「vaxee PA Mousepad」レビュー。滑りと止めのバランスが洗練されたゲーミングマウスパッド
本稿では、vaxeeのゲーミングマウスパッド「vaxee PA Mousepad」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: VAXEE JAPAN
ファーストインプレッション
ZOWIE開発チームが独立して立ち上げたvaxeeより、ブランド初となるゲーミングマウスパッド「PA Mousepad」。vaxeeスタッフが一枚一枚手作業で作っているとのことですが、税込3,690円と比較的安い価格で提供されています。
AXやNP-01シリーズなど過去製品をチェックしてきて、同ブランドの製品ラインナップはどれも品質が高い割に手が出しやすい価格という印象を持っているだけに、今回もかなり期待できそうです。
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製品仕様とスペック
材質 | 布製 / クロスファイバー | 表面 | – |
---|---|---|---|
サイズ | 470 x 390 x 3.5mm | エッジ | 切りっぱなし |
ベース | 高密度フラットラバー | カラー | 5種展開 *本稿執筆時点 |
パッケージと内容物
やや大きめの箱に緩く巻かれた状態で入っています。内容物はマウスパッドのみ。
巻き癖
PA Mousepadの巻き癖は少ないです。これといって特殊な対策をせず、数日使用した段階で写真のように落ち着いています。
* ZYGENとFunsparkの2カラーに関しては、筆者の活動休止を挟んだため未開封のまま数ヵ月経過しており、巻き癖が強く残っています。しかし様子を見ている限り、vaxeeの製品は入荷から販売までの回転が非常に速いように見受けられるので、箱に入ったまま長期間保管された巻き癖の強いものが手元にくることは無さそうです。
バリエーション
サイズ
寸法は470 x 390 ±10mmで、ローセンシにも対応する大サイズとなっています。
厚さは3.5mmとごく一般的で、デスクに設置したときに段ができることなく、扱いやすいものになっているかと思います。
カラー
今のところ展開されているのは、vaxeeから展開されている「ZYGEN」と「OUTSET」2ブランドのモデルに加え、CS:GOの大会を運営する団体「FunSpark」とのコラボレーションモデル。
それに加え、次期に発売が予定されている既存マウスの色違いverに合わせたカラーバリエーションモデル「Y22」「P22」も発表済みです。期間限定カラーの「Winter 21」は現在入手不可能となります。
カスタムID
購入の際に「製品名(カスタマイズ)」の方を選択すると、マウスパッドの中央に好きな文字列を印字することができます。文字数は最大24文字で、英数字・記号に対応しています。
カスタムIDをオーダーする場合、価格が通常の3,690円よりも1,100円高い4,790円になり、生産にも1ヵ月~1ヵ月半の日数を要します。
パフォーマンス
滑走面
そこまで粗くもなく細かくもない、これといって特徴のない滑走面のように見えます。どのデザインも同じ素材・滑走面となっています。
表面を指でなぞると、水平方向は引っ掛かりがほとんどなく、垂直方向に動かすと若干の引きずりを感じます。実際にマウスを滑らせた際も同様に、やや水平方向のほうがスムーズな印象を受けますが、指でなぞったときほどの違いは見られません。縦横の滑りの差は比較的少ないと言えます。
そこまでザラつきがあるわけでもなければ、硬い素材が使われているわけでもないため、擦れ感はかなり少ないです。激しいマウス操作によって手首や腕が擦れたとしてもダメージはありません。
操作感
PA Mousepadはバランスタイプに属するゲーミングマウスパッドです。滑走速度に関して言えば、代表的なバランスタイプのマウスパッドである「Logicool G640」よりも速く、「ZOWIE G-SR-SE」よりもやや遅いといったところ。
中間層のスポンジはやや硬めではあるものの、滑走面の素材は柔らかめ。マウスソールが一定までは容易に沈み込むので、マウスを止める際に若干のアシストを得られやすい一方で、深く沈み込むことはないので、滑走時の安定性を大きく損なうことはないといった印象です。
バランスタイプ相当の滑走速度ではあるものの、初動の引きずり感・ストッピングアシストがやや強く、絶妙な滑りと止めのバランスをもたらします。バランスタイプに属するマウスパッドのような滑走速度を維持しつつ止め性能も欲しい、という場合に適しています。
【滑走面】の項でも触れた通り、縦横の滑りの差は比較的少ないです。やや水平方向のほうがスムーズで、垂直方向のほうが抵抗感があるものの、滑走面を指でなぞったときほどの違いは感じません。
滑走速度に対して初動の引きずり感がやや強いという点を考慮すると、どちらかと言えばトラッキングよりもフリックが主体となる『VALORANT』『CS:GO』といったタイトルに寄せた操作感と言えるのではないでしょうか。とは言いつつも、基本的にはどのジャンルにも適応しやすい特性だと思います。
他社製マウスパッドとの滑り比較
※筆者の肌感覚なので変動する可能性があります。
エッジ
エッジは処理されておらず切りっぱなし。手首や腕が触れる部分は、ある程度使用しているうちにほつれや毛玉が目立ってきます。
ゲーミングマウスパッドではごく一般的な3.5mm厚なので、デスクとマウスパッドとの間にできる段差は気になりづらいかと思います。また、ステッチ加工されていないため手首や腕が触れる部分が引っ掛かることはありません。
底面
底面の滑り止めラバーはフラットで、G-SR-SEをはじめとするZOWIE製マウスパッドに似たものとなっています。写真で拡大してみると、肉眼ではほぼ捉えられない程度の細かな凹凸があります。
こちらは非常に優れたグリップ感となっています。木製天板(ラバーウッド)との組み合わせでは強力な滑り止め性能を発揮し、マウスを激しく動かしてもズレることなくしっかりと固定されます。
センサー相性
各種マウスセンサーとの相性をチェック。それぞれの組み合わせでカーソルが正確に追従するかを確かめるほか、センサー挙動を可視化するソフトウェア「Mouse Tester」での測定も行います。
なお、使用環境やファームウェアのバージョンの違いなど、様々な要因によって結果が変動する可能性があり、この検証結果が100%正しいものではないことをお伝えしておきます。また同じセンサーを搭載していても種類が異なるゲーミングマウスでは結果は変動するので、ご参考までに。
〇 正常に動作する
△ 動作に問題は無いが、MouseTesterの波形に乱れが見られる
✖ 通常使用が不可能
上記の検証に加え、『VALORANT』『Apex Legends』でのプレイテストも実施した結果、主要なマウスセンサーを搭載したゲーミングマウス9種類すべてで正常に動作しました。
PA Mousepadの滑走面はこれといって特別な仕様ではないため、この先出てくるマウスでもトラッキング不良を引き起こす可能性は極めて少ないと言えます。
ソール相性
エッジが適切に処理されたものと組み合わせることを推奨します。【操作感】の項で解説した通り、中間層のスポンジは硬いものの一定までは容易に沈み込むので、エッジの処理が甘いソールと組み合わせると初動の引きずり感が増します。
ソール厚に関しては、マウスにある程度の圧が掛かっても中間層のスポンジはそこまで深く沈み込まないので、常識的な範囲であれば気にする必要はないかと思います。
耐久性・湿気への耐性
前提として、布製マウスパッドは特定の素材や織り方を採用したものを除き、湿気や耐摩耗性への耐性はそこまで期待できません。基本的には消耗品という認識です。
PA Mousepadはごく一般的なサーフェイスを採用しており、湿気の影響をそれなりに受けやすいです。
滑走面の摩耗による操作感の変化もいずれは避けられませんが、1日3~5時間のゲームプレイで約1ヵ月ほど検証した段階では体感できるほどの違いは感じられません。
結論とターゲット
「vaxee PA Mousepad」について詳しく見てきました。「Logicool G640」よりも速く「ZOWIE G-SR-SE」よりもやや遅めの滑走速度。既存のバランスタイプのマウスパッドとほぼ同等の滑りを維持しつつ、初動の引きずり感・ストッピングアシストを若干強めたような操作感です。
巻き癖が少ないため扱いやすく、ラバーウッド天板との組み合わせでは底面の滑り止めラバーもしっかりと機能します。ただしエッジの処理がされていないため、使用しているうちに手首や腕が触れる部分のほつれや毛玉が目立ってくることには注意しましょう。
デザインも現時点で4種類、今後も新たに登場予定なので、好みに合わせて選択できます。このマウスパッドに限らずvaxee製品は比較的手の出しやすい価格となっているので、それなりに滑走速度が速く止め感がやや強めなバランスタイプのマウスパッドを探しているという方は試してみて損はないかと思います。
総合評価4.5 out of 5.0 stars
バランスタイプ相当の滑走速度
滑走速度に対してストッピングアシストが強め
縦横の滑りの差は比較的少ない
巻き癖が少ない
主要マウスセンサーと相性が良い
底面のグリップ性能に優れる
デザインが豊富
比較的手を出しやすい価格
エッジは切りっぱなし
滑走速度に対して初動の引きずり感が強め *止め感の強さとのトレードオフ
以上、vaxeeのゲーミングマウスパッド「vaxee PA Mousepad」のレビューでした。