「HyperX Cloud Stinger Core Wireless +7.1」レビュー。1万円で買える入門向けワイヤレスヘッドセット
本稿では、HyperX(ハイパーエックス)のゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud Stinger Core Wireless +7.1」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: HyperX Japan
製品仕様と外観
筆者の普段のゲーム環境は、優れたオーディオI/Fに、選び抜いたオーディオ機器。しかし状況によっては、デスクを離れるたびに外す必要が無く、ケーブルの煩わしさから解放してくれる無線ゲーミングヘッドセットを使用することもあります。
ゲーミングヘッドセットを限られた予算の中から選ぶうえで、とことん質にこだわるか、利便性にも割り振るか。後者を選択するならば低価格帯のワイヤレスヘッドセットは良い選択になると思います。
しかし現在のワイヤレスヘッドセット市場は全体的に価格が高く、手頃なものは少ないように思います。今回レビューする「HyperX Cloud Stinger Core Wireless +7.1」は1万円という価格設定ながら、多数の機能が搭載されたコストパフォーマンスに優れたモデル。早速見ていきます。
内容物は、ヘッドセット本体、USBレシーバー、充電用ケーブル。
本体を見ていきます。艶消しプラスチックがベース、イヤークッション・ヘッドレストはメッシュ素材。やはりコストを抑えている印象を受けます。
しかしスチール製スライダーの採用などから、一定の耐久性が保たれていることは分かります。
本体重量は244gと非常に軽量です。ワイヤレスでこの軽さは凄い。
上位機種のCloud Stinger Wirelessはダイナミック50mm径ドライバー、本機ではダイナミック40mm径ドライバーへ変更されています。主なスペックは、周波数応答20~20,000Hz、インピーダンス16Ω。音質面にも大きな変化がありそうです。
ヘッドセット自体は従来のCloud Stingerと同じ形状です。イヤーカップは耳全体を覆うサイズで、クッションは布製のメッシュ素材。
左イヤーカップには電源ボタン、音量調節ノブ、充電ケーブル用の接続ポート。柔らかい回し心地で、ゲームプレイ中でも素早く手元でボリューム調節が行えます。
スペック&ギャラリー
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HyperX Cloud Stinger Core Wireless +7.1 製品仕様 対応機種 PC, PlayStation 4 ドライバー ネオジウム磁石 40mm径 周波数帯域 20~20,000Hz インピーダンス 12Ω T.H.D 2%未満 マイク エレクトレットコンデンサー マイク特性 単一指向性(カーディオイド) マイク周波数帯域 50~18,000Hz 接続 USBレシーバー ソフトウェア 対応 (HyperX NGenuity) 価格 10,081円 (本稿執筆時点) - 製品イメージをチェックする (開閉できます)
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パフォーマンス
音質傾向
Cloud Stinger Core Wireless +7.1は、フィルターが掛かったように音が籠っています。全ての音がやや遠くから聞こえ、定位感が掴みづらいです (リスニング用途でも、ゲーム用途でも)。また音の解像度も低く、高音域と低音域が重なったときに粗さを感じます(バスドラとシンバルなど)。
本機の上位機種?である「HyperX Cloud Stinger Wireless」だと、音の解像度の低さを豊かな音圧がカバーし、ゲームの効果音を聞き取るのが容易でした。そういう例もあるので、必ずしも音域の狭さ・音の解像度は重要ではありません。ではなぜ粗さを感じるのか?
HyperX製ヘッドセットの特徴と言えば、しっかりとlowが強調されつつバランスも取れたサウンドです。Cloud Stinger Core Wireless +7.1もその特徴を受け継いでいると言えるのですが、いかんせん音質がそこまで良くないうえに籠っているため、低音以外が遮られたように聞こえます。
また低音が強調されているとはいえ、重低音までは十分に鳴らせておらず、カバーしている音域は狭いと言えます。これはCloud Stinger Core Wireless +7.1に限らず、安価なゲーミングヘッドセットによく見られます。高価になるにつれて有効な帯域も広くなる傾向にあります (モノによりますが)。
ゲームプレイでは低音域が聞き取りやすく、足音は自然と耳に入ってきます。ただし音が重なると途端に粗くなるため、効果音のバリエーションが広いタイトルでは聞き取りづらいです。正確には聞き取れるのですが、欲しい音に集中しづらいです。
結論として、FPSなど競技性の高いゲームに本気で取り組むコアゲーマーにはやや難しいです。しかし、異なるジャンルのゲームを嗜む方や、それなりで満足できる方にとっては要求を満たせるものであると思います。
バーチャル7.1chサラウンド
リバーブ(残響音)が掛かって不自然な音響になりがちなバーチャル7.1chサラウンド。ですがCloud Stinger Core Wireless +7.1は自然な鳴り。ほとんどリバーブが掛かりません。
ステレオ再生に慣れている筆者のファーストインプレッションとしては、違和感はさほど生じないものの、やはり曖昧になるなと感じました。音の鳴った方向は掴みやすくなったものの、ピンポイントに位置を特定しづらいです。
装着感
非常に良い装着感です。クッションの底打ち感はなく、ドライバーに耳が触れることはありません。側圧はそこまで強くなく、イヤーカップの大きさは十分で耳全体を覆います。
イヤークッション・ヘッドレストは通気性の良いメッシュ素材で、PUレザー製と比べると蒸れづらいです。長時間の装着を難なくこなせる、とても快適なゲーミングヘッドセットと言えます。
改めて、ワイヤレスヘッドセットで本体重量244gって相当軽いな…と。
マイク
マイクは単一指向性でノイズキャンセリング搭載。周波数応答は50~18,000Hz、感度は-40dB(1V/1kHz時)。ポップガードは付属していません。真上に跳ね上げるとミュート状態になります。
音質はと言うと、少し籠っていてクリアとは言えません。ノイズキャンセリングが強く効いています。他のヘッドセットと同様で、マイクの先端をしっかりと口に近づけることで籠りが多少は改善されます。
ソフトウェア
Cloud Stinger Core Wireless +7.1は、HyperX製の統合ソフトウェア「HyperX NGenuity」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。
HyperX NGenuity:https://www.hyperxgaming.com/jp/ngenuity
設定項目は、スピーカー・マイクの音量調節、バーチャル7.1chサラウンドのON/OFF切り替え です。本体からサラウンド設定は行えないため、利用する場合はソフトウェアをインストールする必要があります。
ワイヤレス通信
付属のUSBレシーバーを接続し、電源ボタンを3秒長押しすればセットアップ完了。また、付属のUSB-TypeCケーブルを接続すると充電状態となり、バッテリー残量はLEDインジケーターの色で判別することが可能 (バッテリーが15%以下になると赤に点灯、15%~90%だと緑に点滅、90%~100%だと緑に点灯)。
通信距離は最大20m、バッテリー持続時間は最大17時間。家の中ならば全く問題無く通信が可能ですが、換気扇の下だとたまに通信が途切れます。じゅうぶんですね。
結論とターゲット
「HyperX Cloud Stinger Core Wireless +7.1」について詳しく見てきました。音質・定位感には優れておらず、音が重要となるゲーム(FPSなど)の本格的な環境を揃えたい方には不向きです。
ただし用途を考えれば、それなりのコストパフォーマンスを発揮します。244gの軽量設計で装着感が良く、強力なノイズキャンセリングを備え、安定した通信のワイヤレスヘッドセット。この手軽さは魅力です。
PCやPlayStation 4でのゲームを楽しみつつ、音楽や映画の鑑賞、またはテレワークなどに活用したりと、あらゆる用途を1台でそれなりにこなしたい方にとって優秀なエントリーモデルです。
以上、HyperX(ハイパーエックス)のゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud Stinger Core Wireless +7.1」のレビューでした