「BenQ ZOWIE ZA-C series」レビュー。唯一無二の形状、現状最も優れた有線ゲーミングマウス
本稿では、BenQのゲーミングマウス「BenQ ZOWIE ZA-C series」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: ベンキュージャパン株式会社
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この製品について
ZOWIE ZA-Cは、ZAシリーズの最新モデルです。前作のZA-Bと比較して各サイズ8~10gの軽量化、さらにはビニールケーブルを撤廃して新たにパラコードケーブルが採用されています。また、光学式ホイールは従来の16ステップから一般的なマウスと同じ24ステップのものに変更されています。
ZAシリーズはクローンマウスはおろか似た形状のものも存在しないため、本機が気になっていた方も多いかと思います。その詳細な使用感について本稿で詳しく解説します。
製品仕様とスペック
カラー | ブラック | 表面 | マット |
---|---|---|---|
形状 | 左右対称 | サイズ |
ZA11-C : 67 x 129 x 42mm
ZA12-C : 65 x 125 x 41mm
ZA13-C : 63 x 121 x 40mm
|
本体重量 |
ZA11-C : 72g
ZA12-C : 70g
ZA13-C : 65g
|
ボタン数 | 5つ |
センサー | PixArt PMW3360 | 解像度 | 400/800/1600/3200DPI |
最大加速度 | – | 最大速度 | 450IPS |
ポーリングレート | 125/500/1000Hz | ホイール | 24ステップ 光学式 |
デバウンス | 2段階 (Fast, Normal) | スイッチ | – |
接続方式 | 有線 | ケーブル | パラコード |
ソール | PTFE | ライティング | 非搭載 |
ソフトウェア | 不要 | メーカー保証 | 1年間 |
バリエーション
ZOWIE ZA-C seriesはZA11-C・ZA12-C・ZA13-Cの3サイズを展開しています。カラーはブラック。
パッケージと内容物
ZOWIE ZA-C seriesのパッケージの内容物は以下の通りです。
- ZOWIE ZA-C マウス本体
- 交換用マウスソール1セット
- 取扱説明書・ステッカー
パフォーマンス
接続とケーブル
ZOWIE ZA-Cは有線接続のゲーミングマウスです。従来のビニールケーブルよりも柔らかくて取り回しやすいパラコードケーブルが採用されています。あまり芯が残っておらず、とても柔らかい部類のものです。
ケーブルの付け根が斜め上を向いており、マウスパッドとケーブルが擦れ合うのを防ぎます。また、ブッシュには柔軟性があり、上下左右にしなります。マウスバンジーで高所に固定することで、ケーブルの煩わしさを感じることなく快適に使用することができます。
ビルドクオリティ
ZOWIE ZA-Cのビルドクオリティはとても優れています。
前作よりも軽量ですが、引き続き分厚いシェルが採用されています。グリップしたときに軋んだりカタつくことはなく、本体を激しく振っても音は鳴りません。通常使用では全く問題にならないほどの剛性が保たれています。
スイッチは適切に取り付けられており、それぞれのフィーリングに違和感はありません。
グリップ性能
ZOWIE ZA-Cのシェル表面にはマットコーティングが施されています。最近の軽量ゲーミングマウスはグリップ性能を度外視する傾向にありますが、ZOWIE C seriesは前作から変わらないので安心です。
グリップ性能は高く、手のひらから指先までしっかりと固定できます。手汗が多いと若干滑るものの、それなりにグリップ性能が維持されます。全体で見るとかなり優れています。
触った部分に跡が残りやすく、汗や皮脂による汚れは目立ちやすいです。
本体重量
サイズ | ZA-C (今作) | ZA-B (前作) | 比較 |
ZA11 (大) | 72g | 82g | -10g |
ZA12 (中) | 70g | 78g | -8g |
ZA13 (小) | 65g | 75g | -10g |
本体重量はZA11-Cが72g、ZA12-Cが70g、ZA13-Cが65gとなっており、各サイズ間で2~5gの違いがあります。前作ZA-Bと比べると、それぞれ8~10g軽量化されています。
ZOWIE C seriesは軽量化を最重要視したものではなく、有線マウスとしてはそれほど軽くはありません。しかしZA-C seriesはサイズに対して比較的軽く、超軽量マウスの選択肢の一つに含まれます。
重量バランス
ZOWIE ZA-Cの重心は、大半のゲーミングマウスと同じようにほぼ中心に調整されています。
重心が後ろ側に寄っているものは、実際の本体重量よりも重たく感じるなどの悪影響を及ぼすことがありますが、そのような心配は要りません。違和感なく快適に使用することができます。
形状と大きさ
ZOWIE ZA-CはZOWIEオリジナルの左右対称ゲーミングマウスです。ZAシリーズの形状は一部の層に高い支持を得ており、クローンはおろか近いものも存在しないことから、このZA-C seriesはファンにとって待望の製品だったと言えます。
各サイズの寸法は以下の通り。3サイズ展開となっており、手の大きさや持ち方に合わせて選択できます。
幅 (mm) | 全長 (mm) | 高さ (mm) | |
ZA11-C (大) | 67 | 129 | 42 |
ZA12-C (中) | 65 | 125 | 41 |
ZA13-C (小) | 63 | 121 | 40 |
ZOWIEのように複数サイズを展開する場合、手の大きさや持ち方によって自分に合ったサイズを選択できることが強みです。筆者のような平均的な手の大きさでは、かぶせ持ちではZA11-C、つかみ持ちではZA12-CかZA13-C、つまみ持ちではZA13-Cがベストな選択となるように感じます。
ZAは本体後部が大きく盛り上がったフォルムが特徴です。本体を横から見ると、本体後部のやや前側が最も背が高く、先端にかけて緩やかに降りていくように設計されています。また、サイドの形状に着目すると、本体後部がしっかりと膨らんでいるのに対し、真ん中はしっかりとくびれています。
ZA12-CやZA11-Cは、手のひらへのホールド感が非常に強く、指先もしっかりと固定できるため、かぶせ持ちやつかみ持ちに適しています。また小サイズのZA13-Cは、ZOWIEマウスの中で最も小さめに設計されており、サイドの形状も指先をフィットさせやすいことから、つまみ持ちへの適性が高いです。
メインボタンは指に沿うように窪んでおり、指を寝かせて置いたときに左右クリックの軸がブレづらくなっています。また、サイド先端は出っ張っており、深めにグリップしたときに薬指がメインボタンと挟まるのを防止します。
ZAシリーズのような本体後部が大きく膨らんだマウスの利点は、手のひらへのホールド感が高く、操作の安定性が増すことだと個人的には感じます。指先よりも、手首や手のひらのような後ろ側でマウスを制御している感覚が強い方に適しています。
形状を8方向からチェック
持ち方の相性
代表的な3種類の持ち方 かぶせ持ち・つかみ持ち・つまみ持ち との相性をチェック。
筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。
かぶせ持ち
かぶせ持ちとの相性は悪くないです。手の大きさに合わせて3つのサイズから選択でき、筆者のような平均的な手の大きさの場合はZA11-Cが最も適したサイズ感であると感じます。
本体後部の背が高めに設計されており、手のひらに張り付くようなフィット感が得られます。また、本体後部の幅が広がっているので親指の付け根から先端までを密着させることができ、サイド先端には十分なスペースがあるので薬指・小指の置き場にも困りません。
全長が長く幅が狭いタイプなので、深めにも浅めにもグリップすることができます。
かぶせ持ち向けのマウスには左右非対称のものが多いです。ZA-Cは左右対称ながら、それらに劣らないほど手のひらに強いフィット感が得られる形状です。いわゆるIE3.0クローンの本体幅が広すぎると感じている場合、一度試してみて損は無いかと思います。
サイドボタンやホイールの配置は適切で、それぞれに指が届きやすく、無理なく押し込むことができます。
つかみ持ち
つかみ持ちとは非常に相性が良いです。筆者のような平均的な手の大きさの場合、小さめのマウスに慣れている場合はZA13-C、中くらいのものが好みならZA12-Cを選ぶと良いでしょう。
本体後部の背が高めに設計されているので、手のひらの中央辺りに強いホールド感が得られます。コブが丸みを帯びているので、手のひらのどの部分にあてても違和感が出づらく、グリップする深さが調整しやすいです。
サイドはしっかりとくびれており、表面のグリップ性能も高いので、指先をしっかりと固定できます。本体後部が手のひらと密着して支えられることから、サイドの3本指は脱力した状態でもマウスがしっかりと固定されます。
ボタン配置は適切で、よほど深めにグリップしない限りは両方のサイドボタンに指が届きます。ホイールの配置も適切で、自然にアクセスできる位置にあります。
つまみ持ち
つまみ持ちとも相性が良いです。筆者のような平均的な手の大きさの場合、最も小さなZA13-Cがベストな選択だと思います。本体重量65gと十分に軽く、長時間操作していても手首や指先が疲れづらいです。
サイドがしっかりとくびれており、指を置くスペースに余裕があるため、マウスをしっかりと固定できる位置を探りやすいです。本体幅が狭いので指先に力が入りやすく、グリップしたときの安定感が高いです。その一方で、親指の配置が真ん中付近に限定されてしまい、グリップする深さにはあまり融通が利きません。
全長が短めに設計されているので、マウスと手のひらの間に広いスペースを確保できます。これにより、指の関節を使ってマウスを上下に動かすときの可動域が広くなります。
浅めにグリップした際も両方のサイドボタンに指が届きやすく、ホイールの配置も適切で、どちらも容易にアクセスできます。
スイッチ
メインボタン
メインボタンの押し心地は柔らかめ。とはいえ誤作動するほどではなく、指先にハッキリとした感触が伝わり、跳ね返りの強さも適切です。ストロークは短めに調整されており、指先に力を加えたときにだけ作動するので、FPSにおけるスプレー・タップ撃ちのどちらもうまく制御できます。2段階のデバウンスタイム調整にも対応します。
フィーリングは安定しており、どの角度で押し込んでも軋んだりグラつくことはありません。クリック音もやや低めで、最近の軽量マウスに見られるようなバチバチと反発し合うようなものではなく、とてもしっかりとした印象を受けます。
メインボタンはセパレートではなく一体型ですが、形状の関係からか押し込む場所によるクリック感の変化は比較的少ないです。ホイール真ん中から手前側にいくにつれて押下圧と跳ね返り感がわずかに増しますが、つまみ持ちで浅めにグリップしても気になるほどの違いは出ません。
サイドボタン
サイドボタンはやや大きく、本体からしっかりと飛び出しています。エッジは角ばっており、親指をスライドさせたときに引っ掛かる感触があります。
押し心地はやや柔らかめ。必要なタイミングで瞬時に押し込むことができ、押下時の感触がハッキリと指に伝わるので、FPSなどでキャラクター操作に関わる重要なキーを割り当ててもうまく機能します。
ボタン配置は適切で、かなり浅めにつまみ持ちする場合を除いて両方のボタンに指が届きます。
ホイール
ホイールは本体からしっかりと飛び出しています。水平方向に切り込みの入ったゴム製のリングで、指が引っ掛かりやすく回しやすいです。
ZOWIE製マウスではこれまで16ステップの光学式ホイールが採用されていましたが、C seriesからは一般的なマウスに近い24ステップに変更されています。これにより、他メーカーのマウスから乗り換えた際の違和感が緩和されたように感じます。
回し心地は緩めで、光学式ホイール特有のしっかりとしたノッチ感があります。一般的なメカニカルホイールよりもはっきりとした分離感があり、1ノッチ単位の細かな操作、連続したスクロールのどちらも高い精度で行えます。
メカニカルホイールとは異なり、「カチカチ」といった大きい動作音が鳴ります。
ホイールクリックは固くもなく柔らかくもない、ちょうどいい固さに調整されています。余計な力を入れずに押し込むことができ、ホイールを操作する際に誤作動することもありません。
センサー
ZA-Cは、有線ゲーミングマウスによく用いられる高性能センサー「PixArt PMW3360」を搭載しています。DPIは400, 800, 1600, 3200の4段階で、本体底面に搭載されたDPIボタンから切り替えることができます。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサー性能を検証。DPIは400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「BenQ ZOWIE G-SR-SE」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
xCounts, xSumともに正確で、実際のセンサー挙動にも問題は見られませんでした。また、『Apex Legends』『VALORANT』でのプレイテストも実施しており、同様の結果が得られました。
前シリーズと同様、適切に調整されたPixArt PMW3360センサーを搭載しているため、信頼性は非常に高いと言えます。
センサー配置
ZOWIE ZA-Cのセンサーはマウス本体のほぼ中央に配置されています。
センサー配置の違いによって、手首を軸にしてマウスを動かしたときのカーソル移動量に差が出ます。一般的には真ん中に配置されているものが最も多いので、マウスを変更した際にもカーソルの挙動に違和感が生じづらいです。
* センサー配置によって、手首を軸にして弧を描くようにマウスを動かしたときのカーソルの可動域が異なります。センサーがフロント側に寄っているほど手首の動きを細かく捉え、水平方向へのカーソルの可動域が広くなります。
マウスソール
独自形状の大型マウスソールが上下に2枚貼り付けられています。材質はPTFEで、パッケージには交換用ソールが1セット付属しています。
厚さが実測値0.42mmと非常に薄いので、中間層のスポンジが柔らかいマウスパッドと組み合わせると、ソールが沈み込んだときにボトムシェルがマウスパッドと接触します。
操作感は可もなく不可もなく。それなりに滑って適度に止まるバランスタイプのものです。そもそもソールが薄くて本体からほぼ飛び出しておらず、わずかに飛び出した部分のエッジは丸められているので、マウスパッド表面と引っ掛かることはありません。
「BenQ ZOWIE G-SR」「BenQ ZOWIE G-SR-SE」「BenQ ZOWIE GTF-X」といった同社製のマウスパッドとの組み合わせでは問題ありませんが、クッション性の高いマウスパッドと組み合わせる場合は厚さ0.6mm以上のサードパーティー製ソールへの交換を推奨します。
結論とターゲット
「BenQ ZOWIE ZA-C series」について詳しく見てきました。未だにクローンが出てこない唯一無二な形状の左右対称ゲーミングマウスで、サイズを3種類展開することであらゆる手の大きさや持ち方に対応します。本体後部が大きく膨らんだ形状は手のひらにうまくフィットし、かぶせ持ちやつかみ持ちで抜群の安定感をもたらします。またZA13-CはZOWIEマウスで最も小さく設計されており、つまみ持ちとの適性が高いです。
軽さを最重要視しない姿勢は、その他の面にうまく作用しているように感じます。例えば、厚めのシェルを引き続き採用したことで、マウス本体の耐久性や左右クリックのフィーリングを高い水準で維持しています。また、これまで通りマウス表面にマットコーティングを施したことで、高いグリップ性能も健在です。
結論として、ZA-C seriesは他では手に入らない独自形状も含め、現状最も優れた有線ゲーミングマウスの一つです。特にZA13-Cは本体重量65gと非常に軽く、超軽量マウスを好む層にも受け入れられやすいものになっています。手のひらへのフィット感を重視するかぶせ持ち・つかみ持ちユーザーや、指先でグリップしたときの安定性の高さを重視するつまみ持ちユーザーにお勧めです。
ただし、マウスソールが約0.4mmと非常に薄く、マウスパッドとの相性を選ぶことはZOWIE C series共通の懸念点です。厚さの異なるソールを同梱するなどの配慮があれば、より満足感が高まったように感じます。
総合評価5.0 out of 5.0 stars
ビルドクオリティに優れる
表面のグリップ性能に優れる
扱いやすい本体重量
★ 唯一無二の優れた形状・3サイズ展開
誤作動しづらく軽いメインボタン
信頼性の高いサイドボタン
分離感の強いホイール
高精度なセンサー
以上、BenQのゲーミングマウス「BenQ ZOWIE ZA-C series」のレビューでした。
マウスソールの形状は相変わらず、ZA13だけ異なるのでしょうか?