【価格帯別】ゲーミングイヤホンおすすめ7選。デバイスレビュアーが厳選
本稿では、FPSやMOBAなどのゲーム用途におすすめのゲーミングイヤホンを紹介します。選び方のポイントも紹介していので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いているミオニ (@mionigg) はゲーミングデバイスレビュアーとして活動しており、普段からさまざまなイヤホンを試し、記事や動画でレビューをおこなっています。レビュアーとしての知見を活かし、ゲーミングイヤホン選びに失敗しないようなコンテンツを制作しています。
ゲーミングイヤホンとは
ゲーミングイヤホンとは、ゲームプレイに最適化されたイヤホンのことを指します。
具体的には、ゲームで重要な効果音 (FPSならば銃声や足音など) を聞き取りやすいようチューニングされているものが多く、瞬時の状況判断を補助する役割を果たします。
ゲームにはイヤホン? ヘッドセット?
どちらでもOK。根拠となる、具体的な事例を紹介します。
オフライン会場で戦うプロゲーマーはヘッドセットを装着しているように見えますが、あれはイヤーマフとして会場の歓声などを遮る役割を果たすもの。実は、あのヘッドセットの下にイヤホンを装着してプレイしているんです。
お家でゲームをプレイする分には周りの雑音に困ることは少ないかと思いますが、オフライン会場は想像以上に騒がしいみたいです。中には、遮音対策をさらに徹底するため、ノイズキャンセリング機能を備えるイヤホンを使用しているプレイヤーもいます。
あなたの好みや求める条件と照らし合わせながら、どちらか選びましょう。
ゲーミングイヤホンの選び方
ゲーミングイヤホンを選ぶうえで重要なポイントを紹介します。
音質傾向や解像度
ひっくるめて「音質」として評されることが多いですが、もっと掘り下げるとこんな感じ。
- 「音質傾向」… どの音域が強調されている(もしくは控えめ)か。
- 「音像定位」…それぞれの音が鳴っている場所(方向や距離)を正確に掴めるか。
- 「解像度」…それぞれの音に分離感があり、音源を細部まで表現できているか。
”ゲーミング”と名が付くものは、FPSで敵の位置を把握するために”足音”を聞き取りやすいよう、低音が強調される傾向にあります(もちろん例外も)。音像定位の掴みやすさ・解像度については、飛びぬけて良いものは少ないです。
ぶっちゃけた話、音質面にこだわりがあり、オーディオ機器にある程度のお金を掛けられる方であれば、ゲーミングイヤホンを選択する意味は薄いです。筆者は現在、音響機器メーカーのモニターイヤホンをオーディオインターフェイスに接続してゲームをプレイしています。 (本稿で紹介するイヤホンの中には音響機器メーカーの製品も含まれているので、ぜひ参考にしてみてください)
ただし実際、「ゲームプレイにはそこまで音質の良さは求められない」と思います。ですので、比較的安くてゲーム向けにチューニングされたゲーミングイヤホンは悪くない選択だと言えます。もちろん異議を唱えるユーザーもいると思います。筆者自身も、鼻につく細かな部分を改善すべく、自分なりにこだわっているので、ここは結論付け難い部分です。
装着感
イヤホンを装着してゲームをプレイするうえで求められることを挙げてみます。外観だけは判断しづらい部分ですが、自分に合わないものを選んでしまうとツラい…。
- 長時間装着していても快適か
- 動いたときにずれ落ちないか
- 十分に遮音性があるか
個人的には、自宅でゲームプレイするうえで遮音性はそこまで重要じゃない気がしています。革新的なノイズキャンセリング機能なども出てきていますが、ゲーム用のイヤホンには実はそこまで求められない要素なのかなと。
最も重要なのが「装着していて不快に感じないかどうか」です。基本的には快適に装着できるように設計されているはずですが、耳の形は人によって違うので、ハウジングが耳に当たって痛い、とかはよくある話です。
ちなみに、よほどヘンな製品でない限りイヤーピースは好きなものに交換できます。実はイヤーピースで音の鳴り方も変わるので、好みのものや組み合わせを見つければ捗りますよ。
マイクの有無
ゲームタイトルによっては、他のプレイヤーとボイスチャットでコミュニケーションを図ることがありますね。マイクを搭載しているイヤホンならば、そのままPCやPlayStation 4に繋いで利用できます (必ず対応機種を確認すること)。
PC、PlayStation 4、Nintendo Switch、スマートフォンといったデバイスを問わずに使い回せるので、マイクが搭載されていることに越したことはないと思いますが、音質にはあまり期待できません。会話には困らないレベルのものが備わっていると考えてください。
もしもマイクの音質が気になるという方は、ヘッドセットを選ぶか、USB接続もしくはオーディオインターフェース経由で接続するマイクを導入することをお勧めします。
ゲーミングイヤホンの選び方に関するQ&A
Q. 無線接続? 有線接続?
A. イヤホンは有線接続一択です。Bluetooth接続のイヤホンは明らかな遅延が発生するため、ゲーム用途では必ず避けるべき。
Q. 開放型? 密閉型?
A. お好きな方を選んでしまっていいと思います。しかし開放型は構造の関係上、遮音性に欠けるので、環境によっては向かない場合があります。
Q. おすすめのメーカーは?
A. 音響機器メーカーごとの特色というものは確かに存在しますが、ゲーミングブランドのイヤホンではこれと言って見当たらないのが本音です。製品単位で見比べ、条件と照らし合わせながら選ぶことをお勧めします。
Q. ゲーミングイヤホンの予算はどのくらいがベスト?
ゲーム用途であれば、多くてもイヤホン単体で1万円前後出せば満足できると思います。もちろん、追加でサウンドカードかオーディオインターフェイスまで揃えてしまうのが理想ではあります。
(無限にお金をかけられるのがオーディオの世界なので、必要以上に深入りしないように)
おすすめのゲーミングイヤホン
以下からは、おすすめのゲーミングイヤホンを10機種に絞って紹介します。ここで紹介する製品は、すべて筆者が実際に使用したことのあるものです。もちろんリストから外れた製品も存在します。
1. 低価格で入手可能な機種
定位感に優れた final E500
音響機器メーカー final がバイノーラル音源向けに開発したイヤホンで、”空間イメージ・方向感を正確に再現する”という製品コンセプトはゲーム用途にもマッチしています。
やはり安価なこともあり解像度が高いとはお世辞にも言えず、音質自体は価格相応とも感じますが、定位の掴みやすさには光るものがあります。約2,000円と手が出しやすい価格なので、とりあえず試してみるのもアリ。
価格以上の音質 KZ ZST Pro
こちらも約2,000円で買えます。中華イヤホンにはさまざまな種類がありますが、KZ ZSTは入手性も悪くなく、イヤホン本体からリケーブル用ケーブルまで全てAmazon.co.jpで揃います。
音質傾向はいわゆる高音と低音が強調されたドンシャリ。中音域もしっかりと出せていてバランスが良く、価格からは信じられないくらい音質が良いです。E500にも勝りますが、狭い空間で音が鳴っているように聞こえます。
特殊なイヤーチップ、やさしい装着感 HyperX Cloud Earbuds
ゲーミングヘッドセットで有名なHyperXのイヤホン。価格は約4,500円とそこそこ手が出しやすく、総合的なパフォーマンスで見ると、ゲーミングブランドのイヤホンでは最もお勧めしたい製品です。
Cloud Earbudsの特長は、耳の穴に直接入れずにイヤホンが固定されるよう設計されていることで、長時間装着していてもストレスにならない装着感が魅力です。一方で、独自形状のイヤーチップを使用しているので、好きなものに交換することはできません。
2. コスパに優れた機種
良コスパ、明瞭なサウンド ゼンハイザー IE 40 Pro
世界的な音響メーカーSennheiser(ゼンハイザー)は、ゲーミングヘッドセットを積極的に展開しているものの、ゲーミングイヤホンは未だ発表されていません。この「Sennheiser IE40 Pro」は、サウンドクリエイターが正確に音を聞き分けるために設計されたモニターイヤホンです。全音域フラットかつ高解像度なサウンドで、一部の音が潰れたり強調されすぎることはなく、ゲーム内で鳴った音のディテールを聞き分けやすいです。
単なるオーディオ機器としても非常に評価の高いモデルです。ゲーミングイヤホンと比較すると価格が張ることがネックですが、音質の良さを求める方ならば、その価値は十分にあります。イコライザー調整後の音の鳴り方も忠実で、同ブランドのゲーマー向けUSB接続サウンドアンプ「GSX 1000」との相性が抜群です。
良コスパ、力強いサウンド SHURE SE215
耳の裏にコードを回すようにイヤホンを装着することを「シュア掛け(耳掛け)」と呼ぶのは、音響機器メーカーSHUREが由来となっています。エントリーモデルの「SHURE SE215」は1万円前後の価格帯ながら、イヤホンの定番製品として高い人気を誇ります。また、ジャンルの境界を越えて多くのプロゲーマーが使用するモデルでもあります。
コンセプトは大まかに言えばIE40 Proと同じ方向性ですが、SE215の方がやや低音強め。最大の魅力は遮音性の高さに優れていることで、ゲーム内の細かな音を正確に聞き取れますし、ゲームへの没入感・集中力を増してくれます。
3. こだわりたい方向けの高価な機種
ANC搭載で遮音性に優れた Bose QuietComfort 20
「Bose QuietComfort 20」は、FPSプロゲーマーの使用率が非常に高いモデル。ノイズキャンセリングによる遮音性が非常に高く、騒がしいオフライン会場でも集中力を切らさず音を正確に聴き取ることができます。
こちらは店舗で試聴してきましたが、数千円から一万円前後のモデルと比べるのが惜しいほど音の解像度が素晴らしいです。それゆえに音のディテールを聞き分けやすく、音像定位も掴みやすくなっています。
国内の有名プロチームが採用 audio-technica ATH-E70
今や世界で活躍するプロゲーミングチーム 野良連合 『Rainbow Six Siege』部門の選手が使用しているイヤホンがaudio-technica ATH-E70です。音響機器として高級イヤホンに分類されるモデルです。
こちらは試聴もしていませんが、国内の有名プロチームが採用しているとのことでリスト入り。ほとんどの方にとってオーバースペックではありますが、予算に余裕のある方は試してみては。
4. その他の選択肢は?
ここまで紹介してきた製品は、筆者が実際に所持もしくは試聴したものの中から「パフォーマンスと価格が見合っている」かつ「ゲーマーが積極的に採用している」などの理由から選びやすいであろう製品を選定したものです。
しかし正直なところ、音響機器メーカーの製品まで含めるとなると選択肢は無限にあります。「このリストじゃ満足いかない」という方は、音響機器の専門メディアなどを参考にして、求めている条件の製品を見つけてみてはいかがでしょうか。
ゲーミングイヤホンと一緒に導入したい機材
1. オーディオI/F、サウンドカード
簡単に説明すると、実際に鳴る音がアナログ音声信号、パソコン上の音声データがデジタル信号。デジタル信号→アナログ信号への変換を経て、イヤホンやヘッドフォンから音が鳴るという仕組みです。
上記のような仕組みは、もちろんPC (正しくはマザーボード) に初めから備わっています。しかし音質があまり良くありません。そこで、信号処理を専門とするオーディオインターフェイス・サウンドカードを接続することで、品質を向上させられるという訳です。
オーディオ環境にこだわりたい方ならば必須と言えます。
2. イヤーピース
イヤーピースとは、耳に装着するゴムの部分です。あらゆる形・素材のものがあり、音質傾向や遮音性の変化が見込めます。イヤホンが特殊な形でない限りは交換できます。
3. リケーブル
イヤホンの種類によっては、ケーブル交換(リケーブル)に対応しているものもあります (主に音響機器メーカー)。音質傾向の変化が見込めるほか、ケーブルの長さを選べるという利点もあります。
最後に
ゲーミングイヤホンを含むオーディオ機器は、本格的なものを初めて手にしたときは今までとの違いが分かりやすい一方で、それ以降の買い替えでは変化に気付きづらいかもしれません。
FPSやMOBAを熱心に取り組んでいるうち「ここをこう鳴らしたい」といったこだわりが出てくると思うので、それに合わせて徐々にグレードアップしていくことをお勧めします。個人的には、安価なものならばfinal E500、1万円前後ならばSennheiser IE40 ProかSHURE SE215がお勧めです。
以上、【価格帯別】ゲーミングイヤホンおすすめ7選。デバイスレビュアーが厳選でした。