「Tt eSPORTS Ventus R」レビュー。現在の流行とマッチした約3年前の小型軽量ゲーミングマウス

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「Tt eSPORTS Ventus R」レビュー。現在の流行とマッチした約3年前の小型軽量ゲーミングマウス

本稿では、Thermaltake Tt eSPORTSのゲーミングマウス「Tt eSPORTS Ventus R」のレビューをお届けします。 [no_toc]

Tt eSPORTS Ventus R
タイプ:左右対称センサー:PixArt PMW3310解像度:最大5,000dpiポーリングレート:125/250/500/1000Hzボタン数:5個リフトオフディスタンス:1.1mm前後ソフトウェア:対応サイズ:幅60.45 全長113.52 高さ37.40mm重量:約75g(ケーブル除く)価格:5,359円 (本稿執筆時点)

製品仕様と外観

続々と発表される超軽量ゲーミングマウスが注目を集める中、過去にそれらに似た製品がリリースされていないかを調査しました。そこで見つけたのが2016年12月に発売された「Tt eSPORTS Ventus R」です。

本体後部にハニカム状の穴が開けられていますが、これは通気性を確保するためと公表されており、おそらく軽量化するという狙いは無かったと推測されます。Tt eSPORTSはこのVentus Rの他にも、無印VentusやVentus X、Level 10Mのような穴開きマウスをラインナップしています。

Ventus Rは、計5ボタンを備える左右対称型ゲーミングマウス。サイズは幅60.45 全長113.52 高さ37.40mmと小型(S-)で、これはFinalmouse Ultralight 2と並ぶ小ささ。先端に近づくにつれて窪んでいくサイド部分は非常に特徴的で、最も短い部分は約41mmしかありません。かなり独特な形状です。

本体重量はケーブル込みの状態のみ公表されており、ケーブルを除いた実測値は約75g。サイズを考えると妥当ですが、全体的に見れば非常に軽いと言えます。

センサーにはPixart PMW3310を搭載しており、ソフトウェアから最大5,000DPIを100刻みで調整できるうえ、リフトオフディスタンスの調節にも対応しています。ポーリングレートは125/250/500/1000Hzの4段階に切り替え可能。

表面材質はマットで、ホイール前後のみグロス。両サイドには細かな凹凸のコーティングが施されていますが、滑り止め効果は薄いです。メインスイッチには2,000万回クリック耐久性のオムロン製スイッチを搭載しており、サイドボタンの詳細は不明。

RGB LEDライティングを2ゾーン備えており、本体後部に開いたハニカム状の穴の奥とホイール部の2箇所が発光します。計3種類の発光パターンを備え、完全に消灯することも可能です。

Tt eSPORTS Ventus R スペック

約3年前に発売された製品とはいえ、現代でも通用するスペックです。

Tt eSPORTS Ventus R 製品仕様
形状 左右対称型
サイズ 幅60.45 全長113.52 高さ37.40mm (小型)
重量 約75g (ケーブル除く)
ボタン数 5
センサー PixArt PMW3310
DPI 最大5,000DPI (100刻み)
ポーリングレート 125/250/500/1000Hz
LOD 1.1mm~ (実測値)
スイッチ オムロン製 (2,000万回耐久)
ケーブル ビニール製
ソフトウェア 対応

Tt eSPORTS Ventus R ギャラリー

Tt eSPORTS Ventus Rのイメージ画像(計12枚)を以下からご覧いただけます。

製品イメージをチェックする (開閉できます)

パフォーマンス

持ち方の相性・操作感

Ventus Rは超小型の左右対称型ゲーミングマウス。両サイドともに、真ん中あたりから1センチほど窪んでおり、サイズが小さいにもかかわらずしっかりと握りやすいのが特徴です。ざっくりと言えば、G303のサイズをより小さくし、窪みの位置が調整されたような形状です。

これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。

かぶせ持ちでは、両サイドが自然とフィットするのですが、全長が圧倒的に足りません。筆者の場合、第一関節あたりを少しだけ浮かせて微調整すれば、マウスパッドに手のひらが少し触れた状態とはなるものの、決してかぶせ持ちが不可能な訳ではないと感じました。

個人的には、全長が短いことで垂直方向への細かな動きがしやすく、FPSにおけるリコイルコントロールが容易だと感じます。ただし、Ventus Rをかぶせ持ちで運用するのは決して万人向けではありません。手が小さい方ならばしっくりときそうですが。

つかみ持ちだと自然に握ることができるうえ、かなり操作しやすいです。本体後部ギリギリまで高さが残っているので、手のひらの配置が自然と行えます。またサイドの窪みが深いので、マウスを瞬時に持ち上げる動作もスムーズ。非常に相性が良いと感じます。

つまみ持ちでは、右側の傾斜がちょうど薬指・小指の角度とフィットし、自然と窪みに合わせて親指も配置する形となります。全体的に背が低いので手のひらと触れないうえ、本体重量は75gと軽いので、手首支点での操作もかなり行いやすいと感じます。

結論として、Ventus Rはつかみ持ち・つまみ持ちとの相性が良いと感じました。本体幅が非常に狭いので、つまみ持ちでは指の関節も使いやすいです。唯一の欠点としては、サイドのコーティングが滑りやすいこと(特に親指側)。滑り止めテープを貼り付けて対策することを推奨します。

ボタン配置・クリック感

メインスイッチには2,000万回耐久のオムロン製スイッチが採用されています。クリック感はやや硬めで、ストロークは短め。跳ね返りは少しだけ弱いように感じますが、それなりに連打しやすいです。可もなく不可もなく。

サイドボタンはやや硬めで、ストロークが非常に長いです。本体からかなり突起していますが、細すぎて少し押しづらいです。手前側と奥側が結構尖ってます。

ホイールはかなり安っぽいです。転がすたびに少しだけノッチ感があるので誤爆は無さそうですが、不安定にカラカラと回るのが少し不気味。ホイールを多用する方ならば不満に思うかもしれません。ホイールクリックは軽くて押しやすいです。

センサー挙動・リフトオフディスタンス

Ventus Rの搭載センサーは Pixart PMW3310 で、ソフトウェアから100~5,000DPIを100刻みで調整できます。例のごとく、Mouse Testerでセンサーの正確性を検証。DPIはそれぞれ400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「Corsair MM350」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。

MouseTesterの見方について

基本的には、波形に点が綺麗に沿っていれば、マウスのセンサーが正確なトラッキングを行えている、という認識で構いません。マウスを動かす速度が速いほど、波形が縦方向に長く生成されます。つまり、波形の折り返し地点は、マウスが最高速度に達したことを表します。

  • 横軸 Time(ms):経過時間を表す、1000分の1秒
  • 縦軸 xCounts:マウスの左右への移動量。右に動かすと波形が上方向に、左に動かすと波形が下方向に生成される。マウスを動かす速度が速くなるほど、縦方向に大きな波形が生成される。

例えば、「中間地点の波形に点が綺麗に沿っているが、折り返し地点でブレが生じている」という場合、基本的には正確にトラッキングできているが、マウスを動かす速度が速いと反応がブレる、といった見方となります。

しかし、折り返し地点のブレが毎回同じような傾向だった場合、「マウスを早く動かすとカーソルが毎回その動きをする」ということですので、カーソルの動きは安定しているということになります。そのような場合、マウスを早く動かすとカーソルの動きに癖が出るものの正常、といった認識で構いません。

これは適切に調整された3310と言って良いでしょう。綺麗に波形に点が沿っており、センサーの挙動は非常に正確です。

マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。こちらも使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。

Ventus Rは、ソフトウェアからリフトオフディスタンスを調節可能。設定を最短にして計測した結果、リフトオフディスタンスは1.1mm前後と十分に短かかったです。センサー周りの性能は、現行ゲーミングマウスにも引けを取っていません。

マウスソール・ケーブル

マウスソールは上下に大きめのものが2枚。摩擦面が大きいことも相まって滑りづらく感じますが、そもそもVentus Rは軽くて小さいので、これはこれで悪くないと感じます。底面はソールに沿って窪んでいるので、楕円形や円形の汎用ソールに貼り替えることもできます。

ケーブルはビニール製で、太さは3mm(実測値)。根本から先端まで芯があって非常に硬いです。マウスバンジーにケーブルを留めても、ケーブルの折れ癖によっては引っ張られることがあります。

ケーブル換装によって問題を解決するという方法もありますが、追加で投資することになります。このケーブルの硬さを許容できるかは大きなポイントとなりそうです。筆者はVentus Rの形状が気に入っているのでパラコード化を検討しています。

ソフトウェア

ソフトウェア「Tt eSPORTS Command Center」の設定項目は、各ボタンへのキー・マクロ割り当て、100~5,000のDPI調整(100刻み)、リフトオフディスタンス調整、アングルスナップ、ポーリングレート切り替え、LEDライティング設定となります。

翻訳が荒いですが読み取れるレベルなので、特に設定に困ることは無さそうです。リフトオフディスタンスは最短に設定することを推奨します。

結論とターゲット

「Tt eSPORTS Ventus R」は、3年前の製品ながら小型軽量という現代の流行に沿っており、現行ゲーミングマウスと張り合う性能も持ち合わせています。ホイールがチープなことと、ケーブルが硬いことを除けば、かなり評価は高いです。

一見癖があるようで実は小回りの利く形状は、つまみ持ちと相性良し。筆者のお気に入りマウスの一つです。小型軽量マウスでしっくりくるものが見つからないという方や、G303系統からの乗り換えを検討している方にオススメ。

本稿執筆時の最低価格は税込5,359円Amazon.co.jp)と、比較的入手しやすいのもポイント。この”掘り出し物”感がたまらないという方は是非。

Tt eSPORTS Ventus R
タイプ:左右対称センサー:PixArt PMW3310解像度:最大5,000dpiポーリングレート:125/250/500/1000Hzボタン数:5個リフトオフディスタンス:1.1mm前後ソフトウェア:対応サイズ:幅60.45 全長113.52 高さ37.40mm重量:約75g(ケーブル除く)価格:5,359円 (本稿執筆時点)

以上、Tt eSPORTSのゲーミングマウス「Tt eSPORTS Ventus R」のレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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