「Glorious Model D-(minus)」レビュー。小型モデルだけど小さすぎない、ちょうど良いサイズ感の軽量IE3.0クローン
本稿では、Glorious PC Gaming Race(グロリアス)のゲーミングマウス「Glorious Model D-」のレビューをお届けします。
製品仕様と外観
今回チェックする「Glorious Model D-」は、以前発売されたIE3.0クローンの軽量ゲーミングマウス「Model D」の小型軽量モデルという位置付け。Gloriousは、Model Oに対するModel O-のように、一つのシリーズで2種類のサイズを展開する方針としているよう。
左右非対称マウスは左右対称とは違って、サイズ感によって持ち方が大きく制限されることが多いです。G-Wolves Skoll Sk-Sや、Razer DeathAdder V2 Miniといった小型版は想像以上に小さく、手が小さなユーザーにしか適合しないものとなっていたので、サイズ感については非常に気になるところ。
個人的にはGloriousの最新ビルドがどのようなものなのかという点も気になっています。早速見ていきましょう。
Model D- (右側)は、6つのボタンを搭載する左右非対称ゲーミングマウス。
本体カラーはホワイトとブラック、表面はマットとグロスのそれぞれ2種類から選択できます。本稿でチェックするのはマットホワイトで、防滑性能はそこまで高くないものの質感は良好です。
形状を4方向からチェック。これを見る限り、模範的なIE3.0クローンという印象。
寸法は120.0 x 67.0 x 40.0mmで、中型サイズに分類されるかと思います。ちなみにベースとなるModel Dは128.0 x 67.0 x 42.0mmで、本体幅はそのままに、全長と高さに調整が加えられています。
完全に同じ配置ではないため不完全ではありますが、簡易的な比較画像を用意しました。本体後部が浅くなり、先端もカットされていることが分かるかと思います。
本体重量は公称値61g(ケーブルを除く)、実測値は63.2gでした。
60g前半となると非常に軽い部類ではあるものの、サイドのシェルには穴が開いていないことから、極限まで軽量化に振っている訳ではなく、使用感も考慮しながら設計されていることが分かります。
センサーにはPixArt PMW3360が搭載されており、ソフトウェアから100~12,000DPIを100刻みで調整可能です。初期DPIは400, 800, 1600, 3200, 5000, 10000の5段階で、ホイール下のボタンから切り替えられます。
専用ソフトウェア「Glorious Model D Software」(Model DとModel D-は共通?)による詳細設定が可能です。DPIやリフトオフディスタンス調整、ボタンへのキー・マクロ割り当て、デバウンスタイムの調整など、シンプルなUIながら一通りの機能が揃っています。
スペック&ギャラリー
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Glorious Model D- 製品仕様 形状 左右非対称 表面素材 マット / グロス サイズ 縦120mm x 横67mm x 高さ40mm センサー PixArt PMW3360 スイッチ オムロン製 ボタン数 6 本体重量 マット61g, グロス62g LoD 0.8mm (実測値) ケーブル Ascended Cable (2.0m) ソール G-Skates Premium Mouse Feet (厚さ0.81mm) ソフトウェア 対応 価格 7,700円 (Amazon.co.jp、本稿執筆時点) - 製品イメージをチェックする (開閉できます)
パフォーマンス
持ち方の相性・操作感
Model DがEC1に限りなく近いサイズ感だったのに対し、Model D-は握ったときにEC2よりもやや背が低く感じます。具体的には、横から見たときにEC2では真ん中あたりが最も背が高くなっているのに対し、Model Dはメインボタン手前から真ん中あたりまでがほとんど同じ高さです。
Model Dよりも少しだけ小さいものを想像している場合、ギャップが生じるかもしれません。ただ、DeathAdder V2 MiniやSkoll Sk-Sのように極端に小さくなっている訳ではなく、筆者の手の大きさ(日本人男性の平均的なサイズ)でもかぶせ持ちでギリギリ運用可能な程度に留まっています。
幅(mm) | 全長(mm) | 高さ(mm) | |
Model D | 67.0 | 128.0 | 42.0 |
Model D- | 67.0 | 120.0 | 40.0 |
EC1 | 69.0 | 128.0 | 43.0 |
EC2 | 64.0 | 120.0 | 40.0 |
DeathAdder V2 | 61.7 | 127.0 | 42.7 |
DeathAdder V2 Mini | 56.0 | 114.2 | 38.5 |
Skoll Sk-L | 68.0 | 125.0 | 42.0 |
Skoll Sk-S | 64.0 | 117.0 | 40.0 |
それぞれ最大の数値なので、これだけでは判断できないものの、Model D-が極端に小さい訳ではないことは分かるかと思います。これらの形状はいわゆるIE3.0クローンで、手を覆い被せたときに手の形に自然とフィットするのが特徴。サイズさえ合えば違和感なく握り込めるかと思います。
前面のみハニカムシェルで、両サイドは穴が開いていないため、グリップ感への影響が少ないです
これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。
かぶせ持ち
かぶせ持ちは非常に相性が良いです。サイズ感については、筆者の手の大きさなら違和感なく収まりますが、親指の付け根がマウスパッドに接地するかしないかギリギリといったところ。また、人差し指と中指が少しはみ出しますが、特に操作感に影響はないです。
左側のサイドに着目すると、後部の幅が膨らんでいるため親指の付け根が支えられ、しっかりグリップできるよう指先あたりは窪んでいます。また右側のサイドは小指の指先がくるあたりが窪んでおり、これによってフィット感が高まっているように思います。
EC2よりも握り心地が若干スマートなIE3.0クローン、といった印象です。
つかみ持ち
つかみ持ちとの相性も良いです。筆者の手の大きさではこちらの方がしっくりとくる印象で、本体後部の広さやサイドの窪みがうまく噛み合い、自然な手のフォームでしっかりとホールドできます。
大型のModel Dと比べ、本体後部の手のひらへの収まりがよく、手首での細かな制御に長けていると感じます。ただし、手前側のサイドボタンに親指が届きづらいのが難点。
つまみ持ち
つまみ持ちとは相性が悪く、主に親指側のサイド形状が干渉します。最も窪んでいるのがマウス本体の奥側なので、かなり深めにつまむことを強いられます。そうなると指の関節を使ってマウスを動かす際、本体後部が手のひらに当たってしまうなど、可動域が非常に狭くなります。
浅めにつまもうとしても、サイドのシェイプの関係で指先でのグリップがほぼ不可能です。
ボタン配置・クリック感
メインスイッチ
メインボタンにはオムロン製のスイッチが搭載されています。セパレートタイプとなっており、シェルに穴が開いていない部分ではクリック感にほとんどムラはありません。
ストロークは浅めに調整されており、クリック感はやや固く、やや詰まったような感覚があります。問題無く押し込めるのですが、押下圧の割に跳ね返りが弱いような気がします。Model Dはとても明瞭なクリック感で好感触だったのですが…
左右非対称マウスでは内部構造による左右でのクリック感の僅かな違いが見られますが、筆者の個体では右クリックの方が若干固いと感じます。操作に影響を及ぼすほどではありません。
サイドボタン
サイドボタンはやや小さめで、本体から少しだけ飛び出しているタイプ。この手の形状のマウスでは一般的な配置ではあるものの、つかみ持ちでは手前側のボタンに指が届きづらいので注意。
固すぎず柔らかすぎず、ストロークが短いので少ない力で押し込めます。
ホイール
ホイールユニットの揺れなどはなく、しっかりと固定されています。操作感については、回すときに弱めの抵抗感、適度なノッチ感があります。そこまで明瞭な操作感とは言えませんが、誤爆はしなさそう。
ホイールクリックは反応点があまりに浅く「カチッ」と押し込んだときに僅かな感覚しか返ってきません。ホイールの操作感が安定するよう内部パーツの配置を調整しているものと思われますが、それと引き換えにホイールのスイッチとの位置関係が悪くなっているのかなと思います。
センサー
Model D-の搭載センサーはPixArt PMW3360で、ソフトウェアから100~12,000DPI(100刻み)のDPI調整が可能です。初期DPIは400, 800, 1600, 3200, 5000, 10000の5段階で、ホイール手前のボタンから切り替えられます。
例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサーの正確性を検証。DPIは400/800/1600/3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「Razer Gigantus V2」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
xCounts, xSumともに綺麗な波形が出ています。
実際のゲームプレイでも違和感は生じず、センサー挙動に問題はありません。
リフトオフディスタンス (LoD)
マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。
Model D-は専用ソフトウェアからリフトオフディスタンスを調整できます。マウスパッド「Razer Gigantus V2」上で計測した結果、Model D-のリフトオフディスタンスは最短0.8mm、最長1.8mmでした。
センサーの位置
マウス本体に対してほぼ真ん中にセンサーが搭載されています。ごく一般的な配置です。
マウスソール
「G-Skates Premium Mouse Feet」は純白のPTFE製、厚さ0.81mmのマウスソールです。標準ソールとしてはかなり滑りやすい部類で、角が丸められているためマウスパッドとの引っ掛かりはありません。
Model Dのソールよりも僅かに大きいため、専用のものをを用意する必要があります。ちなみに、OとO-は同じソール形状・サイズで、DとD-はそれぞれサイズが異なります。
マウスパッドとの接地面積を拡大する追加ソールが付属しており、これを追加することでECのような上下に大型ソールが2枚貼られたのと近い操作感になります。好みに応じて貼り付けてみてください。
ケーブル
Model D-に搭載されたパラコードケーブル「Asended Cable」は柔らかさが明らかに向上しており、抵抗感が取り除かれています。以前までは硬い芯があって折れ目も取れづらかったですが、今回の変更によって操作性の違いを感じられるのではないかと思います。
現行ロットはパッケージが刷新され、ケーブル内部の銅線がダメージを受けないよう梱包されています。初期ロットのModel OやModel O-のような銅線を覆っているパラコードの余りも見られず、とても見栄えが良いです。
ケーブルの根本はしっかり固定されています。マウスパッドと接地せず、一定の距離を保ちます。
ソフトウェア
Model D-は専用ソフトウェア「Glorious Model D Software」に対応しています。以下のURL内の [Download Model D Software] よりダウンロード可能です。
Glorious Model D Software:https://www.pcgamingrace.com/pages/glorious-model-d-downloads
設定項目は、計6ボタンへのキー・マクロ割り当て、400~12,000DPI(100刻み)のDPI調整、LEDライティング設定、リフトオフディスタンス調整、4段階のポーリングレート切り替え、デバウンスタイム調整。オンボードメモリによる本体へのプロファイル設定保存も可能です。
ちなみにGloriousの公式Twitterによると、統合ソフトウェアを出す予定とかなんとか。楽しみ。
ビルドクオリティ
ハニカムシェルではあるものの各部が補強されていることが外側からも確認でき、実際に強めに握り込んだり押さえつけても軋みません。またメインボタンのカタつきやホイールの揺れなども確認できません。
強度については構造が構造なので断言できませんが、まず通常の使用で破損することはないかと思います
結論とターゲット
「Glorious Model D-」について詳しく見てきました。Zowie EC2と寸法はほとんど同じで、実際に握るとわずかにコンパクトに感じます。サイズ的にはかなり需要のあるゲーミングマウスになっているのではないかと思います。
見て取れるアップデートといえば、ケーブルの柔らかさが格段に向上していることくらいでしょうか。初期のハニカムシェルを採用したゲーミングマウスに見られた難点はほぼほぼ取り除かれており、Gloriousの最新ビルドは概ね良好なものであると言えます。
しかしスイッチ周りは、悪くはないものの良くもならず、どうも安定しない印象です。以前チェックしたModel Dも奥側のサイドボタンとスイッチとの位置関係がよろしくなかったので、各部のクリック感については若干の個体差が出てくるものだと思われます。ここの品質が安定すれば良いのですが…。
IE3.0クローンは機種ごとの形状の差は微々たるものであることが多いですが、サイズ感はさまざまで、その僅かな違いによって握り心地が変わってくるので、色々と試してみる価値があると思います。その中でもModel D-は”〇〇の小型モデル”としては小さすぎず、適合する方は多いのではないかと思います。
以上、Glorious PC Gaming Race(グロリアス)のゲーミングマウス「Glorious Model D-」のレビューでした。