「ZYGEN NP-01」レビュー。パフォーマンスを重視したシンプルな設計、優れた形状の左右非対称ゲーミングマウス

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「ZYGEN NP-01」レビュー。パフォーマンスを重視したシンプルな設計、優れた形状の左右非対称ゲーミングマウス

本稿では、ZYGEN(ジゲン)のゲーミングマウス「ZYGEN NP-01」のレビューをお届けします。

レビューサンプル提供: VAXEE JAPAN

ZYGEN NP-01
価格: 6,990円 (本稿執筆時点)

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製品仕様と外観

ZOWIE創設メンバーらが独立して新たに立ち上げたvaxeeは、当初から「e-sports向け製品に関しては情熱を持ったパートナーと協力して製品を開発していく」と公言しており、その第1弾として国内CSシーンのレジェンド noppo氏とのブランド ZYGEN(ジゲン/慈眼) を発表したことで話題になりました。

noppo氏と言えば左右対称マウスを好んで使用することで知られていますが、今回発売されたNP-01は左右非対称。「左右非対称マウスの多くは後部に高さがあり、マウスを握る角度が制限されてしまう」とし、NP-01は左右対称と同じような様々な持ち方ができるよう設計されているとのこと。

バックボーン抜きにしても、事前情報を確認する限りでは、現状で良しとされている仕様を詰め込んだものとなっており、十分に期待が持てるかなといった印象。早速見ていきましょう。

NP-01は、5つのボタンを搭載する左右非対称ゲーミングマウス。

マウス表面は艶のある独自コーティングで、メインボタン部分のみ梨地加工となっています。どちらも手汗で滑りやすいので、持ち方によってはグリップテープが必須になるかなと思います。

形状を4方向からチェック。寸法は66 x 120 x 39mmで、中型サイズに分類されます。

発売前よりvaxee公式から様々なゲーミングマウスの形状との比較画像が公開されており、このNP-01はZOWIE S2の本体左側の後部を膨らませた形状であるということが事前に明らかになっていました。

本体重量は公称値75g(ケーブルを除く)、実測値は77.3gでした。

個人的には70~80g台がスピードとコントロールを両立できて扱いやすい重量だと感じます。

センサーにはPixArt PMW3389が搭載されています。初期DPIは400/800/1600/3200。

プラグアンドプレイ設計で、さまざまな設定を本体のみで完結できます。それぞれのボタンから DPI 400/800/1600/3200、ポーリングレート 125/500/1000Hz、デバウンスタイム(クリック応答速度) 2/4/8msへの調整、また接続時にはリフトオフディスタンスを3段階で設定可能です。

スペック&ギャラリー

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ZYGEN NP-01
価格: 6,990円 (本稿執筆時点)

パフォーマンス

持ち方の相性・操作感

NP-01は前述の通り、ZOWIE S2本体後部の左側のみを膨らませた左右非対称ゲーミングマウス。「左右非対称=本体の背が高い」というイメージを持っている人も多いかと思いますが、NP-01は全体的に背が低く、それでいて手への収まりもいい不思議な握り心地となっています。

本体後部の左側を膨らませる意図としては、”かぶせ持ちで親指の付け根から指先までを安定させる”ことと、”本体の幅を確保することでつかみ持ちでの安定性を向上させる”ことの2つが想定できます。筆者の勝手な解釈ですが、どちらの場合も上手く機能している印象です。

120mmと全長こそ少し短いものの、サイズ感は万人向けといった印象。大型マウスを好んで使用する方でない限りは、問題無く使用できるのかなと思います。

これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。

かぶせ持ち

かぶせ持ちはとても相性が良いです。先ほども触れたように、本体後部左側の膨らみが”親指の付け根から指先まで”のガイドの役割を果たし、自然なフォームで握り込むことができます。

全体的に背が低いですが、筆者の手の大きさでは窮屈とは感じません。強いて言うならば、親指の配置スペースが若干狭いように感じるくらいでしょうか。ポジションを微調整することで、手首をマウスパッドに接地させるかさせないかも選べます。

本体を横から見たときに後部からメインスイッチまでほぼ水平となっています。ここから分かる通り、かぶせ持ちでは人差し指と中指の関節が完全に伸び切った状態になるため、背の高い左右非対称マウスと比べるとクリックする際に指先に力を伝えるのがやや難しいと感じます。

メインボタンはセパレートタイプで手前側でもほぼ変わらない圧で押し込めるため、そこまで問題になっていないようにも感じますが、このあたりが好みが分かれるポイントかなと思います。

つかみ持ち

つかみ持ちも相性が良いです。まず第一に、手のひらが触れる本体後部が膨らんでいることで安定感を感じられます。また、それぞれの指先を配置するポイントにこれといった癖がなく、どのような配置でも干渉する気配がないため、つかみ持ちに関してはかなり応用がきく形状であると感じます。

本体後部から真ん中あたりにかけて背が低いので、握り込む角度を制限されづらいのもポイント。人によって持ち方が細かく違ったとしても、しっくりとくるポジションを見つけやすいかなと思います。

つまみ持ち

つまみ持ちも相性は悪くないです。左右非対称とはいえサイドのシェイプはなだらかで、特に干渉することなく指先のみで固定できます。ただし、指先のみでグリップしているとマウス表面の滑りやすさが際立つため、両サイドにグリップテープが必須となるでしょう。

また、深めにつまんだ場合、指の関節を曲げたときに本体後部の左側が手のひらと接触します。そこまで可動域は狭くないですが、センシによっては操作に影響を及ぼす可能性あり。少し人を選びます。

ボタン配置・クリック感

メインスイッチ

メインボタンにはHuano 60Gスイッチが搭載されています。押し心地はしっかりめで、やや固くて重たいです。タップ撃ちには適していると感じますが、素早い連打を多くの場面で求められるタイトルでは指が疲れやすいです。

ストロークは一定で浅く、安定感があり、しっかりと調整されている印象を受けます。またセパレートタイプとなっており、ホイール手前あたりで押し込んでも押下圧はほとんど変わりません。

底面のボタンからデバウンスタイムを2/4/8msの3段階に調整でき、これを変更すると感覚面でかなりの変化が生じます。FPSプレイヤーの場合は、フリックAIMの際に意図したタイミングでクリックが反応するかどうかを基準に設定すると良いかなと思います。

サイドボタン

サイドボタンはやや小さめで本体からしっかりと飛び出しています。ボタンの配置自体は適切なのですが、かぶせ持ちの場合は手の大きさによって親指のスペースが狭いと感じる可能性があります。

クリック感は固すぎず柔らかすぎず、アソビがなくストロークは短め。「カチッ」と詰まったような音。

”サイドボタン下部のシェルを押し込むとスイッチが押下される”というような発信をいくつか見かけましたが、指に力を込めやすい持ち方をして一箇所を力強く押し込むか、かぶせ持ちでフォームが崩れるほど親指側に思い切り力を込めて握らない限りは再現されず、一般的な使用では全く問題無いと思います

ホイール

光学式24ノッチホイール。回し心地は軽いですが、独特の強いノッチ感があります。また動作音が非常に大きく、1ノッチぶん正確に回すには適していますが、多用する場合は気になります。

24ノッチになったことで、反応点から次の反応点までの曖昧さが薄れ、16ノッチよりも一般的なホイールに近い反応を示すようにはなったものの、一般的なホイールに慣れていると癖を感じると思います

ちなみにZOWIE製マウスの現行機種には16ノッチホイールが搭載されていますが、(ZOWIE GEARは)過去に24ノッチホイールを採用していたこともあります。

ホイールクリックは鈍くて固く、想像よりも深めに押し込まなければスイッチが押下されません。ここに重要な操作を割り当てている場合、不満に感じる可能性が高いです。改善の余地あり。

センサー

NP-01のセンサーはPixArt PMW3389で、本体底面のスイッチから400/800/1600/3200DPIの4段階に切り替えが可能です。

例のごとく、Mouse Tester (xCount, xSumの2種)でセンサーの正確性を検証。DPIは400/800/1600/3200で、ポーリングレートは1000Hz、マウスパッド「PureTrak Talent」上でテストを実施しました。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。

MouseTester: xCounts

MouseTester: xSum

Mouse Testerは xCounts/xSum ともに綺麗な波形で、実際のゲームプレイでも正確なトラッキングを示しており、センサー挙動に一切問題はありません。

リフトオフディスタンス (LoD)

マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。使用するマウスパッドによって数値が変動する可能性があります。

NP-01は、特定のスイッチを同時に押しながら接続することで、リフトオフディスタンスを低/中/高の3段階で調整できる設計となっています。「PureTrak Talent」上で計測した結果、NP-01のリフトオフディスタンスは 低:1.1mm、中:1.6mm、高:1.9mm でした。

リフトオフディスタンスの変更方法 (開閉できます)
低設定(デフォルト)

●USBコネクタからマウスのUSBケーブルを抜いてください
●マウス1+マウス4のボタンを押し続けてください
●ボタンを押したままUSBコネクタに差し込んでください
●マウスの下側にあるPolling Rateの左端インジケーターランプが2回点滅します
●これでマウスが 低LOD に設定されました

中設定

●USBコネクタからマウスのUSBケーブルを抜いてください
●マウス1+マウス5のボタンを押し続けてください
●ボタンを押したままUSBコネクタに差し込んでください
●マウスの下側にあるPolling Rateの右端以外のインジケーターランプが2回点滅します
●これでマウスが 中LOD に設定されました

高設定

●USBコネクタからマウスのUSBケーブルを抜いてください
●マウス1+マウス2+マウス4のボタンを押し続けてください
●ボタンを押したままUSBコネクタに差し込んでください
●マウスの下側にあるPolling Rateの全てのインジケーターランプが2回点滅します
●これでマウスが 高LOD に設定されました

vaxee公式サイトより引用

センサーの位置

一般的な配置。マウス本体に対して真ん中あたりにセンサーが搭載されています。

マウスソール

厚さ0.45mmの大型ソールが上下に2枚貼り付けられています。滑走速度の速いPTFE製。

写真の通り、マウス本体からほとんど飛び出していません。中間層の柔らかいマウスパッドと組み合わせるとボトムシェルが擦れてしまい、コントロール性能が大幅に薄れてしまう可能性があります。

vaxeeからオプションとして厚さ0.45mm/0.6mmのNP-01専用マウスソールが販売されています。上記のような理由から0.6mmを購入しておくことをお勧めします。

ケーブル

パラコードケーブルはどちらかと言えば耐久性を重視したもので、やや固めで芯が残っています。

マウスバンジーに取り付けたときにへたらず、ケーブル根本が上向きに取り付けられていることもあり、ケーブルを浮かせながら固定することでマウスパッドとの接触を防ぐことができます。また折れ癖も直しやすく、綺麗にセッティングできるかなと思います。

ビルドクオリティ

各部の軋みやカタつきなどはなく、ビルドクオリティに一切難はありません。さらに税込7,000円というこのマウスの価格帯を考えれば、とても良い造りだと思います。

サイドのシェルを強く押し込むとサイドボタンが押下されてしまう件も、本来の用途で使用している分には再現されることはないため、筆者としては全く問題は無いと考えています。

ビルドクオリティからは話が逸れますが、発表時点で「押下圧55~60gの個体差があるHUANO 60gスイッチの検品基準を上げ、左右クリックの押し心地に差が出ないようにする」としていた件。これに関しては完全ではなく、筆者の個体では”僅かに”左クリックの方が軽いように感じます。製品を大量生産するうえで基準を引き上げすぎると大きな影響が出ますし、このあたりが限界値なのかなと。

結論とターゲット

「ZYGEN NP-01」について詳しく見てきました。光学式ホイール特有のノッチ感の強さ、また24ノッチになったことで動作音が際立つのは好みが分かれるポイントかなと。またホイールクリックが鈍くて固いことに関しては改善の余地があると感じます。

しかし、それ以外の点については素直に高く評価できます。優れた形状とビルド、適切なセンサー調整、ゲームでのパフォーマンスを左右する設定を本体で完結したシンプルな設計。税込7,000円と比較的手に入りやすい価格設定となっており、形状さえ合うならば手に取って損はしないかなと思います。

形状に関して、左右非対称としては珍しく全体的に背が低い設計ではあるものの、不思議とどの持ち方にも合います。サイズ感も尖っていないため、背の低い左右対称マウスを好む層でこのNP-01を気に入る方は多いのではないかと思います。

次回販売を待っている方は、厚さ0.6mmのソールも同時に購入することをお勧めします。標準ソールは薄すぎるため、シェルがマウスパッド表面と擦れてしまい、特性を活かせない可能性があります。

ZYGEN NP-01
価格: 6,990円 (本稿執筆時点)

(ちなみに分解には三角ドライバーが必須です)

以上、ZYGEN(ジゲン)のゲーミングマウス「ZYGEN NP-01」のレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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