Lethal Gaming Gear Venus Pro レビュー
本稿では、Lethal Gaming Gearのゲーミングマウスパッド「Lethal Gaming Gear Venus Pro」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: HID-Labs
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この製品について
Lethal Gaming Gearはアメリカのゲーミングデバイスショップで、CorepadやEsportsTiger、Pulsar、SkyPAD、X-raypad、Vancer、Infinity Mice、XTENなどを取り扱っており、昨年ごろから自社製品としてゲーミングマウスパッドを展開しています。台湾製で品質が高く、海外コミュニティではArtisan製マウスパッドとたびたび比較されるなど話題を呼んでいました。
製品名の末尾にProとついているシリーズは中間層の硬度が非常に柔らかいタイプ(Xsoft)で、通常版はこれよりもベースが硬いものとのことです。どのようなパフォーマンスをもたらすのか、早速詳しく見ていきます。
製品仕様とスペック
材質 | 布製 | 表面 | – |
---|---|---|---|
サイズ |
XL: 490 x 410mm
XL SQ: 500 x 500mm
|
厚さ | 3.5mm |
エッジ | ステッチ加工 | 底面 | ウレタンベース |
カラー | ブラック/レッド |
開封と仕様確認
梱包・巻き癖
段ボール・厚紙で2重に梱包されたフラットパッケージ。巻き癖ゼロで使い始めることができます。
サイズ
Venus Proは以下の2種類のサイズを展開しています。今回のサンプルはXL (490 x 410mm)で、ローセンシにも対応する大判となっています。奥行きが足りないというユーザーのためにスクエアタイプ (500 x 500mm)も用意されています。
- XL: 490 x 410 x 3.5mm
- XL SQ: 500 x 500 x 3.5mm
厚さ
厚さは共通で3.5mmです。
エッジ
エッジはステッチ加工が施されています。手触りは柔らかく、ステッチ幅は狭め。滑走面よりもステッチの方がわずかに低く、腕や手首の引っ掛かりは気になりません。快適なマウス操作が行えます。
底面
底面にはウレタンスポンジが採用されています。これはArtisan製マウスパッドに使われているものと同じ素材で、見た目もほぼ同じように見えます。デスク天板に吸着するので、一度設置した場所から動くことはありません。メラミン化粧板の上ではうまく機能することを確認しています。
パフォーマンス
表面特性
LGG Venus Proは滑走面にポリエステルを採用した、軽い滑り出しとスピードを重視したハイブリッドパッドです。滑走速度は「Artisan 零 Mid」や「X-raypad AquaControl+」よりも速く「Fnatic Dash」より遅いといったところで、スピードバランスタイプに分類されます。
滑走面を少しラフに織って柔らかくした「Artisan 飛燕」というイメージで、表面の質感もザラザラとはしていますがそこまで粗くなく、多少柔らかいこともあって不快ではないです。手首や腕が高速で擦れると少し痛いですが、触れあう程度では問題ありません。ワコール/シーダブリューエックス製アームカバーであれば、多少の抵抗こそ感じるものの引っ掛かりなくマウスを操作できました。
表面の質感が「X-raypad Aqua Control+」に少し似ているため、海外コミュニティの間ではAC+クローンと表現されている例がありましたが、滑走面の拡大写真を比較するとVenus Proのほうがラフに織られているように見えます。
滑走面の拡大写真
他社製マウスパッドとの滑り比較
Lethal Gaming Gear Venus Proは「スピードバランス」タイプに属します。
※それぞれ上から滑走速度が速い順に並べています。筆者の肌感覚なので変動する可能性有り。
スポンジ硬度
Proシリーズのスポンジ硬度はLethal Gaming Gear基準でのエクストラソフト(XSoft)で、ArtisanのSoftに近い柔らかさです。
個人的には、LGGの3.5mm厚のスポンジはArtisanのSoftやXsoftと比べ、より優れた操作感をもたらすように感じます。ArtisanのSoftやXSoftに使用されている4mm厚のスポンジは、マウスを意識して押し下げていなくても沈み込んでしまうなど、滑走が不安定になりやすいことが懸念点として挙げられます。LGGは3.5mm厚のスポンジが採用されているため、点接地のソールを使用しない限りは意図しない沈み込みが発生しづらく、意識してマウスを押し下げることでようやく摩擦によるコントロール性が得られます。
操作感
LGG Venus Proはスピードバランスタイプに属するゲーミングマウスパッドです。同タイプに属するゲーミングマウスパッドと比べて静的摩擦がやや小さく、マウスの滑り出しが引っ掛からずスムーズなので微調整が行いやすいです。やや滑りを落とした「Artisan 疾風乙」という印象で、滑走音も少し控えめです。
中間層の厚みと柔らかさのバランスがうまくできており、意識して押し下げない限りは沈み込みによって滑りが不安定になることもなく、しっかりと押し下げると引きずり感が増してコントロール性が得られます。中~大型のソールと組み合わせると滑走が安定しやすく、点で接地するような小さいソールを選択すると滑走が不安定になる代わりに強い摩擦によるストッピングアシストが得られます。
『VALORANT』や『CS:GO』のような精密なショットが求められるタイトル、『Apex Legends』や『オーバーウォッチ2』トラッキングエイムが主体となるタイトル、どちらとも相性は悪くありません。初動がスムーズで余計な詰まりや引っ掛かりは発生せずマウスの微調整を妨げません。とても滑らかに滑走し、マウスを押し下げることで余分な摩擦が得られるので、それなりにコントロール性も感じられます。
ただし縦横の滑りの差がやや大きく、縦方向に滑らせたときに強めの引きずり感があります。「Artisan 疾風乙」ほどの違いはありませんが、明確に感じ取れる違いです。一般的に『VALORANT』や『CS:GO』のようなタイトルでは大した問題にはなりづらく、『Apex Legends』や『オーバーウォッチ2』のような上下左右への滑らかなトラッキングエイムが求められるタイトルには不向きです。
互換性
センサー相性
各種マウスセンサーとの相性をチェック。それぞれの組み合わせでカーソルが正確に追従するかを確かめるほか、センサー挙動を可視化するソフトウェア「Mouse Tester」での測定も行います。
なお、使用環境やファームウェアのバージョンの違いなど、様々な要因によって結果が変動する可能性があり、この検証結果が100%正しいものではないことをお伝えしておきます。また同じセンサーを搭載していても種類が異なるゲーミングマウスでは結果は変動するので参考程度にお願いします。
〇 正常に動作する
△ 動作に問題は無いが、MouseTesterの波形に乱れが見られる
✖ 通常使用が不可能
主要マウスセンサーを搭載したゲーミングマウス11種すべてで正常に動作しました。このほか『VALORANT』『Apex Legends』でのプレイテストも行い、同様の結果が得られました。
ソール相性
LGG Venus Proはさまざまなソールと互換性があります。中~大型ソールでは安定した操作感が得られ、小型ソールではややピーキーにはなるもののマウス押し下げによるコントロール性も得られます。
中~大型ソールでは安定した操作感が得られます。中間層が柔らかすぎず厚みも適切なので、意図してマウスを押し下げない限りはソールが沈み込みづらいです。基本的には滑らかなフィーリングでマウスを滑走させることができ、必要な時にはマウスを押し下げて余分な摩擦を発生させることもできます。
点で接地するような面積の小さいソールと組み合わせると、少ない圧でもソールが沈み込みやすく、マウスを押し下げることで強いストッピングアシストが得られます。LGG Venus Proは滑走面が少し硬いからかソールが沈み込んでもあまり不快ではなく、うまく扱えると強みにもなりそうです。
結論とターゲット
「Lethal Gaming Gear Venus Pro」について詳しく見てきました。フラットパッケージに梱包されているので巻き癖に悩まされることはありません。底面にはArtisanと同じウレタンフォームを採用しており、デスク天板に吸着するのでしっかりと固定されます。エッジは滑走面よりもわずかに背が低く、手首や腕が引っ掛かることはありません。とても高品質なゲーミングマウスパッドです。
滑走速度はスピードバランスタイプに分類でき、「Artisan 飛燕」の織り方をラフにして柔らかくしたものという印象です。少しザラつき感のあるハイブリッドパッドで、静的摩擦が少なくマウスの滑り出しがスムーズです。LGG Proシリーズの中間層は厚さ3.5mmで、ArtisanのSoft~Xsoftの中間辺りの柔らかさです(ArtisanのSoft, Xsoftは4mm)。これがとても良い塩梅で、滑走が不安定になりづらく、マウスを意識して押し下げたときだけ適度な摩擦が得られます。スピード系マウスパッド特有のクイックな操作感に、沈み込みによる程よいコントロール性も得られるのは強みです。
Lethal Gaming GearのマウスパッドはArtisanに並ぶほど高品質でとても出来が良いのですが、LGG Venus Proのような静的摩擦の少ないバランス~スピード系マウスパッドは選択肢がいくつか存在するため、6,000円台後半を払う価値があるかが争点となってきます。全体的に出来が良いので総合評価は高いですが、大半の人はこれより低価格のマウスパッドで満足できる可能性が高いので注意が必要です。一例として、僅かに滑りを落とした「Artisan 疾風乙」のような操作感かつ、Soft~Xsoftの中間辺りのスポンジ硬度、のような細かな性能差を追求したい方に適しています。
総合評価5.0 out of 5.0 stars
静摩擦が小さい
優れた中間層の特性
アームカバーが引っ掛からない
設置した場所から動かない
背が低いステッチ加工
優れたセンサー互換性
低価格で似た製品が見つかる
以上、Lethal Gaming Gearのゲーミングマウスパッド「Lethal Gaming Gear Venus Pro」のレビューでした。