「ダーマポイント DPTM39RC / DPTM39DS」レビュー。”参七の正統進化版”は紛れもなく現代ゲーマー向けのゲーミングマウスだ
レビューサンプル提供: ダーマポイント
DPTM39RC / DPTM39DS レビュー
本稿では、日本発のゲーミングデバイスメーカーDHARMAPOINT(ダーマポイント)から2019年1月25日に発売されたゲーミングマウス「ダーマポイント DPTM39RC / DPTM39DS」のレビューをお届けします。ユーザーそれぞれが好みの握り心地を実現できるよう、ラバーコートのDPTM39RC、ドライサンドのDPTM39DSといった表面コーティングの異なる2モデルが展開されています。
ダーマポイントと言えば、国内プロゲーマーと共同開発され2013年に世に放たれたゲーミングマウスDRTCM37(通称、参七)で知られるブランド。メーカー曰く、このDPTM39RC / DPTM39DSは参七の正統進化版を謳った機種であり、個人的にも非常に期待できる一作なのです。
外箱にも記載されている通り、DPTM39RC / DPTM39DSのコンセプトは「エントリーユーザーからコンペティティブプレイヤーまで、すべてのゲームプレイヤーに」。つまりターゲットはコアゲーマーだけに留まらず、ゲーム用に本格的なデバイスが欲しいという初心者層にも当てはまるとのこと。
三七の正統進化版といった視点で”あらゆるユーザーの手にフィットする形状”であるかのチェックも忘れず、コアゲーマー向けにも通用するスペックを持ち合わせた”現代向けのゲーミングマウス”と言えるものなのか、本稿にて詳しくチェックしていきたいと思います。
形状、重量
原型である参七は国内プロゲーマーが監修したゲーミングマウスですが、その参七を細部に至るまで完全再現したというDPTM39。本体サイズはW68×D124×HH39mmで、日本人の手のサイズに合うであろうやや小型のゲーミングマウスに仕上がっています。本体形状は、左右非対称エルゴノミクスのいわゆるIE3.0クローンで、主にかぶせ持ちのユーザーをターゲットとしたものと言えるでしょう(持ち方との相性については後ほど検証)。
チェックするべきポイントとしては、日本人の手にフィットするよう設計された左右非対称エルゴノミクス形状、セパレートタイプのメインスイッチ、マウスソールの張り替えが容易であるフラット底面、4か所に張り付けられた楕円形の小さなマウスソール、といったところでしょうか。
本体の形状で気になったことは、右側の手前部分が大きく盛り上がっているのが特徴的であるという点。手のひらに触れるであろう中心からやや手前の部分が最も高くなっており、サイド部分も十分にスペースが確保されていることは、左右非対称エルゴノミクス形状ではよく見られる作りであると言えるでしょう。
DPTM39の仕様で見逃せないのが、初期状態で4か所に張り付けられた楕円形の小さなマウスソールのための切り込みガイドを除き、一切の凹凸が排除されたフラット底面であるという点です。メーカーも種類も問わず、ユーザー好みのマウスソールに張り替えることができます。滑り心地にこだわる方のためにマウスソールの重ね張りなども可能としています。
なお、ダーマポイントはDPTM39の発表に合わせ、PTFE(テフロン)製の楕円形マウスソール「DPSAX2」と超高分子ポリエチレン製のノーカットタイプマウスソール「DPSBX1」を発売しました。材質から推測するに、おそらくDPTM39に張り付けられているのはDPSAX2と思われます。マウスソールを張り替えることで好みの滑り心地を追い求めたいコアゲーマーにとって、DPTM39のフラット底面はとても魅力的です。
DPTM39の本体重量について、公表値はケーブル込みで約127gとのことですが、ケーブルを除いた値は明かされていなかったので実測したところ、左右対称エルゴノミクスとしてはやや軽めの94.3gでした(参考程度にお願いします)。重すぎず軽すぎない、ハイセンシ・ローセンシのどちらであっても総じて扱いやすい適切な本体重量と言えるでしょう。
ゲーミンスデバイスメーカー全体で「無線化」や「軽量化」の流れが存在していると言える現状では、有線接続かつ本体重量もごく一般的と言えるDPTM39はユーザーにとってある意味”普遍的”なゲーミングマウスに見えると思います。しかし、このDPTM39の真価は”参七の正統進化版”であるという点、つまり優れた操作感や形状に注目するべきだと考えています。
コーティング
DPTM39は、表面のマウスコーティングが異なる2モデル展開から選択できます。「DPTM39RC」は全面にラバーコーティングが施されており、「DPTM39DS」は上面がUVコーティングで、サイド部分のみ細かなザラザラとしたドライサンド加工が施されています。2モデル間は外観ではほとんど違いが分からず、”あくまで触ってみないと判断がつかない”仕様となっています。
この2モデル展開となった理由として、ダーマポイントのTwitterにてマウスコーティングについてアンケートを実施した結果、「触ってみないと分からない」とのユーザーの声から、選択肢として挙がった上位2モデルが製品化されたという背景があります。
どちらもある程度のグリップ感は確保されており、ゲームプレイ中に滑ってしまう心配は無いと言えます。2モデル間の異なるコーティングが握り心地にどのように影響するかと言えばあまり大差が無いといった印象を受けました。全体がフラットな質感が好みであればラバーコート、ザラザラとした質感が好みならばドライサンドを、サイド部分の材質の好みに合わせて選択するのがベストでしょう。
パフォーマンス
持ち方の相性
前述の通り、DPTM39の形状は左右対称エルゴノミクスのいわゆるIE3.0クローンで、カタログスペック上の本体サイズはやや小さめといったところ。結論から言うと、かぶせ持ちとつまみ持ちで抜群のフィーリングを得られるものでした。
マウス本体に手のひらを預け、サイド部分に親指・薬指・小指を配置し、人差し指と中指を添える”かぶせ持ち”では、DPTM39が手にフィットしやすい優れた形状であることが分かります。おそらく大多数のユーザーがDPTM39を初めて握ったときに違和感を覚えることは無いでしょう。
サイドの形状に癖がないことから、手のひらを浮かせて親指・薬指・小指でマウス本体を支える”つまみ持ち”との相性も抜群でした。手のひらをマウス本体に預けて残りの指でつかむように固定する”つかみ持ち”に関しては、マウスの長さが124mmとやや短めなことから、手の大きさが18.5cmの筆者はやや持ちづらいといった印象を受けました。手が小さめの方であればカバーできると思われます。
結論として、DPTM39はかぶせ持ち・つまみ持ちで抜群に手にフィットし、全く違和感のない握り心地を得られました。ファーストインプレッションから特に気になる点は見当たらず、当時の”参七”を思い出させる完璧な仕上がりです。
ソフトウェア
ダーマポイントの設定ソフトウェア「DHARMA CONTROL」は、ユーザーインターフェース(UI)は変わらず提供されています。それぞれの設定項目は「CPI SETTING & TOOL」「SCRIPT SETTING」「BUTTON SETTING」の3タブに集約されています。感度の変更は100cpi刻みで可能なほか、プロセッサーを32bit ARM Cortexに刷新したことでリフトオフディスタンスの調整も可能となり、マウスパッドとの最適化を図るキャリブレーション機能が搭載されています。
CPIやポーリングレート、リフトオフディスタンスの設定は一画面に集約。X軸とY軸で個別にマウス感度を調整できる点は、特定のゲームタイトルでは非常に有難い機能であると言えるでしょう。各ボタンへのキー/マクロ割り当てもプルダウンから選択する方式を採用しており分かりやすい。総じて直感的に操作しやすいインターフェースで、設定に手間取る心配はないと言えるでしょう。
マクロ設定画面で目についたのは、初期状態からプリセットとして各ゲームタイトル毎のプロファイルが組み込まれている点。参七がリリースされた当時に人気だった『Sudden Attack』や『Alliance of Valiant Arms』の設定プロファイルを残しつつ、『フォートナイト』『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』『オーバーウォッチ』といった流行りものも取り入れられています。
キャリブレーション機能は、使用しているマウスパッド上でDPTM39を八の字に動かすことで、適切なトラッキングやリフトオフディスタンスに調整してくれるといったもの。このあたりはソフトウェア対応済みゲーミングマウスの最大の強みと言えるでしょう。ダーマポイント曰く、常に適切なセッティングを保つためにキャリブレーションは1ヵ月~の頻度で実施した方が良いとのこと。
センサー精度
DPTM39に搭載されたセンサーは「PixArt PMW3360」。これは近年のハイエンドゲーミングマウスに搭載される高性能センサーで、セパレート形式のスイッチや本体の形状こそ”参七”を踏襲しつつ、内部スペックは現代に合わせてアップグレードされていることが伺えます。
例のごとく、Mouse Testerを使用してセンサーの精度はどれほどのものかを検証。水平方向にマウスを動かした際に正確なトラッキングができるかをテストするもので、点が綺麗にラインに沿っていれば精密であるということを示します。
どうしてもテスト環境によって結果が細かく前後してしまうので、あくまで参考程度と前置きすることにはなりますが、マウスパッド「Xtrfy GP2」を使用してソフトウェア上でキャリブレーションを済ませたうえでテストを実施。一般的にゲームプレイに用いられるであろう4種の解像度(400 / 800 / 1600 / 3200cpi)でセンサーの精度を検証した結果は以下の通り。
グラフでは波形に沿って細かく点が散りばめられており、どのcpi設定でも波形から大きく反れていません。つまり、正確にトラッキングされており、適切なチューニングが施されています。いわゆるカーソルのブレであったりポインタ飛びは見られないので、精密なAIMを求められるコアゲーマーも信頼できる仕上がりと言えるでしょう。結論として、センサーの精度は概ね良好でした。
スイッチ周りの調整
DPTM39のスイッチ周りについて。左右メインスイッチにはオムロン製の耐久性1,000万回タイプが搭載されています。スイッチ機構に底打ちを防ぐ工夫を施すことでボタンとしての耐久度を高めているとのこと。ゲーミングマウスではメインスイッチの5,000万回耐久を謳った製品が多いのですが、コスト削減を図って避けたのでしょうか。
メインスイッチのクリック感は、他製品と比較すると固めであるといった印象を受けました。しかし相反しているようにも思えますが、特性としては「クリックするまでにワンクッションあるが、跳ね返りが大きい」ので、セパレートタイプなことも相まって高速連打が容易となっています。実際にはそこまで力を要さずにクリックできるのですが、押し込むまでに少し力を要することからやや癖があるのは事実。
サイドボタンやホイール手前のボタンに関しては、誤爆しづらい程度のちょうどいい塩梅。マウスホイールは抵抗が少ないものの、何回転がしたか把握できるだけのスイッチ感が確保されています。メインスイッチを除き、スイッチ周りの調整は適切なものであると言えるでしょう。
メインスイッチをセパレートタイプとした意味を考えるのであれば、やはり”高速連打を容易にするためのセッティング”に寄せてくるということは予想できたこと。しかし、高速連打を容易にするという点はクリアしているものの、固めかつ癖のある押し心地はユーザーを選ぶと言わざるを得ないでしょう。ただし個人的には、メインスイッチは最も触れる機会が多いので”使っていくうちに慣れやすい”部位であることから、そこまで問題視する必要もないと思います。
間違いなく”参七の正統進化版”だ
ダーマポイントの新作ゲーミングマウス「DPTM39RC / DPTM39DS」をレビューしてきました。”参七の正統進化版”という肩書きは間違いなく、構成パーツが現行スペックへのアップグレードを遂げ、日本人の手にフィットしやすい形状による快適なマウス操作感を実現しています。ソフトウェアを介したキャリブレーション機能を実装してきた点も非常に好印象。
ラバーコートとドライサンドはどちらもゲームプレイ中に手が滑りづらいようグリップ感に優れており、コーティングの異なる2種類を市場に放つという試みは正解だったと言えるでしょう。現行のハイエンドスペックと言えるPixArt PMW3360のセンサー精度は良好で、精密なAIMを求めるコアゲーマーも納得できるものに仕上がっています。また、癖が無く万人の手にフィットするであろう形状に、本体重量は軽すぎず重過ぎない。持ち方の相性としてはかぶせ持ち・つまみ持ちユーザーに最適です。
一つ気になった点は左右メインスイッチの調整で、他製品と比較して固めな押し心地はユーザーを選ぶかもしれません。実際に触ってみると確かに高速連打はしやすいので、タップ打ちを容易にするために調整を重ねた結果、このようなやや癖の残る形で落ち着いたのでしょう。メインスイッチは最も触れる機会が多いスイッチなので、使っていくうちに慣れやすいという点では大きな問題にはならないと思います。
それを考慮しても「エントリーユーザーからコンペティティブプレイヤーまで、すべてのゲームプレイヤーに」というコンセプト通り、全てのゲーマーに通用するゲーミングマウスに仕上がっていることは間違いありません。日本発ゲーミングデバイスメーカーの強みが存分に込められた一作です。
以上、ゲーミングマウス「ダーマポイント DPTM39RC / DPTM39DS」のレビューでした。