Ninjutso Sora V2 レビュー
ます。Ninjutsoのゲーミングマウス Ninjutso Sora V2 をレビューします。
レビュー用サンプル提供:Ninjutso
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この製品について
軽さこそ正義と考えるユーザーが増えてきたこともあり、現在のゲーミングマウス市場はいかにクオリティを保ちつつ軽量化できるかに焦点が当てられています。
直近では穴無しで43gの中型エルゴノミクスマウス Sprime PM1が大きな話題を呼びましたが、続けてNinjutsoも穴無しで約40グラムを実現した Sora V2 を発表しました。
一体どのようなゲーミングマウスなのか詳しく見ていきます。
コーティング
マウスシェルはポリカーボネート素材で造られたものです。質感や手触りなどは一般的なマウスのシェルと変わりません。そしてコーティングは質感の良さと滑りづらさを両立しています。
表面に充分なグリップ力があるので、指先や手のひらを一度決めた位置で保持できます。あまりに手が乾燥していない限り、グリップテープなどで対策する必要は無いと思います。
長時間使っていてもべたつきづらくて快適です。手持ちのホワイトだと汗や皮脂による汚れも目立ちづらいですが、ブラックは試していないのでどうなるか分からないです。
本体重量
本体重量は公称値39g、実際に測ってみるとマウスソール無しで39.4g、付属の大型マウスソールを貼った状態で41.0gでした。
これまで40g前後のゲーミングマウスといえば Finalmouse Ultralight X LionやWLmouse BEAST X、G-Wolves HTX 4Kなど小さいサイズしか選択肢がなく、軽さを重視してゲーミングマウスを選ぼうとしたときに手のサイズや持ち方が限られてしまっていました。
Sora V2はやや小さめのミディアムサイズで、超軽量ながらあらゆる手のサイズや持ち方に対応するのが強み。
筆者自身、これまでの小さいサイズの超軽量マウスは持ち方を変えて使っていたのですが、Sora V2は普段通りの深めのつかみ持ちで使えるので満足感がまるで違いました。
ここまで軽いとはっきりと感覚の違いが分かります。とにかく軽いので動かし始めるのに力が要らず、慣性が働きづらいので動きを止めやすいです。すっと動かせてびたっと止められる感じ。
しかし、手の小刻みな震えやブレがそのままマウスの動きに反映されやすいので、操作難易度は上がるように思います。これはマウス感度を落としたり、ある程度柔らかいマウスパッドを使うことで軽減できました。
強度
最近のゲーミングマウスは強度を保ちながら軽量化することに焦点が当てられています
Sora V2はたった40グラムながら頑丈に造られています。
指先がくる部分がしっかりと補強されていて、特にサイドはいくら押し込んでもたわみません。強い力で握ったときに軋むような音が鳴ることもありません。
細かいことを言うと、メインボタンのシェルが左右に少し揺れたり、ホイールを左方向に押すと傾いたりします。神経質な人は気になるかもしれませんが、普通に使っていて気にならないです
バッテリー
バッテリー持続時間は最大80時間を謳っています。
ソフトウェアからバッテリー残量を1%単位で確認できます。
それぞれの設定でゲームを合計10時間プレイして、バッテリー残量を1時間おきに記録してみたところ、以下の時間バッテリーが持つ計算となりました。
- ポーリングレート:1000Hz 競技用モード:OFF MotionSync:ON = 約76時間
- ポーリングレート:1000Hz 競技用モード:ON MotionSync:ON = 約52時間
形状と大きさ
Ninjutso Sora V2は Soraの形状に微調整が加わったものです。Soraの土台は崩さないまま、手のひらで支える深めのつかみ持ちとの相性が高まっています。
主に手のひらが当たる部分が変更されているので、つまみ持ちや指の付け根で支える浅めのつかみ持ちの場合はほぼ影響なく、Soraと同じ感覚で使えます。
寸法は 59 x 119.2 x 37.3mmで、ミディアムサイズ~スモール。
Sora V2は本体の後ろ端がカットされ、旧型よりも全長が約2mm短くなりました。つかみ持ちをしたときに手のひらに触れる「コブ」と呼ばれる部分の形が少し変わっています。
旧型は後ろ端にちょっとした出っ張りがあって、深めのつかみ持ちをしたときに若干手のひらに収まりづらい形状をしていました。
Sora V2は後ろ端の出っ張った部分がカットされたことで、コブが丸みを帯びています。これによって手のひらへの収まりが良くなり、マウスを包み込むように持つことができるようになりました。
側面には緩やかなカーブがあり、わずかにくびれています。
真ん中から前側にかけては程よい逆ハの字になっています。持ち方を制限される感じもなく、ある程度自由に持てます。
巷では側面が変わったとか変わってないとか言われています
側面のくびれや逆ハの字の角度は変わっていないように感じます。もし変わっていたとしても、それは人間の感覚では違いに気付くのが困難なくらい僅かな差だと思います。
旧型の感覚のまま握り込んだとき、後ろ端が短くなったぶん旧型より新型のほうが深めに持つことになったするので、人によって持ち方にバラつきが出て感じ方が変わっているのかも。
メインボタンがU字状に窪んでいます。Soraは水平でした。
これによって人差し指と中指の位置が定まりやすくなっています。
その他の変更点として、かなり影響が少ない部分ではありますが、上から見たときに最も幅が広がっている部分の出っ張りが少し削られています。これによって寸法上の幅が狭くなっています。
平均的な手の大きさ 幅9.5cm 長さ18.5cm で深めのつかみ持ちで使えます。すっぽり手に収まるサイズ感で、ZOWIE ZA13に近い感覚で手のひらで包み込むようにして持てます。
側面には程よい角度がついていて、指を添えるだけで引っ掛かって持ち上がります。Endgame Gear XM1 や Lamzu Atlantisほど角度がきつくなく、指先に力が入りすぎないように感じます。
Lamzu Atlantis Miniの逆ハの字の角度を弱めたもの、という表現が一番しっくりきます。
ここまで軽くてフィット感する左右対称マウスは現状無いです。文字通りマウスと手が一体化したような感覚が得られます。
マウスソール
Sora V2はマウスソールが貼られていない状態で梱包されています。パッケージに大型と小型のマウスソール2種類が付属しており、好みなほうを選んで使える仕様です。
他のマウスとは違って自分でソールを貼るという若干の手間は掛かりますが、始めから好きな形のソールを使えて、なおかつ確実にもう片方の1種類を残しておけるのは個人的に大きいです。
表面に艶がある純白のPTFEソールです。艶のあるタイプは削れづらく長持ちする印象があります。
マウスソールには充分な厚みがあり、マウス底面からしっかりと飛び出ているので、よほど柔らかくて分厚いマウスパッドと組み合わせない限りはボトムシェルが擦れません。
エッジにしっかりと角度がつけられていて、多少沈み込んだ状態でも引っ掛からずスムーズに動かせます。
大型マウスソールのほうを試してみましたが、初動は軽く、滑りは控えめでした。マウスパッド表面の質感によって滑走速度が変化しやすいように感じました。粗めだと比較的滑りが速く、滑らかだとしっかりと滑りが鈍くなる印象を受けました。
標準ソールはかなり満足のいくものでした。マウス本体がとても軽いので、こういう制御しやすいソールが合っていると思います。サードパーティ製のソールに貼り替える必要性は感じません。
ボタン
左右メインボタン、前後サイドボタン、ホイールの5ボタンという最小限の構成です。
メインボタン
メインボタンにはOmron Opticalが採用されています。Soraシリーズの1つ前のモデル Ninjutso Sora 4K や、Sprime PM1などに採用されている光学式スイッチです。
光学式スイッチにはゼロデバウンスでチャタリングが発生しないという大きな利点があるものの、クリック感や音が独特なので好みが分かれがちな部分があります。
RazerやPulsarなどの光学式スイッチ搭載モデルは、クリックしたときに独特な粘り気があり、カチッと押し込む瞬間の反動がとても大きく、1回押すごとに発する音も大きいです。光学式スイッチを使ったことのある人がイメージするのは大体これだと思います。
一方で、Omron Opticalを搭載した機種はその真反対とまではいきませんが、既存の光学式スイッチ搭載モデルとは全く異なる押し心地になっています。クリック音が小さく、高くて鋭い音が鳴るのが特長です。また、カチッと押し込む瞬間の反動もかなり控えめになっています。
クリックは少し柔らかめです。押したり離したりするたび指にはっきりとした感触が返ってくるので、クリックしたタイミングを自身で掴みやすく、ゲームの操作に適していると思います。
ボタンを押す位置による感触の変化も小さいです。付け根に近い部分じゃない限りは浅い位置でも楽に押し込むことができます。浅めに持つ人も快適に使えると思います。
サイドボタン
サイドボタンは本体の前寄りに付いています。かなり浅めにつまみ持ちする人は前側のボタンに指が届かない可能性があります。
押し心地はSora 4Kに近いです。固すぎず柔らかすぎず、ちょうど良いです。
プリトラベルはほとんどないですが、ポストトラベルが長いです。奥まで押し込もうと思えば押し込めるといった感じなので、大半の人は気にならないと思いますが、サイドボタンを押すときに親指に力を籠めがちな人は影響があるかもしれません。
ホイール
使い始めはとても固かったのですが、10日ほど使い込むと随分と緩くなり、とても軽い回し心地になりました。ぼやっとした弱めのノッチ感があります。
ちょっと回し心地がチープな感じがしますし、ホイールを左に押すと傾いたり、上下で結構感触が違ったり、少し不安定な感じはします。実用上は問題ないんですが、ヘタるのが早い気がします。
ホイールクリックは固すぎず柔らかすぎず。こちらは安定していて文句無しに押しやすいです。
性能
ポーリングレート
ポーリングレートは最大1000Hzです。後日発売予定の8Kドングルを追加購入することでポーリングレート最大8000Hzでの動作にも対応予定とのこと。
センサー
高性能なワイヤレスマウスでは定番ともいえるPixArt PAW 3395センサーが搭載されています。センサーの位置はマウス本体の真ん中辺りです。
解像度プリセットは400/800/1600/3200dpiで、100~26000dpiの範囲を50dpi単位で調整可能。
DPI偏差はほとんどありません。Logicool G PRO X SUPERLIGHTの800DPIを基準にして測ってみたところ、8DPI多い808DPIとなりました。これは許容範囲内と言えます。
リフトオフディスタンスは充分に短いです。LODをLowに設定して、付属の大型マウスソールを貼った状態でArtisan Zero Mid Daidaiの上で測ってみると0.9mmでした。
遅延
ゲーミングマウスに光学式スイッチを搭載する利点の一つに、チャタリング防止のためにデバウンスタイムを増やす必要がなく、クリック遅延を少なくできるというものがあります。
目安としてポーリングレート1000Hzならクリック遅延が1ms付近だと優秀といえます。
ポーリングレート1000Hz、競技用モードON、Motion Sync Offに設定して測定すると、Sora V2には約2.1msのクリック遅延があることが分かりました。
全体で見ると悪い結果ではありませんが、トップクラスではありません。同じ1000Hzで比較すると、Logicool G PRO X SUPERLIGHTが約1/3の0.7ms、Sprime PM1が約半分の1msです。
おそらくこの状態のままでは、8Kドングル発売後にポーリングレートを4000Hzや8000Hzに設定してもLogicoolやRazer、G-Wolve、Lamzuほど良い結果は得られません。
ソフトウェア
Webベースのソフトウェア NinjaForce にアクセスすると、ブラウザからマウスの設定が行えます。
NinjaForce:https://www.ninjaforce.co/#
各ボタンへのキー割り当て、DPI、ポーリングレート、競技用モードのON/OFF、LOD、Motion SyncのON/OFFなどが行えます。必要な機能は一通り揃っています。
シンプルで分かりやすいレイアウトで、ブラウザからさっと設定を済ませられるのは便利だと感じました。
結論とターゲット
Ninjutso Sora V2について詳しく見てきました。約40グラムと驚くほど軽いうえ、シェルは頑丈で、バッテリー持ちも充分です。程よく滑りづらくて感触の良いコーティングも施されています。
旧型から形状が微調整され、手のひらで包み込みやすくなり、深めのつかみ持ちとの相性が高まったのは良い変更だと思います。ボタンは押したときの感触がはっきりと指に伝わってFPSに適しています。チャタリングも起こしません。
1000Hzの時点ではトップティアーのマウスと比べてクリック遅延がわずかに多いのが気になるところ。2msという数値を見る限りではポーリングレート以外に要因があるように思うので、4000Hzや8000Hzに上げるだけでは遅延が最も少ない機種と肩を並べるのは難しそうです。
何にせよ、このクオリティを保ちながら穴無しで約40グラムの軽量化に成功したという点でNinjutsoは1つやり遂げました。軽さを正義と考えていて、つかみ持ち向けのゲーミングマウスを探しているなら、現時点で試してみて損は無いと思います。
以上、Ninjutsoのゲーミングマウス Ninjutso Sora V2 のレビューでした。