Fantech Aria XD7 レビュー

Fantech Aria XD7 レビュー

本稿では、Fantechのゲーミングマウス「Fantech Aria XD7」のレビューをお届けします。

Fantech Aria XD7
価格: 10,890円(執筆時点)   Amazon

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この製品について

Fantech Aria XD7は海外レビュアーが絶賛したことで大きな話題となったゲーミングマウスです。いわゆる卵型シェイプで「Razer Orochi V2」のクローン形状を採用しています。多くのユーザーの選択肢に入りやすい本体重量60g前後のワイヤレスマウスとなっているので、その詳細な使用感について詳しく解説していきます。

製品仕様とスペック

カラー ブラック / ホワイト 表面 マット
形状 左右対称 サイズ 114.0 x 65.0 x 39.0mm
本体重量 59g ボタン数 5つ
センサー PixArt PAW 3395 解像度 最大26,000dpi
最大加速度 50G 最大速度 650IPS
ポーリングレート 最大1000Hz エンコーダー
デバウンス 0-30ms スイッチ Kailh GM 8.0
接続方式 2.4GHzワイヤレス ケーブル パラコード
ソール PTFE ライティング 非搭載
ソフトウェア 対応 メーカー保証 1年間

パッケージと内容物

Fantech Aria XD7のパッケージの内容物は以下の通りです。

  • マウス本体
  • USB Type-C to USB Type-A ケーブル
  • 延長アダプタ
  • USBレシーバー
  • グリップテープ
  • マウスソール
  • 取扱説明書

パフォーマンス

接続とバッテリー

接続方式

Fantech Aria XD7は2.4GHzワイヤレス・Bluetoothに対応しています。

付属のUSBレシーバーをPCに接続し、マウス底面のスイッチを右側に切り替えると2.4GHzワイヤレス接続で動作します。延長アダプタとケーブルが付属しており、マウスとレシーバーの距離を近づけて使用できます。

検証中、ワイヤレス接続で正常に動作し、長時間連続で使用していても不具合は発生しませんでした。

バッテリーと充電

Fantech Aria XD7のバッテリー持続時間は最大40時間です。これは他社製のワイヤレスマウスと比較して半分以下で、長時間使用する場合は数日おきに充電する必要があるので不便に感じる方が多いかと思います。

マウスを動かさないまま一定時間経つとスリープモードに移行し、余計なバッテリー消費を防ぐことができます。

ビルドクオリティ

Fantech Aria XD7のシェルの組み立て精度は高いです。トップシェルが取り外し可能なタイプながら、サイドを強い力で押し込んでもカタついたり軋んだりしません。メインボタンの左右の遊びもほとんどありません。

本体を激しく振るとわずかに音が鳴ります。これは耳を澄ますと聞こえる程度です。ホイール周りの機構にわずかな隙間があるようで、連続で回したときのフィーリングがあまり良くありません。これを除けば造りは特に問題ありません。

グリップ性能

Fantech Aria XD7のグリップ性能は低いです。表面はサラサラとしていて、手汗の有無にかかわらず滑りやすく、指先や手のひらを固定するのが難しいです。グリップテープを貼り付けて使用することを前提としているように感じます。

パッケージには専用グリップテープが付属しています。表面に細かな凹凸があるタイプで、硬い材質が使われていて指先への感触があまり良くありません。実測値は0.78mmと厚めです。

別売りのアクセサリーとして表面が異なるグリップテープも用意されています。実測値は0.56mm。こちらは指先に吸い付くようなグリップ性があり、手触りも柔らかくて快適に扱えます。

触った部分には跡が残りづらく、汗や皮脂による汚れも目立ちづらいです。

本体重量

Fantech Aria XD7の本体重量はメーカー公称値59g、実測値がハニカムシェルを装着した状態で60.3g、ソリッドシェルでは1.3g増の61.6gでした。公称値は少しオーバーしていますが許容範囲と言えるでしょう。

重量バランス

重心はセンサー付近、ほぼ中心にくるよう調整されています。大半のゲーミングマウスはこれと同じように重心が中央辺りに調整されているので、他のマウスから乗り換えても違和感は出づらいと言えるでしょう。また重量バランスに優れていて偏りはありません。

形状と大きさ

Fantech Aria XD7の寸法は114.0 x 65.0 x 39.0mmでスモールサイズに分類できます。

いわゆる卵型のシルエットをしており、形状自体は「Razer Orochi V2」のクローンとなります。本家と比べて少し本体幅が広くなり、メインボタンの先端も少し伸びているので、標準~やや深めのつかみ持ちでも人差し指・中指の置き場が確保されます。

本体を横から見ると全体的に平べったく、真ん中辺りが最も背が高くなっています。真ん中から後部への傾斜は急ではなく、本体後部のギリギリまで高さが残されています。

見たまんま卵のように真ん中からお尻にかけて細くなっていくのが卵型マウス。一般的な左右対称マウスよりも本体後部のコブが小さめに設計されており、マウスと手のひらが触れる面積が少なくゆとりが出やすいのが特徴です。指の関節を使って微調整する方に適します。

大まかなシェイプは左右対称ですがサイドは左右で少し異なる部分があります。左サイドには程よいくぼみが設けられており、親指の指先や腹でしっかりと固定することができます。対して右サイドは逆ハの字の緩やかなカーブとなっています。左右対称マウスのほとんどは真ん中が窪んでいる一方で、Fantech Aria XD7のような卵型マウスは真ん中が最も膨らんでいるので、初見では薬指と小指の置き場が定まりづらいかもしれません。

メインボタンはU字状に窪んでおり、人差し指と中指が安定しやすいです。

Razer Orochi V2 比較

Razer Orochi V2と比較すると、Fantech Aria XD7のほうが本体幅が広く全長も長いことが分かります。どちらも小さい部類ですが、Orochi V2はスモール、ARIA XD7はミディアム寄りのスモールと言えると思います。

持ち方の相性

前置き:筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。

かぶせ持ち

平均的な手の大きさだとかぶせ持ちは窮屈に感じるので割愛します。

つかみ持ち


つかみ持ちとは相性が良いです。手のサイズがやや大きめ~小さめの方に適しています。

本体後部のコブが小さいので当たり所を調整したときに大きな違和感が出づらいです。検証中、角度を調整できる幅が広いためにマウス本体に対して手が斜めになりすぎてしまい、最もしっくりとくる持ち方では『VALORANT』で水平に視点移動するのが難しいと感じることがありました。これは手のひらのポジションを先に決めていたことが原因でした。

ほとんどの左右対称マウスは本体後部のコブの幅が広く、先に手のひらのポジションを決めてもマウス本体に対して真っすぐな角度でグリップすることができます。一方でFantech Aria XD7のような卵型のマウスは本体後部と手のひらの触れ方が独特なので、グリップ角度がどのようになっているかを感覚で認識するのが少し難しい印象です。しっくりとくる指先の配置を先に決め、手のひらの位置は調整せず自然と乗せるようにしてグリップすると改善されました。

左サイドに設けられたくぼみによって親指が踏ん張りやすく、またカーブも緩やかなので位置の調整が行いやすいです。右サイドは真ん中が膨らんでいるので薬指を手前側に引っ掛けるように固定できますが、小指の置き場がやや不安定になりがちです。親指・薬指・小指の3点でしっかりとマウスを固定するように持つ場合、小指が安定する場所を探すのに少し苦労するかもしれません。

サイドボタンの配置は標準的に見えますが、深めにグリップすると手前側のボタンに指が届きづらいです。ホイールには問題無く指が届きます。

つまみ持ち

つまみ持ちとも相性が良いです。左サイドの程よい窪みにより親指を固定しやすく、右サイドは緩やかなカーブになっているので指の置き場を調整しやすいです。どの深さでグリップしても違和感が出づらく、かなり浅めのつまみ持ちも可能です。

表面のグリップ性能が低いのでグリップテープは必須となります。別売りの専用グリップテープは指先に吸い付くようなグリップ感があって快適です。サイドボタンやホイールには指が届きやすいです。

スイッチ

メインボタン

メインボタンのマイクロスイッチにはKailh GM 8.0が採用されています。押し心地はやや柔らかめではあるものの歯切れが良くハッキリとした感触が得られます。プリトラベルは非常に短いですが、ポストトラベルが少しあるので神経質な方は気になるかもしれません。連打もホールドも行いやすい、優れたクリック感に調整されています。

メインボタンが分離したセパレート設計になっており、押し込む場所によるクリック感の変化が抑えられています。ホイールの横辺りから押下圧と跳ね返り感が増して詰まったような感触になりますが、かなり手前側で押し込んでもそこまで不快ではありません。非常に浅めのつまみ持ちでも問題無くクリックできます。

サイドボタン

サイドボタンは小さめで本体から程よく飛び出しています。約0.5mmのグリップテープを貼り付けた状態でも若干飛び出していて押しやすいです。エッジは面が取られていて、親指をスライドさせても引っ掛かりません。ボタンの配置は真ん中よりやや奥側ではあるものの、マウス形状の関係から深めのつかみ持ちでは手前側のボタンに指が届きづらいです。

押し心地はやや柔らかめ。ポストトラベルが少し長いですが許容範囲です。ややチープめなフィーリングに感じられます。FPSでキャラクター操作にかかわる重要なキーを割り当てても問題無く使用できます。

ホイール

ホイールは本体からあまり飛び出していません。ゴムリングに入った水平方向の切り込みは適度に指に引っ掛かり回しやすいです。

回し心地は軽めで適度なノッチ感があります。回すたびにそれなりに分離感が得られるものの、連続で回すとカラカラと音が鳴りフィーリングも良くありません。

ホイールクリックは固くもなく柔らかくもなく。クリック時にハッキリとした感触が指に伝わります。ホイールの回し心地が軽いのでクリック時に誤って回してしまうことがあります。ホイールの操作性はそこまで良くないです。

センサー

Fantech Aria XD7は、PixArt製のフラッグシップセンサー「PixArt PAW 3395」を搭載しています。最大26,000DPI、最大速度650IPS、最大速度50Gに対応。初期DPIは800 – 1600 – 2000 – 2400 – 3200 – 5000 – 26000の7段階で、本体底面のDPIボタンを押すと切り替わります。

センサーの挙動を可視化するツール「Mouse Tester」での検証に加え、『VALORANT』と『Apex Legends』でもプレイテストを行った結果、センサーが正常に動作していることを確認できました。

* 付属の延長アダプタ・ケーブルを使用し、マウス本体とUSBドングルを近付けた状態で検証。DPIは400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッドは「BenQ ZOWIE G-SR-SE Rouge」。環境によって結果が変動する可能性があるので、あくまで参考程度にお願いします。

MouseTester: xCounts

MouseTester: xSum

Motion Syncはデフォルトで有効化されており、無効化するオプションはありません。

センサー位置

Fantech Aria XD7のセンサーはマウス本体の真ん中に搭載されています。

ちなみにクローン元である「Razer Orochi V2」はフロントセンサーマウスです。この2つはサイズ感の違いもありますが、センサー位置の好みで選択するのも一つの手だと思います。

* センサーの位置が変わると、手首を支点にしてマウスを動かしたときのカーソルの移動量に差が出ます。一般的には、手首の動きを細かく捉えられることから、センサーが真ん中よりも前側に寄っているものは優れているとされており、後ろ側に寄ったものは好まれない傾向にあります。

マウスソール

Fantech Aria XD7にはデフォルトで上下に2枚の純白PTFEソールが貼り付けられています。厚さは実測値0.64mmでした。

角が丸まっているので滑走面が粗かったり中間層が柔らかいマウスパッドと組み合わせても引っ掛かりづらいです。操作感はバランスの取れたもので、初動は引っ掛かりなくスムーズで、滑走速度は標準的です。標準ソールとしては優秀で、とても扱いやすいものです。

交換用マウスソールが1セット付属しています。

設定・ソフトウェア

Fantech Aria XD7は専用ソフトウェアに対応しています。以下のURLの「ARIA XD7」の隣にある「Windows」というリンクを押すとダウンロード可能です。

Fantech Aria XD7 Software:https://fantechworld.com/download-and-support-mice/

よく見かけるタイプのUIです。基本的な設定項目に加え、リフトオフディスタンス(1mm/2mm)やデバウンスタイム(0~30ms)の調整が行えます。Motion Syncは常時有効化されておりオフにする設定は見当たりません。

結論とターゲット

「Fantech Aria XD7」について詳しく見てきました。やや大きくなったOrochi V2クローンマウスで、この手の卵型シェイプはつかみ持ちしたときに手のひらにゆとりを持たせることができ、指を使った微調整を行う方に適しています。また、浅めのつまみ持ちとも相性が良いです。サイズ感が小さいので普段ミディアムサイズのマウスを使用している場合は想像よりも深めにグリップしないと違和感が出るかもしれません。

シェルの組み立て精度は高いですが、内部構造は完璧とは言えません。サイドボタンはポストトラベルが長く、ホイールは連続で回すと少し異音がします。これはあくまで使用感に関わる部分で、通常使用において致命的な欠点とはなりませんが、この辺りは全体的にクローン元のほうが優れている印象です。本体重量は60g前後と程よく軽いですが、バッテリー持続時間は最大40時間と短いので注意が必要です。

確かにこれまでのFantech製ゲーミングマウスはチープで、それらと比較すると群を抜いたクオリティと言えるのですが、全体で見るとそこまで優れているとも言えません。卵型マウスの中でも軽量かつワイヤレスのものが現状これくらいなので、この手の形状が好みの方にとっては現状ベストな選択肢になるかと思います。

総合評価 4.0 out of 5.0 stars

* それぞれ 長所 注意点 短所 の3段階で評価しています。
 快適な卵型シェイプ
 安定した2.4GHzワイヤレス
シェルのクオリティが高い
 軽量設計/適切な重量バランス
 優秀なメインボタン
高品質なソール
表面のグリップ性能は皆無
サイドボタンのポストトラベルが長い
バッテリー持続時間が短い
ホイールを連続でスクロールすると少し異音がする
Fantech Aria XD7
価格: 10,890円 (本稿執筆時点)

以上、Fantechのゲーミングマウス「Fantech Aria XD7」のレビューでした。

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