「Xtrfy MZ1」レビュー。海外レビュアーがデザインした奇抜な形状のゲーミングマウス

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「Xtrfy MZ1」レビュー。海外レビュアーがデザインした奇抜な形状のゲーミングマウス

本稿では、Xtrfy(エクストリファイ)のゲーミングマウス「Xtrfy MZ1 – Zy’s Rail」のレビューをお届けします。

レビューサンプル提供: Xtrfy Japan

Xtrfy MZ1 – Zy’s Rail
価格: 11,297円(執筆時点)  Amazon  楽天市場

ファーストインプレッション

海外のマウスレビュアー Rocket Jump Ninja がデザインした、完全にオリジナルな形状のゲーミングマウス。グリップの自由度は低めで、人差し指や中指を軸にしてエイムすることを念頭においた設計。既存のマウスからはかけ離れたものであるため、人を選ぶものとなっています。

M4やM42の仕様据え置きではなく、いくつかの改善やアップグレードが見られます。全体的によくまとまった製品で、致命的な欠点はありません。この独特な形状が気に入るかどうかが全てです。

レビューを動画で見る

製品仕様とスペック

カラー 半透明ブラック 素材
形状 左右対称 サイズ 58.5 × 111.0 × 36.5mm
本体重量 56g ボタン数 6つ
センサー PixArt PMW3389 解像度 最大16,000DPI
最大加速度 50G 最大速度 400IPS
レポートレート 125/500/1,000Hz LoD 実測値0.9mm
プロセッサ オンボードメモリ
接続方式 有線 ケーブル Xtrfy EZcord Pro
スイッチ Kailh GM 8.0 エンコーダー
ソール 100%PTFE ライティング RGB
ソフトウェア 不要 メーカー保証 1年間

パッケージと内容物

内容物は MZ1マウス本体、予備のマウスソール1セット、取扱説明書。

パフォーマンス

ビルドクオリティ

MZ1のビルドクオリティは良好です。ボタンやホイールの軋みやカタつきは見られず、本体を激しく振っても音は鳴りません。

スイッチやホイールは適切に取り付けられており、それぞれのフィーリングに違和感はありません。

形状と大きさ

小サイズの左右対称ゲーミングマウス。寸法は58.5 × 111.0 × 36.5mm。

海外のマウスレビュアー Zy (Rocket Jump Ninja) がデザインした完全にオリジナルな形状です。Zyは動画内で人差し指と中指を寝かせて固定しているように見えますが、それぞれの指を立てて浅めにグリップすることも可能です。他にない特徴的なシェイプですが、基本的にはつまみ持ち向けの設計です。

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Zaunkoenig M1KやG-wolves HSKのように、本体後部が高く盛り上がったままカットされたような形状になっているのが特徴です。ただMZ1はそれら2つのようにそこまで全長が短い訳ではなく、グリップする深さ次第では不自然に手のひらに触れる可能性があるので、どのような意図があるのかは不明。つまみ持ちで動かしやすい(指や手のひらが干渉しづらい)形状とするならば、M1KやHSKのように全長をより短くした方が辻褄が合うように思います。

サイドには穴が開いていない部分があり、それぞれの指をどの辺りに配置するかが意図されたデザインとなっています。また、左右ボタンが深く窪んでいたり、両サイドが逆ハの字になっていたりと、握ったときのフィーリングが重視されているように感じます。

人差し指・中指のいずれかを軸にしてエイムするのに適した形状という印象です。

Xtrfy M42との比較

G-wolves HSKとの比較

本体重量

公称値は56g、実測値は60.2gでした。

サイズ感の割には中身が詰まっている印象です。重量バランスに難はありません。

グリップ性能

ライティングが透過する半透明のシェル。全体的にサラッとした手触りで、触った部分に跡がつきづらく、質感は良好です。ただし表面にコーティングは施されていないため、グリップ性能は低いです。

グリップしたときのフィーリングを考慮して、メインボタンやサイドの指を配置するところには穴が開いていませんが、右サイドの小指のガイドがかなり手前側に寄っているので、持ち方によっては位置が合わないかもしれません。

持ち方の相性

代表的な3種類の持ち方 かぶせ持ち・つかみ持ち・つまみ持ち との相性をチェック。

基本的にはつまみ持ちに適していながら、指を寝かせるか立てるかを工夫することで様々な深さでグリップできます。ただしホイールの位置がグリップの自由度を損ねており、浅めにグリップするとホイールに指が届きづらいです。

筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。

かぶせ持ち

MZ1は一般的な形状のマウスよりも全長が短く、本体後部が盛り上がったままカットされているので、指の第一関節よりも手前側が浮いた状態になります。これをかぶせ持ちと定義するかは人によるかと思いますが、相性は悪くありません。

本体中央からメインボタンの先端までが人差し指と中指に沿うように窪んでいるので、指を寝かせたときにフィット感が得られるうえ、左右に動かすときに軸がブレづらいです。細かな操作が行いやすいです。

つかみ持ち

つかみ持ちとの相性も悪くないです。小指の付け根あたりで軽く支えるように浅めにグリップしたり、指の関節を使ったリコイルコントロールの際だけマウスと手のひらが接地するように調整すると馴染みやすいです。

メインボタンの窪みのおかげでマウスを左右方向に動かす際に軸がブレづらいです。本体幅もちょうどいいため、両サイドを支える3本指に無駄な負荷が掛かりません。

つまみ持ち

つまみ持ちとは相性が良いです。メインボタン全体が窪んでいるので、人差し指と中指をどこに配置しても収まりが良いです。また、両サイドが逆ハの字になっているので、マウス本体が容易に持ち上がります。

ただし、両サイドの穴が開いていない部分をガイドとして3本指を配置した際、人差し指を伸ばし気味にしないとホイールまで指が届かないのがアンバランスに感じます。それぞれの指の関節を程よく曲げた状態で浅めにグリップすると、ホイールに人差し指が届きません。

スイッチ

メインボタン

メインボタンにはKailh GM 8.0が搭載されています。ゲーミングマウスによく用いられるスイッチと比べてやや押し心地が固く、ハッキリとしたクリック感があるマイクロスイッチです。コアユーザーが集まる海外のコミュニティで高く評価されています。

やや固めの押し心地で、適切な強さで跳ね返ってきます。輪郭のハッキリとした、とても歯切れの良いクリック感です。連打とタップ撃ちの両方をこなしやすいですが、軽さを重視する人には好まれづらいです。

押し心地のムラは少なく、穴が開いていない部分であれば手前側で押してもクリック感はほぼ変わりません。

サイドボタン

サイドボタンは小さく、浅めにグリップすると奥側のボタンに指が届きづらいです。ボタンが逆ハの字になるよう角度がついており、指とエッジが干渉することなくアクセスしやすい設計になっています。

押し心地はやや軽めで、跳ね返りの強さも適切。指をスライドするだけで容易に押し込むことができます。「カチッ」と柔らかめの音が鳴ります。

ホイール

Xtrfyt製ゲーミングマウスで採用されているリングと同等のもので、十分なグリップ感が得られます。中央部分のラインはライティングゾーンになっています。

ホイールの回し心地は軽く、かなり弱めのノッチ感があります。1ノッチ単位の細かな操作は行いやすいですが、高速でスクロールした際には分離感をあまり感じられません。力を込めて操作しても歪むことなく、一貫した操作感となっています。

ただし配置に難があります。ホイールが奥側に寄っているため、浅めにグリップした際には人差し指を伸ばし切らないと指が届きません。Zyのように深めにグリップして指を寝かせるような持ち方に最適化されているように感じます。

ホイールクリックはやや軽めで、ハッキリとしたクリック感があります。非常に押しやすいです。

センサー

MZ1は PixArt PMW3389 センサーを搭載しています。同社製のM4やM42を含む、有線ゲーミングマウスに採用例が多いPixArt社のハイエンドセンサーです。

主なスペックは最大16,000DPI、最大加速度50G、最大速度400IPS。初期DPIは 400, 800, 1200, 1600, 3200, 4000, 7200, 16000 の8段階と細かく刻まれており、底面のボタンから切り替えられます。

例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサー性能を検証。DPIは400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。

センサー配置

センサー配置は中央よりもやや後部寄りですが、実際にグリップしたときには中央あたりに搭載されたマウスとあまり変わらず、センサーはほぼ同じ位置にきます。

親指の配置から考えて、見かけ上のセンサー位置はあまり問題にはなりません。

MouseTester: xCounts

MouseTester: xSum

xCounts, xSumともに問題なく、実際のセンサー挙動も安定しています。

リフトオフディスタンス (LoD)

マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。

リフトオフディスタンスが長すぎると、マウスを大きく振ったあと、元の位置に戻すために持ち上げたときにカーソルが余分に動いてしまい、ゲームプレイ中の精密な操作を妨げてしまいます。個人的には1.5mm以下なら〇、1mm前後であれば◎。

MZ1はリフトオフディスタンスを1mm/2.5mmの2段階に調整でき、底面のスイッチを「LoD」に合わせたあとホイール下のボタンを押すと切り替えられます。「PureTrak Talent」上で計測した結果、MZ1のリフトオフディスタンスは1mm設定時に1.1mm、2.5mm設定時に1.9mmでした。

マウスソール

独自の形状にカットされたソールが合計3枚 (上1, 下2)。材質はPTFEで厚さは0.85mm。

純度が高いほど滑走速度が速くて滑らかに滑る反面、耐摩耗性に劣る傾向にあります。エッジは適切に処理されていて厚みも十分なので、中間層の柔らかいマウスパッドと組み合わせても引きずり感は発生しません。標準マウスソールとしては優秀です。

予備が1セット付属しているほか、センサー周りのO型リングも付属しています。中間層のスポンジが柔らかいマウスパッドと組み合わせる場合は、センサーと読み取り面の距離を一定にするため貼り付けることを推奨します。

ケーブル

MZ1に採用されているパラコードケーブル「EZcord Pro」は、M4やM42で採用されていたEZcordからアップグレードされ、取り回しやすくなっています。銅線を覆うパラコードが少し細くなっているほか、芯が少し残っているものの柔軟性が大幅に向上しています。

ブッシングが斜め上に向けて取り付けられているので、マウスバンジーで適切に浮かせてあげるとマウスパッドとケーブルとの接触を完全に防ぐことができます。

各種設定

MZ1はソフトウェア不要のプラグアンドプレイ設計です。本体底面のスイッチからモードを切り替えた後、ホイール下のボタンを押すと設定が変更できます。

「RGB」ではLEDライティング、「PR」はポーリングレート、「LOD」はリフトオフディスタンスを設定できます。また「F11」ではホイール下のボタンがF11になるので、ゲーム内の操作を割り当てられます。

また、左右クリックとサイドボタンを同時に3秒間長押しすると、デバウンスタイムを2, 4, 8, 12msの4段階で切り替えられます。

結論とターゲット

「Xtrfy MZ1 – Zy’s Rail」について詳しく見てきました。かなり独特な形状ですが、指を寝かせるか立てるかを工夫することで様々な深さでグリップできます。人差し指や中指を軸にしてエイムするのに適した形状なので、パフォーマンス面では人を選びます。

どうもZy(Rocket Jump Ninja)本人のように指を寝かせて深めにグリップする方法に最適化されているようで、やや深めにグリップしなければホイールに指が届きづらいという点は詰めが甘いように感じざるを得ません。また、右サイドの小指のガイドはかなり手前側に寄っており、ちぐはぐな印象を受けます。

Kailh GM 8.0マイクロスイッチはハッキリとした感触が得られるものの、主流マウスと比べて押し心地が固く、クリック感の軽さを重視する人は避けた方が無難です。表面はサラッとした手触りで、グリップ性能は低いです。その他はよくできており、ケーブルの柔軟性向上などM4やM42からの改善点も見られます。

有線マウスとしては強気な価格設定で、Zyがデザインした完全にオリジナルな形状に価値を感じる人向け。既存のマウスの形状に納得がいっていない人にとってカッチリとハマる可能性はあるものの、上記の通りグリップの自由度は高くなく、かなり人を選ぶゲーミングマウスのように感じます。

総合評価4.0 out of 5.0 stars

 完全にオリジナルな形状
 56gの軽量設計
十分なビルドクオリティ
 ハッキリとしたクリック感
安定したセンサー
 サラッとした感触の表面
品質の高いマウスソール
 人を選ぶ形状
 主流マウスと比べて左右クリックが固い
 浅いグリップではホイールに指が届かない
 表面のグリップ性能が低い
 価格が高い

Xtrfy MZ1 – Zy’s Rail
価格: 11,297円 (本稿執筆時点)

以上、Xtrfy(エクストリファイ)のゲーミングマウス「Xtrfy MZ1 – Zy’s Rail」のレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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あいうえおっぱい

ミオ二キ早く帰ってきてくれ;;