「HyperX Pulsefire Dart」レビュー。手が大きい方のかぶせ持ちで真価を発揮する無線ゲーミングマウス

「HyperX Pulsefire Dart」レビュー。手が大きい方のかぶせ持ちで真価を発揮する無線ゲーミングマウス

本稿では、HyperX(ハイパーエックス)の無線ゲーミングマウス「HyperX Pulsefire Dart」のレビューをお届けします。

HyperX Pulsefire Dart
価格: 13,488円 (本稿執筆時点)

製品仕様と外観

最近、無線接続に対応したゲーミングデバイスが増えてきました。対人ゲームをプレイする方にとって口コミの少ない製品には手を出しづらいでしょうし、それなりに安心して使用できる無線マウスは数限られているだけに、Pulsefire Dartが心強い選択肢になり得るのかは気になるところ。

同等のワイヤレス技術を用いた無線ゲーミングヘッドセットで既に実績があるHyperXなので、それなりに安心感はあります。早速見ていきます。

Pulsefire Dartは、計6ボタンを備える左右非対称型ゲーミングマウスです。サイズは幅73.9 全長124.8 高さ43.6mmと大型で、左サイド後部の大きな膨らみが特徴的です。

表面はマットコーティングで、両サイドにはレザーで覆われたクッションが備わっています。そこまで柔らかくなく、握り込んだときに数mmほど沈み込みます。

中心よりやや手前側が最も背が高く、後部にかけて急な傾斜。右側よりも左側の方が若干背が高いですが、左右メインスイッチはそこまで高さに違いはありません。

よくあるエルゴノミクスと大差無いように見えますが、非常に本体幅が広いうえにサイドで絞られている訳でもないという、かなり攻めた形状となっています。

本体重量は公称値110g、実測値111.8gでした。非常に重たい部類であると言えるでしょう。大容量バッテリーを内蔵したことによってこの数値になっていると推測します。

センサーはPixArt PMW3389で、最大16,000DPIに対応しています。出荷時の初期値は800/1600/3200DPIで、ソフトウェアから50刻みで調整可能です。

本体の電源スイッチも裏面に備わっています。

スペック

HyperX Pulsefire Dart 製品仕様
形状 左右非対称
表面素材 前面マット / 両サイド部クッション
サイズ 幅73.9 全長124.8 高さ43.6mm
重量 110g (ケーブル除く)
ボタン数 6つ
センサー PixArt PMW3389
DPI 最大16,000DPI (初期値: 800/1600/3200)
ポーリングレート 1000Hz
LoD 0.9mm~ (実測値)
スイッチ オムロン製
バッテリー持続時間 LED消灯時90時間 / 点灯時50時間
ソフトウェア 対応 (HyperX NGenuity)
価格 13,488円 (Amazon.co.jp、本稿執筆時点)
HyperX ChargePlay Base 製品仕様
対応デバイス Qi対応デバイス ×2
Qi出力 最大合計15W
ケーブル USB Type-C (1.8m)
寸法 幅215.04 奥行90.91 高さ17.36mm
重量 135g (ケーブルを除く)
価格 7,222円 (Amazon.co.jp、本稿執筆時点)

ギャラリー

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HyperX Pulsefire Dart
価格: 13,488円 (本稿執筆時点)

パフォーマンス

持ち方の相性・操作感

一見すると自然にフィットしそうなエルゴノミクス形状ですが、やや癖があります。というのも、IE3.0クローンはしっかりと握り込めるのに対し、Pulsefire Dartは横幅が非常に広く、サイドの3本指に力が入りづらいです。

また、両サイドのラバークッションは面白い試みではありますし、持ち方によっては絶妙なグリップ感を与えてくれます。しかし、つまみ持ちでは厄介な存在にもなり得るという特性有り。そもそもつまみ持ちユーザーをターゲットから外したような形状ですし、特に問題はありませんが。

G Pro Wirelessと比較するとこんな具合です。全長には殆ど変わりないですが、全体的に大きめ

これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。

かぶせ持ちは筆者の手の大きさの場合、左サイド後部に親指の付け根がフィットする角度を探し、そこを起点としながら他の指を添わせるというかたちがしっくりときます。あまり指に力を入れずに覆い被せるイメージです。

前述の通り、横幅が広い関係で指に力が入りづらく、しっかりと握り込むのは少し難しいです。筆者の手の大きさでも不足感があり、とにかく手が大きめの方に向けた設計であると感じます。

一方で、つかみ持ちはかなり快適です。自然な手の形のままマウスを固定でき、精密な操作も行いやすいです。横幅が広いとはいえ全長は124mmと中型サイズのそれなので、つかみ持ちではPulsefire Dartの変わった形状による相性問題も避けやすいでしょう。

つまみ持ちは難しいでしょう。親指・薬指・小指の最適な置き場が見当たらないうえ、サイドのクッション部が滑ってしまいます(特に親指側)。

結論として、Pulsefire Dartは手が大きめな方のかぶせ持ち、もしくは左右非対称マウスをつかみ持ちで運用する方に向いています。多少ターゲットが限定的とはなりますが、手の大きさや持ち方の条件次第では劇的に合うでしょう。

筆者のデスクでPulsefire Dartを使用した友人曰く、定番のIE3.0クローンよりもフィット感を得られたとのこと(友人は手のサイズが19.5cm/9.5cmで手のひらが広めのかぶせ持ちユーザー)。

ボタン配置・クリック感

メインスイッチはクリック耐久性5,000万回のオムロン製。

クリック感は軽く、非常に短いストロークで跳ね返りも十分強いです。優秀。

サイドボタンは適度な固さで、ストロークは短め。タイトな押し心地です。

ボタンの大きさ・配置ともに適切で、かぶせ持ち・つかみ持ちならば奥側のボタンにも容易に指が届きます。Pulsefire Dartはサイドグリップが特殊ですが、サイドボタンは本体から飛び出すよう配置されています。念のために記載。

ホイールは上側に回すときは若干のノッチ感がありながら、下側に回すときはスルスルと降りていきます(仕様?)。操作時に得られる感覚では何度回したか分かりづらいので、指の移動距離で把握する必要があります。

ホイールクリックは軽めで押しやすいです。また、Pulsefire Dartのやや特殊な仕様として、ホイールを左側に倒したときもホイールクリックの判定となります。『Apex Legends』のように頻繁に使用するゲームならば重宝する機能です。

センサー挙動・リフトオフディスタンス

Pulsefire Dartの搭載センサーはPixArt PMW3389です。性能の高いハイエンドセンサーであるものの、メーカー側の調整によってはポーリングレート1000Hz時に乱れるという問題を抱えています。

例のごとく、Mouse Testerでセンサーの正確性を検証。無線接続で、DPIはそれぞれ400, 800, 1600, 3200、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。

MouseTesterの見方について
基本的には、波形に点が綺麗に沿っていれば、マウスのセンサーが正確なトラッキングを行えている、という認識で構いません。マウスを動かす速度が速いほど、波形が縦方向に長く生成されます。つまり、波形の折り返し地点は、マウスが最高速度に達したことを表します。

  • 横軸 Time(ms):経過時間を表す、1000分の1秒
  • 縦軸 xCounts:マウスの左右への移動量。右に動かすと波形が上方向に、左に動かすと波形が下方向に生成される。マウスを動かす速度が速くなるほど、縦方向に大きな波形が生成される。

例えば、「中間地点の波形に点が綺麗に沿っているが、折り返し地点でブレが生じている」という場合、基本的には正確にトラッキングできているが、マウスを動かす速度が速いと反応がブレる、といった見方となります。 しかし、折り返し地点のブレが毎回同じような傾向だった場合、「マウスを早く動かすとカーソルが毎回その動きをする」ということですので、カーソルの動きは安定しているということになります。そのような場合、マウスを早く動かすとカーソルの動きに癖が出るものの正常、といった認識で構いません。

たまにカウント飛びが見られる部分に不安が残りますが、Mouse Testerの波形だけで言えば、現在主流のHEROセンサーよりも安定しているように見えますね。

特に400DPIでは「安定している」とされる有線ゲーミングマウスのような波形を見せていますし、概ね良好と言っていいのではないでしょうか。それなりに安心して使えそうです。

マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。こちらも使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。

マウスパッド「PureTrak Tallent」上で計測した結果、リフトオフディスタンスは0.9mm前後でした。十分に短いです。

マウスソール

マウスソールは計3枚。本体重量も相まって摩擦感が強く、滑りも止めもそれなりに効きます。ソール自体は製品固有の形状ですが、底面は研磨することなく円形や楕円形の汎用マウスソールに交換できます。

ソフトウェア

Pulsefire Dartは、HyperX製デバイスの統合ソフトウェア「HyperX NGenuity」に対応しています。以下のURLよりダウンロードが可能です。

HyperX NGenuity:https://www.hyperxgaming.com/jp/ngenuity

設定項目は、LEDライティング設定、ボタンへのキー/マクロ割り当て、200~16,000DPI(50刻み)でのDPI調整となります。キャリブレーション(マウスパッドとの最適化)機能は存在しませんが、そもそもLoDが1mm未満なので大丈夫でしょう。

ゲーム起動時にデバイスの設定が自動で切り替わる Gamelink 機能が搭載されています。キーバインドが特殊なゲームをプレイする方、またはLEDライティングにこだわりたい方は活用しましょう。

充電

Pulsefire Dartの充電方法は、付属のUSBケーブルでPC本体に接続するだけ。もちろん有線接続のまま使用することも可能です。

バッテリー持続時間はLED消灯時で最大90時間、LED点灯時で最大50時間とのこと。かなり長持ちします。本体重量がやや重たいことを考えると、それなりに容量の大きいバッテリーを内蔵しているのではないかと推測します。

Pulsefire DartはQiワイヤレス充電に対応しています。同時発売の「ChargePlay Base」ならば、本体を上に置くだけで充電が可能。Qi充電はPulsefire Dartだけでなく幅広く使われている規格で、iPhone 8以降をはじめとしたスマートフォン機器にまで対応しているとか。

なお、ChargePlay BaseはPCのUSBポート給電では認識されず、付属のACアダプタで接続する必要があります。これまで発売されてきたゲーミングデバイスの無線チャージャーとしては比較的リーズナブルなので、Pulsefire Dartと併せて検討してもいいかもしれません。

HyperX ChargePlay Base
価格: 7,222円 (本稿執筆時点)

結論とターゲット

HyperXのブランド初となる無線ゲーミングマウス「Pulsefire Dart」は、筆者の手の大きさではかぶせ持ちで満足したフィット感を得られなかったものの、特定のユーザーにターゲットを絞った形状は非常に好印象。本体重量110gという重たさが許容できる手が大きめのかぶせ持ちユーザーに最適です。

ただし、サイドグリップにクッション性を持たせるというのは面白い試みではありますが、これが原因となりマウスを握ったときに違和感が発生する可能性があることから、評価しづらいポイントではあります。

センサー挙動にそこまで不安は無く、十分に長いバッテリー持続時間、さらに他社よりも比較的安価でワイヤレス充電器が同時発売されています。形状や重たささえ希望に沿うのであれば、好条件な無線ゲーミングマウスと言えるのではないでしょうか。

HyperX Pulsefire Dart
価格: 13,488円 (本稿執筆時点)

以上、HyperX(ハイパーエックス)のゲーミングマウス「HyperX Pulsefire Dart」のレビューでした。