BenQ ZOWIE XL2546X レビュー
BenQのゲーミングモニター BenQ ZOWIE XL2546X をレビューします。
レビュー用サンプル提供:BenQ Japan
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この製品について
ZOWIEは競技向けモニターブランドとしての地位を確立しています。
直近で言えば、XL2566Kは2023~2024年のVALORANT Champions Tour (VCT) PacificとAscensionの公式モニターに採用されるなど、イベントや大会で長期間使われ続けている実績があります。
そんなXLシリーズも年を追うごとに進化を続けています。ZOWIEは従来のXL-Kシリーズに改良を加えたXL-Xシリーズを発表し、リフレッシュレート240Hz対応モデルのXL2546Xを発売しました。
一体どのような製品となっているのか見ていきます。
ZOWIE XL2546Xの基本仕様
基本仕様を見ていきます。画面サイズは24.5インチ、解像度はフルHD (1080p)です。
市場全体で見ると画面が大きくて解像度の高いモニターが主流になりつつありますが、FPSをはじめとする競技系タイトルでは24インチ前後・フルHDのモニターが現役で使われています。
リフレッシュレート240HzのTNパネルを搭載しています。応答速度は0.5msです。
主なスペックは約4年前にリリースされたXL2546Kと同じように見えます。
ZOWIE XL2546Kとの比較
XL-XシリーズとXL-Kシリーズには一体どのような違いがあるのか、XL2546XとXL2546Kのパネルや機能面を比較してみます。
XL2546X | XL2546K | |
画面サイズ | 24.5インチ | 24.5インチ |
解像度 | FullHD (1920×1080) | FullHD (1920×1080) |
リフレッシュレート | 240Hz | 240Hz |
応答速度 | 0.5ms | 0.5ms |
パネル | TN | TN |
表示エリア | 543.744 x 302.616mm | 543.744 x 302.616mm |
画素ピッチ(mm) | 0.28 | 0.28 |
輝度(cd/㎡) | 320 | 320 |
高速液晶パネル | Yes | Yes |
入力端子 | DP 1.4 , HDMI 2.0 x2 | DP 1.4 , HDMI 2.0 x3 |
パネルのスペックはXL2546Kと同じです。入力端子のHDMI 2.0が2つか3つかの違い。
個人的に嬉しかったのが、ディスプレイ背面のインターフェースが横向きになったこと。以前のようにモニターを下から覗き込んだりしなくても、ケーブルをすぐに差し込めるようになりました。
XL2546X | XL2546K | ||
ビジュアル | DyAc | DyAc2 | DyAc+ |
Black eQualizer | V | V | |
Color Vibrance | V | V | |
VRR | VESA Adaptive-Sync | FreeSync Premium | |
セットアップ | 画面設定の共有 | XL Setting to Share Auto game mode対応 |
XL Setting to Share |
S.Switch | 同梱 5way | 同梱 5way | |
UI | 高速動作 | 高速動作 | |
調整機能 | 台座のサイズ | 232 x 178mm | 260 x 178mm |
高さ調整 | 33mm ~ 521mm | 33mm ~ 521mm | |
チルト | -5 ~ 35° | -5 ~ 23° |
また、機能面ではいくつかのアップデートがあります。
ZOWIE XLシリーズの強みともいえる、画面ブレを低減する機能 DyAcがDyAc2にアップグレード。また、ソフトウェア XL Setting to Share に新機能である Auto Game Mode が実装されています。
調整機能
もともと多機能なことで知られるZOWIEモニターのスタンドはXL-Xシリーズで再設計されました。
まずチルトの可動域が大幅に向上しています。最近ではVALORANTのプロ選手 ZmjjKKのモニターの角度が話題になりましたが、それに近い角度で上から覗き込めます。
台座はさらに小さくなり、キーボードやマウスパッドを配置しやすいように設計されています。形にもこだわりがあり、キーボードの斜め置きにも対応します。
また、ベアリング機構によって高さ調節するときの動作がスムーズになっています。
画面を90度回転させられるピボット機能は排除され、縦長モニターとして使用することは不可能に。そもそもメイン機として使われることが多いであろうこのシリーズには不要な気がしてました。
スタンドの調整機能がとても充実しており、モニターアーム無しでも快適に使えます
集中
ベゼルレスデザインは表示領域が広がるしスタイリッシュではあるものの、画面と背景との境界線が曖昧になって映像に集中しづらいという考えから、太めのベゼルはあえて残しているとのこと。
数年前にベゼルレスデザインが流行した際にはゲーミングモニターでも多くの機種で取り入れられましたが、それに迎合せずに自分たちの設計思想を貫いているのはZOWIEらしさがあって良い。
シリーズ初期から付属しているアイシールドも同じ理由で採用し続けているそうです。
画面ブレ
映像表示にこだわるゲーミングモニターには、画面ブレや残像を低減するための「黒挿入技術」と呼ばれる機能が搭載されています。このモニターに搭載されたDyAc2もその一種です。
メーカーによって機能の名称が異なるのは周知の事実ですが、実はその効果にも差があります。数ある黒挿入技術の中でも、ZOWIEのDyAcがもたらす効果は大きいとされています。
・A.M.A(入力遅延を低減するオーバードライブ機能)は最高/プレミアムに設定
・それぞれのパッケージに同梱されているDisplayPortケーブルで接続
Blurbuster.com の「Blur Buster Motion Tests」を使い、IPSパネルとFast TNパネルを比較、またDyAc2のオン・オフによってUFOの見え方にどのような違いが生じるのかを検証してみました。
IPSよりもFast TNのほうが圧倒的にブレが少ないのは一目瞭然ですが、DyAc2を有効化することでさらに軽減できています。
* IPSのほうは決して悪く見えるものを選んだわけではありません。何度検証しても同じような結果が出ました。
FPSでの目の使い方に慣れている人ほど、ゲームプレイ中に大きな違いがあるように感じられると思います。
IPSよりもFast TNのほうが残像感が少ないことに気付きやすいシーンがあります。それは、オーバーウォッチ2やエーペックスレジェンズの近距離戦闘時、あるいはKovaaK’sやAim Labsのトラッキング系シナリオなど、ある程度動きのあるオブジェクトをしっかりと目で追い続けているときです。
IPSパネルを搭載したモニターはあらゆる用途を1台でこなせるのが強みですが、ZOWIE XLシリーズのFast TNパネルのようなゲーム性能に特化したものにはこういった部分で劣ります。
画面設定
モニター本体の操作は背面に備わったボタンかS.Switchという付属のコントローラーで行えます。レスポンスが高速で快適です。
Color Vibrance
Color Vibranceは色の鮮やかさを細かく調整できる機能です。
0だと白黒になります。値を1変えるだけでもある程度の違いが出ます。
Black eQualizer
Black eQualizerは既に明るい場所はそのままに暗い場所を明るく映し出す機能です。
CS2やPUBGの一部シーンでかなり効果的です。
エーペックスレジェンズなど一部のタイトルではスモークの中にいる敵キャラクターの視認性が変わります。
XL Setting to Share
XL Setting to Shareというソフトウェアを入れると、これらのディスプレイ設定を保存して一覧で管理できます。また、設定を外部ファイルとして保存して他のユーザーと共有することもできます。
ZOWIE XLシリーズは多くのプロに使われていることもあり、設定ファイルが公開されていることも多々あります。プロのモニター設定を簡単に真似できるというのは強みです。
また、新たに追加されたAuto Game Modeという機能により、特定のゲームやアプリケーションを起動したときに自動で設定が切り替えることが可能になりました。
ゲーム毎に設定を作っているにもかかわらず変え忘れることが多々あったので、これは個人的にとても助かる機能でした。
筆者のVALORANT用 設定プロファイル
- カラー設定
- Black eQualier:0
- 色の鮮明さ:9
- ブルーライト軽減:0
- ガンマ:ガンマ3
- 色温度:ユーザー設定(赤89 緑91 青100)
- 画像
- DyAc:プレミアム
- 輝度:50
- コントラスト:50
- シャープネス:7
- AMA:高
- 表示
- 入力:DisplayPort
- 画面モード:全画面
- RGB範囲:RGB (0~255)
上記の設定プロファイルはこちらからダウンロードできます。
どのような人向けか
BenQ ZOWIE XL2546Xは微細な色合いの調整であったり、残像感を低減するための機能に焦点が当てられています。また、本体の目立つ部分にライティングやロゴのような装飾が一切されておらず、代わりに人間工学に基づいた調整機能が充実しています。
これは、このモニターが高いレベルでゲームをプレイするための道具として設計されており、本質から外れた小さなことには捉われていないことを意味します。
BenQ ZOWIE XL2546Xのリフレッシュレートは360Hzでも540Hzでもなく240Hzで、費用対効果が求められがちなミドルスペックの機種といえます。
それなのにもかかわらずハイエンドモデルと同じフルスペックで、価格設定も強気です。これはZOWIEの自社製品への自信の表れでもあり、彼らの設計思想そのものを表していると思います。
リフレッシュレートが360Hzや540Hzだと性能を引き出すのに高性能なゲーミングPCが必要になりますが、XL2546Xのように240HzならミドルスペックのPCでもその性能を充分に引き出すことができますし、それでいてハイエンドモデルと同じ機能を揃えているというのは強みといえます。
予算7万円前後でリフレッシュレート240Hzに対応した高性能なゲーミングモニターを探している場合、このBenQ ZOWIE XL2546Xは最有力候補となります。
なお予算に上限が無いのであれば、TNやIPSよりも応答速度に優れ、残像感も少ないOLEDモニターという選択肢があります。OLEDパネルの登場により、リフレッシュレート240Hzや360Hzの最上位クラスはTNモニターからOLEDモニターに置き換わる形となりました。
このような状況でZOWIEが今後どのような展開をしていくのか個人的に楽しみです。
以上、BenQのゲーミングモニター BenQ ZOWIE XL2546X のレビューでした。