Ninjutso Sora レビュー
本稿では、Ninjutsoのゲーミングマウス「Ninjutso Sora」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: Ninjutso
この製品について
Ninjutsoがこれまで手掛けたのは、IE3.0クローン「Origin One X」とIMOクローン「Katana Superlight」。いずれもソリッドシェルの軽量ワイヤレスマウスで、最低限の機能のみを揃えたシンプルな設計が印象的でした。
今作「Ninjutso Sora」も同じコンセプトを持ったXM1クローンで、製品ページに「最新の構造設計と材料研究により、Soraは横のたわみも、きしみも、穴もなく、重さはわずか45gしかありません」とあるように、超軽量マウスが抱えがちな難点をクリアしつつ本体重量を45gに抑えたものになっています。軽さ重視でゲーミングマウスを選ぶという方は要チェックです。
製品仕様とスペック
カラー | ブラック/ホワイト | 表面 | マット |
---|---|---|---|
形状 | 左右対称 | サイズ | 64.5 x 120.8 x 37.3mm |
本体重量 | 45±2g | ボタン数 | 5つ |
センサー | PixArt PAW 3395 | 解像度 | 400 / 800 / 1600 / 3200DPI |
最大加速度 | 50G | 最大速度 | 650IPS |
ポーリングレート | 1000Hz | エンコーダー | TTC 9mm |
デバウンス | 0 ~ 16ms | スイッチ | Huano Pink dot |
接続方式 | 2.4GHzワイヤレス/有線 | ケーブル | パラコード |
ソール | 100%PTFE | ライティング | 非搭載 |
ソフトウェア | 対応 | メーカー保証 | 1年間 |
入手方法と販売価格
ふもっふのおみせがNinjutso製品の国内正規代理店を務めており、ふもっふのおみせ公式ECサイトから購入可能です。
販売価格は税込12,990円。海外サイトでは94.99ドルで販売されており、現在のレートで換算すると妥当か少し安めの価格設定と言えるでしょう。※2022/12/26執筆時のレートは1ドル132.54円
バリエーション
ブラック・ホワイトの2色展開。
パッケージと内容物
Soraのパッケージの内容物は以下の通り。
- Sora マウス本体
- USB Type-C to USB Type-A ケーブル
- 延長アダプタ
- USBレシーバー
- 交換用PTFEソール
- 取扱説明書
パフォーマンス
接続とバッテリー
接続方式
Ninjutso Soraは2.4GHzワイヤレスに対応しています。付属のUSBレシーバーをPCに接続し、マウス本体のスイッチを切り替えると動作します。延長アダプタとケーブルが付属しているため、マウスとレシーバーの距離を近づけて使用することができます。
検証中、ワイヤレス接続で正常に動作し、長時間連続で使用していても不具合は発生しませんでした。
バッテリーと充電
Ninjutso Soraは最大70時間の連続動作に対応しています。ミディアムサイズでわずか45gの超軽量設計ながら、他社製マウスに劣らないバッテリー持続時間を実現しているのはとても好印象です。こまめに残量を気にすることなく快適に使用することができます。
マウスを動かさないまま一定時間経つとスリープモードに移行し、余計なバッテリー消費を防げます。また、バッテリー充電中には有線マウスとして使用することもできます。
ビルドクオリティ
Ninjutso Soraはビルドクオリティに優れた超軽量ゲーミングマウスの一つです。
ミディアムサイズでわずか45gの超軽量設計ながら、シェルの組み立て精度・強度ともに申し分ありません。グリップ時に強い力を加えてもシェルがたわむことはなく、カタつきやきしみ音も鳴りません。本体を激しく振っても無音です。
グリップ性能
多くの超軽量ゲーミングマウスと同様、Ninjutso Soraのシェル表面のグリップ性能は低いです。サラッと乾いた質感のマット仕上げとなっており、肌触りは良いものの、指先や手のひらに張り付くような感触は得られません。手が乾燥していたり手汗の量が多いと特に滑りやすいように感じます。
指先の滑りを防止したい場合、グリップテープなどによる対策が必要になります。Ninjutso Soraはクローン元であるXM1よりもサイズがほんの僅かに小さいので、XM1専用グリップテープは干渉する可能性があるので注意しましょう。
本体重量
メーカー公称値45±2g、実測値はブラックが46.9g (+1.9g)、ホワイトが47.3g (+2.3g)でした。
大手メーカーの主力ラインナップはLogicool G PRO X SUPERLIGHTが63g、Razer Viper V2 Proが58g。これらと同じミディアムサイズの無線マウスとは思えないほどの軽さ。なるべく軽量設計かつワイヤレスであることを重視する方にとって、この上ないほど好条件なゲーミングマウスと言えます。
重量バランス
大半のゲーミングマウスはこれと同じように重心が中央辺りに調整されているので、他のマウスからNinjutso Soraに乗り換えても違和感は出づらいと言えるでしょう。
形状と大きさ
Ninjutso Soraの寸法は64.5 x 120.8 x 37.3mmで、ミディアムサイズに分類されます。形状は「Endgame Gear XM1」のクローンで、つかみ持ち・つまみ持ちに適しています。サイズは本家と比べると僅かに小さめ。とはいえ「Pulsar X2 Mini」のような小型版ほど小さいわけでもなく、ほぼ同じ感覚で扱える程度に留まっています。以下にXM1とそのクローンマウスを含めたサイズ比較表を掲載します。
Endgame Gear XM1r | Ninjutso Sora | Lamzu Atlantis | Pulsar X2 | Pulsar X2 Mini | |
幅 | 65.81 | 64.5 | 66.0 | 63.0 | 61.0 |
全長 | 122.14 | 120.8 | 123.0 | 120.0 | 116.0 |
高さ | 38.26 | 37.3 | 38.0 | 38.0 | 37.0 |
Ninjutso SoraはXM1クローンマウスの一つですが、若干形状が異なります。具体的には、XM1よりも両サイドの窪みと逆ハの字の角度がやや控えめになっており、グリップしたときに親指や小指がサイドにめり込むような感覚が弱いです。カチッとしたフィット感と引き換えに癖が少なくなり、指先を置く場所を調整しやすくなったように感じます。
横から見ると全体的に平べったくはありつつも、本体中央から後部にかけて盛り上がるようなコブがあります。このコブは幅が広いうえに両端まで高さがあるので、手のひらや指の付け根をしっかりと支えます。
両サイドには深めの窪みがあり、急な角度のついた逆ハの字になっているので、指先が引っかかって強いフィット感が得られます。脱力した状態でもマウスの持ち上げ動作が容易に行えることも利点の一つと言えるでしょう。
メインボタンは背が低めに設計されており、指先とマウスパッドの距離が近く、指先でのマウスコントロールが行いやすいです。
Lamzu Atlantis との比較
持ち方の相性
前置き:筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。
Ninjutso Soraはつかみ持ち・つまみ持ちに適した形状のゲーミングマウスです。両サイドの程よい窪みと急な角度の逆ハの字によって、親指・薬指・小指を折り込んでしっかりと固定できます。本体後部のコブが幅広かつ両端まで高さがあるので、指の付け根や手のひらなど好みの部分で支えることができ、操作の安定性が増します。
個人的にはつかみ持ち・つまみ持ちどちらも相性が素晴らしく、XM1本家よりもサイドの窪みが浅くなったことで、カチッとフィットする感覚こそ薄れたものの、親指・薬指・小指を置く場所(主に高さ)が微調整しやすくなり、自分に合った持ち方を模索しやすくなったように感じます。
45gという軽さも相まって、手とマウスが一体となったかのような感覚が強く感じられます。特にNinjutso Soraのような形状のゲーミングマウスは指先での細かなコントロールが行いやすく、高速なフリックエイムが求められるシーンとの相性が良いように感じます。その一方で、筆者の場合はトラッキングエイムが慣れるまで安定しづらく、しばらく苦戦しました。これは形状というよりも軽さの影響によるもので、細かな指の配置や関節の曲げ具合、力の入れ具合などが最適化されることで徐々に改善されていきました。
いずれの持ち方にせよ、指先が固定されるような深い窪みがなくなったぶん、シェル表面の滑りやすさが気になりやすいことは注意すべき点です。表面が滑りやすいと指先で踏ん張るように握りこむ必要が出てくるので、Ninjutso Soraのようなわずかな指の動きまで捉えてしまう超軽量マウスでは操作の安定性を損ないやすいです。グリップテープ等で対策することで操作性が大きく改善されます。
メインボタンは押下する場所の違いによるフィーリングの変化が少なく、深めのつかみ持ちから浅めのつまみ持ちまで押し心地は快適です。また、ボタンの配置は適切で、かなり浅めのつまみ持ちを除いて両方のボタンに指が届きます。ホイールにもアクセスしやすいです。
スイッチ
メインボタン
メインボタンのマイクロスイッチにはHuano Pink dotが採用されています。硬くもなく柔らかくもない押し心地で、とてもクリスピーな感触。跳ね返りが強いので連打がしやすく、かつ無理やり跳ね上がってくる感じでもないのでホールドも難なくこなせます。
クリック音は高すぎず、フィーリングはとても良好です。クリック感の良し悪しはマイクロスイッチの種類だけでなくシェルのクオリティにも大きく左右され、超軽量ゲーミングマウスは重量をそぎ落とすことを重視するあまりフィーリングが悪くなる傾向にありますが、Ninjutso Soraはとてもうまく設計されているように感じます。また、薄めのシェルとHuano Pink dotの相性が良いようにも感じます。
メインボタンが分離したセパレートタイプになっており、押し込む場所によるクリック感の変化が抑えられています。手前側にいくにつれて押下圧と跳ね返り感が若干増しますが、ホイールより1cmほど手前側を押し込んでも大きな変化はなく、浅めのつまみ持ちでも快適に操作できます。
0~16msのデバウンスタイム調整に対応しており、専用ソフトウェア上で設定が可能です。設定幅が広いので好みに合わせて細かく調整できるのは良いところ。筆者の環境では、デバウンスを短く設定しても正常に動作することを確認しています。
サイドボタン
サイドボタンは細くて横長で、本体からしっかりと飛び出しています。それぞれのボタンの両端は丸められており、親指をスライドさせてもボタンに引っ掛かることはありません。ボタンの配置は適切で、浅めのつまみ持ちを除いて両方のボタンに指が届きます。
押し心地は柔らかめで、親指で軽く押し込むだけで反応します。押し心地もチープな感じではなく、しっかりとしたものです。FPSでキャラクター操作にかかわる重要なキーを割り当ててもうまく機能します。
ホイール
ホイールは本体からしっかりと飛び出ています。ゴムリングは水平方向に切り込みが入っており、指に引っ掛かりやすく回しやすいです。
回し心地はやや軽めで、しっかりと分離感が感じられるタイプ。ハッキリとした細かなノッチ感があり、連続したスクロールも細かな操作も行いやすいです。
ホイールクリックは固くもなく柔らかくもなく。最低限の力で押し込むことができ、誤作動することもない、ちょうどいい固さに調整されています。クリック時の感触もハッキリとしているので、咄嗟の判断で素早く押し込むのも容易で、頻繁に使用するキーをバインドしても問題ありません。
センサー
Ninjutso Soraは、最近ワイヤレスマウスへの採用例が増えてきたPixArt製の光学センサー「PixArt PAW 3395」を搭載しています。最大26,000DPI、最大速度400IPS、解像度50~26000DPIに対応。初期DPIは400 / 800 / 1600 / 3200の4段階で、本体底面のDPIスイッチを押すと切り替わります。
センサーの挙動を可視化するツール「Mouse Tester」での検証に加え、『VALORANT』と『Apex Legends』でもプレイテストを行った結果、センサーが正常に動作していることを確認できました。
* 付属の延長アダプタ・ケーブルを使用し、マウス本体とUSBドングルを近付けた状態で検証。DPIは400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッドは「BenQ ZOWIE G-SR-SE Rouge」。環境によって結果が変動する可能性があるので、あくまで参考程度にお願いします。
MouseTester: xCounts
MouseTester: xSum
センサー配置
Ninjutso Soraのセンサーはマウス本体の真ん中より僅かに上側に搭載されています。
* センサーの位置が変わると、手首を支点にしてマウスを動かしたときのカーソルの移動量に差が出ます。一般的には、手首の動きを細かく捉えられることから、センサーが真ん中よりも前側に寄っているものは優れているとされており、後ろ側に寄ったものは好まれない傾向にあります。
マウスソール
Ninjutso Soraは大小2種類のソールを取り付けられる設計になっています。デフォルトでは小サイズのPTFEソールが四隅に1枚ずつ貼り付けられており、パッケージには大サイズの交換用ソールが同梱しています。厚さは実測値0.69mmです。
すべりと止めのバランスに優れたタイプで、それなりに滑り、低速時には摩擦感が目立ちます。エッジはそれなりにうまく処理されており、よほど滑走面が粗かったり中間層が柔らかいマウスパッドでない限りは引っかかりません。標準ソールとして十分な品質であるといえます。
設定・ソフトウェア
Ninjutso Soraはソフトウェア不要のプラグアンドプレイ設計ではあるものの、デバウンスタイムやリフトオフディスタンス(LoD)などの細かな部分を設定するため専用ソフトウェアも用意されています。
Ninjutso Sora Software / Farmware:https://ninjutso.com/pages/download
画面の切り替わりがないシンプルなUI。ボタンへのキー割り当て、マクロの記録・保存、DPI調整(100~26,000DPI、100刻み)、ポーリングレート、LoD、スリープモード移行までの時間調整、デバウンスタイムなどの設定が可能です。バッテリー残量も確認できます。
リフトオフディスタンスを1mm / 2mmの2段階に、デバウンスタイムを0~16msで調整できるなど、操作性の良し悪しにかかわる細かな設定にも対応しています。初期設定はポーリングレート500Hz、リフトオフディスタンス1mm、デバウンスタイム12msとなっているので、好みに合わせて変更することをお勧めします。
結論とターゲット
「Ninjutso Sora」はミディアムサイズながらわずか45gの超軽量設計を実現したゲーミングマウスです。ここまで軽いと品質面に問題を抱えていないか不安になりますが、シェルの強度や組み立て精度は申し分なく、クリックのフィーリングも良好。ビルドクオリティに優れた超軽量マウスの一つと言えます。
形状はXM1クローンで、つかみ持ち・つまみ持ちに適しています。本家のようなサイドの深い窪みがないので、指先にもたらされるフィット感が薄れた代わりに指を置く場所を細かく調整しやすくなった印象です。サイズは本家よりも僅かに小さいものの大差はありません。
最大70時間のバッテリー持続、USB-Cによる高速充電に対応しており、ワイヤレスマウスとして快適に扱えます。設定は基本的な項目に加えてLoDやデバウンスタイムといった細かな調整にも対応しています。シンプルながら必要な機能を備えた、コアユーザーにとって理想的な設計であるといえます。
結論として、マウスを選ぶうえで軽量・ワイヤレスであることを条件としていて、XM1クローン形状が好みな場合、Ninjutso Soraは必ず試すべきゲーミングマウスであるといえます。信じられないほど軽量であるにもかかわらず、しっかりと組み立てられていて強度も十分なので、グリップしていて全く心配になりません。40g台となると手とマウスが一体化したかのような感覚が得られ、これまでとは違った操作感が体験できます。
XM1やそのクローン形状のマウスは70g~45gまで様々な選択肢があります。重たすぎるよりは軽いほうが操作性に優れてはいるものの、パフォーマンスを出しやすい・操作しやすいと感じる重たさは人それぞれなので、軽ければ軽いほど優れているとは言えません。さまざまなマウスを試してみましょう。
総合評価5.0 out of 5.0 stars
安定した2.4GHzワイヤレス
優れたビルドクオリティ
最大70時間持続するバッテリー
45gの超軽量設計
適切な重量バランス
優れたクリック感
押しやすいサイドボタン
分離感のあるホイール
高精度なセンサー
以上、Ninjutsoのゲーミングマウス「Ninjutso Sora」のレビューでした。