VGN Dragonfly F1 Pro Max レビュー

今回はVGNのゲーミングマウス「VGN Dragonfly F1 Pro Max」をレビューします。
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この製品について
以前Twitterで安すぎると話題になったDragonfly F1シリーズですが、シリーズ最上位モデルのPRO MAXですら約5,500円という価格の安さと高いクオリティが中国国内で高く評価されており、中国の大手ECサイト京东(ジンドン・JD.COM)では既に5万件以上の評価が投稿されています。
製品仕様とスペック
カラー | ブラック/ホワイト | 表面 | マット |
---|---|---|---|
形状 | 左右対称 | サイズ | 63.5 x 121.2 x 37.6mm |
本体重量 | 49g/55g | ボタン数 | 5つ |
センサー | PixArt PAW 3395 | 解像度 | 最大26,000dpi |
最大加速度 | 50G | 最大速度 | 650IPS |
ポーリングレート | 1000Hz | エンコーダー | Kailh GE2.0 |
デバウンス | 0 ~ 20ms | スイッチ | Kailh GM 8.0 |
接続方式 | 2.4GHzワイヤレス | ケーブル | パラコード |
ソール | PTFE | ライティング | 非搭載 |
ソフトウェア | 対応 | メーカー保証 | – |
バリエーションと本体価格
VGN Dragonfly F1シリーズは3種類のグレードが展開されています。PROとPRO MAXはいずれもNordic製のSoCを搭載、別売りのドングルによる4Kポーリングレートにも対応しています。価格差もそこまで無いのでPROかPRO MAXのどちらかをお勧めします。
PROとPRO MAXの大きな違いはバッテリー容量と本体重量です。PROの本体重量は49グラムで、バッテリー容量は250mAh、最大65時間の連続使用に対応しています。一方でPRO MAXのバッテリー容量は倍の500mAh、最大130時間の連続使用に対応しますが、本体重量は55グラムと6グラム増量しています。なるべく軽いほうがいいならPRO、軽さよりもバッテリーの持ちを重視する場合はPRO MAXを選択しましょう。
F1 | F1 PRO | F1 PRO MAX | |
SoC | Nordic 52833 | Nordic 52840 | |
4Kポーリング | 非対応 | 対応 | 対応 |
本体重量 | 49g | 49g | 55g |
連続使用時間 | 40時間 | 65時間 (250mAh) | 130時間 (500mAh) |
京東 (JD.COM) *1 | 約3688円 | 約4663円 | 約5444円 |
MechKeys価格 | 40ドル | 50ドル | 57ドル |
別売りのオプションとして、ポーリングレート4kHzでの動作が可能となるUSBドングルが販売されています。PROかPRO MAXを購入する場合は併せて購入したいところですが、執筆時点では京東(JD.COM)かMaxGamingでしか取り扱いがないので手が出しづらい状況です。筆者もまだ入手していません。
パッケージと内容物
接続とケーブル
VGN Dragonfly F1 Pro Maxは2.4GHzワイヤレスに対応しています。延長アダプタとケーブルも付属しており、マウス本体と2.4GHzドングルの距離を近付けて使用できます。
バッテリー
シリーズ最上位モデルのVGN Dragonfly F1 Pro Maxは最大130時間持続する500mAhの大容量バッテリーを搭載しています。他社製フラッグシップ機と比べてもバッテリー持ちが良いです。
1つ下のモデルProは250mAhなので単純に容量が2倍で、そのぶん本体重量が6グラム増加しています。
ビルドクオリティ
シェルの成形精度は高いです。トップシェルとサイドシェルの継ぎ目はほとんど見えず、グリップしたときにカタついたり軋み音が鳴ったりすることはありません。また、強度も申し分なく、強い力でグリップしてもたわみません。それぞれのスイッチは適切に取り付けられていてフィーリングに違和感はありません。
電源スイッチやDPIボタンの配置が「Ninjutso Sora」と同じで、製造工場が同じなのではないか?と噂されています。とにかく言えるのは、この価格帯で販売されているゲーミングマウスとは思えないほど素晴らしい造りです。
コーティング
シェルの質感・コーティングも「Ninjutso Sora」と同じです。表面はツルツルとしていてグリップ性はほぼ皆無です。触った部分には跡が残りづらく、汗や皮脂による汚れは目立ちづらいです。グリップテープによる対策は必須になりそうです。
本体重量・重量バランス
VGN Dragonfly F1 Pro Maxの本体重量はメーカー公称値55g、実測値54.8gでした。ほぼ公称値通りです。通常版とProが49gで、大容量バッテリーを搭載するPro Maxのみ55gとなっています。
重心はセンサー付近にあります。重さが偏っている部分はなく、重量バランスは良好です。
形状と大きさ
VGN Dragonfly F1 Pro Maxの寸法は63.5 x 121.1 x 37.6mmでスモール~ミディアムサイズに分類できます。
「Razer Viper」と「Razer Viper Mini」の間を取ったような形状・大きさです。
横から見たときのシルエットはViperに近く、つかみ持ちしたとき本体後部のコブの手のひらへの触れ方がとても似ています。本体幅はViperとViper Miniの中間くらい、全長はViper Miniよりも若干長いくらいです。
両サイドはしっかりとくびれています。本体後部はViperほど広がっておらずViper Miniに近いです。左側の薬指を配置する部分が程よい逆ハの字になっています。この角度が秀逸で、薬指を縦に寝かせるように固定できます。
メインボタンのU字状の窪みがとても深く、軽く指先を乗せるだけでしっかりと固定されます。ここまで深く窪んだマウスは珍しいです。この窪みがあるとある程度のクリック感が担保される印象です。
持ち方の相性
前置き:筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。
かぶせ持ち
筆者の手には小さすぎるので割愛。
つかみ持ち
つかみ持ちとは相性が良いです。手が小さめ~平均の方に適したサイズ感で、深めにグリップする場合はやや小さく感じる可能性があります。
先ほども触れましたがViperとViper Miniの中間を取ったような形状で、しっかりとくびれたサイドは親指の置き場を決めやすく、薬指の置き場が程よい逆ハの字になっていて縦に寝かせるように固定できます。シンプルな造形ながら持ち方が定まりやすいのが特徴です。
メインボタンの窪みは指先を固定し、マウスを水平方向に動かすときに力が伝わりやすいように感じます。ボタンは手前側にいくにつれて押下圧と跳ね返り感が増すものの押し心地は悪くならず、どの深さでグリップしても快適です。サイドボタンとホイールには指が届きやすいです。
つまみ持ち
つまみ持ちとも相性が良いです。全長が短くて背もそこまで高くないので、指の関節を使ってマウスを上下に動かすときの可動域が広く確保できます。また、メインボタンのU字状の深い窪みは、指先でマウスを細かく動かすときの追従性を高めます。つまみ持ちの利点を活かしやすい形状だと言えます。
サイドボタンとホイールには指が届きやすいです。メインボタンについて、ホイールの真横やそれよりも手前側でクリックすると押下圧が重たいのが気になるかもしれません。また、表面のグリップ性能が低いのでグリップテープなどによる対策は必須になります。
スイッチ
メインボタン
メインボタンにはKailh GM 8.0マイクロスイッチが搭載されています。
押し心地はやや固めで、跳ね返り感も強め。パキパキと歯切れの良いクリック感が得られます。プリトラベル・ポストトラベルともに短く、連打もホールドも違和感なく行えます。
シェルが薄いマウスによくある、スイッチのバンプ時の「カチッ」という音が少し響く感じがあります。マウス全体に響くほどではなく、そこまで不快には感じません。
メインボタンが分離したセパレート設計になっていて、押し込む場所によるクリック感の変化が抑えられています。手前側にいくにつれて押下圧と跳ね返り感が増しますが、ホイールより1センチほど下側を押し込んでもそこまでフィーリングは悪くなりません。これは悪くない設計だと思います。
サイドボタン
サイドボタンはやや小さめで本体からしっかりと飛び出ています。エッジは面取り加工されています。グリップテープを貼ることを想定して高さが調整されているように見えます。ボタンは本体のやや奥側に搭載されていて、つかみ持ちとつまみ持ちで両方のボタンに指が届きやすいです。
押し心地はやや固めでハッキリとした感触が得られます。手前側のボタンのポストトラベルが若干長いですがそこまで気になりません。ゲームで重要となるキーを割り当ててもうまく機能します。
ホイール
ホイールは本体から程よく飛び出しています。ゴムリングには水平方向に切り込みが入っており、適度に指に引っ掛かって回しやすいです。
回し心地はやや重たいように感じます。回したときのノッチ感がとてもハッキリとしていて、分離感がしっかりと得られます。連続したスクロールも1ノッチ単位の細かな操作も行いやすく、好みが分かれづらいものだと感じます。
ホイールクリックは軽くもなく重たくなく。最低限の力で押し込むことができて誤作動もしづらい固さだと感じます。重要なキーをバインドしても問題無く操作できます。
センサー
VGN Dragonfly F1 Pro MaxはPixArt製フラッグシップセンサー「PixArt PAW 3395」を搭載しています。最大26,000DPI、最大加速度50G、最大速度650IPSに対応しています。初期DPIは400 / 800 / 1600 / 3200の4段階で、本体底面に搭載されたDPIボタンで切り替えられます。ソフトウェア上で50~26,000DPIを50刻みで調整できます。
「Mouse Tester」での検証に加え、「VALORANT」と「Apex Legends」でもプレイテストを行った結果、センサーは正常に動作していることを確認できました。
* 付属の延長アダプタ・ケーブルを使用し、マウス本体とUSBドングルを近付けた状態で検証。DPIは400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッドは「BenQ ZOWIE G-SR-SE Rouge」。環境によって結果が変動する可能性があるので、あくまで参考程度にお願いします。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
センサーの位置
VGN Dragonfly F1 Pro Maxのセンサーは本体の真ん中に配置されています。
マウスソール
横長のソールが上下に2枚貼り付けられています。材質は100%PTFEで厚さは実測値0.77mmでした。中型ソールが付属しているので好みに合わせて選択できます。
操作感はスピード重視で、滑り出しが非常に軽くて滑走速度も速いです。エッジは適切に処理されていて、滑走面が粗かったり中間層が柔らかいマウスパッドと組み合わせても引っ掛かりません。
設定・ソフトウェア
VGN Dragonfly F1 Pro Maxは専用ソフトウェアに対応しています。MechKeys製品ページ内の「Driver」をクリックするとダウンロードできます。
UIがシンプルで分かりやすいOEMのソフトウェアです。基本的な設定に加え、デバウンスタイム(0~20ms)やリフトオフディスタンス(Low/High)の調整が可能です。バッテリー残量は5%刻みで表示されます。
結論とターゲット
「VGN Dragonfly F1 Pro Max」について詳しく見てきました。中国国内で絶大なシェアを誇っているだけある、全体的に優れたクオリティのゲーミングマウスです。ViperとViper Miniの中間を取ったような形状は、手の大きさが平均~小さめで、つかみ持ちかつまみ持ち、本体後部があまり膨らんでいない左右対称マウスを好んでいる方に適しています。
他社ハイエンド機に劣らないスペック、高いシェルの組み立て精度や強度を備えています。約55グラムの軽量設計ながらバッテリー持続時間は最大130時間と、軽量マウスによくあるバッテリー持ちの問題も払拭されています。現状市場に出回るゲーミングマウスの中で最も費用対効果が高いです。
電源スイッチやDPIボタンの配置、シェルの質感、コーティングが「Ninjutso Sora」とあまりに類似していることから、製造工場が同じなのではないかと噂されています。とにかく、この価格で手に入るとは思えないほど素晴らしい造りのゲーミングマウスです。
ネックとなるのが日本から入手する際の融通があまり利かないことです。中国の大手ECサイト京東(JD.COM)で購入する場合は転送サービスを利用する必要があるので別途料金が発生します。MechKeysだと注文自体はお手軽ですが欧米諸国向けにドル表記で販売されているので割高になってしまいます。MechKeysでは5%オフの割引コード「mionigg」が利用できます。
総合評価 5.0 out of 5.0 stars
安定したワイヤレス接続
十分なビルドクオリティ
バッテリー持ちが非常に良い
60g以下の軽量設計
歯切れの良いクリック感
明瞭なサイドボタン
分離感の強いホイール
高精度なセンサー
高品質なマウスソール
価格が非常に安い
以上、VGNのゲーミングマウス「VGN Dragonfly F1 Pro Max」のレビューでした。