「Razer Huntsman Tournament Edition JP」レビュー。軽いタッチと高速反応が特徴の光学キースイッチを採用したテンキーレスキーボード
本稿では、Razer(レイザー)のゲーミングキーボード「Razer Huntsman Tournament Edition JP」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: GRAPHT
ファーストインプレッション
「Huntsman Tournament Edition」は、押下荷重40g・アクチュエーションポイント1.0mmの高速反応を特徴とするキースイッチ「第1世代Razer Linear Optical Switch」を搭載したテンキーレスキーボード。
主要リニアスイッチは押下荷重45g前後のものが多いのですが、この約5gの差がとても大きく、キーを撫でるだけで反応するといった印象。デバウンスディレイを必要としない光学作動で、レイテンシーを最小限に抑えられるので、ゲーマーに最適なキースイッチとなっています。
製品仕様とスペック
キー配列 | JIS/US | レイアウト | テンキーレス |
---|---|---|---|
キースイッチ | Razer Linear Optical Switch (1stGen) | キーストローク寿命 | 1億回 |
キーストローク | 3.5mm | アクチュエーション | 1.0mm |
リセット/アクチュエーションの差 | 0mm | 押下圧 | 40g |
サイズ | 362 x 140 x 37mm | 本体重量 | 752g |
ケーブル | USB Type-C/2.0m | メーカー保証 | 2年間 |
パッケージと内容物
Razerのパッケージはすっかり紙製に切り替わっています。
内容物はHuntsman Tournament Edition JP本体、着脱可能なUSB-Cケーブル(2.0m)。
パフォーマンス
デザインと本体重量
アルミニウムの冷たい質感、主張の少ないRazerの印字によって落ち着いたデザインとなっています。側面と底面はプラスチック製となっており、本体重量は752gとそこまで重たくありません。
本体底面の滑り止めラバーはHuntsman Miniと同じもので、四隅に4枚配置されています。グリップ性能は十分で、デスク上で動いてしまう心配は無いかと思います。
3段階の角度調整スタンドは、写真のように6°、9°へとキーボードの角度を調整できます。
今回のレビュー機は日本語配列ですが、英語配列モデルもあります。
サイズ
「Huntsman」シリーズは、フルキーモデル「Huntsman」とリストレスト付きフルキーモデル「Huntsman Elite」、テンキーレスモデル「Huntsman Tournament Edition」、60%モデル「Huntsman Mini」の4種類をラインナップしています。
Huntsman Tournament Editionはテンキーレスモデルで、寸法は 幅362mm x 奥行140mm x 高さ37mm。メディアキーなどは搭載しておらず、右上のPrtScやScrLkなどのキー省略も無し。
Huntsman TE | Huntsman Mini | |
---|---|---|
幅 | 362 | 293.3 |
奥行き | 140 | 103.3 |
高さ | 37 | 36.8 |
60%サイズの「Huntsman Mini」は、幅が約7センチ、奥行きは約4センチほど小さいです。その代わり、EscキーやF1~F12、矢印キーなどが省かれており、キー数は最小限となります。
一方で「Huntsman Tournament Edition」のようなテンキーレスは、フルキーよりもコンパクトかつ、省かれているのは10キーのみなので実用性に優れています。必要に応じて選択を。
いずれもフルキーより狭いスペースで設置できたり、マウスの可動域を広めに確保できたりします。これらはゲーマーにとって大きなメリットとなるので、必要なキーさえ揃っているのであれば、テンキーレスや60%のような小さいものを選んでおいて損はないと思います。
キーキャップ
ダブルショットPBTキーキャップを標準搭載しています。
PBTは、耐久性・耐摩耗性に優れているほか、手汗によるベタつきやテカりに強いという特性があります。ABS樹脂と比べてハイコストで、あらゆる点で優れたものです。
ABS樹脂のように指に吸着するようなグリップ感はありませんが、ザラザラとした手触りのマイクロテクスチャ加工によって多少の滑りづらさは感じます。感触もとても良いです。
キースイッチ
Huntsman Tournament Editionには、Razerが独自開発した光学式キースイッチ「Razer Linear Optical Switch」が搭載されています。抵抗感がなくスムーズにキーが降りていくリニアスイッチで、主なスペックは押下荷重40g、アクチュエーションポイント1.0mm、1億回のストローク耐久性。
「Razer Linear Optical Switch」には第1世代と第2世代が存在しており、それぞれ打鍵感が全く異なります。それぞれの仕様・スペックは以下の通り。
Razer Linear Optical
(第1世代) |
Razer Linear Optical
(第2世代) |
Cherry MX Red
|
|
---|---|---|---|
感触 | リニア | リニア | リニア |
作動方式 | 光学 | 光学 | メカニカル |
押下荷重 | 40g | 48g | 45g |
作動点 | 1.0mm | 1.2mm | 2.0mm |
キーストローク | – | – | 4.0mm |
耐久性 | 1億回 | 1億回 | 1億回 |
このHuntsman Tournament Editionに搭載されている第1世代は軽いキータッチと高速反応を特徴としたスイッチ。銀軸よりも軽い押し下げ圧と短いアクチュエーションポイントを兼ね備えつつ、光学作動によって遅延が抑えられているという、市場で唯一無二のキースイッチです。
一方でHuntsman Miniに搭載されている第2世代は、正確性と静音性に優れたスイッチです。主流リニアスイッチよりもやや重ための押し下げ圧によってキー入力が安定しやすく、ピンク軸に限りなく近い静音仕様となっています。
改めて、これら2つのスイッチは同じ見た目ですが、全く違った特性を持っています。「Huntsman Tournament Edition」は第1世代、「Huntsman Mini」は第2世代、と整理しておく必要があります。
打鍵感
主要のリニアスイッチは押下荷重が45g前後であることが多いのですが、Razer Linear Optical (第1世代)は軽めの40gです。入念に打ち比べなくてもこの5gの差はすぐに感じ取ることができます。
またアクチュエーションポイントも1.0mmと非常に短く設定されており、そこまで押し下げ圧35gの静電容量スイッチに迫るほどの軽いタッチで到達します。感覚としては「キーに少し触れただけで反応する」といった具合の、とてもピーキーな操作感です。
確かなメリットとして、メカニカルキースイッチではキー入力が複数回検知するのを防ぐため、キーを押してから信号が送られるまでに数msのデバウンスタイムが設定されていますが、Razer Linear Opticalは光学作動スイッチなのでそれが不要です。
1ミリ秒でも高速なキー反応を求める場合、軽い押し下げ圧と短いアクチュエーション、内部遅延も抑えられた「Razer Linear Optical Switch」はとても良い選択肢となります。
打鍵時に軸が擦れるような感触が一切なく、とても滑らかにキーが降りていくのは光学式キースイッチらしい点。静電容量無接点方式のスイッチ、あるいは赤軸や銀軸などが好みな方は馴染みやすいであろう打鍵感です。
各キーにスタビライザーが備え付けられた独自の設計で、キーを斜めから押し込んでも引っ掛かりがなく、一定の押下圧を保ったままのキーストロークが可能となっています。
ただし、第1世代Razer Linear Optical Switchの仕様上スイッチのクリアランスに違いがあるようで、他のRazer製スイッチと比較してキーにそれなりの揺れが生じるように感じます。なお、第2世代では改善されています。
また、タイピング時にキーキャップ上で指をスライドさせるたびに「カシャ」と音が鳴るので、気になる人もいるのではないかと思います。
キーを強く叩いたときの金属音は少なく、キーボード本体に耳を近付けないと聞こえない程度。
ケーブル
長さ2.0mの編組ケーブル。ビニール皮膜に覆われたものよりも耐久性に優れています。
キーボード側の端子はUSB Type-Cで、接続ポートは本体左側に備わっています。USB Type-C端子を備えたものであれば、サードパーティ-製のカスタムケーブルも利用できます。
ソフトウェア
Huntsman Tournament Editionは、Razer製品の統合ソフトウェア「Razer Synapse 3」に対応しています。デバイスの接続したときの案内に従うか、以下のURLからダウンロードできます。
Razer Synapse 3:https://www2.razer.com/jp-jp/synapse-3
各キーにさまざまな機能を割り当てられます。ソフトウェア上に表示されたキーボードのいずれかのキーをクリックすると、機能を割り当てるためのUIが現れます。PageUpやPageDownなどの不要なキーに機能やマクロを割り当てておけば、多機能なキーボードとして活用できます。
オンボードメモリを備えており、キーボード本体にプロファイルを最大5つまで保存できます。
ライティングに関する設定。明るさ調整(0~100)、発光パターンの変更などが行えます。
結論とターゲット
「Razer Huntsman Tournament Edition」について詳しく見てきました。表面のアルミニウムの質感が良好な、落ち着いたデザインのテンキーレスキーボード。
メディアキーなどの付加機能はないシンプルな製品ながら、コンパクトな設計。キーボードの角度を3段階で調整できたり、着脱可能なケーブルとUSB-Cポート、ダブルショットPBTキーキャップを備えているなど、基本的な仕様が充実しています。ソフトウェアによるキーバインドも可能です。
このキーボードに搭載されている「第1世代Razer Linear Optical Switch」は軽いキータッチと高速反応を特徴としており、60%モデル「Huntsman Mini」に搭載されている安定性と静音性に優れた「第2世代Razer Linear Optical Switch」とは全く異なる特性を持っています。
ピーキーな特性なので慣れないうちはタイピングミスを引き起こす可能性が高いことには注意。また、第1世代Razer Linear Optical Switchの仕様上、キーの揺れがそれなりに感じられました。
軽めの押し下げ圧と短いアクチュエーションポイントに加え、レイテンシーが極めて少ない光学作動のスイッチを搭載しているので、1ミリ秒でも反応性を高めたいゲーマーに最適です。
総合評価4.0 out of 5.0 stars
シンプルかつコンパクトなデザイン
3段階の角度調整
ダブルショットPBTキーキャップを標準搭載
軽いキータッチ・高速で反応するキースイッチ
極めて少ないレイテンシー
着脱可能なケーブル
キーの揺れが感じられる
単機能 (※メディアキーなどの付加機能は無し)
以上、Razer(レイザー)のゲーミングキーボード「Razer Huntsman Tournament Edition JP」のレビューでした。