「Sennheiser IE40 Pro」レビュー。コスパに優れた1万円前半のモニターイヤホンはゲームに適しているのか

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「Sennheiser IE40 Pro」レビュー。コスパに優れた1万円前半のモニターイヤホンはゲームに適しているのか

本稿では、Sennheiser(ゼンハイザー)のイヤホン「Sennheiser IE40 Pro」のレビューをお届けします。 ※主にゲーム用途での評価となります

Sennheiser IE40 Pro
価格: 12,597円 (本稿執筆時点)

製品仕様と外観

「Sennheiser IE40 Pro」は、ゲームの効果音を聞き取りやすいよう音に味付けされている”ゲーミングイヤホン”とは異なり、原音に忠実な”正しい音”を鳴らせるよう設計されているモニターイヤホン。コンセプトが異なりますが、どちらの用途にせよ「音を正確に聴き取る」ことは求められます。

ゲーミングオーディオ機器も取り扱うゼンハイザーから2018年末に発売されたモニターイヤホンで、1万円前後の価格帯では定番機種と言えます。競合製品にはSHURE SE215がよく挙げられます。果たしてIE40 Proはゲーム用途で良い結果をもたらすのか。早速詳しく見ていきます。

パッケージにはIE40 Pro本体、イヤーピース3種(S, M, L)、シリコンフォームチップ(Mサイズ)、クリーニングツール、ソフトポーチが同梱しています。

IE40 Pro本体は一見するとチープでコンパクトなデザイン。耳の後ろにケーブルを掛けて装着するタイプです。本体カラーはブラックとクリア(透明)の2種類。

10mm径ダイナミックドライバーを搭載しています。周波数応答は20~18,000Hzで、インピーダンスは20Ω。メーカーロゴの横には空気を逃がすためのベント穴が備わっています。

ケーブルは着脱可能ですが独自の端子となっているため、リケーブルする際の選択肢は少ないです。ケーブル長は1.3m、3.5mm接続で幅広いデバイスに対応しています。

スペック&ギャラリー

仕様/スペックをチェックする (開閉できます)
Sennheiser IE40 Pro 製品仕様
型式 ダイナミック
周波数特性 20 ~ 18,000Hz
インピーダンス 20Ω
音圧レベル 115dB (1kHz/1Vrms)
THD < 0.1% (1kHz, 94dB)
ノイズ減衰  < 26dB
磁場強度 3.5 mT
ケーブル長 1.3m
重量 18g
付属 ポーチ、クリーニングツール、イヤーチップS/M/L、フォームイヤーチップ
カラー ブラック、クリア
価格 12,597円 (Amazon.co.jp、本稿執筆時点)
製品イメージをチェックする (開閉できます)
Sennheiser IE40 Pro
価格: 12,597円 (本稿執筆時点)

パフォーマンス

音質傾向

低く見積もっても1,000時間以上は鳴らした後のレビューとなるため、新品と比べて各音域の鳴りに差が出ている可能性が高いです。筆者の使用環境は MOTU M2オーディオインターフェイスに FURUTECH ADL 3.5mm→6.3mm変換プラグを介してIE40 Proを接続。

音質傾向は言わずもがなフラット。高音域はシャリッとせずに丸い音で、耳に刺さることはありません。開封直後は”高音が耳に刺さる”という意見が多いですが、鳴らしているうちに改善されます。

低音域は鳴りすぎることもなく奥に引きこもることもない、ちょうどいい塩梅。それでいて中音域もしっかりと出ます。1万円前半という価格帯では、音質・解像度ともに優れていると言えます。

また広い空間を再現しており、リスニングではそれぞれの楽器を分離して聞き分けることも容易。これはゲームでも実感でき、さまざまな音から得られる情報を頼りに素早い判断が行えます。

低音域を強調する傾向にあるゲーミングイヤホンと比較すると、より音像定位がくっきりとし、ゲームで鳴っている全体の音が鳴らせるようになります。ただし、ゲームプレイのためのイコライジング・狭い空間で鳴る音に耳が慣れている方の場合、最初はおそらく距離感を掴むのに苦労します。

今更ながら、IE40 Proは音源を忠実に再生するために設計されたモニターイヤホンです。ゲームプレイのために音に味付けがされているゲーミングオーディオ機器とはコンセプトが異なるため、これまでのサウンド環境によっては違和感が生じる可能性があります。

もちろん、同じモニターイヤホンでもメーカーや機種によって音の鳴りは異なります。そんな中でIE40 Proはこれといった癖が無く、総合して価格以上のパフォーマンスを発揮します。ゲーマーが最初に試すモニターイヤホンとしては最適な機種だと思います。

ちなみにIE40 Proにサウンドカードやソフトウェアで調整を加えるよりも、オーディオインターフェイスに接続したままの音の方が断然聞き取りやすく感じます。また同ブランドのUSBサウンドアンプ Sennheiser GSX1000と組み合わせた際、音の聞こえ方に相当な癖が出ます。参考程度に。

遮音性

IE40 Proには、イヤホンのブランドロゴの右横あたりにベントという穴が開けられています。10mm径ダイナミックドライバー1つで音を鳴らす設計なため、小さなイヤホンに内部に音が留まって劣化しないよう、空気が逃げられる穴を設けている訳です。

おそらくはこの仕組みによって聴き心地のいいフラットな音質傾向を保っているわけですが、その一方で遮音性はやや低め。周囲の音がほんのり聞こえるほか、大きな音を再生すると少しだけ音漏れが発生します。モニターイヤホン本来の用途ならばデメリットとして挙げられますが、ゲームプレイには一切問題ありません。

装着感

装着感に一切不備はなく、長時間の装着でも疲れづらいです。イヤーピースは計4種類付属しているため、好みに応じて選択できます。(筆者はどれも耳に合わなかったため、手持ちのfinal Eタイプに付け替えて使用しています)。

IE40 Proには特殊な機構が採用されており、イヤーピースを装着する位置を2段階で調整することが可能。それぞれの位置で装着感を変えられるほか、音にも変化が生じるので好みに合わせて。

結論とターゲット

個人的にIE40 Proはワンランク上の機種にも食って掛かるほどコスパに優れているため、FPSなど競争力のあるゲームのプレイヤーだけでなく、さまざまな用途に使用することを想定してカジュアルゲーマーにもお勧めしたいイヤホン。

懸念されるのは、イヤホンとケーブルを取り外す際に一切のクリック感が無く、引っ張るとスルッと外れてしまう点。外出時に紛失する人が続出しているようなので、くれぐれも管理には注意してほしい。気になるようならリケーブルも一つの手。

改めて、音を忠実に再生するために設計されたモニターイヤホンはゲームでもしっかりと機能します。いわゆるゲーミングイヤホンとはコンセプトが全く異なるため、できれば両方試したうえで好みに合わせて棲み分けたいところ。追及したい方はぜひ。

Sennheiser IE40 Pro
価格: 12,597円 (本稿執筆時点)

以上、Sennheiser(ゼンハイザー)のイヤホン「Sennheiser IE40 Pro」のレビューでした。