「Turtle Beach Recon 200」レビュー。アンプ内蔵、低音が効いたゲーミングヘッドセット
本稿では、Turtle Beach(タートルビーチ)のゲーミングヘッドセット「Turtle Beach Recon 200」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: Turtle Beach
製品仕様と外観
今回レビューするのは、以前レビューした「Turtle Beach Atlas One」の上位機種であるRecon 200。価格帯はやや上がりますが7,000円台と安価なゲーミングヘッドセットで、エントリー向け製品に含まれるのかなと。
ゲーミングヘッドセットといえば”力強い低音”を謳うものが大半を占めますが、実のところは高音域も強めなドンシャリ傾向のものが多いです。Recon 200はアンプを内蔵したことによる力強い低音ブーストをウリとしているので、どのようなサウンドを鳴らすのかは気になるところ。早速見ていきます。
本体はプラスチック製ですが、そこまでチープであるとは感じません。ハウジングとヘッドバンドに模様をあしらっており、質感も良好です。
ヘッドレスト、イヤークッションはPUレザー製です。厚さは最低限という印象を受けます。
やや小さめのハウジングには、ネオジム磁石40mm径ドライバーが搭載されています。主なスペックは、周波数応答20~20,000Hz、インピーダンス非公開。
Recon 200の最大の特徴として、本体にアンプが内蔵されており、低音ブーストが常時有効化されていることが挙げられます。ゲーミングヘッドセットではよくあるドンシャリ傾向ではなく、いわゆる重低音系に分類されるのでしょうか。後ほど検証。
なおバッテリー駆動なため、定期的に充電する必要があります。少し短いですが、充電用のUSBケーブルが付属しています。バッテリー駆動時間は約15時間で、充電時間は約3時間。フル充電で丸1日は持ちます。
スチール製の長さ調整スライダー。10段階の調節が可能で、十分な可動域があります。
左イヤーカップには各種コントロール機能が備わっています。それぞれ写真の上から 音量調整、マイクモニタリング(自身がマイクに入力した声をリアルタイムで聞く機能)の音量調整、電源スイッチ、充電用USBポート。
ブームマイクは無指向性で、跳ね上げるとミュートになります。降ろした状態でも左頬あたりに位置するので、視線に入りません。
接続は3.5mm4極で、PCやMac、PS4、Xbox One、Nintendo Switch、スマートフォンなどあらゆる機器に対応しています。しかし、PC直刺しでマイクを利用する場合はオーディオ分岐ケーブル(3.5mmデュアル3極)を用意する必要があります。
スペック&ギャラリー
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パフォーマンス
音質傾向
まずはリスニングでRecon 200の音質傾向をチェック。いわゆる低強高弱で、”Bass Boost搭載”と仕様にある通り、内蔵されたアンプによって低音域が増幅されているのが特徴です。よくあるドンシャリ気味なゲーミングヘッドセットと比べて低音がかなり力強く、前面に出てくるのが特徴です。
高音域・中音域はやや弱めで距離感も遠いです。いずれも量感は少なめですが、分厚い低音がカバーすることで綺麗にまとまっているように聞こえます。よほど音量を確保しない限りは聴き疲れしづらいサウンドとなっているのかなと。
ボーカル中心となるポップスのような楽曲とは相性が悪く、ロックやヒップホップ、ダンスミュージックで真価を発揮します。ゲーミングヘッドセットでここまで潔く低音が強調されたものは初めて?リスニング用途ではよく見かけます。
これがゲーム用途でどのように作用するのかというと、シンプルな押し引きの場面が多い『Apex Legends』では音から求めている情報を正確に得られます。また『VALORANT』では足音が驚くほど強調されるため、常にクロスヘア周辺に意識を集中させていても聞き逃すことはまずありません。
ただし、他の環境音がうまく聞き取れずに情報が処理できない場面もあります。例えば、視点を素早く動かしながらエントリーする場面。敵と味方の銃声やスキルの効果音が重なり、どうしても正確な状況が把握しきれません。もちろん普段のオーディオ環境でも状況によっては100%把握できないこともありますが、明らかに差を感じます。
Recon 200はシンプルなサウンド構成のゲームでは高いパフォーマンスを発揮する反面、高低さまざまな効果音が交わる場面にはめっぽう弱いと感じます。筆者の普段のオーディオ環境はフラットな音質傾向にあり、Recon 200とは方向性が異なることも大きく影響していそうではありますが。
注意点として、Bass Boostをオフにすることはできません。また、内蔵アンプはあくまでサウンドチューニングのために搭載されているもので、”USBサウンドアンプ”的な役割は果たしません。
装着感
小さめのハウジングを備えるRecon 200。イヤーカップは何とか耳全体を覆ってくれますが、イヤークッションの厚みが最低限で、ドライバーに耳の先端が少しだけ触れます。決して痛むわけではありませんが、神経質な方は注意しましょう。
また、ヘッドバンド側のクッションの厚みが不十分で、常にヘッドバンドが頭頂部に触れている感覚があります。長時間装着していると気になります。また初期状態では側圧がやや強いので、ティッシュ箱を挟むなどして緩めることをお勧めします。
これよりも装着感が悪いものはいくらでもありますが、決して良いとは言えません。
マイク品質
ブームマイクは降ろした状態でも左頬あたりにくる、Turtle Beach独自と思われる特殊なもの。筆者個人としては”マイクの先端が視界に入らないこと”は明確な利点であると感じますが、品質は価格相応です。
筆者は地声が低いのですが、Recon 200のマイクを通すと低音成分が抜けたカラッとした声質になり、声の輪郭がぼやけます。ボイスチャットでは十分に聞き取れるレベルですが、一定のクオリティが求められる配信などの用途には適しません。
また、無指向性なため、単一指向性と比べて周囲の音を拾いやすい特性です。Discordなどノイズキャンセリングが効いたボイスチャットツールでも環境によってはマウスやキーボードの操作音が入ってしまう可能性があります。
結論とターゲット
「Turtle Beach Recon 200」について詳しく見てきました。いわゆる低強高弱のゲーミングヘッドセットで、低音域が強調された迫力のあるサウンドが楽しめます。そこそこ綺麗にまとまっていて、聴きごたえがあります。
ただしゲーム用途では、複数の効果音が重なったときにパフォーマンスがガクッと落ちる印象。シンプルに足音などを聞くには適していますが分離感に欠けます。また、有線ヘッドセットながら定期的に本体を充電する必要があることや、長時間の装着となるとややストレスを感じることは注意。
と、まあ厳しく評価してはいるものの、7,000円台のゲーミングヘッドセットとしてはまともな音質です。ゲーミングヘッドセットはドンシャリ傾向が多く、潔く低音が強調されたものは少ないので、面白い製品であると感じます。
以上、Turtle Beach(タートルビーチ)のゲーミングヘッドセット「Turtle Beach Recon 200」のレビューでした。