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「東プレ REALFORCE MOUSE」レビュー。全く新しいクリック感のゲーミングマウス

「東プレ REALFORCE MOUSE」レビュー。全く新しいクリック感のゲーミングマウス

本稿では、東プレのゲーミングマウス「東プレ REALFORCE MOUSE」のレビューをお届けします。

東プレ REALFORCE MOUSE
価格: 17,980円 (本稿執筆時点)

製品仕様と外観

東プレと言えば、日本製キーボードであるREALFORCEシリーズが有名です。最大の特徴はキースイッチに”静電容量無接点スイッチ”を採用していること。メカニカルキースイッチとは違って接点が存在せず、スプリング変形によって起こる静電気を感知することでキーが入力されるので、耐久性が高く、接点部の摩耗によるチャタリングが発生しないのが利点となっています。

今回レビューする「REALFORCE MOUSE」は、上記の静電容量無接点スイッチがマウス向けに調整され、左右クリックに搭載されています。本来マウスに使われるスイッチでは、押し込んだとき・放したときの計2回「カチッ」と音が鳴りますが、REALFORCE MOUSEは多少のタクタイルはありつつも音が鳴らないのが特徴です。分かる人は分かる”フェザータッチ”も可能。

発表時は大きな話題になりましたが、完全に新しい試みを取り入れた製品なこともあり、どのような使用感なのか想像もつきませんでした。今回実際に手に取り、プレイヤー目線ではどのような恩恵を得られるのかじっくりと検証したので、本稿にて共有しようと思います。まずは製品仕様と外観のチェックから。

REALFORCE MOUSEは 計6ボタンを備える左右非対称ゲーミングマウス。寸法は幅67 全長122 高さ42mmで、やや小さめの中型サイズに分類されます。日本人の手の大きさに合うよう、やや小さく設計されている印象を受けます。

マウス表面はサラサラとしたプラスチック。両サイドにはエラストマー(弾力ゴム)が使用されており、確かなグリップ感があります。特に指を内側や外側にずらす際、強い防滑性を感じられます。

形状を4方向からチェック。正統派のIE3.0クローンと言っていいエルゴノミクス形状です。寸法の公称値ではZowie EC2よりも大きいはずが、実際に握ってみると少し小さめ。

本体重量は公称値83g(ケーブルを除く)、実測値は84.6gでした。マウス本体の大きさを考えると軽めに設計されています。

センサーには、100~12,000DPIに対応するPixArt PMW3360が搭載されています。最も安定とされる型番です。リフトオフディスタンス(LoD)の2段階調節に対応、ポーリングレートは125/500/1000Hzの3段階で切り替えられます。

ホイール手前にDPI変更ボタン、本体裏面にはポーリングレート切り替えスイッチが備わっていますが、統合ソフトウェア「REALFORCE Software」による詳細設定にも対応しています。

スペック&ギャラリー

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東プレ REALFORCE MOUSE
価格: 17,980円 (本稿執筆時点)

パフォーマンス

持ち方の相性・操作感

REALFORCE MOUSEは、前述のとおり正統派のIE3.0クローン。日本人の手の大きさに合わせて設計されており、同形状のゲーミングマウスと比べるとサイズ感は小さめ。寸法の公称値からするにZowie EC2よりも大きいものの、各部の背がやや低くなっているからか一回り小さく感じます。

似ている形状のゲーミングマウスとの比較。左から順にREALFORCE MOUSE、BenQ Zowie EC2、BenQ Zowie EC1です。

これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。

かぶせ持ち

筆者の手の大きさだと丁度良い大きさで、問題無くフィットします。

懸念点は、本体が小さいために手首がマウスパッドに接地すること。筆者は手首が接地した状態がしっくりくるので問題無いのですが、普段大きなマウスを使用していて手首を浮かせるグリップスタイルの場合は注意が必要です。

つかみ持ち

相性は良いと思います。他社製のIE3.0クローンと比べて小さめで、手への収まりが良いサイズ感。

両サイドの窪みがちょうど指先にあたるほか、防滑性が高いエラストマー素材になっていることもあり、グリップ感も申し分ないです。

つまみ持ち

指の配置はある程度強制されてしまいますが、持てなくはないです。

親指側(左サイド)の奥のほうが窪んでいる関係上、浅めにつまむと違和感が出ます。サイドボタンの真ん中あたりの直下に親指を配置するとちょうど良い具合になります。

ボタン配置・クリック感

メインスイッチ

REALFORCE MOUSEの左右クリックは、まるでキーボードのキーを押し込む感触で、弱めのタクタイルとともにカコッと降りていくのが特徴です。本来マウスに使われるスイッチのような、押し込んだとき・放したときの「カチッ」という音は鳴りません。これをどう見るかがREALFORCE MOUSEを評するうえで最大のポイントとなるでしょう。

結論から言うと、目新しいものに触れて心が躍ったことは確かですが、”ゲームチェンジャー”にはなり得ないと感じました。手にした瞬間から「一般的のマウスとの違いは感じられる」ものの、ゲームのパフォーマンス向上は見込めません。

一般的なマウスの場合、クリック時には指に確かな感覚が得られます。それゆえ、どの位置で何回クリックするかを制御できるわけです。しかしREALFORCE MOUSEの左右クリックは、ストロークが長いうえに、クリック感も明瞭ではないです。さらには、どのタイミングで入力が検知されているかがイマイチ掴みづらいです。

この1週間ほどREALFORCE MOUSEで『Apex Legends』を主にプレイしていましたが、トラッキングAIMは難なくこなせるものの、フリックAIMが求められる場面においてはマウス動作とクリックのタイミングが連動せず、精度がかなり落ち込みました。

実際にはタクタイル以前に入力を検知しているため、ストロークが長いからといって反応が遅い訳ではありません。しかし深くまで押し込めてしまうぶん連射速度はやや劣りますし、クリック回数が多い『League of Legends』を数戦プレイしていると指の疲れを感じました。

キーボードとは異なるマウスにこの独特なスイッチをすんなり落とし込んだという点は評価したいですし、意外と悪くは無いのですが、ゲームプレイにおいては既存のスイッチよりも優れている部分が見当たりません。

他社製ゲーミングマウスでは既に光学スイッチを採用する例も出ていますし、単なるチャタリングの対策であればそれで十分なように思います。クリック感も一般的なマウスと大差ないので違和感なく使えます。

この独特な操作感をすんなり受け入れられるかは好み次第で、上で記したような感覚的なズレの発生は避けられないのではないかと思います。全く新しいものであること、REALFORCEファンにとって魅力的なことは間違いないのですが…。

サイドボタン

サイドボタンは大きめで、本体からあまり飛び出ていません。短いストローク、軽い押し心地。クリック音は「カコッ」と詰まった感じ。

かぶせ持ちでは親指の真上にくるよう配置されており、そのままスライドさせて少ない力で押し込めます。非常に押しやすいです。

ホイール

ホイールはノッチ感がほとんどなく、非常に軽い回し心地です。やや精度が甘いようで、若干の横揺れが見られます。マウス本体を振ると「カタカタ」と音が鳴ります。

ホイールクリックのクリック感は軽く、ストロークは非常に短め。つかみ持ちのように指を立てている場合、クリック時に誤ってホイールを回してしまいそうになります。

センサー挙動・リフトオフディスタンス

REALFORCE MOUSEの搭載センサーはPixArt PMW3360です。ソフトウェアから最大12,000DPI(100刻み)の調整が可能なほか、リフトオフディスタンス(LoD)を低・高の2段階で切り替えられます。

例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサーの正確性を検証。DPIは400/800で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。

MouseTesterの見方について
基本的には、波形に点が綺麗に沿っていれば、マウスのセンサーが正確なトラッキングを行えている、という認識で構いません。マウスを動かす速度が速いほど、波形が縦方向に長く生成されます。つまり、波形の折り返し地点は、マウスが最高速度に達したことを表します。

  • 横軸 Time(ms):経過時間を表す、1000分の1秒
  • 縦軸 xCounts:マウスの左右への移動量。右に動かすと波形が上方向に、左に動かすと波形が下方向に生成される。マウスを動かす速度が速くなるほど、縦方向に大きな波形が生成される。

例えば、「中間地点の波形に点が綺麗に沿っているが、折り返し地点でブレが生じている」という場合、基本的には正確にトラッキングできているが、マウスを動かす速度が速いと反応がブレる、といった見方となります。 しかし、折り返し地点のブレが毎回同じような傾向だった場合、「マウスを早く動かすとカーソルが毎回その動きをする」ということですので、カーソルの動きは安定しているということになります。そのような場合、マウスを早く動かすとカーソルの動きに癖が出るものの正常、といった認識で構いません。

MouseTester: xCounts

MouseTester: xSum

MouseTesterの波形、ゲームプレイ時のトラッキングから判断するに、センサー挙動に問題無し

リフトオフディスタンス(LoD)

マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。

マウスパッド「PureTrak Talent」上で計測した結果、REALFORCE MOUSEのリフトオフディスタンスは”低”に設定すると0.9mm“高”では1.4mmでした。十分に短いです。

マウスソール

四隅に楕円形、センサー周りにO型のマウスソールが配置されています。素材は”超高分子量ポリエチレン”製で、テフロン製と比較すると滑りはわずかに劣るものの摩耗しづらいという特性を持ちます。実際に動かしてもその特性通り、滑りはやや抑えられている印象を受けます。

底面にはソールの形に沿って出っ張りがありますが、大きめのものでない限り汎用性ソールも乗っかります。

ケーブル

細めのビニール製ケーブルが採用されています。それなりに固いですが編組ケーブルほどではなく、比較的取り回しやすいです。また、他社製マウスのビニールケーブルと比較すると、ケーブルについた折れ癖が取れやすいと感じます。

ケーブルの太さは実測値2.8mm。メーカー曰く操作性を追求するために極細ケーブルを採用したとのことですが、これが3mm以下の場合、一部のマウスバンジーに完全に固定できないというデメリットもついてきます。

ケーブルの付け根は上側を向いており、マウスパッドとの接地を避けられます。この付け根もホイールと同様に上下左右に揺れてしまい、マウス本体を振ると「カタカタ」と音が鳴ります。

ソフトウェア

REALFORCE MOUSEは ソフトウェア「REALFORCE Software」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。

REALFORCE Software:https://www.realforce.co.jp/support/download/index.html

設定項目は 各ボタンへのキー割り当て、LEDライティング設定、DPI設定(最大12,000DPI, 100刻み)、2段階のリフトオフディスタンス切り替え(高, 低)、3段階のポーリングレート切り替え(125/500/1000Hz)。

ソフトウェアはシンプルなUIで分かりやすく、最低限の機能は全て揃っています。DPIやポーリングレートの切り替えは本体からも行えます。

結論とターゲット

REALFORCE MOUSEは全く目新しい要素を取り入れた製品なので、今回のレビューは慎重に行う必要がありました。その肝となるメインスイッチの使用感ですが、「ゲームで勝つためのゲーミングマウスとしては選択肢に挙がらない」というのが筆者の結論。

その他、ビルドクオリティがやや甘い (ホイール・ケーブルの付け根が若干揺れる) ことは気になりましたが、それ以外はよくできており、ゲーマーのニーズを捉えて設計されている印象を受けます。

他社が同じようなマウスを作るとは思えないので”唯一無二”ではあるのですが、約18,000円と強気な価格設定なことも引っ掛かる点。気に入るかどうかは好み次第ではありますが、FPSやMOBAでのパフォーマンスを求めるゲーマーにとっては十分なリターンを得られるかは怪しいように思います。

東プレ REALFORCE MOUSE
価格: 17,980円 (本稿執筆時点)

以上、東プレのゲーミングマウス「東プレ REALFORCE MOUSE」のレビューでした。

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