「Microsoft Pro IntelliMouse」レビュー

このページのリンクはアフィリエイト広告を含みます
「Microsoft Pro IntelliMouse」レビュー

本稿では、Microsoft(マイクロソフト)のゲーミングマウス「Microsoft Pro IntelliMouse」のレビューをお届けします。 [no_toc]

Microsoft Pro IntelliMouse
タイプ:左右非対称センサー:Pixart PAW3389 Pro-MS解像度:最大16,000DPIポーリングレート:1000Hzボタン数:5個リフトオフディスタンス:0.8mm~(実測値)ソフトウェア:対応サイズ:W69×D132×H43mm重量:約104g(ケーブル除く)価格:6,535円 (本稿執筆時点)

製品仕様と外観

「Microsoft Pro IntelliMouse」は、マイクロソフトが2002年に国内発売した「IntelliMouse Explorer 3.0(IE3.0)」が現代版として復刻したもの。かぶせ持ちに適したエルゴノミクスデザインが特徴で、FPSゲーマーを中心に人気を博し、現在でもゲーミングデバイスメーカー各社がこぞって”IE3.0クローン”を製造しているほど。IntelliMouseの歴史を語ると長編となってしまうため、ここでは割愛します。

当時よりもスペックが向上していることは勿論ですが、決定的な違いは「Pro IntelliMouseはゲーマー向け有線マウスとして発売された製品である」という点。現行のハイエンドセンサーと同等の性能を備えたものに刷新されたほか、スイッチの反応の良さ、サイドボタンの押し心地、サイドのラバー部分のフィーリング改善などに目を当てられているとのこと。

早速、Pro IntelliMouseの基本仕様を見ていきます。本体サイズは全長132 幅69 高さ43mmと大型で、形状はかぶせ持ちに適したエルゴノミクスデザインとなっています。左側から右側にかけて沈み、右サイドは薬指・小指の配置に沿って窪みがあります。ボタン数は計5個で、メインスイッチはセパレートタイプ。

シャドウホワイトとシャドウブラック 2色のカラー展開で、今回のレビュー機はシャドウブラックとなります。表面は手前側にかけて色が薄まっていくグラデーション仕様。両サイドはラバーシートが貼り付けられています。サラサラとした質感で、押しても沈み込まず、滑り止め効果は申し分無し。

本体重量は公称値104g(ケーブル除く)、実測値109g(ケーブル含む)でした。続々と発表される最新ゲーミングマウスを追いかける読者の中には「100g超えは相当重たいのでは」という感想を抱く方も多いと思います。それは筆者も同じで、編組ケーブルを含めてそれなりの重たさを感じます。是非ともマウスバンジーと併用したいところ。

搭載センサーはPixart PAW3389 Pro-MSで、ハイエンド機に採用されるPixart PMW3389をマイクロソフト専用に調整したものとなります。ソフトウェアから最大16,000DPIを50刻みで調整可能で、マウスパッドとの最適化を図るキャリブレーション機能も備えています。ポーリングレートは125/500/1000Hzの3段階に対応。

なお筆者は、IE3.0→ Razer DeathAdderと移行してきたオールドユーザーですが、既にIE3.0は手元に残っておらず、2017年発売の復刻モデル「Classic IntelliMouse」も手に取っていません。本稿で比較表現を多用するかと思いますが、あくまで記憶や感覚を頼りに執筆したものですのでご了承ください。

Microsoft Pro IntelliMouse 製品仕様
形状 左右非対称型
サイズ 全長132 幅69 高さ43mm
重量 104g (ケーブル除く)
ボタン数 5
センサー Pixart PAW3389 Pro-MS
DPI 100~16000 (50刻み)
LOD 0.7mm~ (実測値)
スイッチ 非公表
ケーブル 編組ケーブル
ソフトウェア 対応

ギャラリー

製品イメージをチェックする (開閉できます)

パフォーマンス

持ち方の相性・操作感

IE3.0クローンと称したゲーミングマウスの生みの親とも言えるIntelliMouse Explorerの後継機「Pro IntelliMouse」、昔使用していたという方であれば握った瞬間に懐かしめるのではないかと思います。かぶせ持ちに最適化されたエルゴノミクス形状で、マウスを握る手の形に沿って窪んでいるのが特徴です。かなり大きめの部類なので、手が小さい方には合わない可能性が高いです。

これらを踏まえたうえで、一般的な持ち方3種類との相性をチェック。筆者の手の大きさは幅9.5cm 長さ18.5cmで、日本人男性の平均サイズとなります。指の太さや長さ、それぞれの持ち方での細かな癖など、さまざまな要因によって感じ方が異なる可能性があることを前置きしておきます。

かぶせ持ちは言わずもがな相性抜群です。右サイドが薬指の配置に沿うように窪んでいるのがその他大勢との大きな違いでしょうか。全ての指の配置がしっくりとくるポイントを本体形状が導いてくれるので、迷うことなく握り込めます。本体重量は104gと重ためではあるものの、薬指の引っ掛かりによって楽々と持ち上げられるのも優れた点です。

一方で、つかみ持ちユーザーには向いていません。つかみ持ちの特性上、Pro IntelliMouseの形状の凹凸をほとんど活かすことができません。また、本体サイズが大型ということもあり奥側に配置されたメインスイッチに指が届きづらいのと、本体の重たさをダイレクトに感じやすく、マウスを瞬時に持ち上げる操作がやや厳しいです。

つまみ持ちは手の大きさ次第。参考として筆者の手の大きさでは、浅めにつまんでもサイド形状のフィット感を得られるうえ、深めに配置されたメインスイッチにも十分に指が届きます。手の大きさが平均以上で、重たさを許容できる方であれば適性アリ。

結論として、かぶせ持ちとの相性が良いことは大前提として、つかみ持ちには適正が無く、つまみ持ちは手の大きさや好み次第では十分に適しています。強調したいのは、筆者はマウスを握る手に最低限の力しか込めないにもかかわらず、Pro IntelliMouseはかぶせ持ちでは軽々と持ち上がるという点。

ボタン配置・クリック感

ボタン配置やクリック感は、総合すると従来のIE3.0に多少のアップデートが加わったものと表現していいと思います。メインスイッチはしっかりとクリック感のあるタイプで、ストロークが若干長く、「カチッ」と強めの音、強めの跳ね返りなど、IE3.0そのままという印象を受けました(手元に残っていないため記憶と感覚を頼りに執筆)。

サイドボタンは特殊な形状で、非常に柔らかくてアソビがあるタイプ。奥側よりも手前側のほうがスイッチが若干柔らかく感じるところまで従来のまま。唯一の変更点として、サイドボタンの表面がラバー製となり、細かな切り込みが入ったことが挙げられます。瞬時に押しやすいのですが、プレイヤーによっては親指の動きの癖によって誤爆する可能性も無きにしも非ず。

ホイールはやや硬めで、回すごとに強めの抵抗感があります。誤爆してしまう心配は無いと言えそうです。ホイールクリックは柔らかめで、連打も容易です。ホイールの周りに切り込みが入っていることもあり、指でホイールの位置を探って瞬時に押し込みやすいです。

センサー挙動とリフトオフディスタンス

MouseTesterの見方について

基本的には、波形に点が綺麗に沿っていれば、マウスのセンサーが正確なトラッキングを行えている、という認識で構いません。マウスを動かす速度が速いほど、波形が縦方向に長く生成されます。つまり、波形の折り返し地点は、マウスが最高速度に達したことを表します。

  • 横軸 Time(ms):経過時間を表す、1000分の1秒
  • 縦軸 xCounts:マウスの左右への移動量。右に動かすと波形が上方向に、左に動かすと波形が下方向に生成される。マウスを動かす速度が速くなるほど、縦方向に大きな波形が生成される。

例えば、「中間地点の波形に点が綺麗に沿っているが、折り返し地点でブレが生じている」という場合、基本的には正確にトラッキングできているが、マウスを動かす速度が速いと反応がブレる、といった見方となります。

しかし、折り返し地点のブレが毎回同じような傾向だった場合、「マウスを早く動かすとカーソルが毎回その動きをする」ということですので、カーソルの動きは安定しているということになります。そのような場合、マウスを早く動かすとカーソルの動きに癖が出るものの正常、といった認識で構いません。

Pro IntelliMouseの搭載センサーは Pixart PAW3389 Pro-MS で、Pixart PMW3389をマイクロソフト専用にカスタムしたもので。ソフトウェアから200~16,000DPIを50刻みで調整できるほか、ソフトウェアからはマウスパッドとの最適化を図る キャリブレーション機能を利用することもできます。

例のごとく、Mouse Testerでセンサーの正確性を検証。ツールの性質上、環境によって結果が変動する可能性があることを前置きしておきます。DPIはそれぞれ400, 800, 1600, 3200で、ポーリングレートは1000Hz。マウスパッド「Corsair MM350」上でテストを実施しました。結果としては、センサーは概ね正確と言えるでしょう。目立ったカウントの飛びは見られません。

マウスを浮かせてセンサーの反応が途絶えるまでの距離 リフトオフディスタンス も検証。0.1mmのプレートを1枚づつ重ねてマウスを動かすという工程を繰り返し、センサーが反応しなくなる高さを測ります。キャリブレーションを済ませたうえで計測した結果、リフトオフディスタンスは0.8mm前後となりました。使用するマウスパッドによって大きく数値が変動する可能性はあるものの、かなり短い部類ではあります。

マウスソール

マウスソールは小型のものが四隅に4枚貼り付けられており、形状は従来のまま楕円形となっています。っソールの配置は、下側2枚の角度がやや変わった程度。滑りやすさ・止めやすさともに不満無く、標準ソールそのまま快適に使用できるのではないかと思います。

各社がIntelliMouse Explorer 3.0専用の交換用マウスソールを販売しており、それらをそのまま使い回せることも強み。例えばAmazon.co.jpで「IE3.0 ソール」などと調べるだけで多数の製品が引っ掛かります。滑り心地を改善したい方は検討してみてはいかがでしょうか。

ケーブル

ケーブルは一般的な太さの編組で、ケーブル長は1.83m。その他の編組ケーブルと比較すると硬くは無いものの、やはり有線ゲーミングマウス特有の煩わしさは感じます。操作時にケーブルの重みが伝わってくるので、マウスバンジーなどのケーブルマネジメント製品と併用することをオススメします。

ケーブルの太さは一般的で、手持ちのマウスバンジー4種に適合しました。到着時のケーブルの折れ目は少しほぐしてあげると治り、操作していても折れ癖がつきづらいです。マウスバンジーのケーブルを留めておく機構から外れてしまう心配は無いでしょう。

ソフトウェア

Pro IntelliMouseは「Microsoft マウス キーボード センター」ソフトウェアに対応しています。設定項目は、200~16,000(50刻み)のDPI調整、125/500/1000Hzのポーリングレート切り替え、キャリブレーション、各ボタンへのキー・マクロ割り当て、テールライト(LED)のカスタマイズとなります。

Microsoft マウス キーボード センター:
https://www.microsoft.com/accessories/ja-jp/downloads/mouse-keyboard-center

「基本設定」タブでは、基本的な設定をすべて済ませることができます。「パフォーマンス設定」では、リフトオフディスタンスを2mm、3mmから選択できる(デフォルトでは2mmに設定)ほか、使用しているマウスパッドと最適化を図る キャリブレーション を利用することでより距離を縮められます(Corsair MM350では実測値0.8mm)。

また「アプリケーション固有の設定」タブに切り替えると、特定アプリケーションを開いているときだけボタンの役割を変更する機能が利用可能です。例えば、Google Chromeを開いているときだけサイドボタンをタブ切り替えに割り当て、ゲームを開いているときだけサイドボタンにマクロを割り当てるなど、かなり実用的な機能となります。

結論とターゲット

「Microsoft Pro IntelliMouse」は、IntelliMouse Explorer 3.0の優れた形状はそのままに、現行ゲーミングマウスに十分対抗できる性能を備えています。センサー挙動、リフトオフディスタンスの短さなど、それぞれが適切に調整されています。実勢価格6,000円前後と、スペックの割りには良心的な価格であることも魅力です。

現在ではデバイスメーカー各社からIE3.0クローンのゲーミングマウスが多数出回っており、かぶせ持ちユーザーの主な選択肢となっています。このPro IntelliMouseはそれらの製品の生みの親である現代版IE3.0。重たさを許容できる方であれば、オールドユーザー・新規問わずに手に取ってみることをオススメします。

Microsoft Pro IntelliMouse
タイプ:左右非対称センサー:Pixart PAW3389 Pro-MS解像度:最大16,000DPIポーリングレート:1000Hzボタン数:5個リフトオフディスタンス:0.8mm~(実測値)ソフトウェア:対応サイズ:W69×D132×H43mm重量:約104g(ケーブル除く)価格:6,535円 (本稿執筆時点)

以上、Microsoftのゲーミングマウス「Microsoft Pro IntelliMouse」のレビューでした。

最新記事一覧

More

この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
Follow :