Xtrfy M8 Wireless レビュー
本稿では、Xtrfyのゲーミングマウス「Xtrfy M8 Wireless」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: Xtrfy Japan
Xtrfy M8 Wirelessについて
製品仕様とスペック
カラー | 5種類 | 表面 | マット |
---|---|---|---|
形状 | 左右対称 | サイズ | 60.5 x 118.0 x 38.5mm |
本体重量 | 55g | ボタン数 | 5つ |
センサー | PixArt PAW 3395 | 解像度 | 最大26000DPI |
最大加速度 | 50G | 最大速度 | 650IPS |
ポーリングレート | 1000Hz | エンコーダー | – |
デバウンス | 2 / 4 / 8 / 12ms | スイッチ | Kailh GM 8.0 |
接続方式 | 2.4GHzワイヤレス | ケーブル | パラコード |
ソール | PTFE | ライティング | 非搭載 |
ソフトウェア | 不要 | メーカー保証 | 1年間 |
パッケージと内容物
Xtrfy M8 Wirelessのパッケージの内容物は以下の通り。
- Xtrfy M8 Wireless マウス本体
- USB Type-C to USB Type-A ケーブル
- 延長アダプタ
- USBレシーバー
- 交換用PTFEソール
- 取扱説明書/ステッカー
バリエーション
Xtrfy M8 Wirelessは5種類のカラーを展開しています。以前のシリーズにもあったBLACK・WHITE・RETROの3色に、新色FROSTY MINT・FROSTY PURPLEの2色が加わっています。
パフォーマンス
接続とバッテリー
接続方式
Xtrfy M8 Wirelessは2.4GHzワイヤレスに対応しています。付属のUSBレシーバーをPCに接続し、マウス底面のスイッチを「DT」に切り替えると動作します。延長アダプタとケーブルが付属しているため、マウスとレシーバーの距離を近づけて使用することができます。
検証中、ワイヤレス接続で正常に動作し、長時間連続で使用していても不具合は発生しませんでした。
バッテリーと充電
Xtrfy M8 Wirelessは最大75時間の連続動作に対応しています。こまめにバッテリー残量を気にする必要はありません。また、マウスを動かさないまま一定時間経つとスリープモードに移行するので、余計なバッテリー消費は防げます。
注意点として、充電用のUSB Type-C端子がマウス本体後部の右側に搭載されているので、他のワイヤレスマウスのように充電しながらゲームプレイすることは不可能です。充電し忘れない限りは特に問題無いので、個人的には端子がどこに搭載されていようが気になりません。
ビルドクオリティ
Xtrfy M8 Wirelessはビルドクオリティに優れています。
55gの軽量設計ながら高い堅牢性を誇ります。指で押し込んでも、グリップ時に強い力を加えても、シェルがたわんだり軋み音が鳴ることはありません。
また、トップシェルとサイドシェルの継ぎ目がほぼ見えないことから、シェルの組み立て精度が高いこともうかがえます。ゲームプレイで使用するうえでの不安要素は皆無と言えます。
グリップ性能
Xtrfy M8 Wirelessの表面は、若干ザラつきのある乾いた質感のプラスチックです。グリップ性能はかなり低く、全体的に丸みを帯びていることもあり、指先や手のひらをうまく固定できずスッと滑ってしまう場面があります。手が乾燥していたり手汗の量が多いと、特に滑りやすいように感じます。
指や手のひらの滑りを防ぎたい場合、グリップテープなどによる対策が必須となります。XtrfyはLizard Skinsと提携した各マウス専用グリップテープを展開しているので、M8 Wireless用の発売を待つといいかもしれません。
本体重量
メーカー公称値55g、RETROの実測値は54.5gでした。
Xtrfy M8 Wirelessはミディアムサイズよりも一回り小さめなゲーミングマウスなので、最近出てきているマウスの重量と照らし合わせると55gは軽すぎず重たすぎずという印象。それでもソリッドシェル採用で堅牢性が高いことを考えると優秀です。
重量バランス
重心はセンサー付近、ほぼ中心にくるよう調整されています。
大半のゲーミングマウスはこれと同じように重心が中央辺りに調整されているので、他のマウスからXtrfy M8 Wirelessに乗り換えても違和感は出づらいと言えるでしょう。
形状と大きさ
Xtrfy M8 Wirelessの寸法は60.5 x 118 x 38.5mmで、スモールサイズに分類されます。
つかみ持ち・つまみ持ちに適した形状で、本体後部と両サイドの丸みを帯びたシェイプは、手のひらや指先でマウスを支えるときに干渉するのを防ぎます。実は、この本体後部と両サイドのシェイプは「Logicool G PRO X SUPERLIGHT」とほぼ同じ。そこから本体幅をやや短くして先端を丸く切り落としたのがXtrfy M8 Wirelessです。 ※GPSL小型版という意味合いではありません
最大の特徴は、フロントの背の高さがわずか4mmまで抑えられていること。先端に指を置くわけではないので4mmという数値自体に意味はありませんが、結果的にメインボタンに急な角度がついているのが他のマウスでは見られないポイント。これによって、指を下に降ろすのではなく自然に指の関節を曲げる(指先を手前に引き込む)ようにしてクリックすることが可能で、つかみ持ち・つまみ持ちのような指を立てる持ち方との相性を高めています。
横から見ると、本体後部から真ん中にかけては意外に背が高いことが分かります。平均的な手の大きさであれば、つかみ持ちで窮屈に感じない程度のサイズ感です。トップは全体的に丸みを帯びていて、これといって指のガイドとなるような窪みはありません。細部をもう少し作り込むと化けそうな形状だと個人的には感じますが…。
サイドは前述の通りGPSLとほぼ同じ。本体幅は後部が60.5mmに対して真ん中が59mmと僅かに窪んでいます。意外と高さがあって指の置き場に困ることはなく、スモールサイズのマウスにしてはゆとりがあるように感じます。
他社製ゲーミングマウスとの比較
Logicool G PRO X SUPERLIGHT:
Xtrfy M8 Wirelessの本体後部と両サイドのシェイプは「Logicool G PRO X SUPERLIGHT」とほぼ同じで、そこから本体幅をやや短くして先端を丸く切り落としたようなシェイプ。
持ち方の相性
前置き:筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。
かぶせ持ち
かぶせ持ちとの相性は悪くありませんが、手が小さめでなければ窮屈に感じます。
つかみ持ち
つかみ持ちは相性が良いですが人を選びます。本体後部・サイドともにGPSLにそっくりな丸みを帯びたシェイプ。浅めにグリップすると工夫してもフィット感を感じられず、シェル表面の滑りやすさも相まって快適ではありません。
いわゆる”かぶせ寄りのつかみ持ち”のように深めに握り込み、ホイール奥辺りに置いた人差し指・中指を手前(手のひら側)に引き込むように意識すると、指と手のひらでしっかりと挟み込んで固定でき、他のマウスにはない手にすっぽりと収まる感覚があります。
また、クリック時に人差し指・中指を下に降ろすのではなく、自然と指の関節を曲げる(手のひら側に指を引き込む)ようにしてメインボタンを押し込めるので、余計な力が入らず操作面でも快適です。さらに、グリップテープで滑り対策をするとグリップの安定性・クリックの精度ともに高くなります。
グリップする深さがやや限定的(やや深めに握り込むことを強いられる)で、手のひらや指先にフィット感は得られませんが、メインボタンの押下が容易なこともあり操作性は良好です。右クリックを連打しなければならない『League of Legends』をはじめとするMOBAにも適しています。
つまみ持ち
つまみ持ちとの相性は悪くありません。しかし、指先が滑りやすいのでグリップテープによる対策は必須となります。また、メインボタンは丸みを帯びており、サイドは僅かにしか窪んでいないため、指のガイドとなるような造形がなくフィット感は得られません。裏を返せば、指をどのように配置しても違和感が出づらく、持ち方を限定されないとも言えます。
全長が短いのでマウス本体後部と手のひらの間に大きなスペースが生まれ、指の関節を曲げてマウスを上下に動かすときの可動域が広く確保できます。本体幅も狭すぎず広すぎず、無理に指の関節を曲げることなくマウスを固定できます。
Xtrfy M8 Wirelessはフロントの背が低いことを特徴の一つとしていますが、つまみ持ちで浅めにグリップしたときに指先がくる位置のフロントの高さは他マウスと比べて同等かやや高い程度になります。なるべく深めにグリップして人差し指・中指をホイールの奥側辺りに配置する方がこの形状の恩恵を受けやすいのではないかとも感じます。
スイッチ
メインボタン
メインボタンのマイクロスイッチにはKailh GM 8.0が採用されています。押し心地はやや硬めで、しっかりとした感触です。跳ね返りは強すぎず弱すぎず、連打もホールドも行いやすいです。クリック音はやや低めで、全体的なフィーリングは良好です。
メインボタンが分離したセパレートタイプになっており、押し込む場所によるクリック感の変化が抑えられています。手前側にいくにつれて押下圧と跳ね返り感がわずかに増すものの、ホイールより手前側を押し込んでもそこまで大きな変化がなく、浅めのつまみ持ちでも問題無くクリックできます。
デバウンスタイムを2 / 4 / 8 / 12msで調整できます。十分な設定幅が用意されており、好みに合わせて細かく調整できます。筆者の環境ではデバウンスタイム2ms設定で正常に動作することを確認しています。
サイドボタン
サイドボタンは細くて横に長いタイプ。本体からしっかりと飛び出しています。エッジは面取り加工がされており、親指をスライドさせてもボタンに引っ掛かることはありません。ボタンの配置は適切で、かなり浅めのつまみ持ちを除いて両方のボタンに指が届きます。
押し心地は柔らかめで、親指で軽く押し込むだけで反応します。マイクロスイッチ特有のカチッと歯切れの良い感触で、とても優れたフィーリングです。FPSでキャラクター操作にかかわる重要なキーを割り当ててもうまく機能します。
ホイール
ホイールは本体からしっかりと飛び出ています。等間隔に凹凸があるゴムリングは指に引っ掛かりやすく回しやすいです。ライティングゾーンは設けられておらず、従来のXtrfy製マウスに採用されていたリングとは異なるものです。
やや鈍くゴロゴロとした回し心地で、しっかりと分離感が感じられるタイプ。ハッキリとしたノッチ感があり、連続したスクロールも細かな操作も行いやすいです。
ホイールクリックはやや固め。しっかりと押し込む必要があり、ホイールに指を伸ばしたときに誤作動することはありません。クリック時の感触も良くて使いやすいですが、頻繁に使用するキーをバインドするには固すぎるように感じます。
センサー
Xtrfy M8 Wirelessは、PixArt製のフラッグシップ光学式センサー「PixArt PAW 3395」を搭載しています。最大26,000DPI、最大速度650IPS、解像度50~26000DPIに対応。初期DPIは400 / 800 / 1600 / 3200の4段階で、本体底面のスイッチをCPIに合わせた状態で底面のボタンを押すと切り替わります。
センサーの挙動を可視化するツール「Mouse Tester」での検証に加え、『VALORANT』と『Apex Legends』でもプレイテストを行った結果、センサーが正常に動作していることを確認できました。
* 付属の延長アダプタ・ケーブルを使用し、マウス本体とUSBドングルを近付けた状態で検証。DPIは400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッドは「BenQ ZOWIE G-SR-SE Rouge」。環境によって結果が変動する可能性があるので、あくまで参考程度にお願いします。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
センサー配置
Xtrfy M8 Wirelessのセンサーはマウス本体の真ん中に搭載されています。
個人的にはセンサーがフロント寄りに実装されていると嬉しかったです。本機はフロントの高さを4mmと極限まで抑えたことで、通常のマウス形状よりも深めに握り込んでもメインボタンに違和感が出づらいことを利点としているように感じます。もっとフロント寄りに実装すれば、センサー手前側に潜ることによるカーソル移動量の変化を抑えられた(防げた)のでは・・?
* センサーの位置が変わると、手首を支点にしてマウスを動かしたときのカーソルの移動量に差が出ます。一般的には、手首の動きを細かく捉えられることから、センサーが真ん中よりも前側に寄っているものは優れているとされており、後ろ側に寄ったものは好まれない傾向にあります。
マウスソール
Xtrfy M8 Wirelessにはデフォルトで横長のPTFEソールが上下に2枚貼り付けられています。パッケージには同じ交換用ソールが1セット付属しています。厚さは実測値0.79mmでした。
これはM4やM42に採用されているソールと同じ、滑りと止めのバランスに優れたものです。それなりに滑り、低速時の摩擦感はやや大きいです。エッジはうまく処理されていますが、ボトムシェルのソールガイドの背が高く、中間層が柔らかいマウスパッドと組み合わせると沈み具合によっては擦れ感が生じます。底面研磨すれば快適に使えそうですが、保証対象外となってしまうので注意。
設定・ソフトウェア
Xtrfy M8 Wirelessはソフトウェア不要で、本体のみで設定が完結するプラグアンドプレイ設計です。DPIやポーリングレートといった基本的な設定から、デバウンスタイムやリフトオフディスタンス(LoD)などの細かな設定まで対応しています。
DPIステージは 400 / 800 / 1200 / 1600 / 3200 / 4000 / 7200 / 26000 の8段階、ポーリングレートは125 / 500 / 1000Hzから選択可能です。デバウンスタイムは2 / 4 / 8 / 12msの4段階で、最低値2msでの正常な動作を確認済み。リフトオフディスタンスは1 / 2mmの2段階調整に対応しています。
本機が搭載するPixArt PAW 3395は同期トラッキング機能「Motion Sync」に対応しており、本体のボタン長押しによるオンオフが可能です。これは、本来多少のズレがあるマウスセンサーの検知タイミングとPCの信号受信タイミングを同期し、より正確なトラッキングを実現するといったもので、だいたい1msほどの入力遅延が発生します。筆者の環境ではポーリングレート1000Hzで正常な動作を確認しています。
コアゲーマーが求める機能は一通り揃っていて、ソフトウェアをインストール・起動することなく調整できるのはとても手軽で良いと思います。サイドボタンへのキーバインドもゲーム内で完結しますし、ゲーム用途では一切困ることはないでしょう。
結論とターゲット
Xtrfy M8 WirelessはこれまでのXtrfy製マウスと打って変わって、LEDライティングや前面ボタンなどを削ぎ落としたシンプルな仕様のゲーミングマウスです。穴無しのソリッドシェル採用ながら本体重量は55gと軽量。さらに堅牢性・シェルの組み立て精度も高く、優れたビルドクオリティを有しています。
フロントの背の高さをわずか4ミリに抑えるという新しい試みを行った結果、従来のマウスのようにクリック時に指を下に降ろすことなく、自然と指の関節を曲げるようにメインボタンを押下できるのが特徴です。余計な力が入りづらく、連打も容易におこなえます。人間工学に基づいた設計であるように感じます。
ただし、このフロント設計が深めに握り込むのに最適化されており、その影響で持ち方やグリップする深さをかなり選ぶ印象です。サイズ感はやや小さく、形状自体はつかみ持ち・つまみ持ちに適していますが、浅めにグリップするのに慣れている方には不向きです。クオリティの高い軽量ワイヤレスマウスですが、人を選ぶ形状がネックとなっており、それさえ好みに合えば替えの利かない一台になるのは確かです。
総合評価4.0 out of 5.0 stars
優れたビルドクオリティ
十分なバッテリー持続時間
55gの軽量設計
適切な重量バランス
優れたクリック感
押しやすいサイドボタン
分離感のあるホイール
高精度なセンサー
ローフロントの利点が活きないシェイプ
表面のグリップ性能が低い
以上、Xtrfyのゲーミングマウス「Xtrfy M8 Wireless」のレビューでした。
面白い形のマウスですね。見た目が美しいです。掴み持ちだとボタンの角度が良さそうです。
Pulsar X2 Miniもレビュー待ってます
もうすぐ出ます
クリックの角度が良い意味でヤバいね
奥のほうを持つと、指全部の位置がかなり近くなってすべての指の力が1点に集まっている感じがする
これは指の真下にセンサー位置が来てほしかったですね。多分ペンみたいなイメージで動かせたと思う