「Razer Viper 8KHz」レビュー。ポーリングレート8,000Hz対応、センサーとスイッチも刷新されたゲーミングマウス

「Razer Viper 8KHz」レビュー。ポーリングレート8,000Hz対応、センサーとスイッチも刷新されたゲーミングマウス

本稿では、Razer(レイザー)のゲーミングマウス「Razer Viper 8KHz」のレビューをお届けします。

Razer Viper 8KHz
価格:9,980円(執筆時点)  Amazon  楽天市場

ファーストインプレッション

「Viper 8KHz」は、前機種である「Viper」のスペックを最新版に引き上げたうえで、ポーリングレート最大8,000Hzに対応したモデル。前機種との違いは以下の通り。

Viper 8KHz Viper
センサー Razer Focus+ Razer 5G
スイッチ 第2世代Razer Optical Mouse Switch Razer Optical Mouse Switch
ソール 100%PTFE
ポーリングレート 125, 500, 1000, 2000, 4000, 8000Hz 125, 500, 1000Hz

「Razer Focus+」はViperシリーズの最上位モデル「Viper Ultimate」にも搭載されているハイエンドセンサー。そしてスイッチはRazer独自の光学式スイッチ「第2世代Razer Optical Mouse Switch」。ユーザーからのフィードバックを受けて改善されたもので、適切な跳ね返りの強さにより、クリック感は非常に良好。

マウスソールは100%PTFEに変更され、滑りやすさが向上しています。ケーブルは見かけ上は変化していませんが、実際に比べてみるとやや固く、より確実なデータ伝送のために耐久性が重視されているものと思われます。

そして「Viper 8KHz」の最大の特徴ともなっている、8,000Hzのポーリングレートを実現する「Razer HyperPolling」技術。既に公開されているデータと実際に検証した結果も含め、ハイスペックなPC環境とリフレッシュレート144Hz以上のモニターを使用しているならば恩恵を受けられるものとなっています。
※特定のゲームタイトルでは高ポーリングレート設定時にフレームレート低下が見られるなど、最適化が進んでいないために不安定な要素も

これだけの変更点がありながら、「Viper」と価格が変わらないのも大きなポイントでしょう。(既に「Viper」は発売から2年近く経っているため、Amazonなどの実売価格には差が出ています)

配信アーカイブ

製品仕様とスペック

カラー ブラック 表面処理 梨地加工 / サイドラバーグリップ
形状 左右対称 サイズ 57.6 × 126.73 × 37.81mm
本体重量 71g ボタン数 7つ
センサー Razer Focus+ 解像度 最大20,000DPI / 初期DPI 400, 800, 1600, 2400, 3200
最大加速度 50G 最大速度 650IPS
レポートレート 最大8,000Hz LoD 実測値0.8mm
プロセッサ オンボードメモリ
接続方式 有線 ケーブル パラコード/1.8m
スイッチ 第2世代Razer Optical Mouse Switch エンコーダー
ライティング RGB ソフトウェア 対応
メーカー保証 2年間

パッケージと内容物

紙のパッケージ。内容物は Viper本体、取扱説明書。

パフォーマンス

形状と大きさ

中型サイズの左右対称ゲーミングマウス。寸法は57.6 x 126.73 x 37.81mm。

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それなりに全長が長く、全体的に平べったい左右対称形状。

類似した形状のマウスはいくつかありますが、サイド中央あたりの窪みが深く、しっかりとくびれている点が異なるポイントかと思います。また、メインスイッチ部が窪んでいるのもポイントです。

本体重量

公称値は71g(ケーブルを除く)、実測値は71.7g。

内部仕様の変更により2g増加しています。前機種の「Viper(有線モデル)」は69gでした。

グリップ性能

表面はマイクロテクスチャー加工が施されていますが、コーティングされたものと比べるとグリップ性能は大幅に劣ります。

サイドにはエンボス加工されたラバーグリップが、シェルの一部として成型されています。後で貼り付けるタイプのように剥がれてしまう心配は無く、普通のラバーグリップと比べると耐摩耗性にも優れます。

持ち方の相性

代表的な3種類の持ち方 かぶせ持ち・つかみ持ち・つまみ持ち との相性をチェックします。

筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。

かぶせ持ち

かぶせ持ちは違和感なくグリップできます。本体後部の幅が広く、サイド中央の窪みが深いので、親指の先端から付け根まで沿うようなシェイプとなっており、左右対称ながらある程度のフィット感も得られます。

ただし、全体的に背が低くて傾斜が少ないので、手のひらの余った部分がマウスパッドに接地したり、右サイドの薬指・小指の配置スペースがやや窮屈だったりします。筆者の手の大きさではサイズがやや小さく、手首を接地させるようなグリップスタイルに限定されます。

つかみ持ち

つかみ持ちは非常に相性が良いです。背の高さや本体幅のバランスがよく、自然なフォームを維持したまま操作が可能です。左右対称マウスを愛用している方であれば馴染みやすいのではないかと思います。

本体後部の背が低く、手のひらを配置するポジションが限定的となるので、フォームの微調整はしづらい印象。

つまみ持ち

つまみ持ちは相性が良いです。サイド中央あたりの深い窪みが3本指のガイドとなり、自然なフォームで操作することが可能です。また、深く窪んでいるぶん、指の細かな動作がマウスの動きにも反映されやすいです。

やや全長が長いですが背が低いので、手のひらと干渉する心配はありません。軽量設計なので指の関節や手首で軽々と動かすことができます。

スイッチ

メインボタン

「第2世代Razer Optical Mouse Switch」。耐久性は7,000万回。

2019年発売の「Viper」(有線モデル)には、第1世代のスイッチが搭載されていました。これに関して、筆者は当時「クリック感が軽い割には跳ね返りが弱く、ボタンを押下した後に自然と跳ね上がってこない」と指摘しました。

第2世代ではクリック感の軽さはそのままに、跳ね返りの強さが大きく改善されています。押し下げ圧と跳ね返りのバランスが良好で、非常に扱いやすいスイッチとなっています。

現状、メーカー製マウスに採用されている光学スイッチの中では最もメカニカルの感触に近いと感じます。

サイドボタン

サイドボタンは小さくて本体からあまり飛び出していないので、ややアクセスしづらいとも感じますが、むしろ薬指・小指側のサイドボタン誤クリック防止に一役買っているように思います。

軽い力で押し込むことができてストロークも短め。やや低めの音が鳴る、詰まったような押し心地。

ホイール

ホイールの背が低いので、指を接地させたままスライドするだけでアクセス可能です。ゴムリングの模様は点が連なって線となっているため、人差し指を横に滑らせるとザラッとした感触があります。

操作感に関しては、ゴロゴロと回るタイプ。常に一定の抵抗があり、粒が大きくて強めのノッチ感があります。1ノッチ正確に回すなどの細かな操作、連続したスクロールのいずれも行いやすい印象です。

ホイールクリックは軽い力で押し込むことができ、感触も良好です。

センサー

Viper 8KHzのセンサーは「Razer Focus+」。これはPixArt PMW3399のカスタムセンサーで、主なスペックは最大20,000DPI、最大加速度50G、最大速度650IPS。初期DPIは 400, 800, 1600, 2400, 3200の5段階で、本体底面のスイッチで切り替えられます。

センサーはマウス本体の中央付近に搭載されており、一般的な配置であると言えます。

例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサー性能を検証。DPIは400 / 800 / 1600 / 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。

MouseTester: xCounts

MouseTester: xSum

xCounts, xSumともに安定した挙動を示しています。
※2000, 4000, 8000Hzなど高ポーリングレート設定時の挙動に関しては後述します

リフトオフディスタンス (LoD)

マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。

リフトオフディスタンスが長すぎると、マウスを大きく振ったあと、元の位置に戻すために持ち上げたときにカーソルが余分に動いてしまい、ゲームプレイ中の精密な操作を妨げてしまいます。個人的には1.5mm以下なら〇、1mm前後であれば◎。

「PureTrak Talent」上で計測した結果、Viper 8KHzのリフトオフディスタンスは最短0.8mmでした。これ以上に調整することもできますし、斜め方向のランディングディスタンスの設定にも対応するなど、他のセンサーよりも細かなLoD調整が可能です。

ポーリングレート

Viper 8KHzは「Razer HyperPolling」技術を搭載しており、最大8,000Hzの高ポーリングレートに対応しています。125, 500, 1000, 2000, 4000, 8000Hzの6段階で調整可能です。

8,000Hz設定時、主流の1,000Hzと比べてPCとデバイスが通信する頻度が8倍になるので、8倍以上の高速性、クリックレイテンシは従来の1/8である0.125ms未満を謳っています。

各種ゲームタイトルの対応状況

各種ゲームタイトルの高ポーリングレートへの対応状況は以下の通り。国内正規代理店MSYが検証し、Razer公式サイトにて公開されているものです。

ゲームタイトル 2,000Hz 4,000Hz 8,000Hz
Apex Legends
Call of Duty: Modern Warfare
Counter-Strike: Global Offensive
Escape from Tarkov
Fortnite
Overwatch
PlayerUnknown’s Battlegrounds
Quake Champions
Rainbow Six Siege
VALORANT

○…動作の最適化を確認
※…環境により動作が最適化されない場合有
(2021/02/20時点での対応状況。最新情報に関しては公式のサポート情報をご覧ください。)

高ポーリングレート設定時の操作感について

瞬時に分かる違いとして挙げられるのは、ポーリングレートが高いほうがマウスを高速で動かしたときのカーソル移動量が少なくなることです。データが送信される頻度が高くなるので、より実際の動きに近いカーソル動作を実現します。

ただ、この違いは手持ちのゲーミングマウスでも簡単に検証できます。実際にゲーム画面で500Hzと1,000Hzを切り替えながら操作感を比べると、フィーリングが異なることが分かるかと思います。

高リフレッシュレートなディスプレイと低ポーリングレートのマウスを組み合わせたときに発生するマイクロスタッターの発生や遅延を抑え、マウスカーソルがスムーズに動くのがメリット。注意点として、モニターのリフレッシュレートが144Hz以上でなければ効果がありません。

デメリットとしては、高ポーリングレート設定時はデバイスがPCにデータを送信する頻度が高くなるため、CPU使用率が増加します。マシンスペックが低いとゲームの動作フレームレート(fps)が下がり、結果的に不利を背負う可能性があります。

また、ハイエンドPCで使用したとしても、環境次第では特定のゲームでフレームレートの低下が見られることもあります。これに関してはゲームタイトル側の高ポーリングレートでの動作の最適化が待たれるといったところでしょうか。

結論として、ハイスペックPCと144Hz以上のディスプレイを使用していて、1ミリ秒でもデバイスの応答性を高めたいという考えなら手を出すべきかなと思います。カーソルの移動量が変化する以外に、すぐに体感できるような違いはありません。

Viper 8KHzでは500Hzや1,000Hzなど従来のマウスと同じ低ポーリングレートも利用できるので、他のゲーミングマウスと変わらないセッティングで使用することも可能です。

マウスソール

最近では初期ソールでも頻繁に見かけるようになった、100%PTFEマウスソール。以前は黒染めのPTFEソールが採用されていましたが、それと比べて滑らかに滑り、滑走速度も速いです。

エッジもしっかりと処理されています。相当スポンジが沈み込むマウスパッドでない限り、操作時の引っ掛かりは感じません。

「Viper(有線モデル)」と同じく、横長ソールが上下に2枚配置されています。

ケーブル

パラコードケーブル「Razer Speedflexケーブル(1.8M)」を備えています。やや芯があって固く、これよりも柔らかいパラコードケーブルはいくつか存在しますが、従来の編組ケーブルやビニールケーブルと比べると取り回しやすいです。

ブッシングは水平に取り付けられていますが、マウスパッドと接地することはありません。また、マウスバンジーで適切に浮かせることで、操作中のマウスパッドとの引っ掛かりを防げます。

以前のViperシリーズよりもやや固くなっており、耐性が向上しています。

ビルドクオリティ

Viper 8KHzのビルドクオリティは良好です。スイッチやホイール、ケーブルのブッシングは適切に取り付けられており、カタつきは見られません。また、本体を激しく振っても音は一切鳴りません。

本体を強く握ってもシェルが軋むことはありません。

結論とターゲット

「Razer Viper 8KHz」について詳しく見てきました。全体的に平べったくサイドの窪みが深い形状は、どの持ち方でもある程度のフィット感を得られます。

前機種からの変更点の一つであるクリック感はとても優れており、既存の光学式スイッチの中では最もメカニカルの感触に近いものとなっています。センサーも非常に優れており、LoDに関する詳細設定も可能です。

高ポーリングレート設定に関しては、ハイスペックPC・リフレッシュレート144Hz以上のモニターを使用している場合、より正確なトラッキング・低遅延などの恩恵を受けられます。ただし、誰でも体感できるような変化はカーソル移動量以外にはなく、1ミリ秒単位の高速応答を求める方向け

ただし主力ゲームタイトルの一部が未対応なこともあり、まだ性能を最大限に発揮できる環境にはありません。「Viper」からセンサー・スイッチ・ソールの3点がアップグレードされ、価格は据え置きなのが高く評価できるポイントかなと思います。

総合評価 4.5 out of 5.0 stars

万能かつフィット感を得られる左右対称形状
ソリッドシェルで軽量設計
優れたビルドクオリティ
優れたクリック感
極めて安定したセンサー
高ポーリングレート対応
滑りやすい100%PTFEソール
柔らかくて軽いケーブル
前機種から価格は変わらず
ケーブルはやや固くなった
最低でも144Hzのディスプレイが必要

Razer Viper 8KHz
価格: 9,980円 (本稿執筆時点)

以上、Razer(レイザー)のゲーミングマウス「Razer Viper 8KHz」のレビューでした。

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