BenQ ZOWIE XL2586X レビュー
BenQのゲーミングモニター BenQ ZOWIE XL2586X をレビューします。*BenQ Japanよりレビュー用サンプルの提供を受けましたが、コンテンツの内容には影響しません。
BenQ ZOWIE XL2586Xについて
BenQが競技用ゲーミングモニターとして展開するZOWIE XLシリーズ。そのうち最上位モデルにあたるのが、本記事で紹介するXL2586Xです。
BenQ ZOWIE XL2586X |
BenQ ZOWIE XL2566K |
BenQ ZOWIE XL2546X |
|
リフレッシュレート | 540hz | 360hz | 240hz |
応答速度 | 0.5ms | 0.5ms | 0.5ms |
DyAc | DyAc2 | DyAc+ | DyAc2 |
レビュー | このページ | DPQP | DPQP |
- リフレッシュレート540hz対応: リフレッシュレート540Hzに対応しています。360hzや240hzの機種と比べ、滑らかな映像描写が可能です。その分、高いフレームレートを維持したままゲームを動作させられる高性能なPCが必要になります。
- DyAcがDyAc2に進化: ZOWIE XLシリーズの強みでもある残像を低減する機能 DyAc。本機ではパネルと点灯の仕組みが変更され、より高い残像低減効果が望めるようになっており、名称もDyAc2にリニューアルされています。
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製品仕様とスペック
BenQ ZOWIE XL2586Xの製品仕様とスペックについて、リフレッシュレート360hzモデルのXL2566Kとの比較を交えながら解説します。各部がアップデートされていました。
XL2586X | XL2566K | |
画面サイズ | 24.1インチ | 24.5インチ |
解像度 | FullHD (1920×1080) | |
リフレッシュレート | 540hz | 360hz |
応答速度 | 0.5ms | |
パネル | TN | |
表示エリア | 535.68 x 298.08mm | 543.744 x 302.616mm |
画素ピッチ(mm) | 0.28 | |
輝度(cd/㎡) | 320 | |
高速液晶パネル | Yes | |
入力端子 | DP 1.4 , HDMI 2.1 x3 | DP1.4 , HDMI 2.0 x2 |
- 画面サイズが24.1インチに変更: 従来のZOWIE XLシリーズは24.5インチでしたが、本機は24.1インチに変更となっています。これに関しては、スペックシートで確認するまでは気付けないくらいのわずかな差でした。そこまで考慮する必要は無さそうです。
- 入力端子はHDMIが充実: 従来のDP1.4が1基に加え、HDMIが次世代のHDMI 2.1が3基に変更されています。
- ケーブルが差し込みやすい設計に: DisplayPortや電源ケーブルの差し込み口が横向きになりました。以前のようにモニターを下から覗き込む必要はなく、ケーブルをスムーズに脱着できるようにな理、設置の際の手間が減りました。
XL2586X | XL2566K | ||
ビジュアル | DyAc | DyAc2 | DyAc+ |
Black eQualizer | V | V | |
Color Vibrance | V | V | |
VRR | FreeSync Premium | FreeSync Premium | |
セットアップ | 画面設定の共有 | XL Setting to Share Auto game mode対応 |
XL Setting to Share |
S.Switch | 同梱 5way | 同梱 5way | |
UI | 高速動作 | 高速動作 | |
調整機能 | 台座のサイズ | 232 x 178mm | 260 x 178mm |
高さ調整 | 33mm ~ 521mm | 33mm ~ 521mm | |
チルト | -5 ~ 35° | -5 ~ 23° |
- スタンドはよりコンパクトに: XL-Xシリーズの新しいスタンドは、XL-Kシリーズと比べて台座のサイズがさらに小さくなっています。
- チルト幅が向上: XL-Xシリーズの新しいスタンドは、XL-Kシリーズのものと比べてチルト幅が向上しています。画面を上向きにしたまま急な角度に傾けることができるので、一時期Valorantで流行したような、画面を上から覗き込むようなセッティングにも対応します。
以前のシリーズと同じように、画面を左右に傾けたり、高さを調整することもできます。内部にベアリングを内蔵したことにより、高さを調整するときの動作がスムーズになりました。
ZOWIEのモニタースタンドには各部に目盛りが付いています。これを覚えておけば、自宅だけでなくZOWIE XLシリーズが設置された場所であればどこでも、いつもと同じ画面の位置に調整できます。
最近では、自由度や省スペースなどの観点からモニターアームを導入するユーザーも多いですが、競技仕様のままゲームをプレイしたい人は標準スタンドを使うのも一つの手だと思います。
ベゼルは約2センチと分厚いです。前の機種よりもさらに太くなっています。ZOWIEいわく、太いベゼルは背景との境界線になり、集中力を向上させるようです。ベゼルレスデザインが流行しているにも関わらず、それに迎合せず、貫き通す姿勢にはZOWIEらしさを感じます。
BenQ ZOWIE XL2586X レビュー
残像感が大幅に低減 DyAc2
残像感を低減するDyAcのような機能は、今となってはゲーミングモニターの代表的な機能の1つです。
黒挿入とも呼ばれるこの手の技術、「原理が同じならどれも変わらないんじゃないか?」と思われがちですが、実はそれぞれの機種で効果に大きな差があります。
もともとDyAc+は他社を含んだ類似機能の中でもトップクラスに優れているとされていたのですが、DyAc2はそれと比べてさらに効果が向上しているとのこと。
従来のDyAcは上から下にブラックフレームが徐々に入るような仕組みでしたが、DyAc2では画面全体に一気にブラックフレームが表示されるように変更されています。これにより、画面全体の残像をしっかりと除去できるようになったそうです。
実際にXL2566Kから乗り換えてみて、すぐに違いに気付けるほど変わりました。どのゲームをプレイしていても全体的に映像が滑らかです。
- オーバーウォッチ2: ハイライトの輪郭がくっきりとして、動いている敵を目で追いやすいように感じました。
- Valorant: クロスヘア周辺に目のピントを合わせている状態で素早くフリックしても、あまり周辺視野が失われない感じがします。
色域が向上 DCI-P3 95%
XL-Xシリーズは色域が向上しています。仕組みとしては、パネルにカラーフィルムを貼り合わせることで色域を向上させているようです。
XL2566Kと比較してみました。色の濃淡、グラデーションをしっかりと表現してくれていることが分かります。「TNパネル=発色が悪い」と言われていますが、もう発色が悪いと言えないくらいには良い映りだと感じています。
DCI-P3 カバー率は95%。VAやIPSにはこれを上回る機種がたくさん存在しますが、これらの応答速度はそこそこ止まり。TNパネルの超高速応答はそのままに広色域を実現している本機には需要があるのではないでしょうか。
ただし相変わらず視野角は狭いので、斜めから覗き込むと一気に発色が崩れて黄色みがかった感じになってしまうことには注意が必要かと思います。
敵の視認性を高める Color Vibrance / Black eQualizer
XL2566Kを机から退けて、XL2586Xを繋いだ直後は「多少色味が変わったかな?」と感じました。そう感じたままにValorantをプレイしてみると、初めは敵を敵と認識しづらく、少しやりづらさを感じました。
これは充実した設定により、すぐに簡単に改善できました。通常のディスプレイの色設定のほか、色の鮮やかさを細かく調整するColor Vibrance、暗所を見やすくするBlack eQualizerなどの独自機能が備わっています。
各種設定でどのように映りが変化するかは、わかりやすくお伝えしたレビュー動画をご覧ください。ゲーム画面を見やすくするための設定は最優先で行うことをお勧めします。
設定共有が簡単に XL Setting to Share
XL Setting to Shareソフトウェアを通して、設定プロファイルの管理が行えます。
インポートやエクスポートもできるので、自分の設定プロファイルをファイルとして保存してフレンドに共有したり、ネット上で公開されているプロプレイヤーの設定プロファイルを自分のモニターに適用することも可能です。
設定が自動で切り替わる Auto Game Mode
また、XL Setting to Shareには、ゲーム起動時に設定を自動で切り替えるAuto Game Modeという機能が搭載されています。
たとえばValorantを起動したら「ゲーマー1」設定に自動で切り替わるなど、あらかじめ特定のゲームやアプリケーションと設定プロファイルを紐づけておけば、あとは自動で切り替わるので、設定を変える手間を省くことができます。
専用コントローラーが付属していたりOSDメニューの反応が速かったりと、もともとXLシリーズは競合製品と比べて操作性に優れているように感じていましたが、この機能の実装でさらに使い心地が良くなりました。
競合製品はOLEDモニター
実売価格は約16万円。同価格帯にはOLEDパネル搭載モニターがずらっと並びます。本機とOLEDモニターでどのような違いがあるのかを以下に示しておきます。
- 残像感の違いはほぼない: OLEDは0.03msなどの超高速応答を1つの特徴としていますが、残像感の少なさに関してはほとんど差がないように感じました。
- 画面の大きさと解像度: OLEDモニターは最小27インチ WQHDで、普段使いとゲームの両用に適しています。一方でこのモニターは24インチ FullHDとなっています。これは競技シーンでも主流で、FPSをプレイする上での1つの基準となっています。
- OLEDの焼きつき防止について: OLEDモニターの多くの機種は、画面の焼きつき防止のため、一定時間ごとに画面上にアラートが現れ、画面を消すかキャンセルするか選択する必要があります。これは長時間ゲームをプレイすることが多い方にとってはデメリットであるように感じます。※機能を無効化したり、キャンセルし続けることが可能な機種もあるようです。
クリエイター的な用途も兼ねる場合、OLEDモニター側にも多くのメリットが出てきます。たとえば、大画面・高解像度・高コントラスト・広視野角・USB-C出力などが挙げられます。
個人的にはゲーム用途なら本機一択です。筆者はこういった少しの手間がとても面倒に感じる(設定が自動で切り替わるAuto Game Modeが気に入っている理由でもある)性格であり、せっかくゲーム用に買うなら余計なことを気にせずゲームに集中できる仕様であってほしいからです。
また、24インチのOLEDモニターが存在しないことも大きいです。
結論とターゲット
BenQ ZOWIE XL2586Xについて詳しく解説しました。
XL2566Kを超える映像の滑らかさ: 性能を追求したハイエンドなゲーミングモニターであることはスペックを見ればすぐにわかりますが、実際にリフレッシュレート540Hz + DyAc2の組み合わせの威力は凄まじく、XL2566Kからの乗り換えでも確かな変化に気付くことができました。
ValorantやCS2、オーバーウォッチ2を最高の環境でプレイしたいと思っている競技志向のプレイヤーに最適です。ただし、リフレッシュレート540hzモニターの性能を十分に発揮するには、高いフレームレートを維持できる高性能なPCも必要になることは注意が必要です。
しかしこの体験は、初めて60hzのモニターから144hzや240hzに移行したときの感動とは程遠いものです。ほとんどの人にとって、ごくわずかな変化に感じられると思います。
「費用対効果」という言葉が頭によぎるなら本機のようなハイエンドクラスは選択肢から外し、ミドルクラスの機種を検討すべきです。
BenQのゲーミングモニター BenQ ZOWIE XL2586X のレビューでした。