「Razer Strider」レビュー。滑走速度が速く、優れた耐久性を持つハイブリッドパッド

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「Razer Strider」レビュー。滑走速度が速く、優れた耐久性を持つハイブリッドパッド

本稿では、Razerのゲーミングマウスパッド「Razer Strider」のレビューをお届けします。

Razer Strider
価格:4,480円(執筆時点)  Amazon  楽天市場

ファーストインプレッション

最近では、ハイブリッドパッドと呼ばれるゲーミングマウスパッドが流行しています。湿度に強いポリエステル素材を用いた梨地のアムンゼン生地が滑走面に採用されることで、ハードとソフト両方の性質を兼ね備えることからこのように呼ばれています。

Razerから発売されたStriderもそのハイブリッドパッドの一つ。類似製品と比べ、操作性に大きな違いこそないものの、ビルドクオリティと耐久性に優れており、完成度の高いゲーミングマウスパッドの一つとして数えられます。その詳細についてこの記事で詳しく解説していきます。

レビューを動画で見る

※後日公開予定

製品仕様とスペック

材質 布製 表面 ポリエステル
サイズ
L: 450 x 400mm
XL: 940 x 410mm
厚さ 3mm
エッジ ステッチ加工 ベース すべり止めラバー
カラー ブラック

パッケージと内容物


パッケージはマウスパッドとしては非常に大きいもので、緩めに巻かれた状態で入っています。

内容物はマウスパッドとステッカー。

巻き癖

大きいパッケージに緩めに巻かれて入っているため、開封直後から巻き癖が少ないです。

開封直後に裏側を向けると少し反り返りますが、表側を向けてデスクに設置した際にはほとんど気にならない程度まで落ち着き、開封から1,2日でほぼ真っすぐな状態になります。

バリエーション

サイズ

Strider Lサイズの寸法は450 x 400mmで、ローセンシにも対応する大判サイズとなっています。この他に、キーボードまで載せられるXLサイズ (940 x 410mm) も展開されています。

厚さは3mmとやや薄く、中間層のクッションは硬くもなく柔らかくもなく。滑走面の硬度・薄めの設計により、マウスに圧を掛けてもソールが過度に沈み込むことはなく、常に安定した滑走速度をもたらします。

エッジ

エッジにはステッチ加工が施されています。とても頑丈に縫われており、約2ヵ月半ほど使用した段階では腕や手首が触れる部分にほつれ・毛玉は見られません。非常に優れているように感じます。

滑走面とエッジがほとんど同じ高さになっており、マウス操作の際に手首や腕が引っ掛かりづらいです。また、一般的な布製マウスパッドと比べて薄めの3mm厚なので、デスクに設置した際に段になりません。

底面

底面は溝形のラバーベースになっています。Gigantus V2とは異なるものです。

一般的な布製マウスパッドと比べてグリップ性能が高く、激しくマウスを操作してもズレることはありません。しかしラバーウッド天板の上ではうまく機能しません。相性問題に注意。

パフォーマンス

滑走面

Striderの滑走面は、ポリエステル100%、梨地のアムンゼン生地です。一般的なクロス表面と比べて硬く、耐湿性・耐摩耗性に優れ、劣化のスピードが遅いのが特徴となります。

マウスを滑らせた際に、水平方向のほうが若干滑らかで、縦方向はわずかに抵抗感が強いです。しかし、一般的な布製マウスパッドと比較して、縦横の滑りの差は非常に少ない部類であると言えます。

一般的なクロス表面よりも硬く、表面はザラザラとした質感であることから、肌が擦れたときのダメージはかなり大きいです。これは梨地のアムンゼン生地を採用するハイブリッドマウスパッド共通の欠点で、マウスを操作する際の支点がマウスパッド上にある場合は大きな問題となります。

操作感

Striderはスピードタイプに属するゲーミングマウスパッドです。他社製マウスパッドと滑走速度を比較すると「BenQ ZOWIE GTF-X」「Artisan 飛燕」よりも遅く「Odin Gaming Infinity」や「Fnatic DASH」よりも速いといったところ。アムンゼン生地を採用する他のマウスパッドと同様、非常に滑りが速いです。

滑走面を支えるのが厚さ3mmの薄いクッションであることが影響してか、滑走面のザラザラとした感触がマウス操作時に手元にまで伝わってきます。他のアムンゼン生地を採用したハイブリッドパッドとは明らかに異なるフィーリングで、若干しっとりとしながらも滑らかに滑走します。

滑走速度が同程度のゲーミングマウスパッドと比較すると、初動のスムーズさはやや劣っており、わずかに引きずり感があります。それに比例してマウスを止める際のブレーキ感もやや強いので、滑走重視の操作感ながらも滑りと止めのバランスは失われていない印象です。

ただし、薄めに設計されていることからも分かるように、中間層のスポンジは非常に薄く、滑走面には硬めの素材が使用されているので、ソールはほとんど沈み込みません。常に安定した滑走速度が得られますが、マウスに圧を掛けることによるストッピングアシストには期待できません。

このことから、Striderの操作感はかなりハードタイプに寄せたものであると言えます。滑走重視かつクッション性が少ないマウスパッドを好んで使用する場合、滑りと止めのバランスを損なうことなく安定感のある操作が可能になるでしょう。この手のハイブリッドパッドとしては縦横の滑りの差が小さいことも高く評価できるポイントです。

逆に、中間層のスポンジが柔らかいマウスパッドの操作感に慣れ、マウスに圧を掛けることで得られるブレーキ感に頼って止めてきた場合、このStriderの操作感はコントロール性能を欠いたものに感じられる可能性が高いです。

トラッキングエイムが主体となる『Apex Legends』などのタイトルへの適性が高く、フリックエイムが主体となる『VALORANT』などではフリックの速度は向上するものの、精度を保つのに慣れが必要です。

他社製マウスパッドとの滑り比較

Striderはは「スピード」タイプに属します。

※それぞれ上から滑走速度が速い順に並べています。筆者の肌感覚なので変動する可能性有り。

ハイスピード
滑走速度が最も速い
スピード
滑走速度が速い
スピードバランス
滑走速度が僅かに速い
バランス
標準
コントロールバランス
滑走速度が僅かに遅い
コントロール
滑走速度が遅い
ハイコントロール
滑走速度が最も遅い
Logicool G440Fnatic JETTArtisan 疾風乙 XSoftCooler Master MP510EsportsTiger EBA BLUEEsportsTiger LingYunCorsair MM200 Pro
NPET SPEEDMDarmoshark PAD-1Gamesense RadarArtisan 零 Mid (旧)Xtrfy GP4Pulsar ES1EsportsTiger Titan Revolution
Xanova Phobos MESPTiger Wuxiang IIOdin Gaming InfinityCorsair MM300EsportsTiger Longteng FirecloudGlorious MousepadBenQ ZOWIE G-SR
Xtrfy GP3Vancer ACEArtisan 疾風甲 SoftCorsair MM350Esports Tiger NeonEsportsTiger LongTeng Purple GoldXtrfy GP2
X-raypad Thunder XVancer ICEEsportsTiger WuGi 2EsportsTiger Qingsui 2Esports Tiger Neon CyanEsportsTiger QingSui 2 Pro
EsportsTiger BLAZEArtisan 雷電 MidFnatic DashArtisan 零 Soft (旧)SOKU X1Pulsar ParaBrake V2
Artisan 紫電改 MidBenQ ZOWIE GTF-XThe Mousepad CompanyX-raypad Aqua Control+LGG Saturn ProX-raypad Equate Plus
Artisan 紫電改 Xsoft (旧)Artisan 雷電 XsoftCerapad KINA5 エイムパッドvaxee PB Black
D-GLOW 2.0LAMZU EnergonX-raypad ThorBenQ ZOWIE G-SR-SEvaxee PA Black
SkyPAD Glass 3.0 XLArtisan 紫電改 Mid (新)EsportsTiger GrandmasterEsportsTiger Grandmaster MoRNinjutso NPC
SkyPAD Glass 2.0 XLArtisan 飛燕 MidSOKU X2 SHIROBenQ ZOWIE G-SR-SE RougeRazer Gigantus V2
HID-Labs RINKArtisan 飛燕 SoftXtrfy GP5 XLEsportsTiger Grandmaster ProPulsar ParaControl V2
SkyPAD Glass 2.0Razer StriderSpyre Loquevaxee PASteelSeries QcK+
D-GLOW 1.0Pulsar ParaSpeed V2Odin Gaming ZeroGravityX-raypad MinervaSteelSeries QcK Heavy
LGG Venus ProEsportsTiger Grandmaster GreenPulsar ES2 Black
PureTrak TalentHyperX Fury S ProInked Gaming Mousepad
Logicool G640SOKU X2 AKAI
X-raypad Aqua Control+ Black

センサー相性

各種マウスセンサーとの相性をチェック。それぞれの組み合わせでカーソルが正確に追従するかを確かめるほか、センサー挙動を可視化するソフトウェア「Mouse Tester」での測定も行います。

なお、使用環境やファームウェアのバージョンの違いなど、様々な要因によって結果が変動する可能性があり、この検証結果が100%正しいものではないことをお伝えしておきます。また同じセンサーを搭載していても種類が異なるゲーミングマウスでは結果は変動するので、ご参考までに。

正常に動作する
 動作に問題は無いが、MouseTesterの波形に乱れが見られる
通常使用が不可能

Endgame Gear XM1r (PixArt PAW3370)
ZYGEN NP-01S (PixArt PMW3389)
BenQ ZOWIE FK2-B (PixArt PMW3360)
Razer Viper Mini (PixArt PMW3359)
BenQ ZOWIE FK2 (PixArt PMW3310)
ASUS ROG Keris Wireless (PixArt PAW3335)
Logicool G PRO X SUPERLIGHT (HERO 25K)
Razer Viper 8KHz (Razer Focus+)
Razer Viper (Razer 5G)
Glorious Model O Wireless (Glorious BAMF sensor)
ROCCAT Kone Pro Air (Owl-Eye 19K)
ROCCAT Kone Pure Ultra (Owl-Eye 16K)

主要マウスセンサーを搭載したゲーミングマウス12種で検証したところ、すべて正常に動作しました。やや特殊な滑走面とはいえ、正常にトラッキングできるようです。

『VALORANT』や『Apex Legends』のプレイテストでも同様の結果となりました。

ソール相性

エッジが適切に処理されたソールと組み合わせることを推奨します。滑走面がかなり粗いので、エッジの処理が甘いソールと組み合わせると引きずり感・引っ掛かりが生じます。

厚さ3mmの薄めに設計されたマウスパッドなので、ソール厚は常識的な範囲であれば気にする必要はありません。ソールの大きさや形状による滑りの変化も比較的少なく、幅広く対応します。

耐久性・湿気への耐性

前提として、布製マウスパッドは基本的には消耗品という認識で、特定の素材や織り方を採用したものを除いて、湿気や摩耗への耐性にはそこまで期待できません。

Striderはポリエステル100%、梨地のアムンゼン生地を滑走面に採用しているため、耐摩耗性・耐湿性に優れています。また、滑走面の織り方が影響してか、約2ヵ月半の使用でも滑らせる箇所による滑走速度の変化は表れず、一般的なマウスパッド・ハイブリッドパッドと比べても耐久性はかなり高いようです。

結論とターゲット

「Razer Strider」について詳しく見てきました。スピードタイプに属するゲーミングマウスパッドで、「BenQ ZOWIE GTF-X」「Artisan 飛燕」よりも遅く「Odin Gaming Infinity」「Fnatic DASH」よりも速いです。厚さ3mmと薄めに設計されており、中間層のスポンジも硬いので、表面の摩擦だけに頼って止める必要があるハードタイプ寄りな操作感です。

滑走速度が同程度のゲーミングマウスパッドと比較して、初動の引きずり感と止める際のブレーキ感がやや強く、かなり滑走重視ながらも滑りと止めのバランスは失われていない印象です。慣れ次第でトラッキング・フリックのどちらも高い精度でこなすことができるでしょう。

滑走面のザラつき感がマウスを伝って手元にまで感じられるのは、中間層のスポンジの厚みが足りないことが原因だと思われます。これは他のハイブリッドパッドでは見られず、好みが分かれそうなフィーリングではありますが、実際のパフォーマンスに影響を及ぼすほどではありません。

一般的な布製マウスパッドだけでなく、同じハイブリッドパッドと比べても耐久性が高く、本来の操作感が長期間維持されます。エッジのステッチ加工は滑走面と高さがほぼ同じで、マウス操作に干渉しません。底面のグリップ性能は高いですが、ラバーウッド天板ではうまく機能しないことに注意。

今では多くの選択肢があるハイブリッドパッドですが、Striderのビルドクオリティの高さと優れた耐久性は明確な強みです。若干の滑走速度の違いはあれど、操作性はそれらと似た傾向なので、ハイブリッドパッドのフィーリングが好みで、少しでも買い替え頻度を減らしたいと考えている方に適しています。

総合評価4.5 out of 5.0 stars

* それぞれの項目を///の4段階で評価
優れたビルドクオリティ
 巻き癖が少ない
 縦横の滑りの差が少ない
滑走重視かつ止め性能も維持
トラッキング/フリック両方に適す
 操作を妨げないステッチ加工
 主流センサーと相性が良い
 底面のグリップ性能が高い
 非常に優れた耐久性・耐湿性
 腕や手首が擦れると痛い
滑走面のザラつき感が手元に伝わる
Razer Strider
価格: 4,480円 (本稿執筆時点)

以上、Razerのゲーミングマウスパッド「Razer Strider」のレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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