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「SHIDO:001 / SHIDO:002」レビュー。オンキヨー初のゲーマー向け製品は粗削りながらFPSに最適なサウンドをもたらす

「SHIDO:001 / SHIDO:002」レビュー。オンキヨー初のゲーマー向け製品は粗削りながらFPSに最適なサウンドをもたらす

本稿では、SHIDO(シドウ)のゲーミングヘッドセット「SHIDO:001」およびUSBアンプ「SHIDO:002」のレビューをお届けします。 [no_toc]

製品仕様と外観

SHIDOは、音響機器メーカーの老舗「ONKYO(オンキヨー)」が発足したゲーミングブランドです。2019年1月にゲーミング市場への参入および001 / 002を発表し、4月から5月の1ヵ月間で実施したクラウドファンディング(先行販売)では目標額の1,000%を超える支援総額を達成しました。audio-technicaに続く日本メーカーの参入は、多くのゲーマーにとって新たな有力候補の一つとして捉えてもいいのではないでしょうか。

そんなSHIDOの最初のプロダクトとなるゲーミングヘッドセット「SHIDO 001」およびUSBサウンドアンプ「SHIDO 002」。一般販売予定価格はそれぞれ、001が12,000円、002が8,000円、セット販売で17,000円。001や002がブランド内でどのような位置付けの製品なのか定かではありませんが、競合他社よりも若干リーズナブルな価格設定となっているのは確か。

SHIDO:001 シンプルながらこだわりが垣間見える

001は、モニターヘッドフォンのようなフラットな音質を目指すゲーミングヘッドセット。専用設計のネオジム50mm径ドライバーを採用しており、周波数特性は10Hz~28,000Hz、インピーダンスは32Ω。イヤークッションは布製で、蒸れを防ぐために形状記憶フォームと冷却ジェルの2層構造。布製の弱点である”音抜け”を克服するべく、クッション内壁に特殊コーティングを施して密閉性を高めているとのこと。

イヤーパッドは水平方向への角度調整が行えないものの、頭の形にフィットするよう、あらかじめイヤークッションに角度がつけられています。手前側の厚みが19.0mmに対し、奥側は27.5mmと分厚くなっています。筆者の場合はこの構造がピッタリとフィットし、かなりの密閉感を得られました。

本体重量は305g(ケーブル除く)と 比較的軽め。イヤーパッド内径は60mm×76mmと大きく、側圧も密閉感を損なわない程度に弱めで、装着感に関しては不満無し。

シングル4極の3.5mmケーブル(1.2m)のほか、デュアル3極の変換ケーブル(10cm)が同梱しており、あらゆるプラットフォームに接続できます。ケーブルにはコントローラーが搭載されており、ボリューム調整、マイクのON/OFF切り替えが可能です。

ブームマイクは単一指向性で、周波数特性は100Hz~10,000Hzです。先端は剥き出しとなっているので、ポップガードを用意してもいいかもしれません。ケーブルやマイクなどの付属品はすべて取り外し可能となっています。

SHIDO:002 機能が集約されたコンパクトなアンプ

002は、ソフトウェア不要のUSBサウンドカード。PCやPS4と接続するだけで動作し、手元であらゆるサウンドコントロールが可能です。ノブをそれぞれ異なる形状にすることで、本体を見ずとも操作できるという点は、他社とは違ったアプローチのように思えます。

サイズは 幅106mm 奥行60mm (実測値)と非常にコンパクトで、狭いスペースにも設置できます。小型ながら本体重量は約121g(実測値)とズッシリとしており、底面には滑り止めラバーが貼り付けられているので、よほど引っ張らない限りはズレることは無さそうです。

  • ① ボリュームコントロール… 全体の音量を調整
  • ② EQプリセット… あらかじめ用意された5つのイコライザープリセットを切り替え
  • ③ ゲーム/ボイス バランス… ゲームとボイスチャットの音量バランスを調整
  • ④ バーチャル7.1ch… バーチャル7.1chサラウンドのON/OFFを切り替え

002は非常にコンパクトな一台ですが、上記4つのインターフェースが集約されています。バーチャル7.1ch有効時にはイエローのLEDが点灯します。本体には最低限の表記しかされていないので、それぞれの詳細について後述します。

EQプリセットやバーチャル7.1chといった機能は、PCだけでなくPlayStation 4やNintendo Switchといったコンソール機にも対応済みとのこと。

付属するケーブル類は、USB Type-Cケーブル(1.8m)と、Type-C→Type-A(通常のUSB)への変換アダプター。ケーブルは001と002のどちらも、背面に接続する方がL字プラグとなっており、デスク上でかさばりづらいです。

SHIDO:001 / SHIDO:002 ギャラリー

SHIDO:001 / SHIDO:002のイメージ画像(計20枚)を以下からご覧いただけます。

製品イメージをチェックする (開閉できます)

パフォーマンス

SHIDO:001 音の傾向

001は、クラウドファンディング当初に語られていた通り、モニターヘッドフォン寄りのフラットな傾向です。どの音域も主張が弱く、柔らかい音が鳴ります。細かな部分まで埋もれずに聞き取ることができ、音の解像度は高いのかなと感じます。

ですので001単体で言えば、よくあるゲーム向けに音が調整された製品という訳ではなく、ゲームからリスニングまで幅広く適したバランス型の傾向にあります。良い意味で音響機器メーカーらしい製品です。

ただし、001をPCに直接繋いでゲームをプレイする場合、音量をそれなりに上げないと頻繁に音を聞き逃してしまいます。全音域の主張の弱さは聴けば聴くほど気になる点で、銃声すら耳に刺さらないどころか柔らかく聞こえます。001は直繋ぎではなく、サウンドカードと併用したいところ。

SHIDO:001 装着感

先ほど紹介した通り、イヤーパッドの角度調節はできませんが、頭の形に合わせてイヤークッションに傾斜がつけられています。これが丁度良くフィットするので、かなり快適に装着できます。クッションの厚みも申し分無し。側圧は弱めですが密閉感を損なうほどではなく、装着感は非常に良いです。

ヘッドレストはやや薄いものの、本体重量が305gと軽いので、頭頂部への重みも感じません。長時間の装着も難なくこなせます。

SHIDO:002 音質と定位感

002の音質レポートをお届けする前に、筆者が行ったWindows側での設定をご紹介します。

  1. SHIDO:002をPCに接続後、virtual 7.1ボタンを2秒間長押し ※1
  2. タスクバーのメガホンマークを右クリックして「サウンド」を開き、「再生」タブをクリック
  3. 「Game SHIDO:002-7.1ch」が既定のデバイスとなっていることを確認する ※2

※1 デフォルトでは2.1chデバイスとして認識されているところを、7.1chデバイスとして認識させる操作
※2 上記設定を済ませた後も、バーチャル7.1chサラウンドはoffでテスト

001に002を通して接続したところ、まず最も変化したのは音量です。全体的にボリュームが上がるというよりも、特定の音域が前面に出てくる傾向にあります。その中でも足音などが含まれる低~中音域が強調されています。それもやり過ぎな程。

『Counter-Strike: Global Offensive』と『Rainbow Six: Siege』で検証しましたが、足音が聞き取りやすいというよりも嫌でも耳に入ってくる感じです。普段の環境よりもドタドタと聞こえるので、慣れるまでは逆に距離感が掴みづらいほどでした。音の鳴った方向も非常に分かりやすいです(バーチャル7.1chサラウンドはoff)。

オンキヨーはクラウドファンディングの活動報告ページにて、「床の材質によって足音の鳴りが全く違う」という、以下のようなデータを公開しています。ゲームでの足音が含まれる音域については、かなりの研究を重ねられていると推測します。

このあたりのデータが、002を通したサウンドでの足音の強調度合に現れています。001がモニターヘッドフォンのようなフラットな鳴りだったのに対し、002に関してはかなりFPSに特化された音響です。

002に001を接続して音楽を試聴すると、001をPCに直接繋いだときよりも低音が強調され、頭の中で整理しづらい重厚感のある音になります。とはいえ音質自体は悪くなく、リスニング用途でも十分使えそうです。筆者のようなスッキリとした音が好みな方は、ゲームのみで使用することをオススメします。

SHIDO:002 イコライザーと7.1chサラウンド

SHIDO:002は、ゲームプレイ中でも状況に応じて素早くイコライザーを切り替えられます。しかし、筆者の個体だと、イコライザー切り替えによる音の変化をほとんど感じ取れませんでした。耳を澄まして何度も聴かなければ違いに気付けず、「強調された!」という実感は無かったです。

  • 1: 不明。おそらくは弱めの低音ブースト?
  • 2: 強めの低音ブースト。唯一
  • 3: 不明
  • 4: 不明
  • 5: 中~低音域が強調? おそらく2よりも効果強め。

それぞれの効果は説明書にすら記載されておらず、実際に試すしかないのですが、筆者が聞き分けられたのは2と5のみです。”状況に応じたサウンドコントロール”という文言は魅力的ではあるものの、ハッキリとした違いが分からない以上、積極的に活用することは無さそう。

バーチャル7.1chサラウンドは、有効化すると何故か強めのリバーブ(残響効果)が掛かります。offの状態でハッキリとしていた定位感が、onにすると途端にぼやけてしまうので、個人的には不要。もしかすると、特定タイトルでの使用を想定して設計されているのかもしれませんが、その真偽は不明です。

SHIDO:001 / SHIDO:002 マイク品質

筆者の手元に届いた個体は、001を直接PCに繋いでも、002を経由して接続しても、何故かマイクの音量が小さいです。Discordでは会話が不可能なほどです。001単体は個体差の可能性が高いですが、002を経由して接続した場合のみ、コミュニティで同様の報告が挙がっていました。

ですので、マイク品質については割愛させていただきます。レビュー公開後、SHIDOにフィードバックを送信するので、後ほど追記するかもしれません。

結論とターゲット

001はモニターヘッドフォンのようなフラットで柔らかい音質で、用途を選ばない優秀なヘッドセット。一方で、002はゲームに適した調整が重ねられた、絶対に足音を聞き逃さないオーディオ環境を作り上げるUSBアンプ。

ただし、002のイコライザー切り替えとバーチャル7.1chに関しては期待外れ。足音を聞こえやすくする補正に8,000円を投資するならば、手間は掛かりますが、フリーソフトでイコライザーを調整してしまえば良い気もします。

結論としては、001単体はゲーマー広く普及してほしい優れたヘッドセットながら、002は未完成と言わざるを得ません。「イコライザー、バーチャル7.1chのクオリティ」「マイクのボリューム問題」の2点が修正されるのであれば、かなり魅力的な製品になるのではないかと思います。

以上、SHIDO(シドウ)のゲーミングヘッドセット「SHIDO:001」およびUSBアンプ「SHIDO:002」のレビューでした。

※今回レビューしたSHIDO:001およびSHIDO:002は、クラウドファンディング先行販売で入手した製品です。
一般販売の予定時期などは今のところ明かされていません。

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