「HyperX Cloud II Wireless」レビュー。フラットな特性で正確に聞き取れるワイヤレスヘッドセット
本稿では、HyperX(ハイパーエックス)のゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud II Wireless」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: HyperX Japan
ファーストインプレッション
ゲーム用のオーディオ環境を構築するとき、USBサウンドカード・有線ヘッドセットの組み合わせが人気ですが、二つの機器を別々に用意する必要があるぶん結果的に多くの予算を必要とします。USB接続のワイヤレスヘッドセットならば、ゲーム用のオーディオ機器がそれ単体で完結します。
今回チェックした「Cloud II Wireless」は、HyperXベストセラーかつ海外FPSプロシーンで人気のヘッドセット「Cloud II」の無線モデル。余計な設定は不要で、付属のUSBドングルで接続するだけのシンプルな設計。
ゲーミングヘッドセットとしては珍しいフラットな特性で、欲しい音にフォーカスしやすいFPSに適したサウンド。音量を上げることによって低音が歪んだり高音が耳に刺さることがありません。
その他の部分も含めて優秀なワイヤレスヘッドセットで、価格設定こそやや高いもののしっかりと対価を得られる印象です。(病み上がりで久々だった『Apex Legends』は、このヘッドセットのおかげで熱中することができたと言っても過言ではない)
製品仕様とスペック
ドライバー | ネオジム磁石、ダイナミック53mm径 | タイプ | 密閉型 |
---|---|---|---|
周波数応答 | 15 ~ 20kHz | インピーダンス | 60Ω |
音圧レベル | 104dBSPL/mW (1kHz時) | T.H.D. | 1%以下 |
重量 | 300g | マイク重量 | 9g |
ケーブル | USB充電ケーブル(0.5m) | バッテリー駆動時間 | 30時間 |
ワイヤレス接続距離 | 2.4GHz 最大20メートル | マイク方式 | エレクトレットコンデンサーマイク |
極性パターン | 双指向性、ノイズキャンセリング | マイク周波数応答 | 50 ~ 6.8kHz |
マイク感度 | -20dBV (1V/Pa、1kHz時) | メーカー保証期間 | 2年間 |
パッケージと内容物
内容物は Cloud II Wirelessヘッドセット本体、着脱可能なブームマイク、USBドングル、USB充電ケーブル(0.5m)、取扱説明書。
パフォーマンス
ビルド
ブラックを基調としており、各部にレッドカラーが散りばめられたHyperXらしいデザイン。
ステッチに赤い糸が使用されたPUレザーのヘッドバンド、質感の良い赤いアルミフレームなど、2万円前後のヘッドセットとして価格相応の作り。ビルドクオリティは良好です。
接続
Cloud II Wirelessは、付属のUSBドングルによる2.4GHzワイヤレス接続により、PC, PS4, PS5, Nintendo Switchなど複数のプラットフォームに対応しています。(ドングルはUSB-AなのでSwitchではやや不便)
USBドングルを接続するだけで動作するシンプルな設計。余計な設定は不要です。
Bluetoothに対応していれば用途の幅が広がったようにも思いますが、有線モデル「Cloud II」が海外のFPSプロシーンで人気のヘッドセットということもあり、無理に用途を広げず、ゲーミングにフォーカスした製品となっているのかなと思います。
バッテリー
バッテリー寿命は最大30時間。音量や用途によって前後しますが、筆者の場合は『Apex Legends』を1日7〜8時間ほど4日連続でプレイし、バッテリー残量は19%でした。
付属のUSB Type-Cケーブルで充電すると、約1時間10分でフル充電が可能でした。数十分の充電で1日分のバッテリーは確保できるので、不意なバッテリー切れでも不便しづらいかと思います。
ワイヤレスヘッドセットのバッテリー寿命は一部の製品を除いて30時間未満のものが多く、バッテリーの充電も素早く行えるため、Cloud II Wirelessは優秀であると言えます。
ちなみに付属のUSB Type-Cケーブルは50cmと短いので、別途用意したいところ。
サウンド
ゲーミングヘッドセットには、低音域と高音域が持ち上げられた、いわゆるドンシャリ傾向のものが多いです。主に足音や銃声を強調するのが目的ですが、それと引き換えに不要な環境音まで強調され、低音に歪みが生じやすくなり、結果的に全体の音が聞き取りづらくなるという難点があります。
Cloud II Wirelessは、正確な音を鳴らすフラットな特性のゲーミングヘッドセット。音量をいくら上げても、低音の歪みが発生せず、高音が耳に刺さることもありません。非常に優れています。
低音と高音の分離感もしっかりと感じられます。『VALORANT』で銃声が鳴っている最中に足音を拾うことや、『Apex Legends』でわずかな足音を逃さずに拾うことが可能です。ただし、デュアルチャンバードライバー搭載の「Cloud Alpha S」には劣ります。
ソフトウェア「HyperX NGenuity」からバーチャル7.1chサラウンドを有効化できます。リバーブが掛からない自然なサウンドで、音の鳴った位置を把握しやすいようアシストする役割を果たします。『Apex Legends』でしっかりと機能しました。
音楽鑑賞の用途では、あらゆるジャンルの楽曲を楽しむことができますが、EDMなどのジャンルでは低音域の迫力に欠けます。また、他のワイヤレスヘッドセットと同様、音の解像度に関してはそこまで優れていません。フラットな特性であるとはいえ、リスニング用途を重視する場合は音響メーカーのヘッドフォンの方が適していると言えます。
装着感
Cloud II Wirelessの装着感は良好です。強すぎず弱すぎない側圧で、購入後の調整は不要です。
本体重量は300g(マイクを含めて309g)で、軽量な部類ではあるものの最軽量クラスではありません。ヘッドセットの重みによるストレスは少なく、長時間のゲームプレイも快適にこなせます。
イヤーカップの内径は十分に広く、耳全体をすっぽりと覆います。また、しっとりとした質感のPUレザー張りで肌触りがよく、イヤークッションも柔らかくて底付き感がありません。
ヘッドレストも肌触りのよいPUレザー張りで、柔らかいクッションが頭頂部への負担を軽減します。
マイク
着脱可能なブームマイク。コードが全方向に折れ曲がるので、先端の位置を自由に調整できます。
ヘッドセットのマイク先端を口に近付けたとき、拾ってしまった息の音がノイズとなりやすいですが、写真のような専用のポップガードが付属しているのである程度は対策可能です。
ボイスチャットに使用する分には十分なマイク品質を備えていますが、音質には期待できません。声の輪郭がぼやける、ヘッドセット内蔵マイクによく見られる傾向のものです。
コントロール
Cloud II Wirelessはマイクミュート・音量調整といった最低限の機能を備えています。
左イヤーカップにはマイクミュートボタンが搭載されています。電源ボタンと並んでいますが、電源のオンオフは3秒ほど長押しする必要があるので、誤って電源を切ってしまうことは無いでしょう。
右側には音量調整ダイヤルが備わっています。右手の親指でアクセスしやすい配置。やや強めの抵抗感があり、不意に指が触れてしまっても回らないので、急激なボリュームの変化は避けられます。
耐久性
ヘッドバンドはPUレザー製で、丁寧なステッチ加工が施されているため、クッション部分と剥離する心配は無さそうです。また、アルミニウム製フレームは十分な強度で、変形や破損などを防ぎます。
低価格帯のヘッドセットと比べて優れた素材で構成されており、耐久性に優れた設計となっています。
ソフトウェア
Cloud II Wirelessは、HyperX製デバイスの統合ソフトウェア「HyperX NGenuity」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。
HyperX NGenuity:https://www.hyperxgaming.com/jp/ngenuity
バーチャル7.1chサラウンド・マイクモニタリング機能のオンオフなど、ヘッドセット本体でのコントロールが不可能な項目に関してはソフトウェアで設定する必要があります。
結論とターゲット
「HyperX Cloud II Wireless」について詳しく見てきました。ゲーミングヘッドセットとしては珍しいフラットな特性は、聞き取りたい効果音にフォーカスしやすく、ゲームの音量を上げた状態でも歪みが発生しません。低音と高音の分離も感じられ、あらゆるFPSタイトルに適しています。
約30時間のバッテリー寿命に加え、USB-Cケーブルによって約1時間でフル充電が可能です。バッテリー切れの心配が極めて少なく、ケーブルレスであるというワイヤレスヘッドセットの利便性を最大限に活かすことができます。ただし付属の充電ケーブルは短いので注意。
PC/PS4/PS5/Switchといった複数のプラットフォームに対応します。低遅延の2.4GHzワイヤレス接続にのみ対応しており、Bluetoothには非対応。持ち運びには適したモデルではありません。
優れたデザインとちょうどいい側圧、しっとりとした肌触りのクッションは快適な装着感をもたらします。ヘッドセット本体にマイクミュートボタンと音量調整ダイヤルが搭載されており、装着したまま最低限のコントロールが可能です。
価格設定こそやや高いものの、それ相応のビルドクオリティを備えています。海外FPSプロシーンで人気の有線モデル「Cloud II」と同様、ゲームで高いパフォーマンスを発揮できるサウンドが強みで、難しい設定は不要。なるべくシンプルなゲーミングヘッドセットを探している方にお勧め。
総合評価4.5 out of 5.0 stars
正確性に優れたサウンド
サラウンドはしっかりと機能する
優れたバッテリー寿命
USB-Cによる高速充電
快適な装着感
シンプルな操作性
複数プラットフォームに対応
USB-C充電ケーブルが短い
Bluetooth非対応
価格はやや高め
以上、HyperX(ハイパーエックス)のゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud II Wireless」のレビューでした。