「Fantech HELIOS UX3V2」レビュー。浅めのつまみ持ちでも快適なZOWIE S2クローンマウス

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「Fantech HELIOS UX3V2」レビュー。浅めのつまみ持ちでも快適なZOWIE S2クローンマウス

本稿では、Fantechのゲーミングマウス「Fantech HELIOS UX3V2」のレビューをお届けします。

レビューサンプル提供: 株式会社アーキサイト

Fantech HELIOS UX3V2
価格: 6,912円(執筆時点)  Amazon  楽天市場

この製品について

先日、Endgame Gearなどの正規代理店で知られるアーキサイトが国内でのFantech製品の取り扱いを開始。その第1弾として発売されたのが今回レビューする有線ゲーミングマウス「HELIOS UX3V2」(とAGLIEマウスパッド)です。

ZOWIE S2クローン形状、本体重量69g、メインスイッチにKailh GM 8.0を採用する有線ゲーミングマウス。また検知用のセンサーを搭載することで、LoDを0.5/1.0/1.5/2.0mmの4段階で調整可能となっています。

なお、アーキサイトは海外で注目を集めている同社のワイヤレスマウス Aria XD7,やHELIOS XD5の取り扱いも検討中とのこと。

製品仕様とスペック

カラー ブラック/ホワイト 表面 マット
形状 左右対称 サイズ 約 120x58x38mm
本体重量 約 69g ボタン数 6つ
センサー PixArt PMW3389 解像度 400 / 800 / 1200 / 2400 / 3200 / 6400 / 16000DPI
最大加速度 50G 最大速度 400IPS
ポーリングレート 125/500/1000Hz ホイール メカニカル
デバウンス 調整不可 スイッチ Kailh GM 8.0
接続方式 有線 ケーブル パラコード
ソール PTFE ライティング 搭載
ソフトウェア 対応 メーカー保証 1年間

入手方法と販売価格

Fantechはアーキサイトが国内正規代理店を務めており、Amazon.co.jp楽天市場などで購入可能です。

執筆時点での最安値は税込6,912円(楽天市場)。海外では45ドル前後で販売されている製品なので、妥当な価格設定であると言えます。

バリエーション

ブラック・ホワイトの2色展開。

パッケージと内容物

HELIOS UX3V2のパッケージの内容物は以下の通り。

  • HELIOS UX3V2 マウス本体
  • 交換用PTFEソール
  • 取扱説明書

パフォーマンス

接続とケーブル

HELIOS UX3V2は有線接続のゲーミングマウスで、標準でパラコードケーブルが取り付けられています。軽さ・柔らかさともに十分で取り回しやすいですが、折り曲げると癖がつくので注意。

ケーブルブッシュ(根元)は平行に取り付けられています。マウスパッドと触れ合うことはありません。

ビルドクオリティ

HELIOS UX3V2のビルドクオリティは可もなく不可もなくと言ったところ。本体を激しく振っても音は鳴らず、各スイッチも適切に取り付けられています。

組み立て精度がやや低く、シェルを握り込んだり押さえるとギシギシときしみ音がします。操作に影響を及ぼすほどではありませんが、グリップ時に手や指にそれなりに力を入れる方は気になりそうです。

グリップ性能

シェル表面のグリップ性能は低いですが、多くの超軽量ゲーミングマウスと比べるとややマシなように感じます。サラッとした質感のマット仕上げで、指や手のひらが乾燥していると滑りやすいですが、適度に湿った状態ではそれなりにグリップ感が得られます。

ほぼ忠実なZowie S2クローン形状なのでグリップテープは見つけやすそうです。

本体重量

メーカー公称値69g、実測値71.3gでした。クローン元であるZOWIE S2-Cと同じ重たさです。※ケーブルを取り外さずに計測しているので若干の誤差が出ます

重量バランス


重心はセンサー付近、ほぼ中心にくるよう調整されています。

大半のゲーミングマウスはこれと同じように重心が中央辺りに調整されているので、他のマウスからHELIOS UX3V2に乗り換えても違和感は出づらいと言えるでしょう。

形状と大きさ

HELIOS UX3V2は、ZOWIE S2クローン形状の左右対称ゲーミングマウスです。寸法は120.0 x 58.0 x 3.08mmで、小~中サイズに分類されます。

写真の通り、ZOWIE S2の形状がほぼ忠実に再現されています。ZOWIE Sは全体的に平べったくありつつも、本体後部に向かうにつれて背が高くなるよう設計されています。この本体後部は程よい背の高さに加え、左右までしっかりと盛り上がっているので、指の付け根や手のひらをしっかりと支えることができます。つかみ持ちやつまみ持ちのような浅めのグリップでも安定感が出やすい形状となっています。

サイドは本体後部の膨らみに対して真ん中はくびれており、メリハリがあります。メインボタンは指に沿うように窪んでおり、左右クリック時の軸がブレづらくなっています。サイドシェルの先端は内側に丸め込まれており、深めにグリップしたときに薬指がメインボタンと挟まるのを防止します。

ZOWIE S2 -Cとの比較

ほぼ忠実に再現されており、実際にグリップして比べても違いには気付けない。センサーやホイールの位置も同じ。唯一、サイドボタンの形状と位置がやや異なるくらい。

持ち方の相性

前置き:筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があります。

HELIOS UX3V2 (=ZOWIE S2) はサイズ感さえ合えば持ち方を選ばない形状です。手のサイズが平均的~大きめの方ならつかみ持ち・つまみ持ち、手が小さい方であればかぶせ持ちでも問題無く使用できます。

かぶせ持ち


かぶせ持ちとの相性は悪くありませんが、手全体を預けるにはやや小ぶりなサイズ感なので、平均よりも手が小さめの方に限ります。

本体後部に程よく高さがあるうえに、中央だけでなく左右もしっかりと盛り上がっており、手のひらから指の第一関節までに張り付くようなフィット感が得られます。サイドの先端には十分なスペースがあり、薬指・小指の置き場にも困りません。

グリップする深さはある程度調整できますが、角度は限られてしまいます。筆者の場合、マウスに対して真っすぐ握り込むとフィットしやすく、斜めに握り込むと親指側が浮いてしまい、マウスを固定しづらく感じます。

サイドボタンやホイールの配置は適切で、それぞれに指が届きやすく、無理なく押し込むことができます。

つかみ持ち


つかみ持ちとの相性は非常に良いです。やや小さめのゲーミングマウスを好む方であれば、手の大きさを問わずに上手く扱うことができるかと思います。

本体後部にあるコブの幅が広く、手のひらに強いフィット感が得られます。深めにグリップして手のひらの後ろ側で支えるか、親指と小指の付け根で挟み込むように支えたり、浅めにグリップして薬指の付け根あたりで支えたりと、グリップする深さはとても調整しやすいです。

サイドはしっかりとくびれており、表面のグリップ性能も高いので、指先をしっかりと固定できます。本体幅が狭めに設計されているので、サイドの3本指に適度な力を入れてしっかりと固定することで安定感が増します。

ボタン配置は適切で、よほど深めにグリップしない限りは両方のサイドボタンに指が届きます。ホイールの配置も適切で、自然にアクセスできる位置にあります。

つまみ持ち


つまみ持ちとも相性は悪くありません。サイドがしっかりとくびれているので、力むことなく指先でマウスを固定できます。その一方で、親指の配置が真ん中付近に限定されてしまい、グリップする深さにはあまり融通が利きません。

本体後部が短めに設計されており、マウスと手のひらの間に広いスペースが確保できます。これにより、指の関節を使ってマウスを上下に動かすときの可動域が広くなります。

浅めにグリップした際も両方のサイドボタンに指が届きやすいです。ホイールの配置も適切で、どちらも容易にアクセスできます。

スイッチ

メインボタン


メインボタンのマイクロスイッチにはKailh GM 8.0が採用されています。やや軽めの押し心地で、クリック音は小さめ。ストロークは短めに調整され、適度な跳ね返り感があり、フィーリングに優れています。脱力した状態での連打やホールドも容易で、FPSにおけるスプレー・タップ撃ちの制御もうまく行えます。

メインボタンが分離したセパレートタイプとなっており、押し込む場所によるクリック感の変化が抑えられています。ホイールより1cm手前側で押しても押下圧と跳ね返り感はあまり変化せず、つまみ持ちでかなり浅めにグリップしても脱力した状態でクリックできるのが強みです。

デバウンスタイムを調整できないので、普段気に入っているセッティングがある方や、数ms単位のデバウンス遅延が気になるという方は避けた方が無難だと言えるでしょう。

サイドボタン

サイドボタンは本家と比べて小さく、本体からほぼ飛び出していません。ボタン中央辺りに小さな段差がありますが、親指をスライドさせても引っ掛からない程度の高さの違いです。配置自体は適切で、浅めのつまみ持ちを除いて両方のボタンに指が届きます。ただサイドシェルとほぼ水平になっていてアクセスしづらさを感じます。

押し心地はやや軽めで、「カコッカコッ」とタクトスイッチのような安っぽい感触がします。また、跳ね返りが弱めで、指を立てた状態で押すと親指の離れが悪いことも気になります。FPSでキャラクター操作に関わる重要なキーを割り当てるのには使いづらそうです。

ホイール

ホイールは本体からしっかりと飛び出しています。真ん中のゴムリングを除いてLEDライティングゾーンになっています。ゴムリングは指に引っ掛かりやすく回しやすいです。

回し心地はかなり軽めで、ややチープな感じ。ごく僅かノッチ感とともにスルスルと回ります。分離感はあまり感じられないものの、誤操作が目立つわけではなく、軽めのホイールが好みなら問題無く扱えそうではあります。

ホイールクリックは非常に軽いです。少ない力で押し込むことができるうえ、ハッキリとした感触が得られるのは良いのですが、咄嗟にホイールに指を伸ばしたときに誤作動が目立ちます。ホイールを頻繁に使用するタイトルでは注意が必要です。常に脱力気味な方は気になりづらそうです。

センサー

HELIOS UX3V2は、PixArt製の光学式センサー「PixArt PMW 3389」を搭載しています。100~16,000DPI、50G、400IPSに対応、初期DPIは400 / 800 / 1200 / 2400 / 3200 / 6400 / 16000の7段階で、ホイール下のDPIボタンを押すと切り替わります。また、DPI設定状況はLEDライティングの色で判別できます。

センサーの挙動を可視化するツール「Mouse Tester」での検証に加え、『VALORANT』と『Apex Legends』でもプレイテストを行った結果、センサーが正常に動作していることを確認できました。

* 付属の延長アダプタ・ケーブルを使用し、マウス本体とUSBドングルを近付けた状態で検証。DPIは400, 800, 1200, 2400で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッドは「BenQ ZOWIE G-SR-SE Rouge」。環境によって結果が変動する可能性があるので、あくまで参考程度にお願いします。

MouseTester: xCounts

MouseTester: xSum

センサー配置

HELIOS UX3V2のセンサーはマウス本体の真ん中付近に配置されています。クローン元のZOWIE S2ともほぼ同じ位置です。

* センサーの位置が変わると、手首を支点にしてマウスを動かしたときのカーソルの移動量に差が出ます。一般的には、手首の動きを細かく捉えられることから、センサーが真ん中よりも前側に寄っているものは優れているとされており、後ろ側に寄ったものは好まれない傾向にあります。

マウスソール

横長のPTFEソールが上下に1枚ずつ貼り付けられています。厚さは実測値0.87mmです。

それなりに滑って止まるバランスタイプ。エッジの処理も悪くなく、滑走面が粗かったり中間層が柔らかいマウスパッドと組み合わせても引っ掛かりません。柔らかい糸で織られた布製マウスパッドとの組み合わせではスーッと大きめの滑走音が鳴ります。

十分に使えるクオリティなので、わざわざサードパーティー製ソールに貼りかえる必要は無さそうです。予備のPTFEソールが1セット付属しています。

設定・ソフトウェア

HELIOS UX3V2は専用ソフトウェアに対応しています。URLページ内の下部にあるプルダウン「Download」を開いて「Software」をクリックするとダウンロードが開始されます。

Fantech HELIOS UX3V2 ソフトウェア:https://fantechworld.com/helios-ux3v2/

この手の専用ソフトウェアはUIがシンプルで分かりやすいですね。

この価格帯の有線マウスでデバウンスタイムが調整できない点は少し不満ですが、それ以外の設定は一通り行えます。執筆時点では日本語非対応だったので、英語版で紹介します。

LEDライティングに関する設定。あらかじめ9種類のライティングパターンが用意されており、エフェクトスピードも調整可能。もちろんオフに設定することもできます。

DPIは100~16,000を100刻みに調整可能で、XY軸で異なるDPIを割り当てることもできます。DPI毎に好みの色を割り当てておくことで、切り替え時に判別しやすくなります。

Windows制御のマウスに関する設定。Improve pointer precision(マウス加速)が初期状態で有効になっているので、チェックを外しておくことを推奨します。

リフトオフディスタンス(LoD)に関する設定。0.5 / 1.0 / 1.5 / 2.0mmの4段階で調整できます。マウスパッド「BenQ ZOWIE G-SR-SE Rouge」上で実測してみると、数値はおおむね正確でした。

LoDの切り替えはソフトウェア上では行えず、本体のサイドボタンとホイールクリックを同時押しする必要があります。少しややこしい仕様なので注意。

結論とターゲット

「Fantech HELIOS UX3V2」について詳しく見てきました。約7000円で入手できるZOWIE S2クローンマウスですが、グリップ時にギシギシときしみ音が鳴ったり(組み立て精度が低い)、アクセスしづらく感触が安っぽいサイドボタン、軽すぎて誤作動しやすいホイールクリックなど短所が目立ちます。この価格帯であればもう少し作り込まれている有線マウスが多く存在します。

ただ、メインボタンはとてもうまく調整されており、フィーリングに優れています。また、本家とは違ってセパレートタイプになっており、かなり浅めで押し込んでも押下圧・跳ね返り感がほぼ変わらないので、かなり浅めのつまみ持ちでも快適に扱えるのが特徴です。

S2やそのクローン機には手前側でクリックしやすいものが少ないのが現状です。サイドボタンやホイールの操作感にあまりこだわりがなく、S2の形状は好きだけどクリック感が気に入らないという浅めのつまみ持ちユーザーは一度試してみてもいいかもしれません。

総合評価2.5 out of 5.0 stars

* それぞれの項目を///の4段階で評価
 ZOWIE S2のクローン形状
 69gとそれなりに軽い
 適切な重量バランス
 非常に優れたクリック感
高精度なセンサー
十分な品質のマウスソール
安っぽい感触のサイドボタン
誤作動しやすいホイールクリック
工作精度が低くきしみ音がする
グリップ性能がやや低い
Fantech HELIOS UX3V2
価格: 6,912円 (本稿執筆時点)

以上、Fantechのゲーミングマウス「Fantech HELIOS UX3V2」のレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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