「ROCCAT Kone Pure Ultra」レビュー。ただの軽量版じゃない、こだわりが随所に光るKPOEの正統進化モデル

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「ROCCAT Kone Pure Ultra」レビュー。ただの軽量版じゃない、こだわりが随所に光るKPOEの正統進化モデル

本稿では、ROCCAT(ロキャット)のゲーミングマウス「ROCCAT Kone Pure Ultra (KPU)」のレビューをお届けします。

レビューサンプル提供: ROCCAT Japan

ROCCAT Kone Pure Ultra
価格: -円 (本稿執筆時点)

製品仕様と外観

KPOEの愛称で親しまれる Kone Pure Owl-Eye の軽量モデルという位置付けで発表された「ROCCAT Kone Pure Ultra」。肉抜き無しで約20gの軽量化を果たしただけでなく、最新スペックに準ずる新たな要素がいくつか組み込まれています。早速見ていきます。

Kone Pure Ultraは、計7ボタンを備える左右非対称型ゲーミングマウスです。サイズは幅70 全長115 高さ39mmと小型で、手へのフィット感が重視された秀逸なデザイン。

従来のKPOEと異なる点として、マウス表面にROCCATが独自開発したハイブリット対消耗コーティングが施されています。Kain 120のレビューの際にもお伝えしましたが、手の跡が残りづらいうえに滑りづらいという、非常に優れた表面素材となっています。

Kone Pure Owl-Eyeと同じ形です。最大の特徴としては、左サイドが大きく窪んでいる点でしょう。これが親指にピッタリと吸い付くので、手の大きさや持ち方次第では抜群のフィット感が得られるようになっています。

小型のエルゴノミクス形状は種類が少なく、小さめサイズを好む方にとっては有力な選択肢となっています。平均的な手の大きさでの掴み持ち・つまみ持ちや、手が小さめの方の被せ持ちと相性が良いです。形状についてのより詳細な考察や持ち方の相性については後述。

本体重量は公称値66g(ケーブルを除く)、ケーブルを浮かせた状態での実測値が67.3gでした。

ちなみにKone Pure Owl-Eyeの本体重量は88g(ケーブルを除く)で、外見はそのままに約22gほど軽量化されています。ROCCAT公式YouTubeチャンネルでは、どのように軽量化したのか内部構造について説明されていますね。

センサーにはPixArt PMW3389のカスタムセンサー ROCCAT Owl-Eye 16Kが搭載されており、ホイール手前のスイッチやソフトウェアからDPIを調整可能なほか、ポーリングレートは125/250/500/1000の4段階に対応しています。

スペック

ROCCAT Kone Pure Ultra 製品仕様
形状 左右非対称
表面素材 ハイブリッド対消耗コーティング
サイズ 幅70 全長115 高さ39mm
重量 Ash Black 66g / Arctic White 66.5g (ケーブル除く)
ボタン数 7つ
センサー ROCCAT Owl-Eye 16K (PixArt PMW3389カスタム)
DPI 50~16,000DPI (50刻み)
ポーリングレート 125/250/500/1000Hz
LoD 0.7mm~ (実測値), 調整可能
スイッチ
ケーブル ビニール製 (1.8m)
ソフトウェア 対応 (ROCCAT Swarm)
価格 -円 (Amazon.co.jp、本稿執筆時点)

ギャラリー

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ROCCAT Kone Pure Ultra
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パフォーマンス

持ち方の相性・操作感

Kone Pure Ultraは、かなり小さめな部類の左右非対称型ゲーミングマウス。海外メーカー製マウスながら、日本人の手の大きさに合わせたかのようなサイズ感です。

条件が合えば抜群のフィット感が得られますが、その一方で、手の大きさや持ち方によっては合わない人はとことん合わない可能性があります。容易に考えられる例として、平均よりも手が大きい方が被せ持ちすると、両サイドの窪みに指の配置を妨げられ、とても快適とは言えないでしょう。

最大の特徴とも言える左サイドの窪みは、親指がスッポリと収まるように設計されています。右サイドにも手前側に起伏があり、薬指や小指のガイドとなる緩やかなくびれがあります。

これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。

かぶせ持ち

かぶせ持ちは、筆者の手の大きさだと浅めに持つことでフィットしますが、マウスパッドに小指が接地します。筆者の場合は気にならないので相性が良いように感じますが、接地するのは好ましくないという方は注意。

手のサイズが平均的かつ小さめのマウスが好みな方、もしくは手が小さめの方ならばバッチリとハマるのではないでしょうか。逆に手が大きい方だとかぶせ持ちは不可能。

つかみ持ち

つかみ持ちは無難に相性が良いですが、フィット感には欠ける印象。本体後部にそれなりの幅があるので、手のひらのどの位置でグリップしても違和感が無いです。また、サイドの窪みと本体重量の軽さが相まって持ち上げやすいです。

つまみ持ち

つまみ持ちは最も相性が良いです。左サイドの窪みに合わせて親指を配置すれば、絶妙なフィット感を得られます。手首の細かな操作時に、親指側でマウスを細かくコントロールすることが可能で、フリック後の止めが容易に行えるように感じました。

本体サイズが小さいので、それぞれの持ち方との相性もユーザーの手の大きさによって前後しますが、筆者のように手のサイズが平均的である場合、つまみ持ちで真価を発揮するマウスだと言えるでしょう。また、手が小さめの方ならば、ある程度持ち方を選べそうです。

ボタン配置・クリック感

Kone Pure Ultraのスイッチ周りを見ていきます。まずメインスイッチですが、KPOEと同等のスイッチが採用されています。しかしガワが変わった関係上、クリック感は若干異なるものになっています。

クリック感は軽めで、アソビ(無駄な可動域)がほとんどありません。ストロークは左クリックが非常に短く、それに比べると右クリックはほんの少しだけ長め。跳ね返りも十分で、連打から指切りまで違和感なく行えます。

サイドボタンは左サイドの形状の関係からか、上の方に配置されています(KPOEから変更無し)。若干浅めのつまみ持ちでも奥側のボタンに届きます。

クリック感は軽めで、誤爆防止のためかストロークが若干長めに設計されています。それなりに本体から飛び出しているので、親指の端のほうでも少ない力で押し込めます。

ホイールはノッチ感が強めながら、誤爆しづらい程度に回りやすいです。何度回したかが把握しやすいうえ、素早く操作できます。ホイールクリックは軽くてストローク短めで、多用するゲームタイトルでも安心です。

センサー挙動・リフトオフディスタンス

Kone Pure Ultraの搭載センサーはOwl-Eye 16Kで、これはPixArt PMW3389のカスタムセンサーです。ポーリングレート1000Hz時に不安定な挙動を見せがちな3389ですが、同じセンサーを備えるKain 120をレビューした際には非常に安定していたので、今回も安心できそうです。

例のごとく、Mouse Testerでセンサーの正確性を検証します。DPIはそれぞれ400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でキャリブレーションを済ませてからテストを実施。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。

MouseTesterの見方について

基本的には、波形に点が綺麗に沿っていれば、マウスのセンサーが正確なトラッキングを行えている、という認識で構いません。マウスを動かす速度が速いほど、波形が縦方向に長く生成されます。つまり、波形の折り返し地点は、マウスが最高速度に達したことを表します。

  • 横軸 Time(ms):経過時間を表す、1000分の1秒
  • 縦軸 xCounts:マウスの左右への移動量。右に動かすと波形が上方向に、左に動かすと波形が下方向に生成される。マウスを動かす速度が速くなるほど、縦方向に大きな波形が生成される。

例えば、「中間地点の波形に点が綺麗に沿っているが、折り返し地点でブレが生じている」という場合、基本的には正確にトラッキングできているが、マウスを動かす速度が速いと反応がブレる、といった見方となります。

しかし、折り返し地点のブレが毎回同じような傾向だった場合、「マウスを早く動かすとカーソルが毎回その動きをする」ということですので、カーソルの動きは安定しているということになります。そのような場合、マウスを早く動かすとカーソルの動きに癖が出るものの正常、といった認識で構いません。

折り返し地点では波形から離れていますが、毎回ほとんど同じ場所に留まっていて問題無し。Kain 120と同様に、ポーリングレート1000Hz時にも安定した挙動を見せます。Owl-Eye 16K良いですね。

マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。こちらも使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。

ソフトウェアによるキャリブレーションを済ませた後、マウスパッド「PureTrak Tallent」上で計測した結果、リフトオフディスタンスは0.7mm前後でした。文句無しに短いです。

マウスソール

Kone Pure Ultraの標準ソールは、上下に大きめのものが2枚。角が丸く加工されたテフロン製で、本体重量が軽いからか摩擦が少ないように思いますが、安定感がある止めやすいタイプ。

本体底面はソールに沿って切り込みが入っていますが、研磨することなく楕円形や円形の汎用マウスソールに貼り替えることも可能です。

ケーブル

ケーブルはビニール製で、太さは実測値3.11mmです。これまでに試したことのあるビニール製ケーブルの中では最も柔らかく、かなり取り回しやすいのではないかと思います。

実際に手で曲げてみると硬いように思えますが、実際の操作では有線ケーブル特有の重たさも抵抗も感じません。マウスバンジーに緩めに留めておけば、実感しやすいのではないかと思います。

ソフトウェア

Kone Pure Ultraは、ROCCAT製デバイスの統合ソフトウェア「ROCCAT Swarm」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。

ROCCAT Swarm:https://ja.roccat.org/Support/Product/ROCCAT-Swarm

設定項目は、50~16,000のDPI調整(50刻み)、各ボタンへのキー・マクロ割り当て、LEDライティング設定、ポーリングレート切り替え、リフトオフディスタンス調整など。

キャリブレーションにも対応しています。マウスパッドごとにセンサーとの最適化を図る機能で、これを行うとリフトオフディスタンスを最低に設定するよりも短くすることが可能です。

ROCCAT製マウスの特徴として、特定ボタンを長押ししている間、ボタンの割り当てを切り替えられる Easy-Shift機能により、多ボタンマウスのように多くのキー割り当てを行えます。特定ユーザーにとっては便利な機能です。

結論とターゲット

「ROCCAT Kone Pure Ultra」は、Kone Pure Owl-Eyeを現代スペックに引き上げつつ、非常に優れた表面コーティングや取り回しやすいケーブルを備えています。総合的に見ても、これといった懸念点は見つかりません。

筆者を含めた国内の複数人の見解だと、以前に海外レビュアーが掲げた「レイテンシ(遅延)問題」は事実無根で、おそらくはその海外レビュアーの環境によって生じたものだと思われます。心配無用。

平均的な手のサイズだとつまみ持ちでのフィット感・操作感ともに文句無しで、手の小さな方だと持ち方の自由度が増しそうです。サイズや形状・重量の好みが合うならば迷わず選択肢に入れてしまってもいい、完成度の高いゲーミングマウスです。

ROCCAT Kone Pure Ultra
価格: -円 (本稿執筆時点)

以上、ROCCAT(ロキャット)のゲーミングマウス「ROCCAT Kone Pure Ultra」のレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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