「Mountain Makalu 67」レビュー。わずか65gの超軽量な大型エルゴノミクスマウス
本稿では、Mountainのゲーミングマウス「Mountain Makalu 67」のレビューをお届けします。
ファーストインプレッション
日本国内での認知度は極めて低いものの、Twitter(グローバルアカウント)は2kフォロワー、Instagramに関しては8kのフォロワーを抱えており、世界的にはそれなりに認知されているメーカーのようです。
主にArtisanキーキャップやキースイッチなどのキーボード関連製品を販売しており、このMakalu 67はメーカーとして初のゲーミングマウス。大型エルゴノミクス形状かつ65gと超軽量で、奇抜なリブケージデザインを採用。さらに最新のPixArt PAW3370センサーを搭載するなど、先駆的な仕様となっています。
配信アーカイブ
製品仕様とスペック
形状 | 左右非対称 | サイズ | 70.2 × 127 × 42.2mm |
---|---|---|---|
本体重量 | 65g | ボタン数 | 6つ |
センサー | PixArt PAW3370 | 解像度 | ~19,000DPI |
最大加速度 | 50G | 最大速度 | 400IPS |
レポートレート | 1000Hz | LoD | 公称値1~2mm |
接続方式 | 有線 | ケーブル | パラコード |
スイッチ | Omron 50M | ライティング | RGB |
購入方法
筆者はMountain公式サイトより購入しましたが、ヨーロッパ圏からの発送なので送料が掛かります。
注文したのは昨年の秋頃なので記憶が定かではありませんが、本体59.99€+送料で合計9,000円近くだった記憶があります。ハッキリ言って日本国内からの入手性は非常に悪いです。
Mountain Makalu 67 製品ページ:https://mountain.gg/makalu-67/
パッケージと内容物
パッケージはマグネット開閉式。
内容物はMakalu 67マウス本体、予備のマウスソール、取扱説明書。
パフォーマンス
形状と大きさ
大型サイズの左右非対称ゲーミングマウス。寸法は70.2×127×42.2mm。
一見Xtrfy M4と似ていますが Makalu 67の方が本体幅が広くて背が高く、もう一回り大きなサイズ感です。競合製品としては大型エルゴのBenQ ZOWIE EC1やRazer DeathAdderなどが挙げられます。
本体重量
公称値は67g(ケーブルを除く)、実測値は65.2gでした。
肉抜きされたシェルといえばハニカム構造が主流ですが、Makalu 67はリブケージデザインを採用しています。そこまで派手に肉抜きされているようには見えませんが、サイズを考えると非常に軽量です。また、内部で補強されてはいないものの、そうは思えないほど堅固な造りです。
重心はマウス本体の中央あたり。重量バランスは良好です。
コーティング
全体に梨地加工が施された、ざらっとした手触りの表面。ABS樹脂が剥き出しのマウスよりはグリップ感がありますが、マットコーティングされたものと比べると劣ります。
両サイドのグリップする位置は肉抜きされておらず、一定間隔で窪んでいます。
持ち方の相性
代表的な持ち方とされる かぶせ持ち/つかみ持ち/つまみ持ち との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。
かぶせ持ち
かぶせ持ちとの相性は非常に良いです。右側の傾斜の作り方が秀逸で、薬指と小指が吸い付きます。また左側も後部の広がりに沿って親指がピッタリと張り付くため、強いフィット感が得られます。
サイズ感はEC1やDeathAdderに並ぶほど大きいので、平均的な手の大きさかそれ以上の方向け。
つかみ持ち
つかみ持ちも相性が良いです。本体後部が広がっていて手のひらが支えられますし、両サイドには指先の配置ポイントが確保されています。これといって干渉する部分がありません。
ただし懸念点として、リブケージデザインに触れる手のひら側が少し滑りやすいです。
つまみ持ち
つまみ持ちはサイズ的に難しいです。全体的に背が高いマウスなので、相当な手の大きさでない限り、自然と掴み持ちのような形になるかと思います。
少し指の関節を曲げるだけで本体後部が手のひらと干渉します。また左サイドはやや奥側が最も窪んでいるため、それより手前側に親指が配置しづらく、浅めにつまむのが難しいです。
スイッチ
メインボタン
5,000万回耐久のオムロン製マイクロスイッチ。押し心地はとても軽く、余計な遊びが一切ありません。非常に少ない力で押し込めますし、跳ね返りの強さも適切。旧G Pro Wirelessに近いクリック感です。
セパレートタイプで、ホイールやや手前側まではクリック感がほとんど変わりません。
サイドボタン
シルバーカラーで主張が激しいサイドボタン。やや大きめで本体からしっかりと飛び出しているため、どの持ち方でもアクセスしやすいです。ボタンの配置も適切で、両方に指が届きやすいです。
押し心地は軽すぎず重たすぎず。どの位置や角度で押し込んでも押し心地にムラがなく一定なので、誤爆することなく押しやすいです。
ホイール
ホイールは本体からあまり飛び出ていません。ゴムリングにあまり凹凸がないですが、側面までゴムで覆われているため指が引っ掛かりやすく、アクセスしづらさは感じません。
操作感はAerox 3 / Aerox 3 Wirelessに近いです。ほどよい抵抗感と明瞭なノッチ感があり、しっかりとしたフィードバックが得られます。連続でスクロールしてもしっかりと分離するため、ゲームでの正確な操作が行いやすいです。
ホイールクリックは軽すぎず重たすぎず。無駄な遊びがなく、跳ね返りの強さも適切です。
センサー
Makalu 67のセンサーは「PixArt PAW3370」。主流の3389と比べてエラーレートが50%減少したという、PixArt次期ハイエンドセンサーです。このMakalu 67が初の搭載機です。マウス本体のほぼ中央あたりに配置されています。
主なスペックは 最大19,000DPI、最大加速度50G、最大速度400IPS。
初期DPIは400 / 800 / 1200 / 2000 / 19000の5段階です。ホイール下部のボタンで切り替えられ、LEDインジケーターで設定状況を一目で確認できます。初期DPI刻みがやや不規則なので、1600に設定したい場合はソフトウェアでの制御が必須となります。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサー性能を検証。DPIは400 / 800 / 1600 / 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
xCounts/xSumともに綺麗な波形が出ており、実際のセンサー挙動も極めて安定しています。
同じPixArt PAW3370ベースのGlorious BAMFセンサーを搭載した「Glorious Model O Wireless」でも良い結果が出ていますし、メーカーとしても扱いやすいのかな? 優秀なセンサーだと思います。
リフトオフディスタンス (LoD)
マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。
リフトオフディスタンスが長すぎると、マウスを大きく振ったあと、元の位置に戻すために持ち上げたときにカーソルが余分に動いてしまい、ゲームプレイ中の精密な操作を妨げてしまいます。個人的には1.5mm以下なら〇、1mm前後であれば◎。
Makalu 67はソフトウェア上でリフトオフディスタンスをLow / Highに切り替えられます。「PureTrak Talent」上で計測した結果、それぞれの実測値は0.9mm / 1.9mmでした。
マウスソール
U型が上下に2枚貼り付けており、接地面積はそれなりに広いため安定性があります。マウスソールの材質は100%PTFEで、滑走速度に優れる一方で耐摩耗性は低い傾向にあります。
エッジの処理は若干甘く、角が丸まっている部分にそこまで高さがないため、中間層のスポンジが沈み込むマウスパッドと組み合わせると引っ掛かりが気になります。
予備が1セット付属しています。
ケーブル
ねじれや折れ癖は見られず、綺麗な状態のパラコードケーブル。とてもしなやかで取り回しやすいです。
根本が上向きになっているため、マウスバンジーで適切に浮かせることでマウスパッドとケーブルが擦れる心配がありません。
ビルドクオリティ
外側から確認する限り、内部で補強されてはいないものの、シェルを強く握っても軋みません。また各部に遊びも見られず、本体を激しく振っても一切音は鳴りません。
それぞれのスイッチも適切に備え付けられており、さまざまな箇所や角度から押し込んでもクリック感が安定しています。ビルドクオリティはとても高いです。
ソフトウェア
Makalu 67は、Mountain製デバイスの統合ソフトウェア「Base Camp」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。
Mountain Base Camp:https://mountain.gg/base-camp
ボタンへのキーバインド。マクロの記録/保存も可能です。
LEDライティング。4種類のパターンが用意されており、8ゾーンを好みの色にカスタムすることもできます。
4段階のポーリングレート、50~19,000DPI(50刻み)、デバウンスタイム調整、アングルスナップのon/off、2段階のリフトオフディスタンス調整(Low/High)。ファームウェアアップデートもここからおこなえます。
本体にいくつかのプロファイルを保存しておき、マウスボタンのいずれかにプロファイル変更を割り当てておけば、ソフトウェア無しで設定を切り替えられます。
結論とターゲット
「Mountain Makalu 67」について詳しく見てきました。大きなサイズとは釣り合わない65gのマウスですが、決して造りが甘いわけではありません。一般的なハニカムとは異なるリブケージデザインは頑丈で、強く握っても軋むことはありません。
かぶせ持ちに適した大型のエルゴノミクス形状は、EC1やDeathAdderといった有名なマウスにも劣らないフィット感を得られます。ただし表面がやや滑りやすいので注意すること。
それぞれのスイッチが適切に備え付けられており、クリック感に優れています。こういった部分からも、製造にしっかりとコストを掛けた品質の高いゲーミングマウスであることを伺えます。
ただしヨーロッパ圏からの発送なので、国内からの入手性は悪いです。到着までに長い日数を要するうえ、本体価格59.99€に高い送料が乗っかってきます。Max Gamingなどの海外通販サイトを利用するのも良いかもしれません。
総合評価4.0 out of 5.0 stars
わずか65gの大型エルゴ
高いビルドクオリティ
優れたセンサー
取り回しやすいケーブル
表面がやや滑りやすい
日本国内からの入手性が悪い
以上、Mountainのゲーミングマウス「Mountain Makalu 67」のレビューでした。