「HyperX Pulsefire Haste」レビュー。ハイクオリティで安価な超軽量ゲーミングマウス
本稿では、HyperX(ハイパーエックス)のゲーミングマウス「HyperX Pulsefire Haste」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: Hyper Japan
ファーストインプレッション
HyperX初となる超軽量マウス「Pulsefire Haste」。中型の左右対称形状、ハニカムシェル採用によるわずか59gの軽量設計など、表向きはありふれた軽量ゲーミングマウスのように思えます。
しかし、スイッチ調整やビルドクオリティ、ソール、ケーブルといった全体のクオリティが高く、さらに予備ソールとグリップテープが付属しているなど、かなり充実した仕様となっています。価格設定も税込5,980円と安く、同スペック帯ではかなり好条件なゲーミングマウスと言えます。
配信アーカイブ
製品仕様とスペック
カラー | ブラック | 表面処理 | 梨地加工 |
---|---|---|---|
形状 | 左右対称 | サイズ | 66.8 x 124.2 x 38.2mm |
本体重量 | 59g | ボタン数 | 6つ |
センサー | PixArt PAW3335 | 解像度 | 最大16,000DPI / 初期DPI 400, 800, 1600, 3200 |
最大加速度 | 40G | 最大速度 | 450IPS |
レポートレート | 1000Hz | LoD | 実測値1.3mm |
プロセッサ | – | オンボードメモリ | – |
接続方式 | 有線 | ケーブル | パラコード/2.0m |
スイッチ | TTC Golden (60M) | エンコーダー | – |
ライティング | RGB | ソフトウェア | 対応 |
メーカー保証 | 2年間 |
パッケージと内容物
内容物は Pulsefire Haste本体、予備のマウスソール(1セット)、グリップテープ。安価な製品ながら付属品が充実しており、非常に好感が持てます。
パフォーマンス
形状と大きさ
中型サイズの左右対称ゲーミングマウス。寸法は66.8 x 124.2 x 38.2mm。
本体中央あたりが最も背が高く、メインボタンは指の形に沿うように窪んでいます。サイドに着目すると、本体後部の幅がやや広がっており、中央から先端にかけてはほぼ水平。
オーソドックスな左右対称形状という印象を受けつつも、既存のマウスで例えるのが非常に難しいです。「SteelSeries Aerox 3 Wireless」や「ROCCAT Burst Pro」のコブを中央付近に持ってきて、本体後部の幅の膨らみやサイドの窪みを緩やかにした形状、という表現が最も近いかと思います
本体重量
公称値は59g(ケーブルを除く)、実測値は58.0g。
グリップ性能
表面には梨地加工が施されています。細かな凹凸が存在するぶん、一切処理されていないフラットなものと比べると多少は滑りづらいですが、グリップ性能に長けているとは言い難いです。
かぶせ持ちやつかみ持ちのように接地面積が多い持ち方では同じフォームを維持することがでますが、つまみ持ちでは指の関節を使ったときに細かなポジションのズレが発生します。
ハニカム状の模様が描かれたグリップテープが付属しています。あらかじめ形状に合わせてカットされているので貼りやすく、それなりに滑りづらいので、指が滑るのが気になる場合は活用すべき。
厚さは実測値0.73mmでした(※台紙の厚さは省いています)。
持ち方の相性
代表的な3種類の持ち方 かぶせ持ち・つかみ持ち・つまみ持ち との相性をチェックします。
筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。
かぶせ持ち
かぶせ持ちは問題なくグリップ可能ですが、両サイドはほぼ水平ですし、本体後部の幅の膨らみもわずかなので、フィット感は得られづらいです。
写真のように真っ直ぐ持つか、薬指や小指を折り込むように斜めを向けると、どの指も干渉しないまま握り込むことができます。
約38mmと比較的背が低いマウスではあるものの、中央付近が最高点を保ったまま平らになっているため、そこまで窮屈ではありません。
つかみ持ち
つかみ持ちは相性が良いです。つかみ持ちでは触れる部分が限定されるため、実際の形状は違えど、少し本体幅の広いZOWIE FK2のようなフィーリングに感じられます。
両サイドの指先を配置するポジションはほぼ水平なので、これといって干渉する要素はありません。
Pulsefire Hasteの形状の利点として、先端あたりの背が低く設計されており、さらにメインボタンが大きく窪んでいるため、マウスパッドと人差し指・中指との距離が近づくことが挙げられます。指先に力が伝わりやすく、マウスの動作とクリックのタイミングを連動させやすいと言えます。
つまみ持ち
つまみ持ちとも相性が良いです。両サイドにガイドとなるような窪み等は存在しないので、好きなようにグリップできます。メインボタンはセパレートタイプなので、浅いポジションでのクリックも可能です。
最近だと、つまみ持ちに最適化された全長が短いマウスが多く出てきています。Pulsefire Hasteは全長124mmと、それらと比べてやや長めではあるものの、本体後部の背が低いので問題ありません。
ただし指の関節を使って細かく動かすようなシーンでは指先が滑りやすいので、つまみ持ちで運用する場合は付属のグリップテープで滑り止め性能を補うことを推奨します。
スイッチ
メインボタン
TTC Goldenマイクロスイッチ。耐久性は6,000万回。歯切れの良さが際立つ、非常に感触の良いスイッチです。
押し心地は固すぎず軽すぎず。押し込み圧と跳ね返りの強さのバランスが適切で、程よい遊びが設けられているため、連打・タップ撃ちの両方で優れたパフォーマンスを発揮します。
セパレートタイプとなっており、シェルに穴が開いていない部分であれば、クリック感にほぼ変化はありません。かなり浅めのつまみ持ちを含む、あらゆるグリップスタイルに対応します。
サイドボタン
サイドボタンはやや幅が広めに取られ、本体からしっかりと飛び出しています。どの持ち方でも両側のボタンへのアクセス良好。
押し心地はやや軽めで、反応時の感触も良いです。「カチッ」と押し込まれるまでの遊びが若干長いですが、親指をスライドする程度の軽い力で押し込めるので、良いバランスになっているのかなと。
ホイール
細かな凹凸が刻まれたゴムリングは滑りづらく、精密なコントロールが可能です。メインボタンに対してホイール部の背がやや高いので注意。
ホイールの操作感については、常に一定の抵抗があるのに対し、ノッチ感が弱いのが惜しいところ。高速でスクロールする際などのフィーリングは非常に良いですが、複雑な操作を強いられる場面で1ノッチ正確に回しづらい印象です。
特にイヤホンなどで指を塞いでいる場合、指先に僅かな感触が残る程度となります。とはいえ、この価格帯のマウスに搭載されているホイールはチープなものが大半を占める印象なので、いい意味で驚かされました。
ホイールクリックは固すぎず柔らかすぎず、適切な圧で押し込めます。「カタカタ」と低めの音が鳴ります。
センサー
Pulsefire Hasteのセンサーは「PixArt PAW3335」。主なスペックは 最大16,000DPI、最大加速度40G、最大速度400IPS。初期DPIは 400, 800, 1200, 1600, 3200の4段階で、ホイール下部のスイッチで切り替えられます。
センサーはマウス本体の中央付近に搭載されており、一般的な配置であると言えます。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサー性能を検証。DPIは400 / 800 / 1600 / 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
xCountsで激しい乱れが見られますが、ゲームプレイでの実際のセンサー挙動に一切問題は見られません。xSumの波形を確認する限り、センサーはマウスの動きを正確に追跡できていることを示しています。
今後のファームウェアアップデートで改善される可能性があります(前例有り)。
リフトオフディスタンス (LoD)
マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。
リフトオフディスタンスが長すぎると、マウスを大きく振ったあと、元の位置に戻すために持ち上げたときにカーソルが余分に動いてしまい、ゲームプレイ中の精密な操作を妨げてしまいます。個人的には1.5mm以下なら〇、1mm前後であれば◎。
「PureTrak Talent」上で計測した結果、Pulsefire Hasteのリフトオフディスタンスは 1.2mm でした。リフトオフの調整は不可能ですが、十分に短く調整されているので問題ありません。
マウスソール
楕円形マウスソールが四隅に4枚の配置。材質は100%PTFEを謳っています。
サードパーティー製の100%PTFEソールと比べても遜色のない滑り。エッジの処理も丁寧で、しっかりと角が丸められているため、沈み込みのあるマウスパッドと組み合わせても引っ掛かりは生じません。
予備ソールが1セット付属しています。厚さは実測値0.81mmでした (※台紙の厚さは省いています)。
ケーブル
HyperXとしては初となるパラコードケーブル「HyperFlex USBケーブル」は非常に軽くて柔らかく、標準ケーブルの中でもかなり取り回しやすい部類であると言えます。 (個人的なトップ3は Endgame Gear > Cooler Master > HyperX)
パラコードケーブルとしては細く、外側を覆う布の余りも少ないですが、主要のマウスバンジーには問題なく取り付けが可能でした。
ビルドクオリティ
Pulsefire Hasteのビルドクオリティは良好です。メインボタンやホイール、ケーブルのブッシングなどにカタつきは一切見られず、本体を激しく振っても音は一切鳴りません。
本体を強く握るとシェルが軋むことがありますが、あくまで接合部のわずかな擦れによるもので、歪んだりすることはありません。
結論とターゲット
「HyperX Pulsefire Haste」について詳しく見てきました。本体重量59gの超軽量設計かつ、HyperXとしては初のハニカムマウスですが、ビルドクオリティに難は見られません。
オーソドックスな左右対称形状はフィット感には欠けるものの、持ち方を選びません。表面には梨地加工が施されており、グリップテープも付属しているので、持ち方に合わせて柔軟に対応することが可能です。
各部スイッチに関してもハイクオリティです。特にメインボタンは歯切れの良いクリック感で、FPSにおける連打・タップ撃ちの両方に適しています。
センサーはMouseTester:xCountsの波形こそ乱れているものの、実際の挙動には一切問題ないので心配は要らないかと思います。リフトオフディスタンスの調整も適切です。
そのほか、100%PTFEマウスソールや柔らかくて軽いパラコードケーブルも備えており、6,000円前後の同価格帯のマウスと比較して明らかに優れた仕様です。フィット感にこそ欠けるものの失敗しづらい形状なこともあり、超軽量ハニカムマウスを試してみたいという幅広いユーザーにお勧めできる1台。
総合評価4.5 out of 5.0 stars
オーソドックスな左右対称形状
予備ソールとグリップテープ付属
問題無いビルドクオリティ
優れたクリック感
挙動が安定したセンサー
滑りやすい100%PTFEソール
柔らかくて軽いケーブル
価格が安い
xCountsの波形が乱れている (?)
安全な形状はフィット感に欠ける
以上、HyperX(ハイパーエックス)のゲーミングマウス「HyperX Pulsefire Haste」のレビューでした。