「Xtrfy H2」レビュー。税込1万円前半でH1の定位の掴みやすさに迫る、FPSに最適なゲーミングヘッドセット
本稿では、Xtrfy(エクストリファイ)のゲーミングヘッドセット「Xtrfy H2」のレビューをお届けします。[toc heading_levels=”2,3,4,5″]
レビューサンプル提供: Xtrfy Japan
Xtrfy H2 レビュー
Xtrfyは、スウェーデンのプロゲーミングチームNinjas in Pyjamasが設計・開発にかかわるゲーミングデバイスメーカーです。NiPはe-sportsタイトル『CS:GO』における強豪チームで、XtrfyはFPSプレイヤーに最適な製品を展開しています。全ての製品がソフトウェアを必要とせず、本体だけで設定を完結できるよう設計されているという点も一つのこだわり。
以前DPQPにて実施したXtrfy CEOへのインタビュー(関連記事)では「K2-RGBに対するK3-RGBのようなミドルレンジの位置付けの製品展開にも興味を持っている」と語られていましたが、その発言通りミドルレンジに位置するゲーミングヘッドセット「Xtrfy H2」が販売開始となりました。
外観と機能面はH1とほぼ変わりませんが、H1では同梱されていたサウンドカードを付属しないこと、またパーツ構成や素材の変更によって価格を抑え、あらゆるゲーマーにとって手が出しやすいゲーミングヘッドセットへと仕上げてきた印象を受けます。まずは製品仕様と外観からチェック。
製品仕様と外観をチェック
「Xtrfy H2」は密閉型のゲーミングヘッドセットです。既存製品「H1」の装着感に優れた形状はそのままに、あらゆる調整を加えて11,570円(税別)まで価格を抑えたミドルレンジモデルという位置付けです。LEDライティングは非搭載ですが、黒と黄色のステッチや編組ケーブルなどが特徴的な、シンプルかつクールな外観となっています。
同価格帯では大型な53mm径のドライバーを搭載しており、ゲーム内の細かな音を聞き逃さないよう最適化されたサウンドが楽しめます。また、特大イヤーカップを採用していることで、音を発する範囲が大きく”音の定位を掴みやすい”というメリットが得られます。
イヤーパッドとヘッドレストには厚手の低反発クッションが使用されており、長時間のゲームプレイも快適にこなせます。またイヤーパッドは、通気性を確保するために表面のみメッシュ布で覆われています。その他にもアルミフレームの連結部分をはじめとした、耐久性を重視したパーツ構成となっています。
本体から伸びるケーブルにはコントローラーが搭載されており、ヘッドフォンとマイクの音量調節(ダイヤル式)、マイクのON/OFF(スイッチ式)が手元で素早く操作できます。ケーブル先端の接続は3.5mmシングル4極(1.2m)です。付属品として、デュアル3極への延長ケーブル(2m)、変換アダプター(25cm)、取り外し可能なブームマイクが同梱されています。
また、ケーブル類が充実しているのは嬉しいポイント。PCやPlayStation 4といったのコンソールからスマートフォンなどの携帯機器まで、さまざまなプラットフォームで使用することが可能です。マイクの取り外しが可能ですので、不要なときはヘッドフォンとしても使用できます。マイク先端にはポップガードが標準で付属しているので、買い足す必要はありません。
ミドルレンジに位置する価格帯を考えれば、かなり充実した製品仕様と言えるのではないでしょうか。これで音質、音の定位の掴みやすさに優れているならば文句無しの製品。早速、パフォーマンスを検証していきましょう。
Xtrfy H2 パフォーマンス
中・高音域が聞き取りやすく耳に刺さらない
「Xtrfy H2」のサウンドは独特な性質を持っています。FPSなどで重要な降下音などが集約された中・高音域が強調気味なのですが、耳に刺さることは全くありません。むしろ低音域とのバランスが取れており、ゲーム全体で鳴る音をそれぞれ判別しやすく、聞き分けられるでしょう。
すっぽりと耳を覆う大型イヤーカップは、単純に音を発する範囲が広いです。これによって、ゲーム内の効果音がどの方向から・どれくらいの距離で鳴っているのかを正確に聞き取れます。ヘッドセット選びで最も重視すべき項目である音の定位の掴みやすさは申し分なし。
サラウンド機能は搭載されていませんが、Xtrfy曰く「ヘッドセットには音質を求め、7.1chサラウンドなどの音響機能はWindowsの機能やソフトウェア、USB接続のサウンドアンプを使用する方が理にかなっている」とのこと。これは音質面にコストが割かれていることの証明です。
本体重量よりも軽めの装着感を実現している
「Xtrfy H2」の本体重量は330g(マイク、ケーブル除く)で、軽量化がトレンドとなりつつある現状、数値的には軽量設計とは言い難いです。しかし実際に装着すると頭頂部や耳へのストレスは無く、装着感がとても軽いと感じました。
快適な装着感を実現しているのは、ヘッドレスト・イヤークッションに厚手の低反発クッションが採用されていることが大きいでしょう。頭部に触れるクッションは厚く、掛かる負担を分散してくれます。耳に触れるクッションはかなり厚手ですが、非常に柔らかいので締め付け感は少ないです。とにかく装着している感覚が少なく、長時間のゲームプレイも快適におこなえます。
気になる点を一つ挙げるとすれば、H1から共通でイヤーカップの角度調節機能は搭載されていない点です。ただ、イヤークッションが厚手で柔らかいので、違和感は出づらいと思います。筆者の場合は、特に付け方を意識することなく自然と装着できました。
各種操作を手元で行えるコントローラーが便利
「Xtrfy H2」の本体から伸びるケーブルの途中に、さまざまな操作ができるコントローラーが搭載されています。ヘッドセット装着時は胸のあたりに位置するので、すぐに手が届きやすく、ゲームプレイ中に手元で素早く操作できます。
スピーカー、マイクの音量はダイヤルを回して細かく調節することができます。スピーカー音量調節ダイヤルを回し切ると、何も聞こえない状態にすることも可能です。パソコン側のボリューム設定とは別モノなので、出力するデバイスを切り替えたときに設定し直す必要はありません。
コントローラー裏側ではマイクのON/OFFがスイッチで切り替えできます。この方法ならば、ミュートにする前にボイスチャットに音が入らないのが良いですね。(ブームマイクを持ち上げることでミュートにする製品では、マイクに直接触れてしまうことでボイスチャットに音が入ってしまいます)
マイク性能はヘッドセットとして十分なもの
「Xtrfy H2」には取り外し可能なマイクが1つ搭載されています。マイク性質は、特定の音域や小さな音をカットせず、音をよく拾うタイプです。結論から言えば、音質に全く問題はなく、ボイスチャットで声を正確に聞き取れるものでした。
マイクは左イヤーカップの専用ジャックに接続することで利用可能です。接続する方向が決まっているので注意してください。コード部分はグースネックになっており、マイクを好きな位置に持ってくることができます。またポップガードが標準で付属しており、呼吸音を過度に拾うこともありません。
Discordにて検証したところ、音がこもることもありませんし、途切れやノイズもありませんでした。ゲームプレイにおいて困ることは無いでしょう。USB接続のコンデンサーマイクのようにとびっきり音質が良い訳ではありませんが、ゲーミングヘッドセットに求められるマイク性能として十分なものです。
結論とターゲット
一万円前後のゲーミングヘッドセットは選択肢が多い中、ハイエンドなe-sports機器を展開するXtrfyによって市場に投入された「Xtrfy H2」。レビューを実施した感想としては、音質と音の定位の掴みやすさを重視したい方に迷うことなくオススメできる製品だと感じました。
同価格という前提ならば、サラウンド機能を実装するのに費用を掛けた製品よりも、その分コストを削った製品のほうが音質に優れているはず。これはとても単純な理論ですが、実際に「Xtrfy H2」は音質・定位の掴みやすさが優れたゲーミングヘッドセットに仕上がっています。サラウンド機能が必要ならば、Windowsの機能やソフトウェア、サウンドアンプで補えます。
コントローラーの便利さ、装着感の良さ、十分なマイク性能、どれも不満は特にありません。ただ一つ、低音をガンガン鳴らすセッティング(FPSには不向き)でゲームをプレイしている方は、中・高音域に富んだ「Xtrfy H2」をそのまま使用すると違和感を感じるかもしれません。
一万円前後のゲーミングヘッドセットとしては”間違いない選択”になる
結論として、音質や定位の掴みやすさに優れたゲーミングヘッドセットを予算一万円前後で探している方に最適です。もちろん買い替えにもオススメです。FPSで重要な中・高音域が聞き取りやすいうえに、便利な機能を揃えながらどれも実用レベルであることから、大半のゲーマーが後悔しない選択になると言えるでしょう。一万円前後という価格を考えると、間違いなく優秀なゲーミングヘッドセットです。
以上、Xtrfy(エクストリファイ)のゲーミングヘッドセット「Xtrfy H2」のレビューでした。