「Corsair K60 PRO TKL OPX」レビュー。高速なキーレスポンスを特徴とするテンキーレスキーボード

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「Corsair K60 PRO TKL OPX」レビュー。高速なキーレスポンスを特徴とするテンキーレスキーボード

本稿では、Corsairのゲーミングキーボード「Corsair K60 PRO TKL OPX」のレビューをお届けします。

レビューサンプル提供: CORSAIR JAPAN

Corsair K60 PRO TKL OPX
価格: 16,980円(執筆時点)  Amazon  楽天市場

この製品について

「Corsair K60 PRO TKL OPX」は、キー入力の素早さを重要視したモデル「K65 RGB Rapidfire」の後継機として登場したゲーミングキーボードです。

本機に搭載された光学メカニカルキースイッチ「CORSAIR OPX」はキーストローク3.2mm、アクチュエーションポイント1.0mmとかなり短めに調整されており、一般的なメカニカルキースイッチでは不可欠なデバウンス遅延も取り除かれています。また、ポーリングレート8,000Hzに対応し、最大0.125ミリ秒ごとにキースキャンが可能になっています。

製品仕様とスペック

キー配列 日本語配列 91キー レイアウト テンキーレス
キースイッチ CORSAIR OPX キーストローク寿命 1億5,000万回
キーストローク 3.2mm アクチュエーション 1.0mm
スイッチ特性 リニア 押下圧 45g
サイズ 359 x 136 x 36mm 本体重量 0.96kg
カラー ブラック 接続方式 有線接続 (USB-A to USB-C)
ポーリングレート 8000Hz オンボードメモリ 搭載
ソフトウェア 対応 (iCUE)

パッケージと内容物


パッケージの内容物は以下の通りです。

  • K60 PRO TKL OPXキーボード本体
  • USB-C to USB-A ケーブル
  • 取扱説明書

パフォーマンス

ケース

K60 PRO TKL OPXのケースは、前面にアルミニウムフレームを備えています。プラスチックと比べて質感が高く、高い耐久性が期待できます。

ケースからキーキャップが飛び出したフローティングデザインとなっています。

右下にはLEDインジケータが搭載されており、Windowsキーロックなどのステータスが一目で分かります。白いライトがはっきりと点灯するので、識別には困りません。

底面


底面の四隅にはグリップラバーが取り付けられており、デスク上での滑りを防止します。

奥側にはチルトスタンドが搭載されています。タイピング角度はスタンドを寝かせた状態で2°、立てると8°になります。どちらも快適な角度で、好みに合わせて選べます。

接続


ケーブルは着脱式で、背面の左側にUSB Type-Cポートが搭載されています。同梱されているのはごく一般的なビニールケーブルです。

交換用ケーブルを探す際には少し注意が必要です。ポートの周囲は楕円形にくり抜かれており、端子がやや深い部分にあるので、ケーブル側の形状によっては取り付けられない可能性があります。

基本仕様

サイズ

K60 PRO TKL OPXは日本語配列・91キー構成のテンキーレスキーボードです。

ケースのベゼルは狭く、寸法は359 x 136 x 36mmと比較的コンパクトです。

本体重量

本体重量は公称値960gです。

キーボード本体に適度な重みがあるので、底面のすべり止めラバーが機能しやすく、デスク上でしっかりと固定されます。タイピングやゲーム操作で一度設置した場所から動いてしまうことはありません。

キースイッチ

K60 PRO TKL OPXは、Corsairが独自に開発した光学メカニカルキースイッチ「CORSAIR OPX」を搭載しています。主なスペックは以下の通り。

CORSAIR OPX Cherry MX Silver
特性 リニア リニア
押下荷重 45g 45g
キーストローク 3.2mm 3.4mm
作動点 1.0mm 1.2mm
耐久性 1億5,000万回 1億回

ゲーミングキーボードに多く採用されるリニアスイッチ「Cherry MX Silver(通称:銀軸)」と比較して、キーストロークとアクチュエーションポイントが0.2mm短縮されており、よりゲーマー向けに調整されたスイッチであると言えます。

CORSAIR OPXはキーを押し込んだことを光で検知するもので、チャタリングが発生しないことを大きな特徴としています。また、本来チャタリングを防止するために数ms設けられるデバウンスの遅延も不要となるので、一般的なメカニカルキースイッチより高速で応答することも利点の一つとなります。

これに加え、K60 PRO TKL OPXはポーリングレート8000Hzに対応しています。一般的な1000Hzでは1ミリ秒ごとに行われるキーのスキャンが、8000Hzでは0.125ミリ秒の頻度で行われるので、よりキーを押下したり離したときの入力判定が速くなります。これは素早いキー入力が求められるゲームで有利に働きます。

また、接点の摩耗がないので、キーストローク1億5000万回と一般的なメカニカルキースイッチよりも高い耐久性を謳っています。

打鍵感

CORSAIR OPXは押下荷重45gと軽いタッチでキーが降りていきますが、擦れ感がやや強く、押し込む角度によってフィーリングが変化しやすいです。かなり角度をつけて斜めに押し込むと強い擦れ感と詰まりが発生し、キーの降りが鈍くなります。ゲーム操作での指の運び方が綺麗なら問題はありませんが、筆者は咄嗟に指を伸ばしてキーを押し込んだ際に詰まってしまう場面が何度かありました。

打鍵音は大きめで、「カチャカチャ」と軽めの音が鳴ります。底打ちした際は特に音が大きいですが、スタビライザーが取り付けられたキーは音が響きません。

内部構造はしっかりとしているようで、キーを強く叩いても反響音は鳴りません。また、スタビライザーが取り付けられたShiftやSpaceなどの大型キーは押し心地が安定していて、キーが揺れたり詰まることはありません。

総合して、K60 PRO TKL OPXの打鍵時のフィーリングはそれほど良いものではありません。光学メカニカルキースイッチの特性やポーリングレート8000Hzなどの高い性能を活かした、ゲームでの素早いキー入力の検知を重視したものになっており、タイピングの心地良さには期待できません。

キーキャップ


ブラックのABSキーキャップが標準搭載されています。他に見られるABSキーキャップと同様、表面のグリップ性能が高く、指に引っ掛かりやすいです。

また、汗や皮脂による汚れが目立ちやすく、見た目を綺麗に保つには定期的に拭き取るなどのメンテナンスが必要になります。

サラサラした質感のPBTキーキャップを好む場合の選択肢として、Corsairは別売りのオプションとして色違いのPBTキーキャップを販売しているほか、K60よりもワングレード高い位置付けのK70シリーズにPBTキーキャップを標準搭載しています。とはいえ本機もそれなりの価格設定となっていますし、ABSキーキャップが選択されているのはあまり納得のいかない部分とは感じます。

操作感

実際にゲーム操作を試すと、「Cherry MX Speed Silver (銀軸)」や「Cherry MX Red (赤軸)」など代表的なリニアスイッチを搭載したキーボードと比較して、キーの応答速度がわずかに速く感じられました。

これは単純なキーストローク・アクチュエーションポイントの短さによって感じられる違いに加えて、光学メカニカルキースイッチを搭載することでデバウンスの遅延が取り除かれたこと、さらには高ポーリングレート設定によってキースキャンの頻度が高まったことなど、複数の要素が絡んでいると言えます。

ゲームを操作するうえでアクチュエーションポイントの違いは実感しやすく、ソフトウェア上でアクチュエーションポイントを細かく調整できる製品を除けば、CORSAIR OPXの1.0mmは最も短いレベルです。

キーストロークも3.2mmと短めに調整されているので、キーを底打ちしたときに指が深く沈むことがなく、キーを押してから離すまでの指運びが比較的スムーズに行えるように感じました。

注意点として、ポーリングレート2000Hz/4000Hz/8000Hzで動作させる場合、ゲーム側もそれらの設定に対応している必要があります。「VALORANT」は2021年10月時点でポーリングレート8000Hzに対応 (*ゲーム内設定でローインプットバッファを有効にする必要がある)、「Apex Legends」は2000Hzで正常に動作するものの4000Hzや8000Hzでは動作が不安定になります。

また、高ポーリングレート設定はPCの負荷が大きく、CPU使用率が上がるので、PCのスペックが低い場合は推奨されません。

ソフトウェア

K60 PRO TKL OPXは、Corsair製デバイスの統合ソフトウェア「Corsair iCUE」に対応しています。以下のURLよりダウンロード可能です。

Corsair iCUE:https://www.corsair.com/ja/ja/icue

「キー割り当て」の項目では、各キーの再配置が可能です。ゲーム操作で必要なキーを指の届く範囲に集めたり、右側のHomeやEndなどの不要なキーをメディア操作などに割り当てると便利です。

「照明効果」ではLEDライティングのカスタマイズが可能です。複数の照明レイヤーを重ねることができ、他では再現できないオリジナルのアニメーションが作成できます。

「パフォーマンス」ではWindowsキーロック状態のときに無効化するショートカットキーを選択できます。ゲームプレイ中にキー入力を誤って裏画面に飛ぶ、といった事態を防げます。

「デバイス設定」ではファームウェア更新やポーリングレート、ライティング輝度などを調整できます。

統合ソフトウェアは設定項目が多くて複雑になりがちですが、Corsair iCUEは分かりやすくまとまっている印象です。iCUEに対応したマウスやヘッドセット・PCパーツを使用している場合、ライティング効果を同期させることも可能です。

結論とターゲット

「Corsair K60 PRO TKL OPX」は素早いキー入力を重視したゲーミングキーボードです。キーストロークとアクチュエーションポイントが短く調整され、デバウンス遅延もゼロの光学メカニカルキースイッチを搭載するほか、0.125ミリ秒ごとにキースキャンが可能なポーリングレート8000Hzにも対応しています。

キーレスポンスの速さは実感でき、ゲームでのパフォーマンスは高い一方で、打鍵感は良くありません。キー押下時の擦れ感が強く、「カチャカチャ」と大きな打鍵音も鳴るので、タイピングの心地よさには期待できません。また、親指を伸ばしてVやBキーを押すなど、キーを斜めに押し込んだ際に強い擦れ感と詰まりが発生するので、広い範囲でキー操作を行う場合は避けた方が良いでしょう。

ソフトウェアはよくできており、キーリマップやライティングの設定には困りません。iCUEに対応するPC周辺機器を使用していれば、簡単にライティングを統一できます。

結論として、K60 PRO TKL OPXはキーレスポンスの速さを最重要視していて、人間が体感しづらいわずかな遅延も極限まで取り除きたい方向けの選択肢の一つです。デバウンス遅延がゼロの光学メカニカルキースイッチと高ポーリングレートとの組み合わせは、理論上は一般的なキーボードと比べて数倍高速です。

総合評価4.0 out of 5.0 stars

* それぞれの項目を///の4段階で評価
 扱いやすいテンキーレスレイアウト
互換性に優れたUSB Type-C端子
高いビルドクオリティ
 高速なキーレスポンス
遅延が極めて少ない
 ポーリングレート8,000Hz対応
分かりやすいソフトウェア
 カスタマイズ可能なLEDライティング
 打鍵音が大きい
 キーを斜めから押し込むと詰まる
 好みが分かれるABS製キーキャップ
Corsair K60 PRO TKL OPX
価格: 16,980円 (本稿執筆時点)

以上、Corsairのゲーミングキーボード「Corsair K60 PRO TKL OPX」のレビューでした。

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この記事を書いた人

ミオニ
eスポーツ向け ゲーミング周辺機器のレビュアー
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