ゲーミングマウスは有線と無線のどっちを選ぶべき?比較してみた
この記事では、「有線マウスと無線(ワイヤレス)マウスはどちらを選べば良いの?」という疑問を解消すべく、それぞれのメリットとデメリットを解説しています。また、FPSをはじめとする競技性の高いゲームではどのような影響を及ぼすのかについても考察します。
有線マウスとは
有線マウスとは、PCやゲーム機本体にUSBケーブルで接続する方式のマウスのことです。接続したケーブルを通じて電力が供給され、動作するという仕組みです。
無線マウスとは
無線マウスにはケーブルがなく、Bluetoothや2.4GHzなどのワイヤレス規格で接続します。マウス本体に充電式バッテリーが搭載されているタイプと、電池で駆動するタイプがあります。
次に、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。
有線マウスのメリット
動作の安定性に優れている
有線マウスはPCやゲーム機本体にケーブルを直接繋ぐので、動作の安定性に優れています。
有線マウスが動作しなくなる原因は、USBポートから十分に電力が供給されていないか、マウスのケーブルが断線しているかです。2.4GHzワイヤレスやBluetooth接続とは違って電波による通信が発生しないため、基本的に動作が不安定になることはありません。
もちろん最近の無線ゲーミングマウスには、動作が極めて安定したものもあります。しかし機器自体は優れていたとしても、何らかの原因で電波干渉が発生するリスクは0ではありません。
バッテリー充電や電池交換が不要
有線マウスはバッテリーを必要としません。パソコンやゲーム機にUSBケーブルで接続している間は絶えずにマウスに電力が供給されるので、特に制限なく使い続けることができます。
無線マウスの場合だと、バッテリーが切れた瞬間に使用できなくなり、内臓バッテリーの充電もしくは乾電池を交換する必要があります。
ランニングコストが掛からない
有線ケーブルで接続するだけで使用でき、電池交換などの必要がないので、長く使っていくうえで一切の費用が掛かりません。
最近だと、充電さえ欠かさないでいればワイヤレスで使用し続けられるバッテリー内蔵型の無線マウスも増えているため、これはそこまで大きなメリットとは言えなさそうです。
有線マウスのデメリット
ケーブルの存在が煩わしい
マウスはPCの操作に必須で、このような細かい部分も気になってくる可能性があります。
有線マウスは、本体から伸びたケーブルが快適な操作を妨げることがあります。例えば、操作中にケーブルに引っ張られたり、デスク天板やマウスパッドに擦れることで抵抗感や音が発生するなど。
また、デスク上の余ったケーブルを邪魔に感じることもあります。
離れた場所で使用できない
有線マウスはケーブルの長さに制限があるので、接続するPCやゲーム機本体からあまりに離れた場所では使用できません。
ケーブル長はだいたい1.8m~2mのものが多いです。
無線マウスのメリット
ケーブルの煩わしさがない
無線マウスはケーブルがないので、そもそも絡まったり、抵抗感を感じたりすることはありません。また、デスク上から線が1本無くなり、スッキリさせられます。
操作に関しては快適性が増します。
離れた場所でも使用できる
無線マウスは接続している機器から離れた場所でも使用できます。最大通信可能範囲は製品ごとに決まっていますが、ほとんどの場合は10mくらい離れていても問題なく動きます。
有線マウスの場合はケーブル長が2mくらいのものがほとんどなので、パソコンやゲーム機本体から離れた場所で使用することができません。
※FPSやMOBAの場合、通信の安定性を確保するため、できるだけUSBドングルと近づけて使用することを推奨します。したがって、PC本体からなるべく近い場所(ドングルの延長ケーブルが付属している場合、そのケーブル長)を保つ必要があります。
無線マウスのデメリット
バッテリー充電や電池交換が必要
無線マウスは内臓のバッテリーや乾電池で給電する仕組みなので、定期的に充電や電池の交換が必要となります。重要なシーンでマウスが動かなくなることも想定しておくべきです。
乾電池で駆動するタイプならバッテリーが切れてもすぐに交換できますが、長く使っていくとなると電池代がかさんでいきます。一方で、バッテリーを内蔵するタイプは充電する必要があるものの、ランニングコストは一切掛かりません。
本体重量が重たくなりがち
無線マウスは充電式バッテリーや乾電池を内蔵するぶん、有線マウスと比べて重たくなりがちです。
とはいっても、最近では非常に軽いワイヤレスマウスも出てきています。重たさで有線と無線のどちらかを決めるのはもう古いかもしれません。
接続が不安定になるリスクがある
2.4GHzやBluetoothはワイヤレス通信なので、何らかの理由によって通信を妨げられて不安定になってしまうリスクがあります。価格帯や性能によって安定性に大きな差が出てきます。
しかし最近の無線ゲーミングマウスには、レスポンスが極めて速くて安定したものもあります。
メリットとデメリットまとめ
有線マウスと無線マウスのどちらが良いのか確かめるべく、それぞれのメリットとデメリットについて解説してきました。この記事の内容をまとめつつ比較してみましょう。
無線マウスのまとめ
ケーブルから解放される
離れた場所でも使用できる
バッテリー充電や電池交換が必要
本体重量が重たくなりがち
接続が不安定になるリスクを抱えている
有線マウスのまとめ
動作の安定性に優れている(電波干渉のリスクが0)
バッテリー充電や電池交換が不要
ランニングコストが掛からない
ケーブルの存在が煩わしい
離れた場所で使用できない
どちらの接続方式が適しているかは人によって分かれるかと思います。
ゲーミングマウスについてはどのWebサイトよりも詳しく解説しているので、ゲームをプレイしている方や仕事用に高性能なマウスが欲しい方は参考にしてみてください。
FPSにおける無線マウス・有線マウスの選択について
次に、FPSをはじめとする競技性の高いゲームにおける有線マウス・無線マウスの選択について、いくつかの項に分けて考察していきます。
無線よりも有線のほうが選択肢が広い
現状のゲーミングマウス市場では、無線モデルよりも有線モデルのほうが製品数が多いです。そのため、有線ゲーミングマウスには「さまざまな条件から自分に合ったものを選択できる」というメリットがあります。
形状・大きさ・重量などが幅広いことはもちろん、表面のグリップ性能やクリック感など、実際のゲームプレイでのパフォーマンスに関わるような細かな部分も希望に沿ったものが見つかりやすくなっています。
一方で無線ゲーミングマウスでは、万人向けの形状や大きさを採用したものなど、多くのユーザーを対象にした製品が主となっています。現状はあまり融通が利かず、限られた選択肢の中からなるべく自分に合ったものを選ぶ、という形になりがち。
無線ゲーミングマウスの選択肢は今後広がっていくのか
遅延をなくしたり、本体重量を抑えたりと、各メーカーの開発技術は高まってきています。本当は無線ゲーミングマウスを使用したいと考えていても、形状・重たさなど選択肢の狭さがネックとなり有線ゲーミングマウスを使い続けているユーザーも多いのではないかと思います。
無線ゲーミングマウスの選択肢は今後広がっていくのか、メーカー目線も交えて考察します。
「Logicool G PRO WIRELESS」「Logicool G PRO X SUPERLIGHT」のような万人向けの形状をした無線ゲーミングマウスは企画から製品化まで比較的スムーズであると考えます。その理由として、あらゆるユーザーが手に取る可能性があり、長期的に販売数が見込めることが挙げられます。
一方で、持ち方が限定される形状など少数のユーザーに向けた無線ゲーミングマウスは、販売数があまり見込めないため大手メーカーではリリースしづらいと考えます。
この理論から言えば、万人に向けた形状(言い換えると無難なシェイプ)の無線ゲーミングマウスの選択肢は増える一方で、少数のユーザーに向けたニッチな形状を好む場合は有線ゲーミングマウスを手に取らざるを得ない状況が続くのではないかと推測します。
例えばG-wolvesがつまみ持ちに特化した小型ワイヤレスマウス「Hati Ht-S」を開発・発売するなど、少数のニーズに応える動きを見せる新興メーカーは既に存在します。そのため選択肢は徐々に増えつつはあるのですが、充実するには相当な時間が掛かりそうです。あくまで筆者の予想ですが…。
ケーブルの有無による操作性の違い
直近で発売された有線ゲーミングマウスには「パラコード」と呼ばれる比較的柔らかいケーブルが採用されることが多くなっています。
製品によっては差はあるものの、それまで一般的だった編組ケーブルやビニールケーブルよりも軽くて柔らかいため、明らかに取り回しやすさが向上しています。
しかし、市販マウスバンジーを使って適切に浮かせても、どうしても多少の抵抗は感じるものとなっており、やはり無線ゲーミングマウスの操作性にはかないません。「ケーブルレスであること」は無線ゲーミングマウスの絶対的なメリットであると言っていいでしょう。
特に、現在流行しているFPSタイトルではシビアなマウス操作が求められます。例えば『VALORANT』では高精度かつ素早いフリックエイム、正確なリコイルコントロール、アビリティを管理したりドッヂするための視点移動。『Apex Legends』では、複雑なキャラクターコントロール、素早いキャラクターの移動速度に順応しながら、あらゆる方向へのトラッキングエイムを行う必要があります。
有線ゲーミングマウスを使用する場合、ケーブルの管理を怠ることはパフォーマンスの低下にも繋がります。引きずり感が気になる場合はマウスバンジーによる対策を。また、ケーブルの取り回しやすさは非常に重要な項目で、必ず目を向けるべきであると考えます。
市販マウスのケーブルの取り回しやすさには限界がある
現在、有線ゲーミングマウスに多く採用されている「パラコード」は、マウスMOD(改造)のコミュニティ間で操作性の向上を目指して作り上げられた自作ケーブルの一種です。当初は狭い界隈で流行しており、それを知るユーザーが声を挙げたことでメーカーが取り入れた形となります。
そもそもパラコードとは、パラシュートを吊るすために開発された「パラシュートコード」というロープのこと。これをマウスケーブルに流用し、本来は内部に強度を高めるためのコアが通されているのを、マウスケーブルの銅線に置き換えているといった具合です。
市販マウスにはじめから搭載されているパラコードと、自作パラコード(もしくはケーブル単体で販売するショップから購入したパラコード)には明確な違いがあります。それが銅線の数です。
前者には細い銅線が4本に加えて太い銅線が1本入っているのに対し、後者は細い銅線が4本のみ。
その1本の太い銅線はノイズ除去を目的としており、マウスなどの入力機器を製品として流通させる際には必ず実装しなければならない決まりがあります。これがなかなか重たくて硬い。つまり、市販マウスのケーブルの取り回しやすさには限界があるということになります。
結論
結論として、FPSにおける「ケーブルレスであることによる操作性の向上」は非常に大きなメリットである一方、やはり選択肢の狭さはネックになると筆者は考えます。
「いくつかの妥協点もあったけど無線ゲーミングマウスを手に取ってみたら、思いのほか操作性が向上してゲームのパフォーマンスが上がった」となれば万々歳です。
しかし、形状や大きさ・本体重量といった基本的な部分でさえ希望に沿っている製品が見つからないのであれば、自分に合った有線ゲーミングマウスを使うことをお勧めします。
また、既に有線ゲーミングマウスを使用していて操作性に不満を感じている方は、マウスケーブルの管理に目を向けてみるのも一つの手段だと思います。