「Razer DeathAdder V2 Mini」レビュー。想像よりも遥かに小さい、デスアダーの小型軽量版
本稿では、Razer(レイザー)のゲーミングマウス「Razer DeathAdder V2 Mini」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: GRAPHT
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製品仕様と外観
ここ最近のゲーミングデバイス事情についてざっと振り返ると、新興メーカーが目新しい製品を次々と発表していた反面、大手メーカーは腰が重たい(変化がない)と感じることが多々ありました。しかしRazerに限っては違ったように思います。
無印Viperの発表辺りからでしょうか、トレンドをいち早く抑えた製品展開が目立ち、ゲーミングデバイスの情報を熱心に追いかける層からも再び注目を浴びています。今回は、そんなRazerの最新作である「Razer DeathAdder V2 Mini」をチェックしていきます。
Razer DeathAdderシリーズといえば、全世界で累計1,000万台を売り上げたゲーミングマウス。既に多くのユーザーに使用されている実績がある通常版に対し、V2 Miniはどのような層に向けた製品なのかも気になるところ。早速見ていきましょう。
DeathAdder V2 Miniは、計6ボタンを備える左右非対称ゲーミングマウス。
カラー展開はブラックの1種のみ。表面コーティングは、通常版にあたるDeathAdder V2では両サイドに滑り止めラバーが貼り付けられていたのに対し、DeathAdder V2 Miniは全面プラスチック。Viper Miniと同じです。
左右メインボタンと両サイドに貼り付けられるグリップテープが付属しています。
デスアダーの小型軽量版という位置付けのDeathAdder V2 Miniですが、通常版と比べて驚くほど小型化されています。寸法は幅56 全長114.2 高さ38.5mm。
形状を4方向からチェック。Viperの小型版であるViper Miniはサイズを縮小するにあたって形状に若干のテコ入れが見られたのに対し、DeathAdder V2 Miniはまんま小さくなったと言っていいでしょう。
本体重量は公称値62g、ケーブルを含む実測値が61.9gでした。以前のRazer製ゲーミングマウスのレビューで何度も触れていますが、高いビルドクオリティを保ったまま、肉抜き無しでこの重量というのは価値があります。
センサーには最大8,500DPIに対応するPixArt PMW3359を採用。念のため解説しておくと、Razerの小型シリーズ”Mini”はエントリー向けという位置付けで、価格は安いのですが、搭載されているセンサーの性能は低め。それゆえ、以前公開したViper Miniレビューではリフトオフディスタンス(LoD)の長さを欠点として挙げています。
その他、Razer製デバイスの統合ソフトウェア「Razer Synapse」に対応しています。
スペック&ギャラリー
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パフォーマンス
持ち方の相性・操作感
DeathAdder V2 Miniは、DeathAdderをそのまま小型化した形状です。もともと大サイズに分類されるゲーミングマウスが土台とはなっているものの、おそらく想像する以上に小さいです。
また、そもそもDeathAdder自体がかぶせ持ちに最適化された形状なため、それをまんま小型化したところで「どの層に向けたもの?」という疑問が真っ先に浮かんでしまうのですが…。とりあえず前提として平均的な手のサイズならばつまみ持ち以外難しいです。
上記を踏まえたうえで、一般的とされる持ち方3種類との相性をチェックします。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズです。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。
かぶせ持ち
小さくなったとはいえ人間工学に基づいて設計されたエルゴノミクス形状のDeathAdder、やはりもともとかぶせ持ちと抜群に相性が良いこともあり、非常に手が小さい方ならばジャストフィットするかと思います。
”手が小さい方向け”と言ってもアバウトすぎるので、知り合いを集めて実際に検証したところ、手の大きさが幅7.4cm 長さ17.2cmの友人にとってちょうどいいサイズ感とのことでした。目安として、女性の平均的な手の大きさより僅かに大きいくらいです。
筆者の手の大きさだと、どう工夫してもまともにグリップできません。念のために改めてお伝えしておきますが、おそらく通常版DeathAdderと比べて想像以上に小さいので注意してください。
つかみ持ち
筆者の手のサイズでは、つかみ持ちは相性が悪いです。開封して握った段階では「深めに握り込むとある程度はグリップできるかな?」と感じたのですが、設計上そのような持ち方は想定されていないようです。
どういうことか解説すると、深めに握り込んだときに他のマウスと比べてセンサーの位置が下の方にずれ込むため、手首を支点にしたときにカーソルが鈍く感じるなど、カーソルの動きに大きなズレが生じるのです。
つまりかぶせ持ちと同様、手が小さい方に向けたものになるかなと。
つまみ持ち
つまみ持ちは相性が良いです。両サイドに指先が落ち着くポイントがあるのと、マウスと手のひらの間に十分なスペースが空くほど背が低いため、指の関節を使うような細かな操作も行いやすいです。
違和感なくグリップできる大きな理由として、以下の2つの条件がほとんど同じことが挙げられます。既に通常版のDeathAdderを所持しているは試してみてください。想像がつきやすいかなと思います。
- DeathAdder (通常版)をつかみ持ちしたときの両サイドの指先の配置
- DeathAdder V2 Mini (小型版)をつまみ持ちしたときの両サイドの指先の配置
ただし両サイドの材質がまんまプラスチックなため、付属のグリップテープを貼り付けないと指が滑りやすいです。特に親指側。
ボタン配置・クリック感
メインスイッチ
Razer独自の光学式スイッチ「Razer Optical Switch」を採用しています。好みが分かれづらそうな軽い押し心地で、ストロークは短く、跳ね返りの強さも適切です。優れたクリック感だと思います。
ガワの形状が影響してか、DeathAdder V2と比較してアソビが少ない詰まった押し心地となっています。ちなみに右クリックの方がストロークが長いですが、ほんの僅かで気にならない程度です。
サイドボタン
サイドボタンは少しだけ固め。底が浅く、詰まったような押し心地です。手前側と比べて奥側の方が固いため、個人的には指先で押すには少し辛いと感じます。
また、ボタンの配置は適切です。左サイドの最も窪んだ部分にサイドボタン2つの切れ目がくるので、つまみ持ちでも親指が両方のボタンに届きます。
ホイール
ホイールはやや弱めのノッチ感、回し心地も軽め。Viper Miniとほぼ同じ操作感で、DeathAdder V2よりかは僅かに明瞭です。ホイールクリックは非常に押しやすいです。ちょうどいい固さで、押下時に歪むこともありません。
センサー挙動・リフトオフディスタンス
DeathAdder V2 Miniの搭載センサーはPixArt PMW3359です。ソフトウェアから最大8,500DPI(100刻み)の調整が可能なほか、簡易的なキャリブレーション(既存のRazer製マウスパッドを選択する形)にも対応しています。
例のごとく、Mouse Tester でセンサーの正確性を検証。DPIは400/800で、ポーリングレートは1000Hz、複数のマウスパッド上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
MouseTester: xCounts
MouseTesterで検証した結果、比較的綺麗な波形が出ています。『Apex Legends』と『VALORANT』を中心にプレイしましたが、トラッキングに違和感は生じず、実用上の問題は一切感じませんでした。
リフトオフディスタンス (LoD)
マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。
何も設定せずマウスパッド「PureTrak Talent」上で計測した結果、DeathAdder V2 Miniのリフトオフディスタンスは2.2mmでした。前述の通り、エントリー向けという位置付けなため、搭載されているセンサーの性能が低いことが欠点として挙げられます。
ソフトウェアから既存のRazer製マウスパッドを選択する形でキャリブレーションが行えます。他社製のマウスパッドを使用している場合は、センサーの動作が良好かつLoDが短くなるものを選択すると良いと思います。
筆者の場合、PureTrak Talent上で「Goliathus Control」を選択してLoDを1(最短)に設定したところ、LoDが約2.0mmまで短縮しました。これ以上短い数値を求めている場合、ソールの重ね貼りなどで対策する他ありません。
マウスソール
マウスソールは厚さ0.8mmの100%PTFE(テフロン)製が採用されています。品質が高いです。DeathAdder V2では大型ソールが上下に2枚だったのに対し、DeathAdder V2 Miniでは上側が2つに分割されています。
LoDを短縮するために重ね貼りする場合、標準ソールを活用できないという難点有り。
ケーブル
直近のRazer製ゲーミングマウスに搭載されているパラコードケーブル「Speedflex Cable」が採用。自身で取り付ける交換用パラコードケーブルと比べると芯が残っていて固いですが、標準ケーブルとしては十分。
とても細かいところに触れると、これより以前に発売されているDeathAdder V2やViper、Viper Miniなどと比べて外側の布が太めに巻かれており、余りが緩んでいるところが気になるかなと。
ソフトウェア
DeathAdder Mini V2 は、Razer製デバイスの統合ソフトウェア「Razer Synapse」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。
Razer Synapse:https://www2.razer.com/jp-jp/synapse-3
主な設定項目は、6ボタンへのキー・マクロ割り当て、最大8,500DPI(100刻み)の感度調整、4段階のポーリングレート切り替え、LEDライティングに関する設定、キャリブレーション(既存のRazer製マウスパッドから選択)など。
エントリー向けの製品としては豊富な設定項目が用意されています。
結論とターゲット
「Razer DeathAdder V2 Mini」について詳しく見てきました。去年の時点で1,000万台を超える販売台数から幅広い層にリーチしていることは既に証明済みなDeathAdderですら小型軽量版が出てくるんですから、本当に時の流れを実感しますね。
正直なところ平均的な手の大きさではつまみ持ちでしか運用できないため、従来のDeathAdderのサイズ感が好みな方はまず選択肢から外れるのかなと。肝心のつまみ持ちでは、DeathAdder通常版のつかみ持ちと指先の配置がほぼ同じになるので違和感が無いです。ただ好みは分かれそうというか、これじゃなくて良くない?感が否めません。
一方で「DeathAdderがあまりに大きすぎる」と感じるような方々、それこそ手のサイズが~17cm前後の方にとっては待望のかぶせ持ち・つかみ持ち向けマウスであることは間違いないです。このサイズ感のIE3.0クローンって無いですからね。
デスアダーと聞くとつい本能で欲しくなってしまう方も多いかと思いますが、ターゲットは上記のごく限られた層向けです。それに加え、Viper Miniと同じ廉価センサーを搭載したことによるLoDの長さは懸念点となります。まあエントリー向けの製品ということで妥当な価格設定にはなっているので、興味本位で手にするのはアリなのかなと。
以上、Razer(レイザー)のゲーミングマウス「Razer DeathAdder V2 Mini」のレビューでした。