「Dream Machines DM5 Blink」レビュー。流行りの仕様を取り入れた安価なBasiliskクローン
本稿では、Dream Machinesのゲーミングマウス「Dream Machines DM5 Blink」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: ふもっふのおみせ
製品仕様と外観
メーカー名を聞き慣れていない方のために説明すると、Dream Machinesは過去に、DM1 FPSというSteelSeries Senseiの軽量クローンを発売しています。そして今回レビューする「Dream Machines DM5 Blink」はRazer Basiliskのクローン機。
つまりクローンマウスを主に扱うメーカーですが、最新センサーを積んだりメインスイッチにこだわりつつ、全体的に安価な価格設定をしてくるのが特徴です。”クローン元の形状が好みならばまず選択肢に挙がる”メーカー(DM5 Blinkも5,000円台)と言えます。詳しく見ていきます。
DM5 Blinkは計8ボタンを備える左右非対称型ゲーミングマウス。サイズは幅66 全長125 高さ42mmと中型です。Basiliskにはあった左サイドのスカート部は撤廃されているものの、親指の収まりが良い形状となっています。
表面コーティングは、前面がマット、両サイドの網目の部分がラバーグリップです。サイドの防滑性能はそこまで高くなく感触も独特なので、好みが分かれそうな部分ではあります。
本体形状は、サイド左のハネの部分を取り除いたBasiliskクローン。全体的に背が高く、手の形に合わせて起伏が作られたエルゴノミクス形状です。
本家Basiliskは”FPS向けのエルゴノミクスマウス”を謳っていますが、DM5 Blinkもそのままの特性を受け継いでいると言っていいのではないでしょうか。
本体重量は公称値95g(ケーブルを除く)、ケーブルを浮かせた状態での実測値が100.2gでした。
DM5 Blinkは中型~大型のエルゴノミクス形状なので、この手のゲーミングマウスとしては一般的な重量です。
本体裏面には、ポーリングレートを250/500/1000Hzの3段階に切り替えられるスイッチ、LEDライティングのON/OFFスイッチが備わっています。
スペック
Dream Machines DM5 Blink 製品仕様 | |
形状 | 左右非対称型 |
表面素材 | マット / 両サイドラバーグリップ |
サイズ | 幅66 全長125 高さ42mm |
重量 | 95g (ケーブル除く) |
ボタン数 | 8つ |
センサー | PixArt PAW3389 |
DPI | 400~16,000DPI (100刻み) |
ポーリングレート | 250/500/1000Hz |
LoD | 1.3mm~ (実測値) |
スイッチ | Huano製 2,000万回耐久 |
ケーブル | 疑似パラコード |
ソフトウェア | 対応 |
価格 | 5,680円 (ふもっふのおみせ、本稿執筆時点) |
ギャラリー
パフォーマンス
持ち方の相性・操作感
本家はRazer製エルゴノミクスマウスなのである程度察しがつくでしょうが、DM5 Blinkは手に自然とフィットするよう設計された左右非対称形状です。本体幅がそこまで広くなく、平均的な手の大きさでも握り込みやすいサイズ感です。
左サイドは親指の配置スペースに沿って窪んでおり、浅めでも深めでもフィットします。
右サイドも先端付近で折り返すようにくびれており、かぶせ持ちでの薬指・小指の収まりの良さを助長しているように感じます。少なくとも、指の配置スペースに困るような窮屈な形状ではありません。
これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。
かぶせ持ち
かぶせ持ちは手が自然にフィットして相性抜群です。手のひら全体が密着しつつ、本体幅が広すぎないのでサイドの3本指でしっかりと握り込め、3点グリップで安定させられます。
強いて言うならば、手の横幅が広めな方だと、小指がマウスパッドに接地してしまう可能性アリ。
つかみ持ち
つかみ持ちも問題無し。DM5 Blinkは本体後部にそこまでボリュームが無いものの、手のひらを支えるだけの面積はあります。メインスイッチの位置が高めで、人差し指・中指の力が伝わりやすいように感じます。
ただ一つ、親指・薬指・小指をやや高めの位置に固定すると、サイドの網目が指のつま先と干渉します。とはいえ収まりの良いポイントは見つかりやすいです。筆者の場合は深めに握り込むのがベストでした。
つまみ持ち
つまみ持ちも相性良し。サイドの3本指の配置の自由度が高いので、浅め・深め問わず快適に持てます。本体後部はそこまで背が高くなく、指以外が本体と触れ合うこともありません。
結論として、DM5 Blinkは持ち方を問わず握りやすいという印象です。本体のサイズ感もちょうど良く、平均的な手のサイズからかけ離れていない限りは対応できそうです。
ボタン配置・クリック感
メインスイッチにはクリック2,000万回耐久のHuano製スイッチが採用されています。軽いクリック感と短いストローク、跳ね返りも十分。非常に押しやすいです。
サイドボタンは窪んでいるポイントの真上に配置されています。マウスを浅めに持つと奥側のボタンに届くか届かないか怪しいところ。
若干長めのストロークで誤爆しづらい、軽めのクリック感です。唯一気になるのは、奥側のボタンを押下時、スイッチが上側に寄っていき、メインスイッチ部のガワと触れてガタつくこと。作りが若干甘いです。
第3のサイドボタンDM Shotはトリガー状になっており、親指の奥側に配置されています。付属パーツにより2種類の長さを選べます。
不要ならば取り外しも可能。
念のため各パーツの重量を計測。それぞれ誤差レベルです。
ホイールはノッチ感弱めで、軽い力でコロコロと回るタイプ。よくホイール誤爆する方ならば少し注意が必要です。ホイールクリックは若干固めですが、押下時にガタつかず押しやすいです。
センサー挙動・リフトオフディスタンス
DM5 Blinkの搭載センサーはPixArt PMW3389です。初期DPIは400/800/2400/3200/4800/12000で、ソフトウェアから400~16,000DPIを100刻みで調整可能です。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSum)でセンサーの正確性を検証。DPIは400で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
- MouseTesterの見方について
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基本的には、波形に点が綺麗に沿っていれば、マウスのセンサーが正確なトラッキングを行えている、という認識で構いません。マウスを動かす速度が速いほど、波形が縦方向に長く生成されます。つまり、波形の折り返し地点は、マウスが最高速度に達したことを表します。
- 横軸 Time(ms):経過時間を表す、1000分の1秒
- 縦軸 xCounts:マウスの左右への移動量。右に動かすと波形が上方向に、左に動かすと波形が下方向に生成される。マウスを動かす速度が速くなるほど、縦方向に大きな波形が生成される。
例えば、「中間地点の波形に点が綺麗に沿っているが、折り返し地点でブレが生じている」という場合、基本的には正確にトラッキングできているが、マウスを動かす速度が速いと反応がブレる、といった見方となります。 しかし、折り返し地点のブレが毎回同じような傾向だった場合、「マウスを早く動かすとカーソルが毎回その動きをする」ということですので、カーソルの動きは安定しているということになります。そのような場合、マウスを早く動かすとカーソルの動きに癖が出るものの正常、といった認識で構いません。
xCount、xSumともに問題無し。センサー挙動は正確です。
マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。
マウスパッド「PureTrak Tallent」上で計測した結果、リフトオフディスタンスは1.3mmでした。十分に短いです。公称値は1.8mmでしたが実測値は短く出ました。
マウスソール
マウスソールは上部に横長のものが1枚、下部に2枚、センサー周囲に1枚。そこそこ滑ってそれなりに止まります。替えの1セットが付属しています。
端が加工されていないので、ややパッドへの引っ掛かりを感じます。また、初期状態ではソールの位置がズレている個体が多いようなので(筆者の個体もそう)、気になる方は付属ソールへの貼り替えを。
ケーブル
ケーブルには標準でシューレースケーブル(疑似パラコード)が備わっています。DM1 FPSと同等のもので、標準ケーブルとしては柔らかくて軽いです。
接地面から離れたところにケーブルの根本があるので、マウスパッドに擦れずに快適です。ケーブルの太さは約2.5mmと一般的なので、マウスバンジーで留めてあげると尚良し。
結論とターゲット
「Dream Machines DM5 Blink」についてまとめると、持ち方を問わずにフィットしやすい万能なRazer Basiliskのクローン形状。そこに挙動の良いセンサー、クリック感の良いメインスイッチ、柔らかいケーブルを備えながら、比較的安価で手に入るという好条件が揃ったゲーミングマウスです。
ただし、以前から指摘されている精度の低さは随所に見られます。少しだけガタつきのあるガワの造り、裏面のシールやソール類の位置ズレ、前述した奥側サイドボタン押下時のガワへの干渉などです。筆者の場合は実用に支障が出ないので気になりませんが、神経質な方は注意。
それらの精度の低さを許容でき、フィット感の強いエルゴノミクス形状が好みだという方は選択肢に入るゲーミングマウスだと言えます。LEDライティングが綺麗に発光するので、ライティングへのこだわりが強い方も是非チェックを。
以上、Dream Machinesのゲーミングマウス「Dream Machines DM5 Blink」のレビューでした。