「Glorious Model O」レビュー
本稿では、Glorious PC Gaming Raceのゲーミングマウス「Glorious Model O」のレビューをお届けします。 [no_toc]
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製品仕様と外観
ハニカム構造の軽量ゲーミングマウスの先駆けとなったFinalmouseに続き、いち早く類似製品の展開に乗り出したのがGlorious PC Gaming Raceです。ゲーミングマウスパッド Gaming Mouse Mat で高い評価を得ている海外のPC周辺機器メーカーで、海外Amazonでは3,000件以上のレビューで★5の評価を受けています。今回レビューする「Glorious Model O」がメーカー初のゲーミングマウスとなります。
基本仕様としては、6ボタンを備えた左右対称型のゲーミングマウスです。幅66×全長128mm×高さ37.5mmと平べったい中型サイズで、形状はZowie FKシリーズ系統に似た印象を受けます。本体重量はハニカム構造により極限まで削られており、マットモデルが67g、グロスモデルが68g(表面コーティングによって異なる)です。カラーバリエーションはブラック、ホワイトの2色展開。なお、レビュー機はマットホワイトとなります。
センサーには最大12,000DPI(100刻み)に対応する Pixart PMW3360 を搭載しており、ポーリングレートは最大1,000Hzに対応しています。メインスイッチには、クリック耐久性2,000万回のオムロン製のものを採用しています。それぞれの数値やデバウンスタイムなどは「Glorious Model O Software」ソフトウェアによって画面上で設定することができますが、本体のみで設定するドライバレス製品として使用することも可能です。
ケーブルにはAscended Cordといった疑似パラコードが採用されています。一般的な編組ケーブルとは比べ物にならないくらい柔らかいうえ、ケーブル自体が軽量なので、有線マウス特有の煩わしさを感じづらいです。マウスソールにはG-Skatesといったテフロン製のものが標準搭載されています。厚さ0.81mmでエッジが丸く加工されており、非常に滑りやすいのが特徴です。
現状で市場に出回っているハニカム構造ゲーミングマウスでは初となるLEDライティングを搭載していることも特徴です。発行色はRGB(約1,680万色)に対応しており、発光エフェクト8種類から選択可能です。外側だけでなく本体内部にまでライトが反射するので、非常に良い見栄えとなります。
ギャラリー
パフォーマンス
マウスの持ち方3種との相性
「Glorious Model O」は製品仕様の項目でもお伝えした通り、中型サイズのZowie FK1に若干の湾曲を与えたような形状となります。全く癖の無い左右対称ゲーミングマウスで、全ての持ち方との相性が良好です。以下から、それぞれの持ち方との相性について詳しく記述していきます。なお、ユーザーの手の大きさによって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。参考として、筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cm(日本人男性の平均)となります。
かぶせ持ちでは、人差し指と中指を配置するメインスイッチの部分、親指・薬指・小指を配置するサイドの形状、どれも良い具合にフィットします。比較的平べったい部類(高さ37.5mm)なので、IE3.0クローンのようにマウスに手全体を被せてしっかりと握り込むというよりは、マウスに各指をふわっと乗せることで抜群のフィーリングが得られると思います。
また、つかみ持ちでは、薬指と小指を配置する右側サイドに指が引っ掛かりやすく、マウスを瞬時に持ち上げやすくなっています。本体は平べったいですが手のひらが上手く引っ掛かり、マウス全長が128mmと長いので、筆者の手の大きさでは余裕を持って握ることができました。
つまみ持ちでは、手首AIMの方は浅く持つことで、腕AIMの方は深く持つと快適に操作できます。しかし浅く持った場合に限って、奥側のサイドボタンに親指が届きづらいという弊害があります。その点を除けば、特に影響はありません。メインスイッチを押す箇所によるクリック感の変化なども特に無いです。
結論として「Glorious Model O」は、持ち方を問わずフィットする万能な形状であると感じました。つまみ持ちで最も持ちやすい浅めのポイントで、奥側のサイドボタンが押しづらいことがやや残念ではあります。ちなみに、マウスを握ったときにハニカム構造の穴が気になることはありません。力の入りやすいメインスイッチやサイドには穴が開いておらず、個人的にはほとんど感覚は無いようなものです。
スイッチ調整
「Glorious Model O」のスイッチ調整について。メインスイッチは軽めの押し心地かつしっかりとしたクリック感となっています。クリックする力が不均一でも連打しやすい、FPS向けの調整だと言えるでしょう。使い始めから一切の違和感なく扱うことができました。サイドボタンやホイールクリックも同様、他製品と比較しても軽くて押しやすいです。
ホイールは回すたびに引っ掛かりを感じられ、何度回したかが把握しやすいタイプです。凹凸の滑り止めラバーも相まって回しやすいですし、誤操作は避けられるほどのこれも他のゲーミングマウスによく見られる調整ホイール周りの機構はしっかりしており、耐久性の面も問題は無さそうです。
センサー挙動とリフトオフディスタンス
- MouseTesterの見方について
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基本的には、波形に点が綺麗に沿っていれば、マウスのセンサーが正確なトラッキングを行えている、という認識で構いません。マウスを動かす速度が速いほど、波形が縦方向に長く生成されます。つまり、波形の折り返し地点は、マウスが最高速度に達したことを表します。
- 横軸 Time(ms):経過時間を表す、1000分の1秒
- 縦軸 xCounts:マウスの左右への移動量。右に動かすと波形が上方向に、左に動かすと波形が下方向に生成される。マウスを動かす速度が速くなるほど、縦方向に大きな波形が生成される。
例えば、「中間地点の波形に点が綺麗に沿っているが、折り返し地点でブレが生じている」という場合、基本的には正確にトラッキングできているが、マウスを動かす速度が速いと反応がブレる、といった見方となります。
しかし、折り返し地点のブレが毎回同じような傾向だった場合、「マウスを早く動かすとカーソルが毎回その動きをする」ということですので、カーソルの動きは安定しているということになります。そのような場合、マウスを早く動かすとカーソルの動きに癖が出るものの正常、といった認識で構いません。
「Glorious Model O」の搭載センサーは Pixart PMW3360 です。ホイール手前のDPI変更ボタンにより、400/800/1600/3200の4段階に切り替えられ、底面のLEDインジゲーターの色でDPIを確認することができます。さらにソフトウェアによって400-12,000DPI(100刻み)の間で変更でき、いずれかのボタンに割り当てることも可能です。
MouseTesterを使用してセンサーの正確性をチェック。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。上記4つのDPIでマウスパッド Corsair MM350上でテストを実施しました。結果として、どのDPIでも波に綺麗に線が沿っており、メーカー側で適切なセンサー調整が行われていると言えます。非常に正確なトラッキングが可能で、特に400、800DPIでの正確性は光るものがあると思います。
マウスを持ち上げてセンサーが反応しなくなるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証しました。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねながら、センサーの反応が途絶える距離を測りました。複数のマウスパッドで検証した結果、公称値通りでリフトオフディスタンスは0.7mm前後となりました。これは非常に短く、カーソルの無駄な動きを極限まで減らせると言えるでしょう。
マウスソール
「Glorious Model O」には、Glorious PC Gaming Raceが製造するマウスソール G-Skates が標準で備わっています(四隅に4枚)。テフロン製(PTFE)で、厚みは0.81mm、角を丸める加工が施されています。滑り心地としては、とても滑りやすいが止めづらいといった印象です。Hyperglideの止めが若干弱くなったものと考えれば分かりやすいかと思います。滑りやすいマウスソールを愛用している方にとって満足できるものと言えるでしょう。
個人的には合わない部類のマウスソールでした。というのも、他メーカーの純正ソールに慣れている筆者にとって、G-Skatesは止めの強さが圧倒的に足りないと感じました。67gという軽めの本体重量も相まって、意図した位置をカーソルが追い越してしまうことが多々ありました。このあたりは他のソールへ張り替えるだけで対応可能なので、大きな問題ではありません。
ケーブル
最近では、柔らかくて軽いケーブルを標準で採用しているゲーミングマウスが増えてきたように思います。「Glorious Model O」には、柔軟かつ超軽量を謳うケーブル Ascended Cord が採用されています。疑似パラコードのようなものです。ちなみに、本物のパラコードをマウスの標準ケーブルとして採用すると、販売準拠に引っ掛かってしまうそうです。
Ascended Cordは非常に柔らかくて軽いので、マウス操作時にケーブルの重さをほぼ感じることはなく、激しく動かしたときも有線ゲーミングマウスを操作している感覚は少ないです。ほぼ無線ゲーミングマウス同様の操作感を実現していると言えるでしょう。一見ケーブルが太く見えるのは、布で緩やかに覆われているからです。
ちなみに、マウスバンジーにケーブルを留めておくことで、さらに操作感が向上します。ケーブルを覆う布の中身は非常に細いうえに、マウスバンジーの留め具のゴムがケーブルの布と引っ掛かってくれるので、大半のマウスバンジーに適合します。
ソフトウェア
「Glorious Model O Software」ソフトウェアによる詳細設定が可能です。設定項目としては、各ボタンへのキー・マクロ割り当て、400-12,000(100刻み)のDPI調整、LEDライティング、リフトオフディスタンス(LOD)、ポーリングレート、デバウンスタイムとなります。日本語表記には対応していませんが、非常に分かりやすいUIとなっています。
Glorious Model O Software ダウンロード:https://www.pcgamingrace.com/pages/glorious-model-o-downloads
ブランド初のゲーミングマウスということですが、ソフトウェアに不具合は無く、完成された状態で提供されているのは好印象。全ての項目をプルダウンもしくは調節バーで変更できるので、直感的に設定を済ませることができます。文句無し。なお上記URLからは、最新ファームウェアも同時に入手可能です。
結論とターゲット
「Glorious Model O」は、オールラウンダーな形状、正確なセンサー調整、スイッチ調整の違和感の無さ、滑りやすいマウスソール、柔らかくて軽いケーブル、どこにも隙が無いと感じます。本製品の最大の特徴である”軽量設計”という点を抜きにして評価すると、ほぼ理想的なe-sports向けゲーミングマウスだと思います。
あえて”ほぼ”と表現した理由としては、この製品の核とも言える”ハニカム構造による67g(68g)への軽量化”がどう評価されるかは完全にユーザーの好みによって分かれるので、決して万人受けする製品とは言えないからです。Zowie FK1のような左右対称型が好みで、より軽量なものを探している方にとっては、非の打ち所がないゲーミングマウスと言えるのではないでしょうか。
Glorious Model O の購入方法
今のところGlorious PC Gaming Raceは日本正規代理店を持たず、国内供給がないので入手するのにやや苦労します。「Glorious Model O」の入手方法は以下の2つとなります。参考までに、筆者は海外公式サイトから購入し、送料は約1,100円ほど、注文から到着までに1ヵ月ほど要しました。
- Amazon.co.jpで並行輸入品を購入する(最も手軽、出荷日も分かりやすい)
- Glorious PC Gaming Race公式サイトから購入(並行輸入品よりも割安、到着までに日数が掛かる)
以上、Glorious PC Gaming Raceのゲーミングマウス「Glorious Model O」のレビューでした。