャップとの組み合わせにも適しています。
※単体レビューでは後発製品の情報が反映されていません。相対的な評価や推奨度を知りたい場合はデータベースを参照してください。
Durock Rock HE Magnetic Switch ギャラリー








