Razer Viper V2 ProやDeathAdder V3 Proなど5機種がワイヤレス ポーリングレート8,000Hzに対応
こんにちは、ミオニです。Razerがとんでもない発表を行いました。
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既存マウス5機種がポーリングレート8,000Hzに対応
2023年11月に公開されたファームウェアアップデートにて、Razer Viper V2 Proをはじめとする既存のゲーミングマウス5機種がワイヤレス ポーリングレート8,000Hzに対応しました。
もともとRazer Viper Mini Signature Editionという限定モデルのみワイヤレス ポーリングレート8,000Hzに対応していましたが、今回新たに対応機種が追加される形となります。
今回新たにワイヤレス ポーリングレート8,000Hzに対応するのは以下の5機種です。
- Razer Viper V2 Pro
- Razer DeathAdder V3 Pro
- Razer Viper V3 HyperSpeed
- Razer Cobra Pro
- Razer Basilisk V3 Pro
Viper V2 ProやDeathAdder V3 Proは、筆者がティアーリストでGod Tierに選んでいる数少ないゲーミングマウスですが、今回のアップデートでさらなるパフォーマンスの向上が期待できます。
事前に準備するもの
対応機種をポーリングレート1,000Hzよりも高い数値に設定するには、別売りのドングル「Razer HyperPolling Wireless Dongle」が必要です。Cobra ProとBasilisk V3 Proの2機種はワイヤレス充電ドックとしても使える「Razer Mouse Dock Pro」にも対応しています。
どちらもAmazon.co.jpなどの大手通販サイトですぐに入手可能です。
製品名 | 対応ワイヤレスドングル | 対応日 |
Razer Viper V2 Pro | Razer HyperPolling Wireless Dongle | 2023/11/07 |
Razer DeathAdder V3 Pro | ||
Razer Viper V3 HyperSpeed | ||
Razer Cobra Pro | Razer Mouse Dock Pro / Razer HyperPolling Wireless Dongle |
|
Razer Basilisk V3 Pro |
ちなみに、対応機種をいくつか持っていても4Kドングルは1つで大丈夫です。ドングルとマウスとのペアリングを解除して再度繋ぎ直すことで、複数のゲーミングマウスを試すことができます。
ポーリングレートが上がると何が変わる?
ポーリングレートが上がると何が変わるのか?これは単純な話で、遅延が少なくなります。
ポーリングレートとは、PCに情報を送信する頻度のことを表しています。1000Hzなら1秒間に1000回、8000Hzならその8倍で、1秒間に8000回もの通信を行います。
他の言葉に言い換えます。ポーリングレート1000Hzなら応答速度は理論値1msですが、ポーリングレート8000Hzなら理論値は8分の1の0.125msになります。これが絶対的なメリットの一つで、VALORANTやCS2のような反射神経が重要となるゲームで有利に働きます。
ちなみに、この1ms以下の差は人間が体感できるようなものではありません。しかし、VALORANTをプレイしていると、僅かなクリックタイミングの差で撃ち合いの勝敗が決まることも少なくありません。これは、人間が体感できないような数msの遅延の差のおかげで撃ち合いに勝てるシーンが存在するという証明になります。
分かりやすい違いとしては、ゲームの動作フレームレートやモニターのリフレッシュレート、マウスの動かし方など、様々な要因によって感じ方は異なるものの、カーソルの動きが滑らかになったことを体感できる人もいます。トラッキングエイムで効果が実感しやすいです。
勘違いしないでほしいのは、この数msの遅延の差が全てではなく、必ずしも万人にとって高ポーリングレート設定が優れているわけではないということです。高ポーリングレート設定時のエイムの細かいブレが気になるから、あえてポーリングレートを下げてプレイするという人もいます。
ポーリングレート8,000Hzの動作テスト
テスト環境は以下の通りです:
- CPU:Core i9-13900K
- マザーボード:ASRock Z790 LiveMixer
- GPU:NVIDIA GeForce RTX 3080
- RAM:Crucial DDR5 32GB *2
- OS:Windows 10 Pro
- 検証機:Razer Viper V2 Pro (v2.00.03)
- ソフトウェア:PollingRateTesterApp v.1.00.01 / MouseTester v1.5.3
実際にファームウェアアップデートを適用して動作検証しました。
Razer PollingRate Tester Appで動作検証
まずはRazerが提供しているポーリングレートを計測するツール「PollingRateTesterApp v.1.00.01」で、ポーリングレート8,000Hzに設定してポーリングレートを実測しました。
マウスを動かして位置情報が更新されるとポーリングレートの値が上昇し、マウスが静止しているときは0の値を示します。見方としてはマウスを動かしているとき8,000Hzに近い数値が出ていればOK。
実際に計測してみたところ、マウスを動かしている間はポーリングレート7,900Hz以上 8,000Hz未満で推移しました。ポーリングレート8,000Hzで問題無く動作していると言えます。
MouseTesterで動作検証
次に「MouseTester v1.5.3」で動作検証しました。MouseTesterはよくxCountsやxSumといったセンサートラッキングをテストするモードが用いられていますが、今回はInterval vs. Timeというマウスの更新頻度の一貫性をテストするモードを使用します。
たとえばポーリングレート1,000Hzのマウスだと、理論上の応答速度は1msになります。画像のように正常に動作していれば、Update Timeは1ms前後で推移します。ポーリングレート8,000Hzでは更新頻度が理論上0.125msになるので、その値付近で安定していればOKということです。
次にポーリングレート8,000Hz設定で測定してみました。もう少し拡大してみます。
Update Time(ms)はポーリングレート8,000Hzの理論値である0.125ms付近の値を示していることが分かります。こうやって拡大すると点のバラつきが目立って、ジッターが発生しているように見えますが、縦軸を見ると0.05ms前後の微細なものであることが分かります。
今回の検証で、Razer Viper V2 Proはポーリングレート8,000Hzで動作していることが分かりました。
ポーリングレート8,000Hz設定時のバッテリー消費
バッテリー消費についても検証しました。ほとんどのゲーミングマウスのスペック表にはポーリングレート1,000Hz動作時のバッテリー寿命が記載されています。Viper V2 Proは約80時間、DeathAdder V3 Proは約90時間と記載があります。
ポーリングレートを高い数値に設定すると消費電力が上がるので、スペック表に記載の数値よりもバッテリー持続時間が短くなります。
実際にRazer Viper V2 Proをポーリングレート8,000Hzに設定してVALORANTを2時間半テストプレイした結果、バッテリー残量は90%から75%に減少しました。2時間半で15%消費なので単純計算で16~17時間くらいは持ちそうです。
個人的には12時間あればゲームを1日中プレイしてもバッテリー切れを起こさないので十分だと思っています。外出時や寝る前にバッテリーを充電すれば問題無いという考えです。ただバッテリー持ちの悪さを気にする人はかなり多いように思うので、デメリットの一つとして数えられると思います。
テストの様子を見たい方はTwitchの配信アーカイブをご覧ください。
ゲームプレイ
実際のゲームプレイでも検証してみました。今回はポーリングレート8,000Hzに対応しているVALORANTで検証しましたが、カクつきやプチフリーズは発生せず、安定して動作しました。
安定して動作しない場合のトラブルシューティング:
もしも高ポーリングレート設定時に動作が不安定になる場合は、まずゲーム内の設定を見直しましょう。VALORANTであれば「ローインプットバッファ」の項目をオンにしてください。
PCスペック 主にCPUの性能を見直すことで改善される可能性が高いです。マザーボードの中に独立したUSBコントローラを備えたUSBポートがあれば、そこに接続するとジッターや遅延を抑えて安定した動作が期待できます。また、OSも多少は関係するかもしれません。Windows 11は高ポーリングレートへの最適化を謳っているので、アップグレードを検討してもいいでしょう。
ゲームのクライアント自体がポーリングレート8,000Hzに対応していないケースがあるので注意が必要です。自分のプレイしているタイトルが対応しているか分からない場合、Google検索フォームに「○○(ゲーム名) 8000Hz 対応状況」などと打ち込んで調べてみましょう。
Razerのフラッグシップ ゲーミングマウスについて
Razerのゲーミングマウス 特にポーリングレート8,000Hz対応機種については、最高のスペックを目指し、性能を追求して設計されているような印象を受けます。
マウスの遅延にはクリックレイテンシーとモーションレイテンシーの2種類があります。Razerの高ポーリングレート対応機種は、その両方の遅延がトップクラスに少ないことが証明されています。
ここまで遅延を削るには、ハードウェアとファームウェアの両方が優れている必要があります。
高速応答でチャタリングしない光学式スイッチ
たとえば、Razerが独自に開発している光学式スイッチ「Razer Optical Mouse Switches」。これまでに2度のアップデートが重ねられ、現行のマウスには第3世代が搭載されています。二重クリックの問題を排除しながら、0.2msの高速応答を謳っています。
一般的なマイクロスイッチは、押すと金属パーツ同士が接触して信号が送られます。このとき、振動などによって二重に信号が送られ、2回クリックされることがあります。ほとんどのゲーミングマウスでは、この二重に入力されるのを防ぐためにデバウンスタイムという遅延を意図的に設けています。
一方でRazerの光学式スイッチは、押すとシャッターが開いて赤外線が通過し、信号がPCに送信されます。パーツ同士の接触がきっかけで反応するわけではないので、二重入力を防ぐために意図的な遅延を入れる必要がなく、それによりクリックの応答速度も速くなるという強みがあります。
クリック感については賛否両論あります。光学式スイッチ特有の粘り気があって、歯切れの良さが物足りない感じです。押しづらかったりするなら別ですが、感触がちょっと気持ち悪いくらいで、結局ゲームのパフォーマンスにはほとんど影響しないので、個人的には気にしていません。
ちなみに、最近はデバウンスタイムを自身で調整できるものが多いですが、Razer Synapseの設定画面にはデバウンスタイムの数値を弄る項目はありません。初めから最速設定となっています。
トラッキング不良を起こさないセンサー
センサーについても「Razer Focus Pro 30K」という業界最高水準のものを搭載しています。
とにかくトラッキング精度が高いのが強みです。布製マウスパッドはもちろん、一部の界隈で流行っているガラスマウスパッドの表面読み取りにも最適化されています。マウスパッドとの相性問題が発生することは殆ど無く、ファームウェアの優秀さを表しています。
マウスを持ち上げてからセンサーが反応しなくなるまでの距離(リフトオフディスタンス)を26段階で調整できるだけでなく、再びセンサーがトラッキングを始めるまでの距離(ランディングディスタンス)も13段階で個別に調整できます。マウスの動かし方やエイムの仕方に拘りがあるなら、この辺りの設定は見直してみてもいいかもしれません。
先ほど出てきたモーションレイテンシーという言葉 いわゆるセンサー遅延もトップクラスに少ないです。つまりラグ無しでマウスの動きにカーソルが追従するということです。
最後に
今回は既存のRazerゲーミングマウス5機種でワイヤレス ポーリングレート8,000Hzが解禁となったので、Viper V2 Proを使用したポーリングレート8,000Hzの動作検証と、新たな8Kポーリングレート対応機種の強みをおさらいしました。
遅延の少なさを重視してゲーミングマウスを選ぶなら、Razerのフラッグシップマウスは先ず選択肢として挙がってきます。特に「Razer Viper V2 Pro」と「Razer DeathAdder V3 Pro」は筆者が作成しているゲーミングマウス ティアーリストで過去何度もGod Tierに選定している非常に優れた機種です。
今回のアップデートで更にパフォーマンスが向上したこともあって、引き続き注目すべき製品として推していきたいです。既に持っているデバイスの性能が上がるのは得した気分になって良いですね。
以上、ミオニでした。バイバイ。