「Dream Machines DM6 Holey」レビュー。大型のエルゴノミクス形状でわずか69gの軽量ゲーミングマウス
本稿では、Dream Machines(ドリームマシーンズ)のゲーミングマウス「Dream Machines DM6 Holey」のレビューをお届けします。
※PixArt PMW3360搭載モデルが「DM6 Holey」、PixArt PMW3389搭載モデルが「DM6 Holey S」。搭載センサーによって名称が異なるので注意。なお本稿でレビューしているのはDM6 Holey Sです。
製品仕様と外観
軽量ゲーミングマウスの発表が続き、今では多くの種類があるため、単純に軽いものを探している場合は多くの製品から選ぶことができます。ただ、それらは小型~中型サイズに集中している傾向にあるので、比較的大きめなサイズ感を好む方にとってはまだまだ不足感があります。
今回レビューするのは、Dream Machinesでは初となるハニカムシェルを採用した軽量ゲーミングマウス。それも、まだまだ市場には数少ない左右非対称で、比較的大きいサイズのもの。早速見ていきましょう。
DM6 Holey Sは、合計7ボタンを搭載する左右非対称ゲーミングマウス。カラーはブラックのみ。
マットな質感の表面はグリップ感があって滑りづらいですが、跡がつきやすいです。ちなみに表面材質について補足すると、サイドシェルがプラスチック剥き出しで、前面シェルのみラバーコーティングのものが多い中、DM6 Holey Sは底面を除いて表面材質はすべて同じです。
形状を4方向からチェック。両サイドは曲線も控えめで、ほどよく手の形に馴染みそうなデザイン。サイズは129 x 66 x 40 mmと、幅はそこまで広くないのですが、全長は長いため、ざっくりと中型サイズの中でもやや大きめに分類されるかなと。
ちなみに、これまで有名マウスのクローン形状が中心だったDream Machinesですが、これは今まで見たことのない形状…。と思いきや、つい最近になって個人輸入した中華マウスと同形状でした。どうやらOEMらしい。
本体重量は公称値69g(ケーブルを除く)、実測値は65.0gと軽めでした。今となっては穴が開いていない軽量マウスも多くありますが、やはりこのサイズ感で60g台を実現できるのはハニカムマウスだけですね。
センサーは PixArt PMW3360 と PixArt PMW3389 の2種類から選択可能です。初期DPIは400/800/1200/2400/4800/12000(3389搭載モデルは16000)で、ホイール下のDPIボタンから切り替えられます。
なお、PixArt PMW3360搭載モデルは「DM6 Holey」、3389搭載モデルは「DM6 Holey S」と名称が異なるので注意。今回のレビュー機はPixArt PMW3389搭載モデルのDM6 Holey Sとなります。
製品ごとに専用ソフトウェアを提供しているDream Machinesですが、執筆時点ではDM6 Holey/DM6 Holey Sのファームウェアやソフトウェアは配布されていないため、現状でのレビューとなります。これらは提供され次第、追記する予定です。
スペック&ギャラリー
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Dream Machines DM6 Holey 製品仕様 形状 左右非対称 表面素材 マット サイズ 幅66.0 全長129.0 高さ40.0mm 重量 69g (ケーブルを除く) ボタン数 7 センサー PixArt PMW3360 or PMW3389 DPI 最大12,000DPI or 16,000DPI ポーリングレート 1000Hz LoD 1.1mm~ (実測値) スイッチ Huano製 (2,000万回耐久) ケーブル シューレスケーブル ソフトウェア 執筆時点では未公開 価格 5,680円 (Amazon.co.jp、本稿執筆時点) - 製品イメージをチェックする (開閉できます)
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パフォーマンス
持ち方の相性・操作感
DM6 Holey Sの細部を見ていくと、左サイドは手前側が膨らんでいるため親指の付け根がフィットし、指先を置くポイントは僅かに窪んでいます。右サイドは背が低く、薬指や小指を無理やり折り込むことなく、伸ばした状態で自然と沿わせることができます。
ざっくりと言えば、Zowie ECを縦に引き伸ばして幅を縮めたような形状で、IE3.0クローンライクな握り心地となっています。やや大きめなサイズ感を見ても、かぶせ持ちやつかみ持ちを意識して設計されたゲーミングマウスだと言えます。
この手のマウスは似たような形状が多いように見えて、実際にゲームで使用すると全く異なる印象を受けたりします。Glorious Model Dなど大きめのエルゴノミクスマウスを追っていて、新しい形状のものを試したい方は選択肢に含まれるかなと思います。
上記を踏まえたうえで、一般的とされる持ち方3種類との相性をチェックします。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズです。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。
かぶせ持ち
かぶせ持ちは相性が良いですが、握り込む角度が制限されます。具体的には、薬指と小指を自然と配置できるポイントを先に探し、それを基にマウスをやや斜めにして握った場合は、自然と手に馴染んでくれます。
その一方で、マウスに対して真っすぐ手を添えた場合、幅が狭いことが影響して、親指と薬指・小指の2方向で挟み込んで固定している感覚が強まり、そこまで良いフィーリングを得られないように思います。
つかみ持ち
つかみ持ちは非常に相性が良いです。本体後部の幅が広く、水平方向の角度がついていないため、手のひらのどの部分を接地させても違和感は生じません。両サイドは親指・薬指・小指の配置に干渉しないため、細かな持ち方の違いにも対応できます。
また、メインスイッチはセパレートタイプとなっており、押下ポイントによってクリック感にムラが無い(詳しくは後述)ので、浅めに握っても使用感にこれといった変化はありません。
つまみ持ち
つまみ持ちには不向きです。理由の一つとして、全長が129mmと長いため、可動域が狭くなることが挙げられます、細かな操作のために指の関節を使った際に、本体後部が手のひらに触れてしまいます。
もう一つ、左サイドの窪みが奥の方にあるため、必然的に親指を深めに配置することを強いられます。となると、余計に指の関節を使いづらいですし、指を固定しづらい+ハニカムシェルということもあってグリップ感にも欠けます。
ボタン配置・クリック感
メインスイッチ
Dream Machinesではお馴染み、2,000万回耐久のHuano製マイクロスイッチ。やや重ためでしっかりとした押し心地。ガワの造りが良いのか、ストロークが非常に短くてアソビも無いのが好印象。
ただし、直近のメーカー製ゲーミングマウスのような、非常に軽くてストロークが浅いものに慣れている方にとっては”重たい”と感じる可能性大。
サイドボタン
本体からしっかりと飛び出ており、比較的大きめなサイドボタン。「カチッ」と歯切れの良い音が鳴り、非常に軽い押し心地です。
ボタン配置は適切で、かぶせ持ちの際には親指の真上に位置します。軽い力で押し込めるため、少し指を上にずらすだけで押下されます。筆者個人としては瞬発的に押せるので気に入っていますが、指のポジショニングや細かな癖によって誤入力が懸念されるところ。
ホイール
軽い回し心地で、ノッチ感も弱いホイール。確かなフィードバックが得られないため、ゲームプレイ中に複雑な操作を行いつつ、1ノッチを正確に回すのは困難です。直近でレビューしてきた同社製ゲーミングマウス、一貫してホイールが弱点…。
一方で、ホイールクリックは軽い力で押し込めるようになっています。左右への揺れや歪む感触もなく、安定感があります。ホイールクリックを多用するタイトルも問題無く操作できます。
センサー挙動・リフトオフディスタンス
DM6 Holey Sは PixArt PMW3389 センサーを搭載しています。初期DPIは400/800/1200/2400/4800/16000の6段階で、ホイール下のボタンから切り替えられます。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサーの正確性を検証。DPIは400/800/1200/2400で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
このxCountsの乱れは、PixArt PMW3389を搭載したゲーミングマウスでよく見られるもの。『League of Legends』『VALORANT』『Apex Legends』など様々なゲームタイトルで使用しましたが、ポインタ飛びなどの不具合は再現されず、実用上は一切問題なし。
他社製品ではファームウェア更新によってほぼほぼ改善されているため、このDM6 Holey Sもそのパターンでしょう。後日、ファームウェアやソフトウェアが公開され次第、追記します。
リフトオフディスタンス (LoD)
マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。
マウスパッド「PureTrak Talent」上で計測した結果、DM6 Holey Sのリフトオフディスタンスは1.1mmでした。十分に短い数値です。
マウスソール
ブラックのPTFEソール。やや小さめの楕円形で、四隅に4枚貼り付けられています。表面には保護シートが貼られているため、剥がすのを忘れずに。ソール自体はよく滑りますが、エッジが加工されていないため引っ掛かりを感じます。
なお、センサー周りにはソールがありません。DM6 Holey Sは全長が長いですし、マウスパッドとセンサーとの距離の変化によるDPIズレが懸念されるところですが、どうなんでしょうか。
ケーブル
ケーブルは同社製マウスではお馴染みの”シューレースケーブル”。いわゆるパラコードケーブルで、やや芯が残っていて硬いものの、標準で備わっているものとしては十分なクオリティです。
ブッシュが本体からそこまで飛び出ていないので、マウスバンジー等で適切に浮かせてあげれば、マウスパッドにケーブルが擦ってしまう心配は少ないかなと思います。
ビルドクオリティ
ビルドクオリティに難はありません。
ハニカムマウスでよく挙げられるのが”シェルの軋み”と”メインボタンのガワのカタつき”の2つですが、DM6 Holey Sは本体を強く握ってもきしむことはなく、メインボタンのガワに力を加えてもカタつくことはありません。
ソフトウェア
執筆時点ではソフトウェア未公開。後日追記します。
結論とターゲット
「Dream Machines DM6 Holey S」について詳しく見てきました。OEMとはいえ国内市場に出回っていない目新しい形状のもので、大型サイズの軽量ゲーミングマウスはまだまだ選択肢が少ないため、かぶせ持ちやつかみ持ちユーザーにとっては魅力的。個人的にも気に入っています。
ノッチ感が弱くて緩いホイールは欠点と言えますが、他にはこれといった短所はなく、ビルドクオリティにも難はありません。また、DM6 Holey (3360搭載モデル) は5,000円台、3389搭載モデルのDM6 Holey S (3389搭載モデル) は6,000円台と、低価格で入手できます。
しっかりとした押し心地のメインボタン、両サイドがハニカムシェルといった、好みが分かれそうな部分はちらほら見当たりますが、それらが許容できるならば好条件なゲーミングマウスと言えます。
以上、Dream Machines(ドリームマシーンズ)のゲーミングマウス「Dream Machines DM6 Holey」のレビューでした。
※PixArt PMW3360搭載モデルが「DM6 Holey」、PixArt PMW3389搭載モデルが「DM6 Holey S」。搭載センサーによって名称が異なるので注意。なお本稿でレビューしているのはDM6 Holey Sです。