「Dream Machines DM1 FPS」レビュー
本稿では、Dream Machinesのゲーミングマウス「Dream Machines DM1 FPS」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: ふもっふのおみせ
製品仕様と外観
「Dream Machines DM1 FPS」は、スイッチ、形状、重たさなどFPSに最適化された設計のゲーミングマウスです。他製品との大きな違いとしては、FPSプレイヤーのフィードバックを受け、メインスイッチが従来のオムロン製からHuano製に変更されている点。オムロン製よりも押しごたえがあり、高速なレスポンスを実現しているとのこと。クリック感については後述します。
本体サイズは全長126 幅68 高さ39mmと中型に位置します。形状は左右対称型で、いわゆる「Senseiクローン」と呼ばれるもの。本体後部の幅が最も広く、手前側のサイドボタンあたりから大きく窪んでいるのが特徴。最も高さがあるのは中心よりやや手前で、メインスイッチ側が緩やかに低くなり、後部はかなりの傾斜があります。
細かな形状を抜きにしてサイズのみで比較するならば、Logicool G PRO Wirelessの幅を若干伸ばしたようなものです。G PRO Wirelessが全体的に高さがある一方で、DM1 FPSは全体的に平べったいのが特徴です。中心よりやや手前が最高点で、メインスイッチにかけて緩やかに降りていき、後部はそれなりの傾斜によって低くなっています。
本体重量は公称値83g(ケーブル除く)、実測値82gで、中型サイズのゲーミングマウスとしては軽量設計と言えます。センサーにはハイエンドセンサー Pixart PMW3389 を搭載しており、ソフトウェアから400~12,000DPIを200刻みで調整可能です。リフトオフディスタンスは公称値1.8mmとやや短め。
ケーブルには柔らかくて軽い シューレースケーブル(靴紐ケーブル) を採用しています。疑似パラコードと呼ばれるものです。筆者が認知している限りでは、このようなケーブルを標準で採用したのは、おそらくDM1 FPSが初めて。
なおDM1 FPSは「Blizzard White(白)」「Noir(白×黒)」「Blood Red(赤×黒)」「Ocean Blue(青×黒)」の全4モデル展開となっており、モデルによって表面材質が異なります。今回レビューに使用するBlizzard Whiteは全面ホワイトで、表面はマットとなります。
製品仕様
形状 | 左右対称型 |
サイズ | 全長126×幅68×高さ39mm |
重量 | 83g (ケーブル除く) |
センサー | PixArt PMW3389 |
DPI | 400~12000 (200刻み) |
LOD | 1.8mm |
スイッチ | Huano製 (2000万回耐久) |
ケーブル | ソフト編組 (疑似パラコード、1.8m) |
ソフトウェア | 対応 |
ギャラリー
パフォーマンス
持ち方の相性・操作感
「Dream Machines DM1 FPS」は左右対称型のSenseiクローン。製品仕様の項目でもお伝えした通り、サイドボタン手前側あたりから大きく窪んでいます。全体的に平べったく、メインスイッチ部分や後部はかなり低め。全体的な幅はそこそこ広いですが、窪んだ部分との幅の差異が大きいです。参考として、マウス中心の幅は62mm、窪んだ裏側から計測すると57mm(いずれも実測値)です。サイド以外には指のガイドになるような凹凸は無く、好きなように持ってしまっていいのかなと思います。
これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェックします。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。
かぶせ持ちは、相性は良いものの少し癖があります。サイドの窪みは決して緩やかなものではなく、まるで段差のようなもの。手の大きさによっては薬指と小指の配置に違和感が出る可能性アリ。筆者の場合、薬指・小指の第2関節あたりで段差を覆い、やや深めに手を被せるのがしっくりきます。ただし、フィット感は左右非対称型と比べるとかなり劣ります。
つかみ持ちは、サイドの窪みに親指・薬指・小指の3本を引っ掛けることで安定した操作が可能です。後部の低さが気にならない方であれば、特に不満点は無いのではないかと思います。つまみ持ちも同様、サイドの3本指でマウスを固定しやすいです。また、平べったいので指に力が入りやすく、AIMの微調整に指の関節を使いやすく感じます。
結論としてDM1 FPSは、つかみ持ちとつまみ持ちとの相性が良いです。かぶせ持ちは決して相性が悪いとは言えませんが、手の大きさによっては薬指・小指が干渉しやすいと思われます。大きく窪んだサイドの形状に加え、本体重量が83g(ケーブルを除く)と軽量なことが相まって、持ち方を問わずマウスを瞬時に持ち上げやすいです。
ボタン配置・クリック感
FPSプレイヤーからのフィードバックを受け、メインスイッチをオムロン製からHuano製(2,000万回の耐久性)に刷新したというDM1 FPSですがクリック感は率直に言えば硬いです。ストロークは短めで、跳ね返りが強く、連打やタップ撃ちのしやすさに寄せた印象を受けます。これは確かにFPSに向けた仕様なのですが、軽いクリック感が好みの方にとっては慣れづらいと言えます。また、MOBAのようにクリック量の多いゲームには適していません。
一方でサイドボタンはストロークが長く、ボタンを押し込むまでに相当なアソビがあります。ゲームプレイ中に瞬時に押し込むとなると硬さもやや気になるところで、親指の腹の端でサッと押下するのはやや厳しいと感じます。角ばっている部分に親指を押し当てることで迷うことなく押下できるという、せめてもの配慮はされています。
ホイールは抵抗感が弱めで、少ない力で転がるタイプです。何度回したかを掴めるほどのノッチ感はあります。ホイールクリックは硬くはないですが、本体からホイールがあまり飛び出していないので、やや力を入れて押し込む必要があります。ホイール手前のDPI変更ボタンはサイドボタンと同様です。
センサー挙動・リフトオフディスタンス
- MouseTesterの見方について
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基本的には、波形に点が綺麗に沿っていれば、マウスのセンサーが正確なトラッキングを行えている、という認識で構いません。マウスを動かす速度が速いほど、波形が縦方向に長く生成されます。つまり、波形の折り返し地点は、マウスが最高速度に達したことを表します。
- 横軸 Time(ms):経過時間を表す、1000分の1秒
- 縦軸 xCounts:マウスの左右への移動量。右に動かすと波形が上方向に、左に動かすと波形が下方向に生成される。マウスを動かす速度が速くなるほど、縦方向に大きな波形が生成される。
例えば、「中間地点の波形に点が綺麗に沿っているが、折り返し地点でブレが生じている」という場合、基本的には正確にトラッキングできているが、マウスを動かす速度が速いと反応がブレる、といった見方となります。
しかし、折り返し地点のブレが毎回同じような傾向だった場合、「マウスを早く動かすとカーソルが毎回その動きをする」ということですので、カーソルの動きは安定しているということになります。そのような場合、マウスを早く動かすとカーソルの動きに癖が出るものの正常、といった認識で構いません。
「Dream Machines DM1 FPS」はハイエンドセンサー Pixart PMW3389 を搭載しており、ソフトウェアから100~12,000DPIを200刻みで調整可能です。例のごとく、Mouse Testerでセンサーの正確性を検証しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。DPIはそれぞれ400, 800, 1600, 3200で、マウスパッド「Corsair MM350」上でテストしました。
結果としては、波形の折り返し地点(マウスが最高速度に達したとき)に若干のブレが見られます。マウスパッドの相性が原因かと思い、数種類で試したものの同様の結果が得られました。実際の操作では感じられない程度ですので十分に許容できる範囲ではあります。
マウスを浮かせたときにセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かす、という一連の動作をセンサーが反応しなくなるまで繰り返しました。結果として、リフトオフディスタンスは公称値1.8mm、実測値1mm前後となりました。マウスパッドによって数ミリ変動しますが、十分に短いと言えます。
マウスソール
マウスソールは上部に横長のものが1枚、下部にU字のものが2枚。替えのソールが1セット付属しています。保護シールを剥がすことを忘れずに。イメージを撮影した時点では既に貼り替えてしまっていますが、マウス本体の横に写ったものがDM1 FPS標準のマウスソールです。滑り・止めともに標準ソールとしては妥当なもので、やや滑りを犠牲にして止めやすくなったものとなります。
底面の切り込みは大きなスペースが取られているので、汎用マウスソールへの貼り替えが容易に行えます。筆者はエアーパッドソール(楕円型, 0.65mm厚)に貼り替えています。標準ソールの傾向が好みに合わない方は検討してみてはいかがでしょうか。
ケーブル
DM1 FPSには標準で、柔らかくて軽い シューレースケーブル(靴紐ケーブル) が備わっています。これらの標準ケーブルは筆者は”疑似パラコード”と呼称しています。従来のビニールや編組ケーブルと比較するとフレキシブルで、操作時に有線特有の煩わしさを感じづらいものとなっています。根本から柔らかいので、マウスバンジーと併用することで無線マウスの操作感に近づきます。
ただし、他の疑似パラコードと比べるとやや芯が残った感じはあります。疑似パラコードを標準で備えたものを使用している方や、パラコードに換装した方にとっては、満足できない可能性があります。
ソフトウェア
「Dream Machines DM1 FPS」はソフトウェアに対応しており、400~12,000のDPI調整(200刻み)、125/250/500/1000Hzへのポーリングレート切り替え、各ボタンへのキー・マクロ割り当て、LEDライティング設定が可能です。
Dream Machines DM1 FPS ドライバー ダウンロード:
https://www.dreammachines.pl/en/drivers
日本語には対応していませんが、最低限の用語が理解できる方であれば操作に迷わないでしょう。ソフトウェアを起動した瞬間に表示される1ページでそれぞれの設定が完結するので、スムーズに設定を進められるのではないかと思います。
結論とターゲット
「Dream Machines DM1 FPS」は、ハイエンドセンサーPixart PMW3389を備え、1mm前後のリフトオフディスタンス、中型サイズながら83g(ケーブル除く)の軽量設計と、仕様・スペックに魅力アリ。高性能ながら6,000円台後半で入手できるコストパフォーマンスの高さも見逃せません。
左右対称型のSenseiクローン形状は、つかみ持ち・つまみ持ちユーザーにオススメ。サイズ感は適切ではあるものの、かぶせ持ちはやや癖があるので見極めが必要です。マウス後部や先端にかけて低くなっていく、全体的に平べったい形状が好みな方であれば、是非試してみてほしいゲーミングマウスです。
以上、Dream Machinesのゲーミングマウス「Dream Machines DM1 FPS」のレビューでした。