「BenQ ZOWIE FK2-B DIVINA」レビュー。着実にアップデートされていく名機
本稿では、BenQ ZOWIEのゲーミングマウス「BenQ ZOWIE FK2-B DIVINA」のレビューをお届けします。
製品仕様と外観
ZOWIE FKは、Counter-StrikeのプロプレイヤーFilip “NEO” Kubski氏と共同開発されたモデル。頭文字を取ってFKシリーズと名付けられています。左右対称で全体的に平べったいのが特徴で、NEO選手いわく”つかみ持ち”を想定して設計されたものだそう。
そして今回レビューするFK2-Bは、センサーがPixArt PMW3360へ刷新された最新モデル。”DIVINA”とはZOWIE内のブランドで、ピンクや水色のパステルカラーを特徴としています。新製品はDIVINAの方がオリジナルよりも先に発売される傾向にあります。
『Counter-Strike: Global Offensive』のプロシーンでは絶大な人気を誇るZOWIE製ゲーミングマウスの中でも、このFKシリーズは外せないモデルなので要チェックのこと。早速見ていきましょう。
FKシリーズは、計5ボタンを備える左右対称ゲーミングマウス。小さい順にFK2, FK1, FK1+の3サイズを展開しており、それぞれの寸法は以下の通り。
- FK2:幅64 全長124 高さ36mm
- FK1:幅67 全長128 高さ37mm
- FK1+:幅68 全長128 高さ38mm
ピンク・ブルーの2色展開で、表面コーティングはいずれも光沢のあるグロス。DIVINA Editionではお馴染みとなっていますが、接地面積が少ないほど滑りやすく、指先のみでグリップすることが難しいです。通常版のままで良いような気が…。
形状を4方向からチェック。全体的に平べったく、両サイドのくびれは浅め。真横から見てもアーチを描いている訳ではなく、真ん中あたりにほぼ水平な部分が数センチあったりと、細部まで作り込まれていることが分かります。
本体重量の公称値はそれぞれ、FK2(小サイズ)が80g、FK1(中サイズ)が84g、FK1+(特大サイズ)が86gとなっています。レビュー機であるFK2の実測値は78.8gでした。
ちなみに公式サイトでは”特大サイズ”とされているFK1+ですが、実際はFK1と比べて幅と高さが1mm違うだけ。個人的には、中→特大とまで呼べるほど大きな違いは感じられないです。
センサーにはPixArt PMW3360を搭載しています。現行のセンサーで最も安定と言えるものです。またBenQ ZOWIEは、センサー等の内部的スペックに関わる部分において信頼性が高いです
FKシリーズを含むZOWIE製デバイスは全て、ソフトウェア不要のプラグアンドプレイ設計となっています。裏側のスイッチからポーリングレート切り替え(125/500/1000Hz)、DPI変更(400/800/1600/3200)が行えます。
スペック&ギャラリー
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BenQ ZOWIE FK2-B DIVINA 製品仕様 形状 左右対称型 表面素材 グロス サイズ 幅64 全長124 高さ36mm (3サイズ展開のうち、小サイズのFK2を記載) 重量 80g (ケーブルを除く) ボタン数 5 センサー PixArt PMW3360 DPI 400/800/1600/3200DPI ポーリングレート 125/500/1000Hz LoD 1.2mm~ (実測値) スイッチ – ケーブル ビニール製 ソフトウェア インストール不要 価格 9,799円 (Ark、本稿執筆時点) - 製品イメージをチェックする (開閉できます)
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パフォーマンス
持ち方の相性・操作感
ZOWIE FK2-Bは、全体的に平べったい左右対称ゲーミングマウス。本体後部はしっかりと幅が広がっており、手のひらを容易にホールドできます。また、指を立てても覆い被せても馴染むよう、メインボタン手前あたりの傾斜が作り込まれています。
背が低いとはいえ細部まで凝ったデザイン。個人的には、薬指と小指の配置がピタッと決まるサイドのシェイプも秀逸だと感じます。ちなみに今回は、3サイズ展開のFK-Bシリーズ内でも最も小さなモデル FK2-B を選択しているので注意すること。
これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。
かぶせ持ち
平べったい・左右対称… 悪い条件が揃っているように見えますが、実は悪くありません。先に薬指・小指を自然と置けるスペースを見つけておくことで、残りの指は違和感なくフィットします。
他の左右対称マウスと比べ、薬指・小指を自然と配置できます。無理に折り込む必要はありません。ただし筆者の手の大きさだとサイズが小さく、手首や指先が微かにマウスパッドへ接地します。
つかみ持ち
相性抜群です。本体後部と両サイドの形状が作り込まれており、手のひら・サイドの3本指が楽に配置できます。脱力し切った自然なフォームでもグリップ感は上々で、よく考えて設計されているなと。
筆者の手の大きさの場合、FK1・FK2のどちらにも適正があります。サイズ間で長さや幅は変わるため、同じ手の大きさでも細かな指の配置やAIMスタイルなどによって適切なモデルは分かれそうです。
つまみ持ち
形状的には適しているのですが、表面が滑ります。かぶせ持ちやつかみ持ちのように”面”で接しているときはグリップ感が保たれるのですが、指先だけで支えるのは難しいです。
DIVINA Editionは光沢のあるグロス、通常版はマットコーティングと、ラインごとに差別化を図っているよう。急な仕様変更が無い限りは、後にリリースされる可能性のある通常版では問題無いかと思います。
ボタン配置・クリック感
メインスイッチ
メインボタンは歯切れの良いクリック感。やや固めで短いストローク、適切な跳ね返りがあり連打しやすいです。
一体型ですが、ホイールやや手前まではほとんどクリック感が変わらないまま押し込めるため、全く問題無いと言っていいでしょう。
サイドボタン
サイドボタンは短いストロークで固め。「パキッ」と高めの詰まった音が鳴ります。最も窪んでいるところの真上に配置されており、奥側と手前側の両方に指が届きやすいです。
以前までのFKシリーズとは異なり、FK-Bからは右側のサイドボタンが撤廃されています。右利きのプレイヤーが圧倒的に多い中、握ったときに不要なボタンが干渉するという意見が以前から多かったです
ホイール
ホイールは光学式、これはZOWIE製マウスでは共通となっています。一般的なホイールならばノッチ感が得られる前に反応を起こしますが、このホイールは1ノッチぶん回転した時点でようやく反応します。
回し心地は柔らかく、ノッチごとの感覚がフニャっとしているため、ホイール周りを多用するゲームで正確に扱うには慣れが必要です。ホイールクリックは固めですが安定感アリ。
ゲームプレイ中のホイールの用途によっては、他社製マウスと比べて操作感が大きく変わってしまうため、好みが分かれるポイントと言えるでしょう
センサー性能
ZOWIE FK2-B DIVINAの搭載センサーはPixArt PMW3360です。裏側のDPI変更ボタンから400/800/1600/3200の4段階に切り替えられます。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサーの正確性を検証。DPIは400/800/1600/3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
MouseTesterで検証した結果。400DPI設定時、xCountsで波形から点が逸れている箇所を確認できますが、この程度は誤差の範囲だと言えます。
実際のゲームプレイでも検証しましたが、低速のトラッキングはもちろん、高速でフリックした際にも正確な反応を示しており、センサー挙動に関しては全く問題無いと言えます。
リフトオフディスタンス (LoD)
マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。
マウスパッド「PureTrak Tallent」上で計測した結果、ZOWIE FK2-Bのリフトオフディスタンスは1.2mm前後でした。従来のZOWIE製マウスとほとんど変わらない数値で、前機種から乗り換えても安定した操作が可能です。
マウスソール
マウスソールは大サイズが上下に2枚で、安定感があります。ソールの端は丸められているため、マウスパッドとの引っ掛かりもありません。こだわりが無い限りはそのまま快適に使えます。
交換用ソールが1セット付属しています。
ケーブル
ビニール製ケーブルは一定の取り回しづらさは感じますが、編組ケーブルよりはしなやか。
ケーブルの根元が上を向いているため、マウスバンジーで適切に浮かせることで、マウスパッドとの接地を避けられるだけでなく、操作時の抵抗感を抑えることができます
結論とターゲット
「BenQ ZOWIE FK2-B DIVINA」について詳しく見てきました。個人的な感想としてはグロスの表面が手汗で滑りやすく、これがマットならば★1つ上がるなと。ただ、通常版はマット、DIVINAはグロスという構図なので、一つのラインナップとして捉えるのが自然ですね。
前機種からの主な変更点は、ケーブルの根本が上向きになり、右側サイドボタンが撤廃、センサーがPixArt PMW3360に刷新されたこと。少しずつ改善されてはいますが、あえて突っ込むならばホイールにはテコ入れ無し。
多数のクローンを輩出するほどなので、形状に関しては間違いありません。左右対称を好むつかみ持ちユーザーが探求心で掴んでみるも良し、既存のZOWIE製マウスから性能のアップグレード目的で買い替えるのも良し。ただしマットコーティングが好みな場合は通常版を待つこと。
以上、BenQ ZOWIEのゲーミングマウス「BenQ ZOWIE FK2-B DIVINA」のレビューでした。