「HyperX Cloud Flight S」レビュー。無線ゲーミングヘッドセットで迷ったら筆頭に挙がる選択肢
本稿では、HyperX(ハイパーエックス)の無線ゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud Flight S」のレビューをお届けします。
レビューサンプル提供: HyperX Japan
製品仕様と外観
「HyperX Cloud Flight S」は以前より発売されていたCloud Flightのアップグレード版で、数多くの変更点があります。各社がワイヤレスヘッドセットの機種を拡充しつつある中、HyperXもその流れに沿って展開してきたと言って良いでしょう。
前モデルからの主な違いとしては、バーチャル7.1chサラウンドに対応、ワイヤレスQi充電に対応 (ChargePlay Baseが別途必要)、設定の割り当てが可能な4つのボタンを備えるなど。機能性・利便性が向上したことは間違いないでしょう。詳しく見ていきます。
ヘッドセット本体は艶消しのプラスチックベース、クッションはPUレザー製です。見た目にチープさは感じません。
ネオジム磁石50mm径ダイナミックドライバーを搭載しています。周波数応答は10~22,000Hzで、インピーダンスは32Ω。
イヤーカップは十分に大きく、耳全体を覆ってくれます。イヤークッションの表面はPUレザー製で、Cloud Flightと比べると厚みが増しています。ヘッドレストもPUレザー製。
左イヤーカップには電源ボタン、7.1chサラウンド切り替えボタン、設定割り当てが可能な4つのボタンが、右イヤーカップには音量調節バーが搭載されています。
スライダーは11段階の長さ調節が可能です。よほどでない限りは頭の大きさ・形との相性問題は生じないと思います。
着脱可能なブームマイクは双指向性のエレクトレットコンデンサーで、周波数応答は50~18,000Hz。
接続方式は2.4GHzワイヤレス。付属のUSBレシーバーをPCやPlayStation 4に接続し、ヘッドセット本体の電源をオンにすると使用できます。
バッテリー持続時間は最大30時間とのことで、充電には付属のUSBケーブルを使用します。オプションとして別売りのChargePlay Baseを用意すれば、上に乗せるだけでワイヤレス充電できます。
ちなみにCloud Flight Sのイヤーカップはロック式に変更されており、ヘッドセット本体が自立するようになっています。そのため、ワイヤレス充電時のChargePlay Baseへのセットは容易に行えます。
スペック&ギャラリー
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HyperX Cloud Flight S 製品仕様 対応機種 PC, PlayStation 4 ドライバー ダイナミック、ネオジム磁石50mm径 周波数帯域 10~22,000Hz インピーダンス 32Ω T.H.D <1% 重量 310g ケーブル USB充電ケーブル (1.0m) マイク エレクトレットコンデンサーマイク 極性 双指向性、ノイズキャンセリング 周波数応答 50~18,000Hz 接続 2.4GHzワイヤレス (最大20メートル) バッテリー持続時間 最大30時間 価格 20,980円 (本稿執筆時点) - 製品イメージをチェックする (開閉できます)
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パフォーマンス
音質傾向
Cloud Flight Sの音質傾向について。量感は少ないものの前に出る低音域、シャリッとしているが主張しすぎない高音域、スマートな中音域。ゲーム向けに味付けされているにしてはバランスの取れた音で、リスニング用途にも一役買ってくれます。
ざっくりと言えば ゲームの効果音を聞き取りやすいよう調整された”よくあるドンシャリ傾向”なのですが、一方でリスニングに適したイコライジングを軸とした調整とも取れます。解像度はそこまで高くないですが、ゲームではなかなか登場しない重低音までしっかりと鳴らせ、2万円前後のワイヤレスヘッドセットならば大健闘と言えます。
いくつかのゲームタイトルでも検証しました。まずステレオ再生時、比較的高めの効果音が聞き取りやすいうえ、くっきりとした定位感をもたらします。効果音同士がそれなりに分離してくれるため、聞き分けも容易で、非常に良いチューニングであると感じます。
特にCloud Flightと比べると高音の明瞭さが増しているのは明白(あちらは長時間鳴らした後なので、音質の変化によるものの可能性も十分にありますが)。個人的には直感的に重要な音にフォーカスしやすいと感じるので、新型のCloud Flight Sの方が好みです。
一方でバーチャル7.1chサラウンド有効時、音の大まかな方角は明らかに掴みやすくなるものの、定点で捉えることが難しくなります。キルタイムが短いFPSでは致命傷となるので、これを活用するか否かは好み次第と言えるでしょう。
ちなみにサラウンド有効時、ソフトウェアから「auto-optimize」を適用すると、HyperXが独自でゲームタイトル毎に調整した音に切り替えられるとのこと。サラウンド有効時の音響自体に魅力を感じなかったため、こちらは試していません。
装着感
Cloud Flight Sの装着感は非常に良いです。イヤークッションの厚みが増したことで、Cloud Flightよりも密閉性が向上しており、特に言うことは無くなったかなと。
十分な厚さのクッションが耳全体を覆い、耳がドライバーユニットに直に触れることもなく、長時間の装着によるストレスを軽減します。ヘッドセット本体はとても軽量とは言えないものの、非常に快適です。
マイク
マイクは先端の位置をどこに持ってくるかによって音質が大きく異なります。しっかりと口に近づけた状態で録音すると、それなりに品質は高いです。
しかしノイズキャンセリングが強く掛かるという難点があり、最初の音が途切れがち。それを完全にカバーするためボイスチャットの感度を高くすると、マウスやキーボードの操作音なども拾ってしまうため、やや扱いづらい印象。
ソフトウェア
Cloud Flight Sは、HyperX製デバイスの統合ソフトウェア「HyperX NGenuity」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。
HyperX NGenuity:https://www.hyperxgaming.com/jp/ngenuity
設定項目は、音量調節、サイドトーンの有効/無効化、バーチャル7.1chサラウンドの有効/無効化 (+auto-optimize)、ゲームとボイスチャットの音量バランス調整、4ボタンへの機能割り当てとなります。
見どころとしては、左イヤーカップに備わった4つのボタンに好きな機能を割り当てられる点でしょう。例えばゲームとボイスチャットの音量バランス調整を2つのボタンに割り当てておけば、ゲームプレイ中に片手で素早く調整することができます。
結論とターゲット
「HyperX Cloud Flight S」について詳しく見てきました。強みは何と言っても、ヘッドセット本体からすべての設定にアクセスできるうえ、ワイヤレス充電にも対応 (ChargePlay Baseが別途必要)するなど、利便性が大きく向上している点でしょう。
サウンドに関しては、ベースとなるのはドンシャリ傾向ながらも、そこまで偏りのないスマートな鳴り。ステレオ再生時の定位・分離感に長けており、聞き取りたい効果音にフォーカスしやすいのが特徴。
懸念点は、マイクの使い勝手が優れていないところ。音の品質自体に難はないものの、ノイズキャンセリングが邪魔をしてしまっています。ここを許容できるのであれば、2万円前後のワイヤレスゲーミングヘッドセットの選択肢の筆頭にあると言えるでしょう。
以上、HyperX(ハイパーエックス)の無線ゲーミングヘッドセット「HyperX Cloud Flight S」のレビューでした。