VAXEE XE-S レビュー
VAXEEのゲーミングマウス VAXEE XE-S をレビューします。
レビュー用サンプル提供:VAXEE
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この製品について
VAXEEの新作ゲーミングマウス XE-S は、XEの小型版として登場しました。単なるサイズ違いではなく、本体重量はXEより16gも軽い60gに抑え、最新のPixArt PAW 3950センサーを搭載、それに合わせて4K通信技術もアップデートするなど、様々な改善を重ねているようなので、詳しく見ていきます。
シェルの強度
シェルとシェルの間に隙間はなく、成型精度はとても高いように見えます。
プラスチック製ですが、かちかちです。とても頑丈に造られていると思います。側圧をかけても、たわんだり軋むような音が鳴ることはありません。
コーティング
コーティングは他の機種と同じものです。程よいグリップ感がありながら、長時間使っていてもベタつきづらい、滑りづらさと快適さのバランスが取れたものになっています。
手汗を多めにかく人や、逆に乾燥しがちな人にとっては、グリップ力が物足りないかもしれないです
バッテリー
バッテリー持ちは、1000hz 競技用モードOFFではわずかに向上、競技用モードONだと全体的に短くなっています。
バッテリー容量はそのままですが、センサーを変更した影響とのことです。3395よりも3950の方がIPSが高いため、パフォーマンスを優先したときに消費電力が上がってしまうとか。
1000hz (競技用モードOFF) |
1000hz (競技用モードON) |
2000hz | 4000hz | |
XE-S | 110 | 38 | 34 | 30 |
従来の無線モデル | 100 | 55 | 45 | 35 |
ちなみに、ポーリングレート4000hzでのバッテリー持続時間は機種によって大きく異なります。一部の機種は10~15時間程度ですが、Razer Viper V3 ProやLogicool G PRO X SUPERLIGHT 2のような大手メーカーのフラッグシップモデルは約40時間持続します。
約30時間持続するこのマウスは平均以上ですが、トップモデルにはわずかに及ばないと言えます。
本体重量
XE-Sの本体重量は、歴代のVAXEEマウスの中で最も軽い60gです。
ここまでに触れた シェルの強度・コーティングを変えず、バッテリーも小さくすることなく、60gまで軽量化することに成功しているのが驚くべき点です。「過度な軽量化はしない」という姿勢がこういった部分に表れていて、個人的にとても印象が良かったです。
XE-S | XE Wireless | NP-01S Wireless | NP-01 Wireless | AX Wireless | |
本体重量 | 60g | 76g | 69g | 71g | 73g |
差異 | -16g | -9g | -11g | -13g |
最近では非常に軽いマウスが増えていることもあって、今さら60gと聞いて驚いたりはしないのですが、機種間で比較すると相当軽くなっていることが分かります。たとえばXE Wirelessと比べると16gの差が、サイズ感が近いNP-01Sと比べても9gの差があります。
ポーリングレートと通信品質
Razerが提供するツール Razer PollingRateTesterApp v1.00.01 でポーリングレートを測定してみたところ、他の4000hzマウスとの決定的な違いを見つけました。それは、マウスをゆっくり動かしても3000hz後半は出るということです。
本来は、マウスをゆっくり動かすと1000hzくらいにしか届かず、それなりの速度で動かし続けてようやく4000hzに到達します。
マウスを動かす速度によってポーリングレートの測定値が変わるのは、マウスの動きに応じてセンサーのフレームレートが可変しているからです。
たとえば、LogicoolのHEROセンサーは、ゆっくり動かしたときにフレームレートをしっかりと落とすようなチューニングがされています。これが省電力である理由の1つでもあります。
おそらく、このマウスのセンサーのチューニングは対照的で、ゆっくり動かしているときもパフォーマンスを重視して、フレームレートを落としすぎないようになっていると思います。
VAXEEの公式動画では、このマウスのセンサーについて「細かい操作を行った際に、より高密度で滑らかな動きになっており、3395センサーとは異なった感触を提供する」と説明されています。
この検証結果と照らし合わせると、マウスをゆっくり動かしたときもセンサーのフレームレートが高い状態を保つから、カーソルが高密度で滑らかな動きになる、という感じでしょうか。
VAXEEは通信品質にもこだわりを見せ、アップデートを重ねています。
MouseTesterのIntervel vs Timeで確かめる限りでは、ポーリングの間隔は一定です。ジッターもとても小さいように見えます。
センサー遅延
センサーは遂に解禁となったPixArt PAW 3950。3395ではありません。超簡単に説明すると、3395 は Razer Focus+で、3950 は Razer Focus Pro 30K。世代が一つ上のセンサーです。
MouseTesterでセンサー遅延を簡易的に測ってみると、マウスを動かし始めたときにセンサーが反応するまでの速度がG PRO X SUPERLIGHT 2 (4000Hz)と比べて約0.6msほど高速でした。素晴らしい結果です。
VAXEEの説明だと、ファームウェアアップデートでMotionSync使用時の応答速度がわずかに向上し、センサー遅延が低くなっているとのことだったので、その成果が表れているといっていいと思います
3395と3950どちらも良いセンサーなので、センサーだけをアップグレードする目的でこのマウスを手に取る必要は無いと思います
クリック遅延
VAXEEの無線マウスはデバウンスタイムを2/3/4/8msの4段階に切り替えられます。0にはできません。これはクリックが二重入力されるのを防止するためです。そのため、VAXEEのマウスはチャタリングしづらいという強みがあるものの、わずかなクリック遅延が生じます。
- L (Low):2ms
- L+M (Low+Medium):3ms
- M (Medium):4ms
- H (High):8ms
XLAT v1.3.0ではXE-Sのクリック遅延を測定することは不可能でした。(ファームウェアアップデートによりUSBパケットの場所が変更され、キャプチャできませんでした。XLATのアプデ待ち。)
参考までに、以前のファームウェア ポーリングレート1000hz/デバウンスタイム2ms設定で測ったときは約3msでした。おそらく最新ファームウェアの4000hzだとこれよりも高速なはず。
今後さらに速くなる匂わせ。以前まではデバウンスタイムが数字で表記されていましたが、今後その数字よりも低くなる可能性があるので、アルファベットに変更になったとのことです
ボタンとホイール
メインボタン
XEではふにゃっとしていたクリック感は改善されています。やたら長かったポストトラベルが無くなっています。スイッチが反応する前後の遊びが少なくなったことで、よりハッキリとした感触になりました。
ボタンの根本に近い部分で押すと詰まったような感じになるので、ホイールに指が届きづらいくらい浅めに持ちたいという人は少し注意が必要です。
サイドボタン
サイドボタンはしっかりと飛び出ていて押しやすいです。よほど浅めに持たない限りは両方のボタンに指が届きます。角が丸められていて指に触れたときの感触も良い感じです。
硬さはちょうどいいです。余計な遊びがなく、力を入れた瞬間に反応します。
ホイール
ホイールの固さは並くらい。はっきりとした区切りがあり、1ノッチ分、正確に回すことができるので、ValorantやCS勢には好かれそうです。キャラコンで多用する場合、よりスムースな
ホイールクリックは少し重ためです。左右クリックと固さにギャップがあるので、ホイールクリックに重要なキーを割り当てて多用するのは厳しいと思います。
形状と大きさ
XE-Sのサイズ感について、XEがそのまま小さくなったような感じです。XE WirelessがLサイズなら、XE-SはSサイズ相当になると思います。
平均的な手の大きさなら両方選べると思います。XEはしっかりと掴めて安定感が出やすいのに対し、XE-Sは手にすっぽりと収まってゆとりが出るので細かく動かしやすいように感じます。
Size | MaxWidth (mm) | Length (mm) | Height (mm) | |
XE-S | S | 64 | 118 | 36 |
XE | L | 66 | 122 | 38 |
NP-01S | S | 63 | 118 | 37 |
NP-01 | L | 66 | 118 | 39 |
本体幅はG PRO X SUPERLIGHTと同じくらい。大きさの割に幅が広いです。
ただ、背が低くて平べったいからか、実際に持つと思ったよりも小さく感じます。
VAXEEのラインナップの中では小さめなNP-01S Wirelessと比較しても、同じかそれ以上に小さいです。
NP-01Sはとても本体幅が狭いので、指先でマウスを操っているような感覚になります。一方でXE-Sは手全体を使って動かしているような感覚です。
横から見たときのシルエットもまったく違います。NP-01Sは頂点が後ろ側にあるのに対し、XE-Sは頂点が真ん中にあるので、手のひらへの当たり方が控えめです。
使用感はZOWIE FK2やRazer Viper Miniの幅を広くしたような感じです。ただ、くびれがほとんどないのは大きな違いです。側面のカーブが緩やかで、角度もほぼついていません。
このように側面がなだらかだと、指先の位置を自由に調整できます。しかし、マウスと手幅が合っていないと、しっかりと固定しづらかったり、持ち上げづらいように感じる場合もあります。
結論、このマウスは本体幅が合うかが鍵だと思います。
ZOWIE FK2やRazer Viper Miniは細すぎると感じていたり、Logicool G PRO X SUPERLIGHTの幅は合うけど背が高すぎると感じていた人に試してみてほしいです。
マウスソール
大きなマウスソールが上下に2枚貼られています。接地面積が大きいこともあって滑りは控えめですが、マウスパッドに沈み込んでも滑りが安定しやすいのが良いところです。XEよりも少し小さくなったので、滑りが鈍くなりすぎることもないです。
エッジの処理は微妙で、厚みも控えめなので、分厚くて柔らかいマウスパッドと組み合わせるとマウスの底が擦れてしまいます。
結論
VAXEE XE-Sについて詳しく見てきました。これまでのラインナップの中で最も軽い60gです。シェルの強度・コーティング・バッテリー容量のような使い心地に大きな影響を与える部分を変えず、ここまで軽量化されているのは素晴らしいことだと思いました。
新しい通信技術と新しいセンサーにより、マウスをゆっくり動かしてもセンサーが高いフレームレートを保つ仕様となっているのが興味深いところです。
センサーだけをアップグレードする目的で買い替える必要はないと思いますが、高ポーリングレートに大きな恩恵を感じていたり、細かな違いに敏感な人は一度試してみてもいいかもしれません。
XEをそのまま一回りか二回り小さくした結果、サイズが小さい割に本体幅が広いという新たなアイデンティティが生まれています。横から見たときに頂点が真ん中にある小型マウスを好んで使っていて、ZOWIE FK2やRazer Viper Miniなどは細すぎると感じていた人にぜひ試してみてほしいです。
VAXEEのゲーミングマウス VAXEE XE-S のレビューでした。