「Finalmouse Ultralight Phantom」レビュー
本稿では、Finalmouse(ファイナルマウス)のゲーミングマウス「Finalmouse Ultralight Phantom」のレビューをお届けします。[no_toc]
レビューサンプル提供: ふもっふのおみせ
レビューを動画で見る
https://www.youtube.com/watch?v=fH7LN8V7DnA
製品仕様と外観
最近の流行として、ハニカム構造にすることで軽量化を図ったゲーミングマウスが続々と登場しています。当サイトでもさまざまなニュースを取り上げていますが、そのような目新しいマウスの先駆けとなったのは間違いなくFinalmouseです。「マウスが軽ければ軽いほど、より素早くターゲットに照準を当てられる」という理論から、次世代のe-sports向けゲーミングマウスとして人気を博しています。
Ultralightシリーズは計4種類を展開しています。シリーズ共通のスペックとしては、1:1トラッキングを実現する高性能センサー Pixart PMW3360 を搭載し、本体重量がわずか67gという点です。サイズ感はいわゆる中型ゲーミングマウスのそれですが、本体に細かな穴をいくつも空けたハニカム構造によってここまでの軽量化を果たしています。
無線接続に対応したゲーミングマウスも増えていますが、バッテリーを内蔵するぶん本体重量が増えてしまいます。今回レビューするUltralight Phantomは上記に加え、まるで無線接続のような操作感を実現するケーブル ファントムコード を採用しています。まるで紐のような柔らかくて軽いケーブルとなっており、操作時にケーブルによる抵抗や重量感を感じづらいといったものです。
Finalmouseによると、マウスの重量を10gそぎ落とすだけで、フォートナイトを1試合プレイしている間に18kgの負担軽減に繋がるとのこと。腕や手首へのストレスが無くなることで、常に安定したパフォーマンス、マウス速度とコントロールが期待できそうです。マウスの動きが激しくなりがちなゲームジャンルも増えているので、現代ゲーマーのニーズに応えた製品と言えるでしょう。
なお現時点では、Ultralightシリーズの国内での正規取扱品の入手は不可能です。そのような状況であえて本製品をレビューする意図としては、筆者がハニカム構造を採用した”超軽量ゲーミングマウス”を扱うのは本製品が初めてということと、今後も続々とリリースされるであろうマウスへの見解を深めるためです。このレビューを通してさまざまな検証を行いたいと思います。
パフォーマンス
マウスの持ち方3種との相性
「Finalmouse Ultralight Phantom」は重量が軽いとはいえ決してサイズが小さいわけではなく、いわゆる中型ゲーミングマウスとなります(サイズの実測値はW66×D128×H39mm)。それを踏まえたうえで、それぞれの持ち方との相性をチェックしていきます。ユーザーの手の大きさによっては感じ方が大きく変わる可能性があることを前置きしておきます。参考として、筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cm(日本人男性の平均)となります。
左右対称型のゲーミングマウスとしては、手へのフィット感を重視して設計されているように感じます。左右メインスイッチは大きく窪んでおり、人差し指と中指がすっぽりと収まります。またサイドも工夫が凝らされており、底面に近づくにつれてシャープになっていることで、マウス本体を下から上に持ち上げやすい構造となっています。
「かぶせ持ち」では問題なく手全体をカバーしてくれるうえ、強いフィット感を感じられます。サイドの形状と重量の軽さが相まって、マウスを瞬時に持ち上げやすく、精密なカーソル操作が可能でした。「つかみ持ち」も同様、各指を引っ掛かけられるポイントが存在するので、マウス操作が安定しやすいです。特に、ローセンシの腕AIMプレイヤーにとっては非常に操作しやすいのではないかと思います。
「つまみ持ち」は持ち方自体の相性としては悪くないのですが、マウスを動かすときに細かな制御が効きづらいと感じます。重量が軽いあまりに意図した位置でマウスを止められず、カーソルが追い越してしまうことが多々ありました。標準のマウスソールは若干滑りが悪いのですが、より止めが強いものに張り替えるなどすれば対応することはできそうです。
スイッチ調整
「Finalmouse Ultralight Phantom」のスイッチ調整についてですが、左右メインスイッチはやや軽め。押し心地が「カチッ」としっかりしており、やや意識して押し込む必要があります。押し込んだあとのレスポンスが強めで、クリック連打がしやすいと感じます。FPS向けの設定であることは間違いないでしょう。
サイドボタンは軽く、意図したタイミングで瞬時に押し込めます。ホイールは非常に柔らかいうえに抵抗がほとんど無く、何度回したかがやや掴みづらいです。指を動かしたときに触れると誤操作に繋がります。一方でホイールクリックは硬めで、真下に押さえつける形となります。
メインスイッチやサイドボタンについては問題無いのですが、ホイールがあまりに柔らかいことが筆者にとって慣れづらい点でした。『League of Legends』などのMOBAをプレイしている際、ふとしたタイミングで誤操作して画面が拡大されてしまうことが何度かありました。FPSやTPSにおいては優れたスイッチ調整であると感じました。
センサー挙動とリフトオフディスタンス
「Finalmouse Ultralight Phantom」には光学センサー「Pixart PMW3360」が搭載されています。ホイール手前のDPI変更ボタンにより、400 / 800 / 1600 / 3200DPIの4段階に切り替えることが可能です。なおポーリングレートは500Hz固定。推奨はできませんが、とあるソフトウェアを用いて変更する方法もあるようです。
Mouse Testerを使用してセンサーの正確性をチェックしました。性質上、テスト環境によって結果が前後してしまうものであることを前置きしておきます。上記4つのDPIでマウスパッド Corsair MM350 上でテストした結果、綺麗に波に点が沿っていることが分かります。センサー調整は非常に優秀で、正確なトラッキングが可能であると言えるでしょう。
また、マウスを持ち上げた時にセンサーが反応しなくなる距離 リフトオフディスタンス も検証。これが短ければ、マウスを浮かせて移動させた際に無駄なカーソルの動きを防げます。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねていき、センサーの反応が途絶える距離を測りました。その結果、Ultralight Phantomのリフトオフディスタンスは1.1mmでした。e-sports向けゲーミングマウスとして十分に短く、精密なカーソル操作を求めるFPSプレイヤーにも適しています。
結論とターゲット
万人にとって扱いやすい中型サイズ、非常に正確なセンサー調整、それでいて本体重量67gといった魅力を兼ね備えた本製品。ポーリングレートが500Hz固定であることはユーザーを選ぶ点ではありますが、総じてゲーミングマウスとしての完成度は高く、いわゆるハイエンド機並みの性能を誇ります。となると、「Finalmouse Ultralight Phantom」のような軽量ゲーミングマウスを手に取るべきターゲット層を明確に示す必要があると思います。
筆者の見解としては、マウス操作が激しくなりがちなゲームタイトルをプレイしている方ならば必ず試しておくべき製品。さまざまなゲームで検証しましたが、FPSやTPSでは『フォートナイト』『Apex Legends』『オーバーウォッチ』などが当てはまります。これと同時に、『Dota 2』や『League of Legends』のようなMOBAにも最適なゲーミングマウスとも言えます。もっとも現状では、MOBA方面のプレイヤーにはあまり目が向けられていないように思いますが、e-sports向けゲーミングマウスとしてもっと広いプレイヤーに認知されるべき製品であることは間違いないでしょう。
以上、Finalmouse(ファイナルマウス)のゲーミングマウス「Finalmouse Ultralight Phantom」のレビューでした。