「EPOS | SENNHEISER GSP 600 / GSP 601」レビュー。音質にこだわりを感じるハイエンドゲーミングヘッドセット
本稿では、EPOS(イーポス)のゲーミングヘッドセット「EPOS | SENNHEISER GSP 600 / GSP 601」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: EPOS
製品仕様と外観
GSP 600といえば、ハイエンドなゲーミングヘッドセットを探している方にとってまず候補に挙がるであろう製品。老舗の音響機器メーカー Sennheiser(ゼンハイザー)から EPOS(イーポス) としてブランドが独立した経緯がありますが、名称が変わっただけで製品自体は同仕様です。
約2年前に発売された製品ということもあり、既に広く知られているとは思いますが、今回ホワイトカラーのGSP 601、ネイビーを基調としたGSP 602といった2種類のカラーバリエーションモデルが発表されたので、改めてチェックしていければと思います。
内容物は GSP601ヘッドセット本体、3.5mmデュアル3極ケーブル(3m)、3.5mmシングル4極ケーブル(1.3m)、交換用カバープレート、取扱説明書。
本体は艶消しプラスチックをベースに構成されており、質感が良くチープさは感じません。GSP 601はホワイトカラーを基調に、差し色であるブロンズを各部に散りばめたデザイン。
本体重量は公称値395gと、ゲーミングヘッドセット全体で見ても重たい部類です。
搭載しているドライバーの詳細は未公開。主なスペックは 周波数特性10~30,000Hz、インピーダンス28Ω、音圧レベル112dB SPL (@1kHz, 1V RMS)。
ヘッドバンドのクッションはメッシュ、イヤークッションは肌に触れる部分がスポーツファブリック、外側がPUレザー、内側がメッシュ。
マイクは取り外し不可能で、跳ね上げると「カチッ」といったクリック音とともにミュート状態に切り替わります。主なスペックは 周波数特性10~18,000Hz、感度-47dBV/PA、双指向性、アナログノイズキャンセリング。
極性パターンが双指向性なのでマイクの両側に空気孔があり、両方から集音するタイプです。
右イヤーカップには音量調整ダイヤルが搭載されています。ノッチ感は無いですが、回し心地はかなり重たいので、誤って音量を上下してしまう心配はありません。
ヘッドバンド上部には、側圧の強さを調整できるアナログスライダーが搭載されています。スライダーを内側に寄せると強まり、外側に寄せると弱まります。
オプションとしてブロンズカラーのプレートカバーが付属しており、見た目の印象を変えることができます。もともと同じ配色がヘッドセット本体の細かな部分に散りばめられているので、どちらを取り付けても統一感が出ます。
GSP 600 / GSP 601は3.5mm接続のみに対応しており、ソフトウェアには対応していません。なお接続の際には、ヘッドセット側のケーブルを思ったよりも深く差し込む必要があります。
付属している3.5mmデュアル3極ケーブルは非常に長く、接続時に困ることはないかなと思います。一方で、3.5mmシングル4極ケーブルは1.4mとやや短いです。
スペック&ギャラリー
- 仕様/スペックをチェックする (開閉できます)
-
- 製品イメージをチェックする (開閉できます)
-
パフォーマンス
サウンド
まずリスニングで音質傾向をチェックすると、フラットな傾向にあります。言い換えると”味付けのない音”。高音は柔らかくて耳に刺さらず、低音は強すぎず弱すぎず。楽曲の最も低いところ(重低音)もしっかり拾えています。
ゲーミングヘッドセットといえば、低強高弱あるいはドンシャリ傾向のものが多い中で、GSP 601は忠実な音を鳴らすモニターヘッドフォンを思わせるような鳴り方がします。
前提として、ゲーム内の効果音を強調するように帯域が調整されているゲーミングヘッドセットでは、不要な(=聞き取る必要のない)環境音などもそれなりの音量で耳に届きます。
GSP 601では特定の音域が主張されていないため、『VALORANT』や『Apex Legends』といったFPSタイトルにおいて、ゲーム内全体のサウンドを拾ったうえで、聴き取る必要のある効果音にフォーカスすることができます。それゆえ、足音の定位感も十二分に得られます。
ただし注意点として、性能を最大限に引き出すには外付けUSBサウンドカード や オーディオインターフェイス を用意する必要があります(※PCで使用する場合)。PCに直接繋いだ状態では、マザーボードのサウンド処理性能に依存してしまうこともあり、価格相応のパフォーマンスが出ない印象です
組み合わせの一例として、同社製の外付けUSBサウンドカード GSX 1000 と相性が良いことはもちろん、エントリー向けの GSX 300 でもパワー不足は感じませんでした。音質向上という観点では、なるべく高品質なDACを積んだオーディオインターフェイスとの併用が好ましいです。
ヘッドセット単体で3万円弱という販売価格、さらにDACを用意することを考えると、オーディオ環境にしっかりとお金が掛けられる方がターゲットとなりますが、間違いなくそのぶんのリターンは得られる製品になっていると思います。
装着感
GSP 600 / GSP 601のイヤーカップは縦横の2方向に動く仕組みとなっていますが、もともとイヤーカップは斜め方向を向いており、可動には多少の力が必要なため、装着時に自然とフィットすることもありません。
何も工夫せずにそのまま装着すると、両耳の下側あたりが強く締め付けられ、長時間はおろか1時間の装着でも厳しいと感じます。しかし、装着時にイヤーカップが耳に対して真っすぐになるよう角度を調整すれば随分と改善されます。
側圧はヘッドバンド上部のスライダーで強弱できますが、最も弱い状態でもまだ締め付けが強いように感じます。ティッシュ箱に数十分ほど挟めば少しは改善されますが、長期的に見ていく必要があるかなと思います。
かなり重たい部類のゲーミングヘッドセットではあるものの、意外にも頭頂部への負担はそこまで掛かりません。イヤーカップの適切な角度を見つけさえすれば、数時間の装着はこなせる程度にはなります。しかし締め付けの強さが付き纏うため、装着感が良いとは言えません。
マイク
GSP 600 / GSP 601のマイク音質は非常に良いです。よくあるヘッドセット搭載マイクのように高音域がカットされず、声の輪郭が捉えやすい、コンデンサーマイクに近い質感と言えます。
ヘッドセット本体から伸びたマイクには、表裏の両方に空気孔があります。ヘッドセット搭載マイクは単一指向性のものが多い中、これは双指向性となっています。
特定の音が遮られることなくしっかり音を拾いますが、だからといってノイズが気になるかといえば決してそうでもありません。指向性を強めることでノイズを低減するアナログノイズキャンセリングが上手く機能していると言えます。
コントロール
右イヤーカップに搭載されている音量調整ダイヤルは、ノッチ感はないものの回し心地が重たく、誤って音量を上下してしまう心配はありません。Windows側ではなくヘッドセット自体の音量が上下されます。
マイクはイヤーカップに対して約90度あたりにクリック感があり、それより跳ね上げるとミュート状態に切り替わります。マイク中央のゴム製の部分が折れ曲がるため、好きな位置に先端を持ってくることができます。
GSP 600 / GSP 601は3.5mm接続のヘッドセットなので、音量調整とマイクのON/OFFの2つがハードウェア側で行えれば不足はなく、操作性にも難はありません。
結論とターゲット
「EPOS | SENNHEISER GSP 600 / GSP 601」について詳しく見てきました。ゲーミングヘッドセットでは最高クラスともいえる2万円後半の製品ですが、サウンドとマイク性能に関してはトップクラスです。
ゲーミングヘッドセットによくある低音強調だったりドンシャリ傾向のものは、誤魔化しが利きやすいというか、重要な音さえ強調されていればゲーム用途では一定の評価ができてしまう側面があります。一方で、フラットな音質傾向のものは、そう簡単にはいきません。特定の音域が強弱されていないので、質が悪ければごちゃっとした印象を受けますし、重要な音が聴き取りづらいと感じやすいです。
GSP 600はフラットな傾向にありますが、音質が良いため、ゲーム内全体のサウンドを拾ったうえで、欲しい効果音だけにフォーカスすることが容易です。それゆえに前述のような低音強調・ドンシャリ傾向なものと比べ、定位にも優れているように感じます。
懸念されるのは装着感で、耳の下部あたりに締め付けが強く感じられます。イヤーカップの角度を調整しながら装着することで改善されますが、それでも頭の形が合わないと快適とは言えません。
外付けUSBサウンドアンプなどオーディオ環境にお金を掛けられる場合、この音質とマイク性能が2万円後半で得られるならば十分に魅力的だと言えます。ハイエンド志向な方はまずチェックすべきゲーミングヘッドセットです。
以上、EPOS(イーポス)のゲーミングヘッドセット「EPOS | SENNHEISER GSP 600 / GSP 601」のレビューでした。