「ROCCAT Burst Pro」レビュー。半透明ハニカム構造が特徴的な軽量ゲーミングマウス
本稿では、ROCCAT(ロキャット)のゲーミングマウス「ROCCAT Burst Pro」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: ROCCAT Japan
製品仕様と外観
ハニカムシェルを備えた軽量ゲーミングマウスが初めて登場してから数年経ちますが、今年に入ってからも各メーカーが軽量マウスを次々に発表し、既にあらゆるモデルが出揃っています。
そんな中でROCCATから新たに発売された左右対称ゲーミングマウス「ROCCAT Burst Pro」をチェック。特徴は”半透明のハニカム構造”により、表面に穴を空けることなく軽量化されていること。それに加え、新たな形状、ケーブル、マウスソールも見所と言えます。早速見ていきましょう。
Burst Proは、6つのボタンを搭載する左右対称ゲーミングマウス。
本体カラーはブラックとホワイトの2色展開。マウス表面はサラッとした手触りですが、適度なグリップ感があります。サイドにはテクスチャ加工が施されており、ザラつきは爪でなぞらなければ感じ取れない程度です。
半透明のハニカム構造を採用しており、表面に穴を空けないままに軽量化を果たしています。手の感触やグリップ感に影響を与えないので好印象です。
また、前面シェルが透過するため、他では見られない幻想的なライティングを楽しめます。
本体重量は公称値68g(ケーブルを除く)、実測値69g。非常に軽いです。
形状を4方向からチェック。本体後部の幅が最も広く、真ん中あたりで落ち着きます。両サイドは先端から中央までほぼ水平、後部にかけて広がっていくデザインで、わずかに逆ハの字に角度がついています。中央よりも後部の方が背が高く、緩やかな曲線を描いています。
寸法は58.0 x 120.0 x 38.7mmで、小~中型あたりに分類されます。
ROCCAT Owl-Eye 16Kセンサー (PixArt PMW3389カスタム) が搭載されています。初期DPIは400/800/1200/1600/3200の5段階で、ホイール下部のスイッチから切り替えられます。
ROCCAT製デバイスの統合ソフトウェア「ROCCAT Swarm」による詳細設定に対応しています。
パフォーマンス
持ち方の相性
Burst Proは、本体後部がわずかに膨らんだオーソドックスな形状かつ、小さめのサイズ感で本体重量も軽く、つかみ持ちやつまみ持ちに適した左右対称ゲーミングマウス。本体幅、背の高さ、シェイプのどれも癖が少ないので、ターゲット層が絞られることはなさそうです。
本体後部が最も本体幅が広く、中央から先端にかけてはほぼ水平です。サイドのシェイプも緩やかで、どのような持ち方でも指先が干渉しづらいです。また、わずかに逆ハの字になっているので、マウスを持ち上げる動作は容易に行えます。
これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性を以下に。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。
かぶせ持ち
かぶせ持ちは親指側のみ吸い付きますが、薬指と小指は第二関節あたりから折り込む必要があり、角度を工夫してもフィットしづらいです。また筆者の手の大きさではやや窮屈です。
つかみ持ち
つかみ持ちは非常に相性が良いです。ユーザーによって手の大きさの違いや持ち方の癖はあれど、どの部位も干渉する気配がないため、好みの分かれづらい形状だと思います。
傾斜が緩やかなので、指を立てたときに急な角度になりづらく、メインボタンを押すときに指先に力が伝わりやすいです。また、本体後部は幅が広いうえにギリギリまで高さが残されているため、手のひらを添えたときにベストポジションが見つかりやすいです。
つまみ持ち
つまみ持ちとも相性が良いです。サイドのシェイプ、背の高さのどちらもバランスが良く、つかみ持ちと同様これといった癖を感じないため、好みが分かれづらいのではないかと思います。
両サイドがほぼ水平で角度がついていないので、指の関節を使った細かな操作時に、指先で正確にアプローチできます。また、わずかな逆ハの字になっているので、マウス本体を持ち上げやすいです。
ボタン配置・クリック感
メインスイッチ
ROCCATが独自に開発した光学式スイッチ「Titan Switch Optical」を採用。一般的なメカニカルスイッチよりも高速、かつ1億回のクリック耐久性を特徴としています。
Kainシリーズに見られた歯切れの良いクリック感とは対照的に、Burst Proは非常に粘り気が強いうえ、ストロークがやや長いです。また押し心地が固く、押し下げるのに多少の力を要します。
つまみ持ちでは指が疲れやすく、つかみ持ちだとつまみ持ちと比べて固さ自体はそこまで気にならないものの、一般的なスイッチの「カチッ」という心地よい触覚フィードバックは得られず、モタつくような印象を受けます。扱いづらいです。
サイドボタン
サイドボタンは面積が大きく、本体からしっかりと飛び出しています。ボタンの配置も適切で、つまみ持ちしたときに2ボタンの境目に親指がきます。ただし、つかみ持ちで深めにグリップする場合、持ち方の特性上、手前側のボタンを押すときに親指の関節を無理に曲げる必要があります。
軽い押し心地で歯切れが良く、非常に押しやすいスイッチです。人によっては軽すぎると感じる可能性があります。
ホイール
ホイールは軽めの回し心地で、ノッチ感はやや弱いものの、作動点ごとの曖昧さがなく、意図したぶん正確に操作しやすいです。直近の同社製マウスで例えると、Kone Pure Ultraのホイールをさらに軽くしたようなもので、Kainシリーズと比べるとチープに感じます。
ホイールクリックは柔らかすぎず固すぎず。ただしストロークが非常に浅く、思ったよりも少ない圧で作動するため、指に力が入っている状態でホイールを回そうとすると誤爆する可能性があります。
センサー
Burst Proは、ROCCAT Owl-Eye 16Kセンサー (PixArt PMW3389のカスタム品) を搭載しています。主なスペックは最大16,000DPI、最大加速度50G、最大速度400IPS。直近の同社製ゲーミングマウスで言えば、Kone Pure UltraやKain 200/202 AIMOにも同じものが搭載されています。
初期DPIは400/800/1200/1600/3200の5段階で、ホイール下部のスイッチから切り替えられます。またソフトウェアからはDPI調整、リフトオフディスタンス調整、キャリブレーションが可能です。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサーの正確性を検証。DPIは400/800/1600/3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
MouseTesterの波形は綺麗に出ており、実際のセンサー挙動も問題ありません。
リフトオフディスタンス (LoD)
マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。
リフトオフディスタンスが長すぎると、マウスを大きく振ったあと、元の位置に戻すために持ち上げたときにカーソルが余分に動いてしまい、ゲームプレイ中の精密な操作を妨げてしまいます。個人的には1.5mm以下なら〇、1mm前後であれば◎。
ソフトウェア上でリフトオフディスタンスを「最短」に設定したうえで「PureTrak Talent」上で計測した結果、Burst Proのリフトオフディスタンスは0.8mmでした。非常に短い数値です。
センサーの位置
センサーはほぼ中央に搭載されています。ごく一般的な配置です。
マウスソール
一般的なPTFEマウスソールよりも滑らかさに優れていると謳う「熱処理グライド」。半透明で、表面はツルツルと滑るような手触り。実際にマウスパッド上で操作してみると確かに滑りやすいです。また、角が丸められており、マウスパッドとの引っ掛かりはありません。
また、従来の黒染めテフロンソールでは摩耗が目立ちましたが、それと比較すると劣化速度は遅いです。品質が高いとされているサードパーティ製のマウスソールにも迫るクオリティです。ただしコントロールが効きづらい点は注意。
替えが1セット付属しています。
ケーブル
ROCCATとしては初のパラコードケーブル「PhantomFlex ケーブル」。そこまで柔らかい訳ではありませんが、芯が硬すぎず取り回しやすいです。銅線を包むパラコードに余りがなく、見栄えも綺麗です。
ケーブルの根本が上を向いており、ケーブルとマウスパッドとの擦れが抑えられています。最近のワイヤード機種ではこの仕様がスタンダードになりつつあります。
ビルドクオリティ
シェルの軋みやカタつきは見られず、全く問題無い造りです。
ライティング
半透明のハニカム構造により、ほんのりと浮き出てくるような幻想的なライティングを楽しめます。ライティングゾーンはホイールと本体後部ですが、よく見ると先端まで透けて見えます。
結論とターゲット
「ROCCAT Burst Pro」について詳しく見てきました。やや小さめのサイズ感と本体後部がわずかに膨らんだ形状は、つかみ持ちとつまみ持ちに適しています。サイズと形状の好みさえ合うならば、これといった癖がなく扱いやすいので、多くのユーザーにリーチするかと思います。
マウス表面に穴を空けずに軽量化を図る”半透明ハニカム構造”も、グリップ感に影響を与えないので好印象。その他、Burst Proで初採用となるパラコードケーブル「PhantomFlex Cable」やマウスソール「熱処理グライド」も感触がよく、6,000円台のゲーミングマウスとしては豪華な仕様です。
ただ、メインボタンが非常に勿体無いと感じます。光学式スイッチを搭載していること自体は魅力的ですが、肝心のクリック感が良くないです。直近のROCCAT製マウスのような歯切れの良いものとはかけ離れた、粘り気が強くて固いスイッチなので、相当好みが分かれそうです。
以上、ROCCAT(ロキャット)のゲーミングマウス「ROCCAT Burst Pro」のレビューでした。